14 / 71
14. オーガキングを訪ねる精霊王
しおりを挟む
(精霊王視点)
村を襲っていたオーガを雷の魔法で倒してから、私は一旦森に戻った。戦いの最中にオーガ同士がしていた会話が気になったのだ。魔族の言葉なので人間達には分からなかっただろうが、オーガキングの悪口を言っていた。ソフィアがあの村にどの程度滞在することになるのか分からないが、二度とソフィアに危険が及ぶ様なことがあってはならない。オーガキングがあのオーガ達を差し向けたのであれば、釘を刺しておかねば。
オーガキングには会ったことがある。10年ほど前に単身で私の元を訪ねて来たのだ。あの頃彼はオーガの王になったばかりだった。私の元に来た目的は、彼の理想実現のために、精霊王である私の協力を取り付けるためだ。彼の目標は魔物の森を魔族の独立国として人間に認めさせることだと言った。先代のオーガキングが人間との戦いに敗れてから、魔物の森は人間に開拓という名の侵略にさらされ続けている。この300年でなんと面積が半分になってしまった。だが、魔族たちは散発的に抵抗を示すものの、種族間の連携が取れず人間の軍隊に対抗できない。魔族をまとめ上げて人間の軍隊に対抗できるだけの組織を作り上げ、魔物の森を不可侵の独立国と認めさせること。それが彼の悲願だった。
その時私は、是とも否とも言わず、まずは戦うことなく魔族をまとめ上げてみろ、それから考えようと答えた。先代のオーガキングの様に、他の種族を力で支配しようとすれば失敗するぞと。そうは言ったが、本当は体よく追い払っただけだ。一部の魔族は私のことを神の様に崇めている。確かに精霊は死ぬことはない。決まった姿も性別すらない。通常の生き物で無いのは確かだ。だが正直な話、私自身、自分が何者であるか知らないし興味もない。それにあの頃はソフィアを育てるのが面白くて、面倒なことに巻き込まれるのは御免だったのだ。
オーガキングが住んでいる集落に向かう。着いてみると、なんと以前集落だったものが町と呼べる規模になり、簡単ではあるが木で出来た家々が並んでいる。オーガである彼がどこから家を作る技術を手に入れたのかと訝しんだが、町に居る魔族たちを眺めて納得した。オーガはもちろん、エルフ、ドワーフ、アラクネ、ラミアと、この森のすべての魔族が共存している。家を作る技術はドワーフ当たりから手に入れたのだろう。
私は、数人の配下を連れて道を歩くオーガキングを見つけ、しばらく観察した。昔会った時には腰に魔物の皮を巻いているだけだったのが、今はちゃんとした服を着ている。このデザインはエルフの物だろうか。道ですれ違う魔族たちは、オーガキングを怖がることもなく、むしろ親しげに声をかけており、オーガキングの方も気軽に挨拶を返している。彼らとの仲は悪くは無い様だ。私はオーガキングが建物の中に入り、数人の配下以外には人影がないことを確認してから姿を現した。以前オーガキングが私に会った時と同じ、ソフィアの母親の姿だ。私を認めるなり、オーガキングは私の前に土下座し頭を下げた。
「精霊王様! このような場所に来ていただけるとは光栄の至りでございます。」
精霊王と聞き、オーガキングの配下達も慌てて頭を下げる。
「マルシよ、無事、魔族の王となった様だな。まずは、よくやったと褒めてやろう。」
「ありがたきお言葉、このマルシ、今日ほど喜びに打ち震えた日はございません。」
「して、これからどのように動くつもりだ? 約束じゃ、話次第では力を貸そう。」
「ハッ、まずは人間の国に対して我らの独立と領土の範囲を宣言いたします。ただいま地図を用いて説明させていただきます。」
オーガキングが配下のひとりに何か囁くと、そのオーガは急いで大きえな地図をもってきて床に広げた。このような物まで使いこなすようになったとは! とひそかに感心する。
「まず、領土ですが、この大陸を南北に貫くアルトン山脈を境とし、これより東を魔族の土地とします。アルトン山脈より西の土地は不本意ながら人間共にくれてやります。」
なるほど、思い切ったものだ。300年前まではアルトン山脈を越えて遥か西まで魔物の森が広がっており、当然そこには魔族達が住んでいた。だが先代のオーガキングが人間との戦いに敗れてこの方、人間達は森の木々を次々と切り倒しながらその領土を拡大してきた。明らかな侵略であるのだが、種族毎に分かれて連携を取ろうとしない魔族達は、人間の軍隊の調略と各個撃破の戦略により、侵略を止めることが出来ずにいる。最近ようやく人間達の領土拡大が止まったのは、何か状況が変わったからではない、人間達の領土がアルトン山脈の麓まで至ったからだ。流石に高山が連なるアルトン山脈を越えて開拓事業を継続するのは困難だったのだ。
