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19. ガニマール帝国の祭壇
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(シロム視点)
キルクール先生が無事救出された翌日、教室に着いた途端僕はマーク、カーナ、カリーナに詰め寄られていた。
「シロムさん、御子様のことを黙っているなんてずるいです。」
「そう言う事、同じクラスの仲間だと思っていたのに見損なったわ。」
「シロム、抜け駆けの罪は重いからな覚悟しろよ。」
「ご、御免。どうしょうも無かったんだ。アーシャ様に口止めされて.....。」
「冗談だよ。ちょっとは文句を言わないと気が収まらないからな。」
「まったくよ。」
「私達なら正体を明かしても大丈夫と御子様に進言してくれたそうですね。ありがとう。」
そんなこと言ったかな? もっとも僕の心はアーシャ様にはダダ洩れらしいから、考えていることを読まれたのかもしれないが。
「でもこれでキルクール先生も含めて、このクラス全員が国の最高機密をふたつも知っていることになるのよ。すごいことになったわね。」
「最高機密ってアーシャ様のこと?」
「自覚が無いのか? もちろん御子様のこともそうだけど、最高機密って言うのはお前のことだよ、シロム。預言者なんだろう。」
「預言者って大げさだよ。アーシャ様と念話って言うのが出来るだけで。」
「あのね、神様とお話が出来るって言うのがどれだけすごい事か分かっている? カルロ様と同じなのよ。」
「と言うわけで、俺はシロムの右腕になると決めたからな。」
「私も。」
「もちろん私もよ。」
「右腕って....。」
「もちろんシロムは間違いなく神官長に成るだろうからな、その時の話さ。シロムとならうまくやれそうだからな。シロムの苦手な所を俺達が補うわけさ。」
「そういうことよ。」
「神官長って....やめてくれよ、僕が神官長様に成れるわけがないだろう。下町の食堂の息子なんだよ。」
「マーク、これはシロムの意識改革から始めないといけないわね。自分の価値をしっかりと理解させる必要があるわ。」
「同感だ。」
やめてくれ~と叫びそうになった時、教室の扉が開いて救いの神が入って来た。キルクール先生だ。
「皆さん昨日はありがとう。あのままだと拉致されたまま国外に連れ出されそうだったから助かったわ。シロム君もありがとう、アーシャ様に私を助ける様に頼んでくれたのね。御子様に助けていただけるなんて一生の思い出よ。」
「先生、出勤して大丈夫なんですか?」
マークが尋ねる。確かに昨日拉致から解放されたばかりだ。肉体的にも精神的にも疲れているだろうに。
「心配してくれてありがとう。私は回復の奇跡の技が使えるの、少々のことは平気よ。」
「誘拐犯に酷い事されませんでしたか?」
「幸いにね。皆さんも噂は聞いているかもしれないけれど、ガニマール帝国の奴等は恥知らずにも私達の神を横取りしようとしているらしいの。もっとも神様に完全に無視されているらしくってね。神の加護を得るのには神の気を感じられる神官職が必要ではないかと考えて私を攫ったらしいわ。私が神官として働けないと困るから手荒な真似はされなかったのだと思う。
それに加えてこの国での供物の捧げ方や内容に何か秘儀があるのじゃないかと疑っている様なの。人を生贄に捧げているんじゃないかとまで疑っていたわ。慈悲深い聖なる山の神が生贄を求めるわけ無いじゃないの。まったく何を考えているのかしら。」
「人間を生贄にですって!? 私達がそんなことをしていると思われたの? 酷すぎます。」
「まったくだわ。ガニマール帝国の祭壇なんて壊してしまえば良いのよ。」
「カーナさん、気持ちは分かります。ですが慈悲深い神は、ガニマール帝国にすら信仰を許されているのです。私達は神の御心に従うだけです。」
「でも状況は変わりました。ガニマール帝国は先生を誘拐しようとしたんです。神がこれを罰しないはずはありません。もう一度神のご意向を確認すべきです。」
