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第1章 惑星ルーテシア編
13. 巨大魔道具
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この部屋のさらに地下にある巨大な魔晶石に魔力がほとんど残っていないのだ。この魔晶石は魔法陣とセットで埋められていて、魔晶石は魔法陣への魔力供給を、魔法陣は自然災害防止のための惑星内部のエネルギー調整を行う。
ちなみに魔法陣を用いる魔法は魔術と言われ、魔法と区別されている。魔術は術者自身に魔力がなくても、他人の魔力や魔晶石にチャージされた魔力を利用して魔法の行使が可能となるのが特徴だ。十分な魔力が魔晶石にチャージされていれば、術者がいなくなった後でも魔晶石に魔力が残っている限り術を発動させ続けることができる。
この様に魔法陣を魔晶石と組み合わせたものは魔道具と呼ばれる。通常の魔道具は家庭内で照明や食料品の保存、空調などに利用されるものがほとんどだが、この部屋の地下にあるのも規模が違うだけで魔道具であると言えなくもない。
この魔晶石と魔法陣はルーテシア様が出発前に設置されて行かれたもので、魔法陣にはルーテシア様の知識と経験に基づく、惑星の状態異常の感知とその対応の実施法がプログラムされている。頭の中の仕様書を読むと、AIの様に自己学習機能まではないが、一般的なノイマン型コンピューターのプログラムと比べても遜色のない複雑な内容である。ルーテシア様はこの魔道具と惑星の魔力ライン網を結びつけることで、私が培養漕から目覚めるまでの10年間を乗り越える心積もりだったのだ。
当然、魔晶石には10年間魔術を保持するのに十分な魔力がチャージされていたはずであり、それが5年後に空になっていることはありえないことである。自然災害の頻発は、この魔道具が魔力不足でスリープモードに入ってしまったことが原因だろう。
とにかく、私のすべきことは判った。この魔道具の再稼働だ。まったく経験のない私が直接惑星内部を弄るより、この魔道具に任せた方が確実だろう。魔道具が完全に停止していなければ、魔晶石に魔力をチャージするだけで再稼働してくれるはずだ。
私は魔力ライン網を通じて魔晶石に魔力を流し始めた。だが、何せルーテシア様が用意した巨大魔晶石だ、その容量はすざまじい。1時間ほど魔力を流すが一向に魔力がたまった気がしない。魂から直接魔力を送れれば簡単なのだが、私の魔力供給のスピードには私の身体の魔力許容量という制限があるのだ。じりじりとしながら続けていると、ようやく魔道具の再稼働が確認できた。魔晶石への充填率は3パーセントというところだろうか。もう少しチャージしておかないと、いつ又止まってしまうか判らない。結局その日は昼食抜きで1日中魔力チャージにいそしむことになった。お腹ペコペコの状態で自分の部屋に戻る。充填率は10パーセントまで回復したから、明日再開すれば大丈夫だろう。
すでに部屋に戻っていたハルちゃんと食事をしながら今日の報告をお互いに行う。ちなみにエリスさん達メイドさんは食事が終わるまで部屋の外で待機だ。やはり小市民の私としては、メイドさんに控えられると落ち着いて食事をする気になれなかった。内密の話もするかもしれないしね。
町の復興の方は、人間族の国内の信者さん達から義援金やボランティアの申し入れが多数寄せられており、比較的早い時期に着手できるだろうとのことだった。信者の方からの支援が多いのは、女神の降臨の噂が急速に広まり人々の期待が寄せられていることが影響しているだろうとの事。私のお蔭だと言われたが複雑な心境だ。期待が大きい分、責任感も半端ないよ。
私は自然災害防止のための魔法陣と、魔法陣に魔力を供給するための魔晶石について報告する。ハルちゃんは意外なことにルーテシア様が魔法陣を組んでいたことに驚いた。
「母は魔術をほとんど使わなかったんだ、魔力が豊富な母にはその必要が無かったからね。そんな高度な魔法陣を組むことができるとは知らなかった。」
「でも女神さまだよ、長く生きているんだからそれなりの知識があっても不思議じゃないよ。」
私は頭の中にルーテシア様が書き込んでくれた知識の中から魔術に関するものを探してみる。
あれ? 頭の中の辞書にほとんど記載がない。
本当にルーテシア様は魔術が苦手だったんだろうか。それならあの魔法陣は誰が作成したんだろう。
もう一度魔法陣の仕様書をみる。すると昼間見たときは気付かなかったが、最後に「設計はエタリア領アレフに依頼」と記載があった。
「ハルちゃん、エタリア領のアレフさんって知っている?」
「いや、知らない。その人がどうしたの?」
「地下の魔法陣の作成者みたい。」
「そうなんだ、母が依頼したんだから魔法陣の専門家なんだろうね、でも聞いたことないな。有名人なら知っていそうなものなんだけど。」
「エタリア領っていうのは近くなの。」
「人間族の国にある伯爵領だね。地図で言うと人間族の国の南端にある。結構辺境かな。そういえば主要産業に魔道具の生産があったと思う。」
「そうなんだ。 じゃあ専門家がいても不思議じゃないよね。」
「どんな人物かしらべてみようか?」
「とりあえずはいいかな。とにかく魔晶石が満タンになるまで魔力をチャージするね。」
「よろしく。これで自然災害については解決するかもしれないからね。」