「悔しいですが、すでに多くの人間が暮らしているアルトン山脈の西側まで我らが領地と主張すれば、人間との戦争は免れないでしょう。もちろん、戦って負ける気はありませんが、戦争になれば我が方にも多大な被害がでるのは必定。可能な限り戦いは避けたいと考えております。このアルトン山脈を領土の境とすれば、山脈が天然の要害となり、攻めるに難く守るに易しです。いざという時に人間の軍の侵攻をたやすく防ぐことも出来ましょう。」
「なるほどな、じゃがここはどうするつもりじゃ。」
と私が指さしたのはソフィアがいる人間達の開拓村だ。この村だけが例外的にアルトン山脈の東にある。アルトン山脈は高山が連なっているが、このあたりだけ例外的に山が低く、辛うじて馬が通れる道が通っているのだ。その道を開設出来たことにより、人間の村が作られたわけだ。
「人間達が軍を進めるとすれば、間違いなくこのルートになりましよう。山中に堅固な砦を設けます。人間達に独立を宣言するのは、秘密裡に砦を作ってからにするつもりです。独立は人間共に気付かれずに砦を作れるかどうかにかかっていると考えております。完成までに気付かれると、軍の侵入を防げないでしょう。」
「して、この村の人間達はどうする。」
「住んでいる者たちには悪いですが、この森から出て行ってもらうつもりです。」
「ほう、初めて意見が合わなかったな。悪いことは言わん、その者たちに選択の機会を与えてやれ。残りたいと言ったら、6番目の魔族として国民にしてやるのだ。」
「人間を魔族にですか!?」
「別におかしくはないぞ、昔は人間も魔族の種族のひとつだったのだ。」
これは本当のことだ。本来、魔族と人間を区別する理由はない。魔族の中で人間が突出した繁殖力を持っていたために数が増えただけだ。
「そうなのですか...。しかし、人間がこの森に残るとなると安全を保障できません。魔族は多かれ少なかれ人間を憎んでいますから。」
「そこを、お主が守ってやるのだ。村の人間共はお主に感謝するだろう。良いか、国として独立したとしても人間との付き合いを無くしてはならん。未知の物には大きな恐怖が湧く。関係を断てば、一時的に戦いを避けることは出来ても将来より大きな戦いが起きるだろう。戦いを避けるには、お主たち魔族が人間の敵ではないと示すことが肝要だ。独立後も国内に人間達が住んでおり、幸せに暮らして居れば何よりの宣伝になる。そのことを知らせるためにも、人間の国と交易を行い互いに繁栄する道を探すのじゃ。武力を持つことは必要だが、相手に恐怖を与えるだけでは国を保つことは出来んぞ。」
「精霊王様、私が愚かでございました。かならずやその様にいたします。」
口から出まかせの理論だが、うまく説得出来たようだ。これでオーガキングはあの村を守るだろう。神の様に思われているのは鬱陶しいが、偶には役に立つ。
「分かれば良い、ところで、今日その村に攻め込んだオーガ達はお主の差し金ではないと思ってよいな。」
「なんと! 私の指示ではございません。誰か? 心当たりのあるものはいるか?」
と周りの配下達を見回している。すると配下のひとりが発言した。
「お恐れながら、ダラム達ではないかと...。人間の村に手を出すなという王の命令に公然と反発しておりました。」
「なんと...。精霊王様、すぐに止めに参ります。」
「あわてずとも良い。その者たちは儂が始末した。」
「そうでございましたか。精霊王様のお手を煩わせたこと、偏に私の不徳のいたすところでございます。どうか我らオーガ一族をお許しください。責は私が負います。」
「過ぎたことは良い。ただし、今後同じことが起こったら覚悟することだ。」
「寛大なお心に感謝いたします。私の命に代えても二度と同じことは起させません。」
「良い返事じゃの。ならば、儂も褒美としてお主の計画に協力せねばならんな。」
まあ、ソフィアの安全のためにも少しは協力してやろう。それから私はオーガキングに、人間の軍の侵攻を防ぎ、かつ交易を容易に行う方法について話を始めた。