「そうよ!」
「まったくだわ。」
「なるほどな....。」
「そうかもしれませんね。」
なぜ全員が僕の方を向くんだ? まあ、言いたいことは分けるけど......どうか僕を介さずに直接やって欲しい....。
「分かりました、アーシャ様に神のご意向を確認します。」
「やっぱり預言者様ってすごい! 神様のご意思を直接確認出来るなんて。シロムさんがいればこの国は道を踏み外すことはないわ。」
カリーナの言葉に皆が納得している。はぁ~、とため息が出た........胃が痛い。
(アーシャ視点)
シロムさんに再びガニマール帝国の祭壇について尋ねられて答えに窮した。私自身はキルクール先生は助け出したことであの事件は終わったことにしていたけれど、考えてみれば祭壇がある限り他の神官が誘拐される可能性は残っている。祭壇を壊してしまえば神官を攫う理由も無くなるだろうけど、父さまが供物を捧げることを認めているのなら断ってからやった方が良いだろう。
<< この件に関しては少し時間を貰えますか? >>
そう答えて念話を切る。さてどうしよう。父さまと念話で話すなら神殿まで出かけられる次の休みまで待たなければならない。それまでに一度ガニマール帝国の祭壇を見ておこうかな....。父さまに自分の意見を言うにも情報が必要だ。
私は身体を透明化して部屋の窓から夜空に飛び立った。ちょっと寝不足になるかもだけど自由に動けるとしたら夜しかない。確か祭壇の場所は聖なる山の反対側だ。ちょっと遠いが、今から行けば朝までには帰って来られるだろう。
町の上空は神気を押さえるのにスピードを出せないから、最短距離で町の外に出て距離を取ってから速度を上げる。カルロ教国の国境を通り過ぎてしばらく行くと森林を伐採して作った広場に祭壇らしきものが設置されているのが千里眼で見えた。あれ? こんな所に祭壇が!? 祭壇は山の反対側にあるはずなんだけどな.....と考えて思い出した。父さまが最近祭壇がひとつ増えたと言っていた。それがこれなのだろうか? 建物はなく、地面の上に組み立て式の台を置いて、その上大小様々な大きさの箱が置かれているだけの簡素なものだ。恐らく箱の中に供物が入っているのだろう。
箱の中を透視すると、カルロ教国と同様に料理と衣服が入っているが、どちらも量が多い。料理なんてとてもひとりでは食べきれない。衣装は.....色々あっても困らないかもしれないけどと考えて、自分でも心外だが少し頬が緩む。料理と衣服以外にも高価そうな装飾品や宝石、金貨などが捧げられていた。供物が入っている箱も漆を塗った上に様々な飾りが施された豪華なものだ。夜だからか祭壇の周りには誰もいない。少し離れたところにテントが幾つか張られているから、供物を用意した人達はそちらに居るのだろう。
良かった。父さまが言っていた動物の血は捧げられていない。もし動物の血が祭壇の上に撒かれていたりしたら引き返すところだった。
でも祭壇の上にある一番大きな箱の中を透視した途端、頬が引き攣った。女の子が縛られて箱に入れられている。何? 人間を捧げるってこと? 生贄ってやつか? とんでもないことを!
これで私の心は決まった。この祭壇は女の子を助け出した後で破壊する。生贄が捧げられていたと報告すれば父さまだって否とは言わないだろう。
そう決心して祭壇の上に身体を透明化したまま降り立った。ガニマール帝国の人達が寝ているテントとは少し距離があるが、夜とはいっても今日は月夜で明るいから念の為だ。
そのまま女の子が入っている箱の後に回り込んで、神力で箱の側面に大きな穴を開ける。蓋を開けなかったのは、誰かが祭壇を見張っている可能性があるからだ。
穴から覗き込むと、中の女の子は箱の側面にもたれて眠っている様だ。この状況で眠るとは中々度胸のある子かもしれない。
「助けに来ました。起きて下さい。」
上半身を箱の中に入れ身体を揺すりながら言うと、女の子が目を開けた。赤毛に茶色の目の活発そうな女の子だ。背丈はスミカちゃんと同じくらいかな?
「だれ?」
と周りを見渡しながら言う。
「私は聖なる山の神の娘です。あなたを助けに来ました。さあ後ろを向いて、縄を解きます。」
「御子様? 本当? 悪魔の使いじゃない?」
「本当ですよ。」
「お姿を見せてもらって良いですか?」
手を縛っていた縄を解くと、女の子がこちらに向き直って私の姿を見たいという。悪魔の使いではないかと疑っている様だ。こんな寂しい場所で真夜中に声だけの訪問者が来たら疑われても無理はないかもしれない。
仕方がない、こんな小さな子なら大丈夫だろう。透明化を解くと、女の子は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、私に抱き付いて来た。
「もう大丈夫よ。さあ次は足の縄を解くわね。」
そう言った途端、私の首に何かが巻き付けられカチッという音と共に固定された。
「やったわ~~~~。御子様を捕まえたわよ~~~~。」
女の子が声の限りに叫ぶ。その声を聞いてテントの方から人々が駆けつけて来る音がする。私は咄嗟に身体を透明化しようとするが、その途端、首に巻かれたものから火花が散った。
キルクール先生が無事救出された翌日、教室に着いた途端僕はマーク、カーナ、カリーナに詰め寄られていた。
「シロムさん、御子様のことを黙っているなんてずるいです。」
「そう言う事、同じクラスの仲間だと思っていたのに見損なったわ。」
「シロム、抜け駆けの罪は重いからな覚悟しろよ。」
「ご、御免。どうしょうも無かったんだ。アーシャ様に口止めされて.....。」
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「まったくよ。」
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そんなこと言ったかな? もっとも僕の心はアーシャ様にはダダ洩れらしいから、考えていることを読まれたのかもしれないが。
「でもこれでキルクール先生も含めて、このクラス全員が国の最高機密をふたつも知っていることになるのよ。すごいことになったわね。」
「最高機密ってアーシャ様のこと?」
「自覚が無いのか? もちろん御子様のこともそうだけど、最高機密って言うのはお前のことだよ、シロム。預言者なんだろう。」
「預言者って大げさだよ。アーシャ様と念話って言うのが出来るだけで。」
「あのね、神様とお話が出来るって言うのがどれだけすごい事か分かっている? カルロ様と同じなのよ。」
「と言うわけで、俺はシロムの右腕になると決めたからな。」
「私も。」
「もちろん私もよ。」
「右腕って....。」
「もちろんシロムは間違いなく神官長に成るだろうからな、その時の話さ。シロムとならうまくやれそうだからな。シロムの苦手な所を俺達が補うわけさ。」
「そういうことよ。」
「神官長って....やめてくれよ、僕が神官長様に成れるわけがないだろう。下町の食堂の息子なんだよ。」
「マーク、これはシロムの意識改革から始めないといけないわね。自分の価値をしっかりと理解させる必要があるわ。」
「同感だ。」
やめてくれ~と叫びそうになった時、教室の扉が開いて救いの神が入って来た。キルクール先生だ。
「皆さん昨日はありがとう。あのままだと拉致されたまま国外に連れ出されそうだったから助かったわ。シロム君もありがとう、アーシャ様に私を助ける様に頼んでくれたのね。御子様に助けていただけるなんて一生の思い出よ。」
「先生、出勤して大丈夫なんですか?」
マークが尋ねる。確かに昨日拉致から解放されたばかりだ。肉体的にも精神的にも疲れているだろうに。
「心配してくれてありがとう。私は回復の奇跡の技が使えるの、少々のことは平気よ。」
「誘拐犯に酷い事されませんでしたか?」
「幸いにね。皆さんも噂は聞いているかもしれないけれど、ガニマール帝国の奴等は恥知らずにも私達の神を横取りしようとしているらしいの。もっとも神様に完全に無視されているらしくってね。神の加護を得るのには神の気を感じられる神官職が必要ではないかと考えて私を攫ったらしいわ。私が神官として働けないと困るから手荒な真似はされなかったのだと思う。
それに加えてこの国での供物の捧げ方や内容に何か秘儀があるのじゃないかと疑っている様なの。人を生贄に捧げているんじゃないかとまで疑っていたわ。慈悲深い聖なる山の神が生贄を求めるわけ無いじゃないの。まったく何を考えているのかしら。」
「人間を生贄にですって!? 私達がそんなことをしていると思われたの? 酷すぎます。」
「まったくだわ。ガニマール帝国の祭壇なんて壊してしまえば良いのよ。」
「カーナさん、気持ちは分かります。ですが慈悲深い神は、ガニマール帝国にすら信仰を許されているのです。私達は神の御心に従うだけです。」
「でも状況は変わりました。ガニマール帝国は先生を誘拐しようとしたんです。神がこれを罰しないはずはありません。もう一度神のご意向を確認すべきです。」
「そうよ!」
「まったくだわ。」
「なるほどな....。」
「そうかもしれませんね。」
