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58. 反乱を起こす農民達
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(宰相視点)
ここまで順調にすすんでいた俺の計画に初めての齟齬が出た。この領の農民達からの食糧の調達がうまく行かない。どうやら敵の部隊が阻んでいるらしい、それもかなりの数だ。それに谷底の道を破壊した特殊部隊とはあれから連絡が取れない。何かあったのは間違いない。何らかの方法で一気に谷底の道を修復され、増援部隊がやって来て特殊部隊を全滅させたのだろうか。もともと、あのような道を作った方法に見当がつかないのだ。あり得ない話だと笑い飛ばすことはできない。だとすると魔族の国は相当な数の援軍を送りこんだはずだ。でなければあの魔法兵だけで構成した特殊部隊が負けるはずがない。
その上、何人かの貴族が、領地で反乱が起きたから帰らしてくれと嘆願してきた。もちろん直ちに拒否したが、ありったけの兵を率いて来いと命令したのは不味かったかもしれない。
くそう、俺の計画に齟齬が出るなどあってはならない。とにかく最優先は、あの谷底の道を封鎖することだ。さもなければいくらでも増援を送られてしまう。俺は魔法兵1000人を含む正規軍5万を谷底の道に送ることに決めた。半月後、谷底の道に到着した部隊からの報告では、予想通り谷底の道は綺麗に修復されているらしい。だが、今度は人数が違う。部隊は一気に谷底の道の入り口に向かって進軍し、道を守るオーガとアラクネの兵士1,000と対戦して打ち負かした。戦いに勝った勢いで谷底の道を占拠に向かおうとしたが、やはり崖の上にはドワーフを中心とする沢山の魔族がこちらを攻撃するために陣取っていたことと、戦いによる味方の損害も大きかったので断念したと言う。損害は敵500に対して見方は7,500と15倍だ。やはり魔族の兵士は恐ろしい、その強さは伝説の通りだと再認識した。
直ちに神の力を使って再び道を塞ぎ、兵士達に谷底の道の出口に陣を張らせる。再度道が修復された場合に対応するためだ。
(ロジャー視点)
俺達は直轄領の農民が作った義勇軍とともに500人くらいのグループに分かれ、人間の国の各地の貴族領を目指した。俺が率いるのはほとんどがカールトン男爵領の農民達だ。目的は貴族領に住む農民達に反乱を呼び掛けること。
直轄領のすぐ近くの侯爵領に到着した俺達は、早速見つけた大きな村に入って行った。500人もの人間が団体行動を取れば目立ってしまうが、今は貴族に見つからない様に行動することよりスピード重視だ。怪しんだ兵士達がやって来るかもしれないが、その時は数で対抗するまでだ。こちらは500人もいるのだ、何とかなる。最初の村に乗り込んで、自分達は魔族の国の人間で村長に会いたいと伝える。カールトン男爵領の俺達が魔族の国の人間であると言うのは正確ではないが、ここは勘弁してもらう。何事かと驚いた顔で出て来た村長に、自分達は反乱を起こすことを勧めに来たと伝える。周りではこの村の村人達も集まって村長とのやり取りに注目している。俺としてはこの方が都合が良い。
「今、この領の貴族の兵士達は魔族の国との戦争で出払っている。今なら反乱を起こせば確実に成功するぞ、国の軍隊も戦争に出ているからやって来ない。」
「何をバカなことを、たとえうまく行ったとしても戦争が終われば元通りじゃ。そんな話には乗れん。」
