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第1章 惑星ルーテシア編
閑話-1 ルーバス視点
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私は人間族の国にある女神様の神殿の神官長を務めるルーバスだ。
女神様のご子息ハルト様が帰省されるという話を伺ったのは昨日のこと。10年ぶりの帰省である。しかも、ご結婚相手を連れて来られるらしい。
そうか、ハルト様もそんな年になられたのかと感慨が深い。是非とも奥様にはこの世界に良い印象をもっていただかねばと、客室から料理までメイド長である妻と打ち合わせと点検を行った。
先ほどハルト様がご到着になられたと連絡があった。ルーテシア様から客室に案内するように申し付けられていた私はハルト様がおられる部屋に向かった。
扉の前に立ちノックをしようとして気付く。部屋の中から恐ろしいほどの魔力量を感じる。とても人間の物ではない。一瞬ドラゴンがこの部屋にいるのではと疑ったが、すぐに考え直した。この魔力量に比べればドラゴンなど可愛いものだ。間違いない、とんでもない化け物がこの部屋にいる。
部屋に入るのを躊躇するが、ハルト様のご無事を確認しなければならない。扉をノックすると、すぐにハルト様の返事が返ってきた。よかったご無事の様だ。思わず安堵のため息が出た。意を決して中に入る。ハルト様は私を見ると嬉しそうな顔をされ、椅子から立ち上がられた。
「ハルト様、おなつかしゅうございます。」
「ルーバス。久しぶり、元気そうだね。こっちは僕の妻のトモミだ、よろしく頼む。」
私はハルト様と同時に椅子から立ち上がられたご婦人に目を向けた。さっきの異様な気配の正体は奥様だった。信じられない。こんな膨大な魔力量をもった人間が居るわけがない。全身が虹色に光り輝いて見える、美しい。それにこの魔力量! 目の前に立つと威圧感が半端ない。ハルト様は平気なのだろうか。子供の時から魔力の感受性が低い方だったが、いくらなんでもこの魔力をお感じにならないのか! だが、この方を奥様になされるとはある意味傑物と言えるかもしれない。私ならいくらお美しい方でも緊張に耐えられないだろう。
それにしてもすごい奥様を迎えられたものだ。この方がその気になればこの国など一瞬で消してしまえるに違いない。必死で平静を装い奥様にご挨拶を述べるが、思わず手が震えてしまったかもしれない。
ハルト様と奥様を客室に案内し、退室させていただいた時は全身の力が抜ける思いであった。ハルト様のご無事を祈るばかりである。
女神様のご子息ハルト様が帰省されるという話を伺ったのは昨日のこと。10年ぶりの帰省である。しかも、ご結婚相手を連れて来られるらしい。
そうか、ハルト様もそんな年になられたのかと感慨が深い。是非とも奥様にはこの世界に良い印象をもっていただかねばと、客室から料理までメイド長である妻と打ち合わせと点検を行った。
先ほどハルト様がご到着になられたと連絡があった。ルーテシア様から客室に案内するように申し付けられていた私はハルト様がおられる部屋に向かった。
扉の前に立ちノックをしようとして気付く。部屋の中から恐ろしいほどの魔力量を感じる。とても人間の物ではない。一瞬ドラゴンがこの部屋にいるのではと疑ったが、すぐに考え直した。この魔力量に比べればドラゴンなど可愛いものだ。間違いない、とんでもない化け物がこの部屋にいる。
部屋に入るのを躊躇するが、ハルト様のご無事を確認しなければならない。扉をノックすると、すぐにハルト様の返事が返ってきた。よかったご無事の様だ。思わず安堵のため息が出た。意を決して中に入る。ハルト様は私を見ると嬉しそうな顔をされ、椅子から立ち上がられた。
「ハルト様、おなつかしゅうございます。」
「ルーバス。久しぶり、元気そうだね。こっちは僕の妻のトモミだ、よろしく頼む。」
私はハルト様と同時に椅子から立ち上がられたご婦人に目を向けた。さっきの異様な気配の正体は奥様だった。信じられない。こんな膨大な魔力量をもった人間が居るわけがない。全身が虹色に光り輝いて見える、美しい。それにこの魔力量! 目の前に立つと威圧感が半端ない。ハルト様は平気なのだろうか。子供の時から魔力の感受性が低い方だったが、いくらなんでもこの魔力をお感じにならないのか! だが、この方を奥様になされるとはある意味傑物と言えるかもしれない。私ならいくらお美しい方でも緊張に耐えられないだろう。
それにしてもすごい奥様を迎えられたものだ。この方がその気になればこの国など一瞬で消してしまえるに違いない。必死で平静を装い奥様にご挨拶を述べるが、思わず手が震えてしまったかもしれない。
ハルト様と奥様を客室に案内し、退室させていただいた時は全身の力が抜ける思いであった。ハルト様のご無事を祈るばかりである。
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