村を襲っていたオーガを雷の魔法で倒してから、私は一旦森に戻った。戦いの最中にオーガ同士がしていた会話が気になったのだ。魔族の言葉なので人間達には分からなかっただろうが、オーガキングの悪口を言っていた。ソフィアがあの村にどの程度滞在することになるのか分からないが、二度とソフィアに危険が及ぶ様なことがあってはならない。オーガキングがあのオーガ達を差し向けたのであれば、釘を刺しておかねば。
オーガキングには会ったことがある。10年ほど前に単身で私の元を訪ねて来たのだ。あの頃彼はオーガの王になったばかりだった。私の元に来た目的は、彼の理想実現のために、精霊王である私の協力を取り付けるためだ。彼の目標は魔物の森を魔族の独立国として人間に認めさせることだと言った。先代のオーガキングが人間との戦いに敗れてから、魔物の森は人間に開拓という名の侵略にさらされ続けている。この300年でなんと面積が半分になってしまった。だが、魔族たちは散発的に抵抗を示すものの、種族間の連携が取れず人間の軍隊に対抗できない。魔族をまとめ上げて人間の軍隊に対抗できるだけの組織を作り上げ、魔物の森を不可侵の独立国と認めさせること。それが彼の悲願だった。
その時私は、是とも否とも言わず、まずは戦うことなく魔族をまとめ上げてみろ、それから考えようと答えた。先代のオーガキングの様に、他の種族を力で支配しようとすれば失敗するぞと。そうは言ったが、本当は体よく追い払っただけだ。一部の魔族は私のことを神の様に崇めている。確かに精霊は死ぬことはない。決まった姿も性別すらない。通常の生き物で無いのは確かだ。だが正直な話、私自身、自分が何者であるか知らないし興味もない。それにあの頃はソフィアを育てるのが面白くて、面倒なことに巻き込まれるのは御免だったのだ。
オーガキングが住んでいる集落に向かう。着いてみると、なんと以前集落だったものが町と呼べる規模になり、簡単ではあるが木で出来た家々が並んでいる。オーガである彼がどこから家を作る技術を手に入れたのかと訝しんだが、町に居る魔族たちを眺めて納得した。オーガはもちろん、エルフ、ドワーフ、アラクネ、ラミアと、この森のすべての魔族が共存している。家を作る技術はドワーフ当たりから手に入れたのだろう。
私は、数人の配下を連れて道を歩くオーガキングを見つけ、しばらく観察した。昔会った時には腰に魔物の皮を巻いているだけだったのが、今はちゃんとした服を着ている。このデザインはエルフの物だろうか。道ですれ違う魔族たちは、オーガキングを怖がることもなく、むしろ親しげに声をかけており、オーガキングの方も気軽に挨拶を返している。彼らとの仲は悪くは無い様だ。私はオーガキングが建物の中に入り、数人の配下以外には人影がないことを確認してから姿を現した。以前オーガキングが私に会った時と同じ、ソフィアの母親の姿だ。私を認めるなり、オーガキングは私の前に土下座し頭を下げた。
「精霊王様! このような場所に来ていただけるとは光栄の至りでございます。」
精霊王と聞き、オーガキングの配下達も慌てて頭を下げる。
「マルシよ、無事、魔族の王となった様だな。まずは、よくやったと褒めてやろう。」
「ありがたきお言葉、このマルシ、今日ほど喜びに打ち震えた日はございません。」
「して、これからどのように動くつもりだ? 約束じゃ、話次第では力を貸そう。」
「ハッ、まずは人間の国に対して我らの独立と領土の範囲を宣言いたします。ただいま地図を用いて説明させていただきます。」
オーガキングが配下のひとりに何か囁くと、そのオーガは急いで大きえな地図をもってきて床に広げた。このような物まで使いこなすようになったとは! とひそかに感心する。
「まず、領土ですが、この大陸を南北に貫くアルトン山脈を境とし、これより東を魔族の土地とします。アルトン山脈より西の土地は不本意ながら人間共にくれてやります。」
なるほど、思い切ったものだ。300年前まではアルトン山脈を越えて遥か西まで魔物の森が広がっており、当然そこには魔族達が住んでいた。だが先代のオーガキングが人間との戦いに敗れてこの方、人間達は森の木々を次々と切り倒しながらその領土を拡大してきた。明らかな侵略であるのだが、種族毎に分かれて連携を取ろうとしない魔族達は、人間の軍隊の調略と各個撃破の戦略により、侵略を止めることが出来ずにいる。最近ようやく人間達の領土拡大が止まったのは、何か状況が変わったからではない、人間達の領土がアルトン山脈の麓まで至ったからだ。流石に高山が連なるアルトン山脈を越えて開拓事業を継続するのは困難だったのだ。