なぜ全員が僕の方を向くんだ? まあ、言いたいことは分けるけど......どうか僕を介さずに直接やって欲しい....。
「分かりました、アーシャ様に神のご意向を確認します。」
「やっぱり預言者様ってすごい! 神様のご意思を直接確認出来るなんて。シロムさんがいればこの国は道を踏み外すことはないわ。」
カリーナの言葉に皆が納得している。はぁ~、とため息が出た........胃が痛い。
(アーシャ視点)
シロムさんに再びガニマール帝国の祭壇について尋ねられて答えに窮した。私自身はキルクール先生は助け出したことであの事件は終わったことにしていたけれど、考えてみれば祭壇がある限り他の神官が誘拐される可能性は残っている。祭壇を壊してしまえば神官を攫う理由も無くなるだろうけど、父さまが供物を捧げることを認めているのなら断ってからやった方が良いだろう。
<< この件に関しては少し時間を貰えますか? >>
そう答えて念話を切る。さてどうしよう。父さまと念話で話すなら神殿まで出かけられる次の休みまで待たなければならない。それまでに一度ガニマール帝国の祭壇を見ておこうかな....。父さまに自分の意見を言うにも情報が必要だ。
私は身体を透明化して部屋の窓から夜空に飛び立った。ちょっと寝不足になるかもだけど自由に動けるとしたら夜しかない。確か祭壇の場所は聖なる山の反対側だ。ちょっと遠いが、今から行けば朝までには帰って来られるだろう。
町の上空は神気を押さえるのにスピードを出せないから、最短距離で町の外に出て距離を取ってから速度を上げる。カルロ教国の国境を通り過ぎてしばらく行くと森林を伐採して作った広場に祭壇らしきものが設置されているのが千里眼で見えた。あれ? こんな所に祭壇が!? 祭壇は山の反対側にあるはずなんだけどな.....と考えて思い出した。父さまが最近祭壇がひとつ増えたと言っていた。それがこれなのだろうか? 建物はなく、地面の上に組み立て式の台を置いて、その上大小様々な大きさの箱が置かれているだけの簡素なものだ。恐らく箱の中に供物が入っているのだろう。
箱の中を透視すると、カルロ教国と同様に料理と衣服が入っているが、どちらも量が多い。料理なんてとてもひとりでは食べきれない。衣装は.....色々あっても困らないかもしれないけどと考えて、自分でも心外だが少し頬が緩む。料理と衣服以外にも高価そうな装飾品や宝石、金貨などが捧げられていた。供物が入っている箱も漆を塗った上に様々な飾りが施された豪華なものだ。夜だからか祭壇の周りには誰もいない。少し離れたところにテントが幾つか張られているから、供物を用意した人達はそちらに居るのだろう。
良かった。父さまが言っていた動物の血は捧げられていない。もし動物の血が祭壇の上に撒かれていたりしたら引き返すところだった。
でも祭壇の上にある一番大きな箱の中を透視した途端、頬が引き攣った。女の子が縛られて箱に入れられている。何? 人間を捧げるってこと? 生贄ってやつか? とんでもないことを!
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そう決心して祭壇の上に身体を透明化したまま降り立った。ガニマール帝国の人達が寝ているテントとは少し距離があるが、夜とはいっても今日は月夜で明るいから念の為だ。
そのまま女の子が入っている箱の後に回り込んで、神力で箱の側面に大きな穴を開ける。蓋を開けなかったのは、誰かが祭壇を見張っている可能性があるからだ。
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「だれ?」
と周りを見渡しながら言う。
「私は聖なる山の神の娘です。あなたを助けに来ました。さあ後ろを向いて、縄を解きます。」
「御子様? 本当? 悪魔の使いじゃない?」
「本当ですよ。」
「お姿を見せてもらって良いですか?」
手を縛っていた縄を解くと、女の子がこちらに向き直って私の姿を見たいという。悪魔の使いではないかと疑っている様だ。こんな寂しい場所で真夜中に声だけの訪問者が来たら疑われても無理はないかもしれない。
仕方がない、こんな小さな子なら大丈夫だろう。透明化を解くと、女の子は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、私に抱き付いて来た。
「もう大丈夫よ。さあ次は足の縄を解くわね。」
そう言った途端、私の首に何かが巻き付けられカチッという音と共に固定された。
「やったわ~~~~。御子様を捕まえたわよ~~~~。」
女の子が声の限りに叫ぶ。その声を聞いてテントの方から人々が駆けつけて来る音がする。私は咄嗟に身体を透明化しようとするが、その途端、首に巻かれたものから火花が散った。
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※この作品は、『小説家になろう』様でも公開しています。
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