「それは人間の国が勝った場合だ。もし魔族の国が勝ったらどうなると思う。魔族の国の女王様が約束してくれたんだ。魔族の国の勝利に貢献した領地は魔族領に加え、税を3割に削減するとな。どうだ、考えてみる価値があると思わないか? 現に直轄領での税は3割だ。おまけに不作の時は税を負けてくれる。」
「ふん、そんな与太話を信じろというのか? それに魔族の女王なんてどんな化け物だか分かったもんじゃない。」
女王様のことを化け物と言われ腹が立ったが、ここは我慢だ。
「分かった。それなら仕方がない。他の村に向かうよ。だが残念だな、この村でも不作の年には餓死者が出るんじゃないか? 家族を奴隷商に売るものはいないか? 直轄領ではそんな村はないぞ。それとな魔族の国の女王様は化け物じゃない人間だ。人間の国の先王の娘ソフィリアーヌ様だ。いや、先々王の娘と言うべきか...。」
「なんだと、ソフィリアーヌ様? 人間が魔族の女王だと? なぜだ?」
「さあな、俺にも分からん。だが魔族の国では人間はオーガ、アラクネ、ラミア、エルフ、ドワーフに次ぐ6番目の魔族と言う事になっている。だったら人間が王でもおかしくないわけだ。まあ、信じるかどうかは勝手だ。俺達は次の村に向かうよ、邪魔したな。」
と言って次の村に向かって歩き出した。やはり信じて貰うのは難しいのか、当然ではあるが...。だが、数キロメートルも歩かないうちに、村から数名の村人が走って来た。村長が俺達を呼んでいると言う。村に戻った俺達に村長が口を開く。
「さっきは済まなかったな。皆で話し合う時間が欲しかったのだ。俺達はお前達の話に乗らせてもらう。本当は、この領ではお前達が来る前から反乱の計画が進んでいる。貴族達には恨みが溜まっているからな。領内に兵の居ない今は反乱の絶好のチャンスだ。だが一時的に恨みを晴らしても戦争が終われば鎮圧されるのは明らかだと思って、この村は反乱に加わるのを躊躇していたのだ。お前達が言うのは夢の様な話だが、今の生活が地獄だからこそ夢を見てみたいと皆の意見が一致した。」
なんと、既に反乱の計画があるのか。この領地の農民の生活も大変だったのだろう。
「だが、当たり前だが、俺達がここに来たのは魔族の国の戦いを優利にする為だ。そのためには、反乱を起こした後で慌てて戻ってくるかもしれない貴族の私兵達と戦って欲しい。そうすれば魔族の国を攻めている人間の国の兵力が減るからな。それが魔族の国に加わる条件と思ってくれ。」
「なるほどな、反乱を起こすのは簡単だが結局は兵士と戦うことになるわけか。まあ構わんよ、どのみち反乱を起こす以上戦いは覚悟の上だ。今反乱を起こせば国の軍隊が来ない分ましと言うわけだな。」
「そのとおりだ。もちろん俺達も戦うつもりだ。ともに魔族の国の勝利に貢献しよう。」
「魔族の国の勝利に貢献するか。ハハッ、ついさっきまでは冗談にしか聞こえないセリフじゃが、儂らは魔族の国に掛けるしかない。やってやるさ。」
「後悔はしないと思うぞ、命を懸けるだけの価値がある。それと他の村も反乱に加わってくれそうなのか。」
「もちろんだ、後で反乱のリーダーの元に連れて行こう。」
「感謝する。」
(宰相視点)
沢山の貴族が領地で反乱が起きたので、鎮圧のために帰還したいと言って来る。余りに多い、既に半分の貴族の領地で反乱が起きている様だ。くそっ、俺としたことが完全にしくじった。農民達を甘く見過ぎていた、少しは各領地に兵を残すべきだったのだ。だがここで一部の貴族だけに帰還を許せば、我も我もと許可を求めてくるのが目に見える。
「反乱の鎮圧は戦争が終わってからだ。」
と言ってすべて却下する。今回のことでは少々貴族の恨みを買うだろう、なにせ反乱が起これば領地に残っている彼らの家族の命が危ないのだ。だが恨みを買っても、俺にはそれをねじ伏せるだけの金と権力がある。なんとでもなるさ。
だが、ある日一部の貴族が私兵ごと姿を消した。無断で自分の領地に戻ったのだ。厳罰に処したいが今は兵を割くわけにいかない。今は谷底の道の封鎖を維持するために正規軍10万のうち、半分の5万を派遣している。だからここに正規軍は5万しか残っていない。貴族の私兵は沢山いるが彼らを派遣すれば、これ幸いとまず自分の領地の反乱を鎮圧しに向かうに決まっている。まだ反乱が起きていない領地の貴族たちも、ここを離れれば真っ先に自分の領地の治安維持のために兵を送るに違いない。それからも逃げ去る貴族が続出する。既に5分の1くらいの貴族が戦場を離れてしまった。
俺は怒り狂った。俺は貴族を集め、許可なくこの戦いの場から去った者は身分を剥奪し平民に落とすと宣言した。すると貴族達の重鎮トライホール公爵が発言した。銀髪のでっぷりと太った豚だ。
「執政官殿、それはあまりに厳しすぎないか。彼らは自分達の家族の安否を心配して領地に戻ったのだ。この様な事態になったのも元はと言えば、執政官殿がすべての兵を引き連れて来いと命令したからではないか。」
「命令したのは私ではありません、国王様です。お間違え無きよう。トライホール公爵様。」
と俺は冷たい声で言い放つ。相手は公爵、侯爵である俺よりも身分は上だ。だが役職上は俺に命令権がある。
「誰がそんなことを信じる。国王様は5歳だぞ。そんなガキに政治が出来るわけが無い。」
途端に公爵の上に雷が落ちる。閃光と雷鳴が轟き、後には黒焦げの公爵の死体が残っているだけだ。それを見た貴族達の悲鳴が辺りを満たす。
「トライホール公爵様は国王様を侮辱した罪で裁きを受けられた。他に意見がある者はいるかな?」
と俺が冷たく言い放つと貴族達が揃って首を振る。全員の顔が蒼白になっている。これで誰がこの国の本当の支配者なのか身に染みただろう。
だがこの状況は不味い。一時的に不満を抑えることができたとしても、時間が経てば再度噴き出すのは間違いない。どうやらのんびりと兵糧攻めをしている時間はない様だ。生け捕りにできる魔族の兵士が少なくなるかもしれないが、一気に城を攻め落とす方が良い。戦いに勝てば領地に戻れるとなれば貴族達の不満も和らぐだろう。
(ロジャー視点)
今日の戦いも負けた。貴族の私兵が戻って来てから連戦連敗だ。数だけなら農民の方が遥かに多いが、相手は全身を覆う鎧を着ているうえ、力も強く、武器も上等だ。俺達が即席の弓矢や、鍬や鎌で応戦しても何のダメージも与えられない。今や俺達は追い詰められつつある。
「やはり兵士は強い。まるで歯が立たないじゃないか。」
「まあ良いさ、こちらに兵士を引き付けている分、魔族の国の敵が減っていると言う事なんだろう?」
「反乱はそろそろ終わりかな。次の戦いで最後だろう。もう少し粘れると思ったんだがなあ。」
と周りで落ち込んで話す声がする。おれはソフィリアーヌ様のお言葉を思い出す。
「ロジャーさん、それはいけません。死ぬことを前提に戦わないでください。身勝手なお願いですが、どうか死なずに勝てる方法を考えて下さい。私達は最終的に勝利すれば良いのです。すべての戦いに勝つ必要はありません。危険だと思ったら逃げて下さい。負けても次に勝つ方法を考えれば良いのです。」
とソフィリアーヌ様はおっしゃった。だが、実際の戦いは甘いものでは無い。これまでに沢山の仲間が死んでいった。常に明日は自分の番だと思って戦って来た。死なずに勝つ方法なんてあるのだろうか?
その時、
「おーい、リーダーはいないか?」
と声が聞こえた。反乱のリーダーはとっくに死んだ。今は俺が実質的なリーダーだ。
「一応、俺がリーダーだ。」
と答えると、ひとりの男が10人くらいの仲間を引き連れてやって来た。
「俺はカイルという。俺達農民が兵士に勝てる方法が分かったので伝えに来たんだ。」
何だと!? 農民が兵士に勝てる方法?
「そんな方法があるのか?」
と驚いて尋ねる俺に、カイルと名乗った男は力強く頷いた。
「発想を変えるんだ。相手と同じ戦い方をしていてはダメだ。数の優位を生かすには役割分担が大事なんだ。」
と続けるカイル。カイルも直轄領の農民だと言う。自分達も義勇兵として兵士と戦っている内に編み出した戦法らしい。
「こっちの領が苦戦しているときいてやって来た。騙されたと思って試してくれ。」
という。なんとカイルの戦っていた領ではその戦法を使って既に勝利したらしい。
「それでその方法って何なのだ?」
と周りから催促が入る。皆、兵士に勝つ方法と聞いてこちらに注目している。
「簡単な話だ、兵士を転ばせるんだ。当然だが、鎧は兵士が立って戦うことを想定して作られている。だから転ばせば狙える開口部がある。股間や太もも部分は鎧に覆われていない。鎧のつなぎ目も下からなら刃物が入る。そこを槍で狙う。それに転ばせば兵士も満足に戦えない。」
「俺達は槍なんて持ってないぞ。」
と誰かが言う。
「作るんだ、立派なものでなくても良い。木の棒の先にナイフの刃を括りつけたもので構わない。それと盾が要る。これも木の板で十分だ。後はロープだ。」
それから俺達はカイルに言われるままに槍や盾、それにロープを用意する。こんなもので勝てるのかと心配になるほど粗末なものだ。だがカイルは自信満々だ。それからカイルに戦い方を教わった。
数日後、兵士達との最後の戦いが始まる。
「こそこそと逃げ回りやがって、薄汚い農民どもめ。今日こそ退治してやる。」
という兵士の隊長と思われる大きな男。俺達はその声を聞いて身体が振るえる。だが、今日は希望がある。カイルに教わった戦法だ。俺達は10人毎にチームを作っている。武器は木の板で作った大きな盾がふたつ、木の棒の先にナイフの刃を取り付けた槍がふたつ。ロープが2本だけ。
兵士達が隊長を先頭に駆けて来ると、俺のチームは隊長に向かった。まずふたり掛で持った大きな盾をふたつならべ相手に突進する。木の盾といっても剣で切り裂くのは簡単ではない。そのまま盾を持った4人が相手に激突する。いくら大男といっても、4人掛なら突進を止められる。相手と押し合いになったところで、残りの4人が盾の下に潜り込み、兵士の両足にロープを引っかけて思いっきり引っ張る。盾に上半身を押され、足をロープで引っ張られてはさしもの大男もひっくり返る。盾を持ったものはそのまま盾を下にして身を守りながら兵士の上に飛び乗る。ロープを持っていた者達は兵士の足にとりつく。これで兵士は動けない。その隙をついて、槍を構えた二人が、鎧に覆われていない兵士の股間を突く。隊長と思われる兵士は「ウォー」という叫び声を上げて絶命した。傍からは卑怯と思われるかもしれないが、確かに農民の俺達が屈強な兵士に勝てた瞬間だった。誰かが、
「やったぞー!」
と叫ぶ。俺達のチームじゃない。他のチームでも兵士を倒せている様だ。すごい、すごい、すごい。ソフィリアーヌ様がおっしゃっていた、死なずに勝てる方法があった。やったぞ! カイルとソフィリアーヌ様に感謝をささげる。
その日、俺達は初めて勝利と言う物を味わった。カイルはその成果を見て、満足げに次の領にもこの戦法を伝えると言って去って行った。カイル。すごい男だ。小柄な身体が誰よりも格好良く見えた。
ここまで順調にすすんでいた俺の計画に初めての齟齬が出た。この領の農民達からの食糧の調達がうまく行かない。どうやら敵の部隊が阻んでいるらしい、それもかなりの数だ。それに谷底の道を破壊した特殊部隊とはあれから連絡が取れない。何かあったのは間違いない。何らかの方法で一気に谷底の道を修復され、増援部隊がやって来て特殊部隊を全滅させたのだろうか。もともと、あのような道を作った方法に見当がつかないのだ。あり得ない話だと笑い飛ばすことはできない。だとすると魔族の国は相当な数の援軍を送りこんだはずだ。でなければあの魔法兵だけで構成した特殊部隊が負けるはずがない。
その上、何人かの貴族が、領地で反乱が起きたから帰らしてくれと嘆願してきた。もちろん直ちに拒否したが、ありったけの兵を率いて来いと命令したのは不味かったかもしれない。
くそう、俺の計画に齟齬が出るなどあってはならない。とにかく最優先は、あの谷底の道を封鎖することだ。さもなければいくらでも増援を送られてしまう。俺は魔法兵1000人を含む正規軍5万を谷底の道に送ることに決めた。半月後、谷底の道に到着した部隊からの報告では、予想通り谷底の道は綺麗に修復されているらしい。だが、今度は人数が違う。部隊は一気に谷底の道の入り口に向かって進軍し、道を守るオーガとアラクネの兵士1,000と対戦して打ち負かした。戦いに勝った勢いで谷底の道を占拠に向かおうとしたが、やはり崖の上にはドワーフを中心とする沢山の魔族がこちらを攻撃するために陣取っていたことと、戦いによる味方の損害も大きかったので断念したと言う。損害は敵500に対して見方は7,500と15倍だ。やはり魔族の兵士は恐ろしい、その強さは伝説の通りだと再認識した。
直ちに神の力を使って再び道を塞ぎ、兵士達に谷底の道の出口に陣を張らせる。再度道が修復された場合に対応するためだ。
(ロジャー視点)
俺達は直轄領の農民が作った義勇軍とともに500人くらいのグループに分かれ、人間の国の各地の貴族領を目指した。俺が率いるのはほとんどがカールトン男爵領の農民達だ。目的は貴族領に住む農民達に反乱を呼び掛けること。
直轄領のすぐ近くの侯爵領に到着した俺達は、早速見つけた大きな村に入って行った。500人もの人間が団体行動を取れば目立ってしまうが、今は貴族に見つからない様に行動することよりスピード重視だ。怪しんだ兵士達がやって来るかもしれないが、その時は数で対抗するまでだ。こちらは500人もいるのだ、何とかなる。最初の村に乗り込んで、自分達は魔族の国の人間で村長に会いたいと伝える。カールトン男爵領の俺達が魔族の国の人間であると言うのは正確ではないが、ここは勘弁してもらう。何事かと驚いた顔で出て来た村長に、自分達は反乱を起こすことを勧めに来たと伝える。周りではこの村の村人達も集まって村長とのやり取りに注目している。俺としてはこの方が都合が良い。
「今、この領の貴族の兵士達は魔族の国との戦争で出払っている。今なら反乱を起こせば確実に成功するぞ、国の軍隊も戦争に出ているからやって来ない。」
「何をバカなことを、たとえうまく行ったとしても戦争が終われば元通りじゃ。そんな話には乗れん。」
「それは人間の国が勝った場合だ。もし魔族の国が勝ったらどうなると思う。魔族の国の女王様が約束してくれたんだ。魔族の国の勝利に貢献した領地は魔族領に加え、税を3割に削減するとな。どうだ、考えてみる価値があると思わないか? 現に直轄領での税は3割だ。おまけに不作の時は税を負けてくれる。」
「ふん、そんな与太話を信じろというのか? それに魔族の女王なんてどんな化け物だか分かったもんじゃない。」
女王様のことを化け物と言われ腹が立ったが、ここは我慢だ。
「分かった。それなら仕方がない。他の村に向かうよ。だが残念だな、この村でも不作の年には餓死者が出るんじゃないか? 家族を奴隷商に売るものはいないか? 直轄領ではそんな村はないぞ。それとな魔族の国の女王様は化け物じゃない人間だ。人間の国の先王の娘ソフィリアーヌ様だ。いや、先々王の娘と言うべきか...。」
「なんだと、ソフィリアーヌ様? 人間が魔族の女王だと? なぜだ?」
「さあな、俺にも分からん。だが魔族の国では人間はオーガ、アラクネ、ラミア、エルフ、ドワーフに次ぐ6番目の魔族と言う事になっている。だったら人間が王でもおかしくないわけだ。まあ、信じるかどうかは勝手だ。俺達は次の村に向かうよ、邪魔したな。」
と言って次の村に向かって歩き出した。やはり信じて貰うのは難しいのか、当然ではあるが...。だが、数キロメートルも歩かないうちに、村から数名の村人が走って来た。村長が俺達を呼んでいると言う。村に戻った俺達に村長が口を開く。
「さっきは済まなかったな。皆で話し合う時間が欲しかったのだ。俺達はお前達の話に乗らせてもらう。本当は、この領ではお前達が来る前から反乱の計画が進んでいる。貴族達には恨みが溜まっているからな。領内に兵の居ない今は反乱の絶好のチャンスだ。だが一時的に恨みを晴らしても戦争が終われば鎮圧されるのは明らかだと思って、この村は反乱に加わるのを躊躇していたのだ。お前達が言うのは夢の様な話だが、今の生活が地獄だからこそ夢を見てみたいと皆の意見が一致した。」
なんと、既に反乱の計画があるのか。この領地の農民の生活も大変だったのだろう。
「だが、当たり前だが、俺達がここに来たのは魔族の国の戦いを優利にする為だ。そのためには、反乱を起こした後で慌てて戻ってくるかもしれない貴族の私兵達と戦って欲しい。そうすれば魔族の国を攻めている人間の国の兵力が減るからな。それが魔族の国に加わる条件と思ってくれ。」
「なるほどな、反乱を起こすのは簡単だが結局は兵士と戦うことになるわけか。まあ構わんよ、どのみち反乱を起こす以上戦いは覚悟の上だ。今反乱を起こせば国の軍隊が来ない分ましと言うわけだな。」
「そのとおりだ。もちろん俺達も戦うつもりだ。ともに魔族の国の勝利に貢献しよう。」
「魔族の国の勝利に貢献するか。ハハッ、ついさっきまでは冗談にしか聞こえないセリフじゃが、儂らは魔族の国に掛けるしかない。やってやるさ。」
「後悔はしないと思うぞ、命を懸けるだけの価値がある。それと他の村も反乱に加わってくれそうなのか。」
「もちろんだ、後で反乱のリーダーの元に連れて行こう。」
「感謝する。」
(宰相視点)
沢山の貴族が領地で反乱が起きたので、鎮圧のために帰還したいと言って来る。余りに多い、既に半分の貴族の領地で反乱が起きている様だ。くそっ、俺としたことが完全にしくじった。農民達を甘く見過ぎていた、少しは各領地に兵を残すべきだったのだ。だがここで一部の貴族だけに帰還を許せば、我も我もと許可を求めてくるのが目に見える。
「反乱の鎮圧は戦争が終わってからだ。」
と言ってすべて却下する。今回のことでは少々貴族の恨みを買うだろう、なにせ反乱が起これば領地に残っている彼らの家族の命が危ないのだ。だが恨みを買っても、俺にはそれをねじ伏せるだけの金と権力がある。なんとでもなるさ。