「悔しいですが、すでに多くの人間が暮らしているアルトン山脈の西側まで我らが領地と主張すれば、人間との戦争は免れないでしょう。もちろん、戦って負ける気はありませんが、戦争になれば我が方にも多大な被害がでるのは必定。可能な限り戦いは避けたいと考えております。このアルトン山脈を領土の境とすれば、山脈が天然の要害となり、攻めるに難く守るに易しです。いざという時に人間の軍の侵攻をたやすく防ぐことも出来ましょう。」
「なるほどな、じゃがここはどうするつもりじゃ。」
と私が指さしたのはソフィアがいる人間達の開拓村だ。この村だけが例外的にアルトン山脈の東にある。アルトン山脈は高山が連なっているが、このあたりだけ例外的に山が低く、辛うじて馬が通れる道が通っているのだ。その道を開設出来たことにより、人間の村が作られたわけだ。
「人間達が軍を進めるとすれば、間違いなくこのルートになりましよう。山中に堅固な砦を設けます。人間達に独立を宣言するのは、秘密裡に砦を作ってからにするつもりです。独立は人間共に気付かれずに砦を作れるかどうかにかかっていると考えております。完成までに気付かれると、軍の侵入を防げないでしょう。」
「して、この村の人間達はどうする。」
「住んでいる者たちには悪いですが、この森から出て行ってもらうつもりです。」
「ほう、初めて意見が合わなかったな。悪いことは言わん、その者たちに選択の機会を与えてやれ。残りたいと言ったら、6番目の魔族として国民にしてやるのだ。」
「人間を魔族にですか!?」
「別におかしくはないぞ、昔は人間も魔族の種族のひとつだったのだ。」
これは本当のことだ。本来、魔族と人間を区別する理由はない。魔族の中で人間が突出した繁殖力を持っていたために数が増えただけだ。
「そうなのですか...。しかし、人間がこの森に残るとなると安全を保障できません。魔族は多かれ少なかれ人間を憎んでいますから。」
「そこを、お主が守ってやるのだ。村の人間共はお主に感謝するだろう。良いか、国として独立したとしても人間との付き合いを無くしてはならん。未知の物には大きな恐怖が湧く。関係を断てば、一時的に戦いを避けることは出来ても将来より大きな戦いが起きるだろう。戦いを避けるには、お主たち魔族が人間の敵ではないと示すことが肝要だ。独立後も国内に人間達が住んでおり、幸せに暮らして居れば何よりの宣伝になる。そのことを知らせるためにも、人間の国と交易を行い互いに繁栄する道を探すのじゃ。武力を持つことは必要だが、相手に恐怖を与えるだけでは国を保つことは出来んぞ。」
「精霊王様、私が愚かでございました。かならずやその様にいたします。」
口から出まかせの理論だが、うまく説得出来たようだ。これでオーガキングはあの村を守るだろう。神の様に思われているのは鬱陶しいが、偶には役に立つ。
「分かれば良い、ところで、今日その村に攻め込んだオーガ達はお主の差し金ではないと思ってよいな。」
「なんと! 私の指示ではございません。誰か? 心当たりのあるものはいるか?」
と周りの配下達を見回している。すると配下のひとりが発言した。
「お恐れながら、ダラム達ではないかと...。人間の村に手を出すなという王の命令に公然と反発しておりました。」
「なんと...。精霊王様、すぐに止めに参ります。」
「あわてずとも良い。その者たちは儂が始末した。」
「そうでございましたか。精霊王様のお手を煩わせたこと、偏に私の不徳のいたすところでございます。どうか我らオーガ一族をお許しください。責は私が負います。」
「過ぎたことは良い。ただし、今後同じことが起こったら覚悟することだ。」
「寛大なお心に感謝いたします。私の命に代えても二度と同じことは起させません。」
「良い返事じゃの。ならば、儂も褒美としてお主の計画に協力せねばならんな。」
まあ、ソフィアの安全のためにも少しは協力してやろう。それから私はオーガキングに、人間の軍の侵攻を防ぎ、かつ交易を容易に行う方法について話を始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる