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15. アーシャ、再びイタリ料理の店を目指す
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(シロム視点)
神官長や上級神官様とアーシャ様のやり取りが終わった後、サマル様がアーシャ様の革袋とお金を持ってきてくれた。とりあえずここに来た用は済んだと言う事だ。神官長様のお話ではアーシャ様の正体を知っているのは神官の中でもこの部屋にいる、神官長のナザル様、上級神官のエリーゼ様、サマル様、カラシン様の4人だけだそうだ。もちろんアーシャ様はこの4人に他言無用と指示した。神官が御子様の指示を破るはずがないから安心だろう。ジークさんやトーラさん達それ以外の人は上からの指示で動いただけで何も知らないとのことだ。
キルクール先生にも経緯を話して仲間になってもらうことになった。先生は町中に御子様が現われ怪我をした子供の治療をされたことを報告するために、神官長を探し回ってここに来たらしい。
キルクール先生が目を覚ましたところで、アーシャ様は神気を止められそのお顔を神官様達にお見せになったが、その時の神官長を始めとするお歴々の感激具合はご本人達の名誉にためにあえて書かないでおく。良い大人が号泣していた。
その後、緊張でガチガチに固まったキルクール先生にアーシャ様が今までの経緯を説明され、それを神官長様が補足された。神官長様の告白を聞くとキルクール先生の切れ長の目が非難を含んだ様に細められる。口には出さないが、「裏切者」という声が聞こえて来そうだ。
神官長様達と別れた後は、急いでイタリ料理の高級料理店カナンに向かう。僕はさっきまで緊張しっぱなしで胃が痛いが、時間的にはすでに正午を大幅に過ぎておりアーシャ様はお腹を空かしておられるかもしれない。
だけど、ようやくたどり着いたカナンの扉には「定休日」の札が.....余りのことに愕然とする。
「やっぱりシロムは詰めが甘い.....私がしっかりしないと。」
とカンナがブツブツ言っているのが聞こえた。いやいや、カンナがこの店に行きたいと言ったんじゃないか.....。
「アーシャ様、申し訳ありません。すぐに別の店を探します。」
と恐る恐るアーシャ様にお伺いを立てる。胃が痛い.......。
「あそこにしましょう。もうお腹が空いて我慢できません。」
アーシャさまが指さされたのは、道端で店を出している屋台だった。売っているのは麺を肉と野菜と一緒に炒め甘辛いソースで味付けしたものの様だ。値段は1人前銅貨30枚。銀貨50枚の出費を覚悟してきたイタリ料理との落差は余りに大きい。
急いで3人前を屋台のおじさんに注文する。
「おお兄ちゃん、両手に花かい。モテモテだね。」
とおじさんが揶揄ってくる。ジークさんといい、このおじさんといいなんて恐ろしいことを.....。
幸い焼き麺は短時間で調理できる様で。僕達は待つ間もなく屋台の前に置かれたベンチに3人並んで腰掛けて焼き麺を口にした。
「美味しい!」
アーシャ様が感激の声を上げる。
「姉ちゃん、嬉しいことを言ってくれるね。こいつはね俺の故郷ヤポンの伝統料理なのさ。焼き麺と言うんだ。」
「おじさんも移民なの?」
「おおっと、いけねえ。秘密にしてくれよ。移民は開拓民しか認められてないからな。こいつは口止め料だ。」
と言いつつ、おじさんは揚げ串を3本手にして僕達に渡してくる。肉を串に刺して衣をつけて油で揚げたものだ。
「はい、買収されました。」
とアーシャ様が笑顔で言って串を受け取る。
「ヤポンでは料理一筋に仕事をして来たんだ。これでも結構有名な料理人だったんだぜ。この国には開拓民として移民してきたんだが、やっぱり俺には料理しかないと思い至ってな。」
なるほど、それで屋台の料理とは思えない程美味しいわけか......。この味なら店を出してもやって行けると思う。
「この国はどうして開拓民しか移民させないのかしら?」
「そりゃ、この町を見てみれば理解は出来るさ。城壁の中にはもう空き地が無いだろう。これ以上人が増えても家を作る場所がない。そうなると住む場所がなくて路上で生活するやつが出て来る。治安も悪くなるからな。」
「城壁の外に家を作れば良いじゃない。」
「それだと外からの出入りが管理できない。役人の目が行き届かないから誰が入り込んでくるか分からん。他の町でも城壁の外にどんどん人が増えてスラム化するのは良くあることさ。その場合も治安が悪くなる。それに城壁の外だと野生の狼や熊に襲われる危険もあるからな。」
「じゃあ、城壁を大きくして空き地を作れば良いのね?」
「そうかもな。この町はこれからも発展するだろうから、いずれはしないといけないかもしれないが簡単じゃない、町を上げての大工事になる。俺達は神様に祈るしかないのさ。」
「了解。神様に言っておくわ。」
「おお、頼んだぜ、ちっちゃな神官さん。」
屋台をでてから二葉亭に帰る途中、アーシャ様は何か考え込んでおられるようだった。
「ねえ、シロムさんも、さっきのおじさんと同じ様に城壁を広げれば移民の問題は解決すると思う?」
「ぼ、僕にはわかりません。それこそ神官長様に聞いてみるのが良いかと....。」
「神官長さんか....。あの人苦手なのよね.....。」
と言いつつ僕を見るアーシャ様の目がキランと光った。
神官長や上級神官様とアーシャ様のやり取りが終わった後、サマル様がアーシャ様の革袋とお金を持ってきてくれた。とりあえずここに来た用は済んだと言う事だ。神官長様のお話ではアーシャ様の正体を知っているのは神官の中でもこの部屋にいる、神官長のナザル様、上級神官のエリーゼ様、サマル様、カラシン様の4人だけだそうだ。もちろんアーシャ様はこの4人に他言無用と指示した。神官が御子様の指示を破るはずがないから安心だろう。ジークさんやトーラさん達それ以外の人は上からの指示で動いただけで何も知らないとのことだ。
キルクール先生にも経緯を話して仲間になってもらうことになった。先生は町中に御子様が現われ怪我をした子供の治療をされたことを報告するために、神官長を探し回ってここに来たらしい。
キルクール先生が目を覚ましたところで、アーシャ様は神気を止められそのお顔を神官様達にお見せになったが、その時の神官長を始めとするお歴々の感激具合はご本人達の名誉にためにあえて書かないでおく。良い大人が号泣していた。
その後、緊張でガチガチに固まったキルクール先生にアーシャ様が今までの経緯を説明され、それを神官長様が補足された。神官長様の告白を聞くとキルクール先生の切れ長の目が非難を含んだ様に細められる。口には出さないが、「裏切者」という声が聞こえて来そうだ。
神官長様達と別れた後は、急いでイタリ料理の高級料理店カナンに向かう。僕はさっきまで緊張しっぱなしで胃が痛いが、時間的にはすでに正午を大幅に過ぎておりアーシャ様はお腹を空かしておられるかもしれない。
だけど、ようやくたどり着いたカナンの扉には「定休日」の札が.....余りのことに愕然とする。
「やっぱりシロムは詰めが甘い.....私がしっかりしないと。」
とカンナがブツブツ言っているのが聞こえた。いやいや、カンナがこの店に行きたいと言ったんじゃないか.....。
「アーシャ様、申し訳ありません。すぐに別の店を探します。」
と恐る恐るアーシャ様にお伺いを立てる。胃が痛い.......。
「あそこにしましょう。もうお腹が空いて我慢できません。」
アーシャさまが指さされたのは、道端で店を出している屋台だった。売っているのは麺を肉と野菜と一緒に炒め甘辛いソースで味付けしたものの様だ。値段は1人前銅貨30枚。銀貨50枚の出費を覚悟してきたイタリ料理との落差は余りに大きい。
急いで3人前を屋台のおじさんに注文する。
「おお兄ちゃん、両手に花かい。モテモテだね。」
とおじさんが揶揄ってくる。ジークさんといい、このおじさんといいなんて恐ろしいことを.....。
幸い焼き麺は短時間で調理できる様で。僕達は待つ間もなく屋台の前に置かれたベンチに3人並んで腰掛けて焼き麺を口にした。
「美味しい!」
アーシャ様が感激の声を上げる。
「姉ちゃん、嬉しいことを言ってくれるね。こいつはね俺の故郷ヤポンの伝統料理なのさ。焼き麺と言うんだ。」
「おじさんも移民なの?」
「おおっと、いけねえ。秘密にしてくれよ。移民は開拓民しか認められてないからな。こいつは口止め料だ。」
と言いつつ、おじさんは揚げ串を3本手にして僕達に渡してくる。肉を串に刺して衣をつけて油で揚げたものだ。
「はい、買収されました。」
とアーシャ様が笑顔で言って串を受け取る。
「ヤポンでは料理一筋に仕事をして来たんだ。これでも結構有名な料理人だったんだぜ。この国には開拓民として移民してきたんだが、やっぱり俺には料理しかないと思い至ってな。」
なるほど、それで屋台の料理とは思えない程美味しいわけか......。この味なら店を出してもやって行けると思う。
「この国はどうして開拓民しか移民させないのかしら?」
「そりゃ、この町を見てみれば理解は出来るさ。城壁の中にはもう空き地が無いだろう。これ以上人が増えても家を作る場所がない。そうなると住む場所がなくて路上で生活するやつが出て来る。治安も悪くなるからな。」
「城壁の外に家を作れば良いじゃない。」
「それだと外からの出入りが管理できない。役人の目が行き届かないから誰が入り込んでくるか分からん。他の町でも城壁の外にどんどん人が増えてスラム化するのは良くあることさ。その場合も治安が悪くなる。それに城壁の外だと野生の狼や熊に襲われる危険もあるからな。」
「じゃあ、城壁を大きくして空き地を作れば良いのね?」
「そうかもな。この町はこれからも発展するだろうから、いずれはしないといけないかもしれないが簡単じゃない、町を上げての大工事になる。俺達は神様に祈るしかないのさ。」
「了解。神様に言っておくわ。」
「おお、頼んだぜ、ちっちゃな神官さん。」
屋台をでてから二葉亭に帰る途中、アーシャ様は何か考え込んでおられるようだった。
「ねえ、シロムさんも、さっきのおじさんと同じ様に城壁を広げれば移民の問題は解決すると思う?」
「ぼ、僕にはわかりません。それこそ神官長様に聞いてみるのが良いかと....。」
「神官長さんか....。あの人苦手なのよね.....。」
と言いつつ僕を見るアーシャ様の目がキランと光った。
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