だが、ある日一部の貴族が私兵ごと姿を消した。無断で自分の領地に戻ったのだ。厳罰に処したいが今は兵を割くわけにいかない。今は谷底の道の封鎖を維持するために正規軍10万のうち、半分の5万を派遣している。だからここに正規軍は5万しか残っていない。貴族の私兵は沢山いるが彼らを派遣すれば、これ幸いとまず自分の領地の反乱を鎮圧しに向かうに決まっている。まだ反乱が起きていない領地の貴族たちも、ここを離れれば真っ先に自分の領地の治安維持のために兵を送るに違いない。それからも逃げ去る貴族が続出する。既に5分の1くらいの貴族が戦場を離れてしまった。
俺は怒り狂った。俺は貴族を集め、許可なくこの戦いの場から去った者は身分を剥奪し平民に落とすと宣言した。すると貴族達の重鎮トライホール公爵が発言した。銀髪のでっぷりと太った豚だ。
「執政官殿、それはあまりに厳しすぎないか。彼らは自分達の家族の安否を心配して領地に戻ったのだ。この様な事態になったのも元はと言えば、執政官殿がすべての兵を引き連れて来いと命令したからではないか。」
「命令したのは私ではありません、国王様です。お間違え無きよう。トライホール公爵様。」
と俺は冷たい声で言い放つ。相手は公爵、侯爵である俺よりも身分は上だ。だが役職上は俺に命令権がある。
「誰がそんなことを信じる。国王様は5歳だぞ。そんなガキに政治が出来るわけが無い。」
途端に公爵の上に雷が落ちる。閃光と雷鳴が轟き、後には黒焦げの公爵の死体が残っているだけだ。それを見た貴族達の悲鳴が辺りを満たす。
「トライホール公爵様は国王様を侮辱した罪で裁きを受けられた。他に意見がある者はいるかな?」
と俺が冷たく言い放つと貴族達が揃って首を振る。全員の顔が蒼白になっている。これで誰がこの国の本当の支配者なのか身に染みただろう。
だがこの状況は不味い。一時的に不満を抑えることができたとしても、時間が経てば再度噴き出すのは間違いない。どうやらのんびりと兵糧攻めをしている時間はない様だ。生け捕りにできる魔族の兵士が少なくなるかもしれないが、一気に城を攻め落とす方が良い。戦いに勝てば領地に戻れるとなれば貴族達の不満も和らぐだろう。
(ロジャー視点)
今日の戦いも負けた。貴族の私兵が戻って来てから連戦連敗だ。数だけなら農民の方が遥かに多いが、相手は全身を覆う鎧を着ているうえ、力も強く、武器も上等だ。俺達が即席の弓矢や、鍬や鎌で応戦しても何のダメージも与えられない。今や俺達は追い詰められつつある。
「やはり兵士は強い。まるで歯が立たないじゃないか。」
「まあ良いさ、こちらに兵士を引き付けている分、魔族の国の敵が減っていると言う事なんだろう?」
「反乱はそろそろ終わりかな。次の戦いで最後だろう。もう少し粘れると思ったんだがなあ。」
と周りで落ち込んで話す声がする。おれはソフィリアーヌ様のお言葉を思い出す。
「ロジャーさん、それはいけません。死ぬことを前提に戦わないでください。身勝手なお願いですが、どうか死なずに勝てる方法を考えて下さい。私達は最終的に勝利すれば良いのです。すべての戦いに勝つ必要はありません。危険だと思ったら逃げて下さい。負けても次に勝つ方法を考えれば良いのです。」
とソフィリアーヌ様はおっしゃった。だが、実際の戦いは甘いものでは無い。これまでに沢山の仲間が死んでいった。常に明日は自分の番だと思って戦って来た。死なずに勝つ方法なんてあるのだろうか?
その時、
「おーい、リーダーはいないか?」
と声が聞こえた。反乱のリーダーはとっくに死んだ。今は俺が実質的なリーダーだ。
「一応、俺がリーダーだ。」
と答えると、ひとりの男が10人くらいの仲間を引き連れてやって来た。
「俺はカイルという。俺達農民が兵士に勝てる方法が分かったので伝えに来たんだ。」
何だと!? 農民が兵士に勝てる方法?
「そんな方法があるのか?」
と驚いて尋ねる俺に、カイルと名乗った男は力強く頷いた。
「発想を変えるんだ。相手と同じ戦い方をしていてはダメだ。数の優位を生かすには役割分担が大事なんだ。」
と続けるカイル。カイルも直轄領の農民だと言う。自分達も義勇兵として兵士と戦っている内に編み出した戦法らしい。
「こっちの領が苦戦しているときいてやって来た。騙されたと思って試してくれ。」
という。なんとカイルの戦っていた領ではその戦法を使って既に勝利したらしい。
「それでその方法って何なのだ?」
と周りから催促が入る。皆、兵士に勝つ方法と聞いてこちらに注目している。
「簡単な話だ、兵士を転ばせるんだ。当然だが、鎧は兵士が立って戦うことを想定して作られている。だから転ばせば狙える開口部がある。股間や太もも部分は鎧に覆われていない。鎧のつなぎ目も下からなら刃物が入る。そこを槍で狙う。それに転ばせば兵士も満足に戦えない。」
「俺達は槍なんて持ってないぞ。」
と誰かが言う。
「作るんだ、立派なものでなくても良い。木の棒の先にナイフの刃を括りつけたもので構わない。それと盾が要る。これも木の板で十分だ。後はロープだ。」
それから俺達はカイルに言われるままに槍や盾、それにロープを用意する。こんなもので勝てるのかと心配になるほど粗末なものだ。だがカイルは自信満々だ。それからカイルに戦い方を教わった。
数日後、兵士達との最後の戦いが始まる。
「こそこそと逃げ回りやがって、薄汚い農民どもめ。今日こそ退治してやる。」
という兵士の隊長と思われる大きな男。俺達はその声を聞いて身体が振るえる。だが、今日は希望がある。カイルに教わった戦法だ。俺達は10人毎にチームを作っている。武器は木の板で作った大きな盾がふたつ、木の棒の先にナイフの刃を取り付けた槍がふたつ。ロープが2本だけ。
兵士達が隊長を先頭に駆けて来ると、俺のチームは隊長に向かった。まずふたり掛で持った大きな盾をふたつならべ相手に突進する。木の盾といっても剣で切り裂くのは簡単ではない。そのまま盾を持った4人が相手に激突する。いくら大男といっても、4人掛なら突進を止められる。相手と押し合いになったところで、残りの4人が盾の下に潜り込み、兵士の両足にロープを引っかけて思いっきり引っ張る。盾に上半身を押され、足をロープで引っ張られてはさしもの大男もひっくり返る。盾を持ったものはそのまま盾を下にして身を守りながら兵士の上に飛び乗る。ロープを持っていた者達は兵士の足にとりつく。これで兵士は動けない。その隙をついて、槍を構えた二人が、鎧に覆われていない兵士の股間を突く。隊長と思われる兵士は「ウォー」という叫び声を上げて絶命した。傍からは卑怯と思われるかもしれないが、確かに農民の俺達が屈強な兵士に勝てた瞬間だった。誰かが、
「やったぞー!」
と叫ぶ。俺達のチームじゃない。他のチームでも兵士を倒せている様だ。すごい、すごい、すごい。ソフィリアーヌ様がおっしゃっていた、死なずに勝てる方法があった。やったぞ! カイルとソフィリアーヌ様に感謝をささげる。
その日、俺達は初めて勝利と言う物を味わった。カイルはその成果を見て、満足げに次の領にもこの戦法を伝えると言って去って行った。カイル。すごい男だ。小柄な身体が誰よりも格好良く見えた。
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対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
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アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
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