今夜は少しお酒もいただいた。私はカルミのワイン、ハルちゃんはドールドだ。ドールドも味見してみたけど地球のビールみたいな味。ビールより色が薄くてほとんど透明に近い。これも飲みやすいな。
ほんとにこの惑星は料理もお酒もおいしい。これ、私にとっては得点高いよ。
「ハルちゃん、なんとしてもこの星を救おうね。」
「うん。」
私とハルちゃんは改めて誓い合った。
ちなみに魔法陣を用いる魔法は魔術と言われ、魔法と区別されている。魔術は術者自身に魔力がなくても、他人の魔力や魔晶石にチャージされた魔力を利用して魔法の行使が可能となるのが特徴だ。十分な魔力が魔晶石にチャージされていれば、術者がいなくなった後でも魔晶石に魔力が残っている限り術を発動させ続けることができる。
この様に魔法陣を魔晶石と組み合わせたものは魔道具と呼ばれる。通常の魔道具は家庭内で照明や食料品の保存、空調などに利用されるものがほとんどだが、この部屋の地下にあるのも規模が違うだけで魔道具であると言えなくもない。
この魔晶石と魔法陣はルーテシア様が出発前に設置されて行かれたもので、魔法陣にはルーテシア様の知識と経験に基づく、惑星の状態異常の感知とその対応の実施法がプログラムされている。頭の中の仕様書を読むと、AIの様に自己学習機能まではないが、一般的なノイマン型コンピューターのプログラムと比べても遜色のない複雑な内容である。ルーテシア様はこの魔道具と惑星の魔力ライン網を結びつけることで、私が培養漕から目覚めるまでの10年間を乗り越える心積もりだったのだ。
当然、魔晶石には10年間魔術を保持するのに十分な魔力がチャージされていたはずであり、それが5年後に空になっていることはありえないことである。自然災害の頻発は、この魔道具が魔力不足でスリープモードに入ってしまったことが原因だろう。
とにかく、私のすべきことは判った。この魔道具の再稼働だ。まったく経験のない私が直接惑星内部を弄るより、この魔道具に任せた方が確実だろう。魔道具が完全に停止していなければ、魔晶石に魔力をチャージするだけで再稼働してくれるはずだ。
私は魔力ライン網を通じて魔晶石に魔力を流し始めた。だが、何せルーテシア様が用意した巨大魔晶石だ、その容量はすざまじい。1時間ほど魔力を流すが一向に魔力がたまった気がしない。魂から直接魔力を送れれば簡単なのだが、私の魔力供給のスピードには私の身体の魔力許容量という制限があるのだ。じりじりとしながら続けていると、ようやく魔道具の再稼働が確認できた。魔晶石への充填率は3パーセントというところだろうか。もう少しチャージしておかないと、いつ又止まってしまうか判らない。結局その日は昼食抜きで1日中魔力チャージにいそしむことになった。お腹ペコペコの状態で自分の部屋に戻る。充填率は10パーセントまで回復したから、明日再開すれば大丈夫だろう。
すでに部屋に戻っていたハルちゃんと食事をしながら今日の報告をお互いに行う。ちなみにエリスさん達メイドさんは食事が終わるまで部屋の外で待機だ。やはり小市民の私としては、メイドさんに控えられると落ち着いて食事をする気になれなかった。内密の話もするかもしれないしね。
町の復興の方は、人間族の国内の信者さん達から義援金やボランティアの申し入れが多数寄せられており、比較的早い時期に着手できるだろうとのことだった。信者の方からの支援が多いのは、女神の降臨の噂が急速に広まり人々の期待が寄せられていることが影響しているだろうとの事。私のお蔭だと言われたが複雑な心境だ。期待が大きい分、責任感も半端ないよ。
私は自然災害防止のための魔法陣と、魔法陣に魔力を供給するための魔晶石について報告する。ハルちゃんは意外なことにルーテシア様が魔法陣を組んでいたことに驚いた。
「母は魔術をほとんど使わなかったんだ、魔力が豊富な母にはその必要が無かったからね。そんな高度な魔法陣を組むことができるとは知らなかった。」
「でも女神さまだよ、長く生きているんだからそれなりの知識があっても不思議じゃないよ。」
私は頭の中にルーテシア様が書き込んでくれた知識の中から魔術に関するものを探してみる。
あれ? 頭の中の辞書にほとんど記載がない。
本当にルーテシア様は魔術が苦手だったんだろうか。それならあの魔法陣は誰が作成したんだろう。
もう一度魔法陣の仕様書をみる。すると昼間見たときは気付かなかったが、最後に「設計はエタリア領アレフに依頼」と記載があった。
「ハルちゃん、エタリア領のアレフさんって知っている?」
「いや、知らない。その人がどうしたの?」
「地下の魔法陣の作成者みたい。」
「そうなんだ、母が依頼したんだから魔法陣の専門家なんだろうね、でも聞いたことないな。有名人なら知っていそうなものなんだけど。」
「エタリア領っていうのは近くなの。」
「人間族の国にある伯爵領だね。地図で言うと人間族の国の南端にある。結構辺境かな。そういえば主要産業に魔道具の生産があったと思う。」
「そうなんだ。 じゃあ専門家がいても不思議じゃないよね。」
「どんな人物かしらべてみようか?」
「とりあえずはいいかな。とにかく魔晶石が満タンになるまで魔力をチャージするね。」
「よろしく。これで自然災害については解決するかもしれないからね。」
今夜は少しお酒もいただいた。私はカルミのワイン、ハルちゃんはドールドだ。ドールドも味見してみたけど地球のビールみたいな味。ビールより色が薄くてほとんど透明に近い。これも飲みやすいな。
ほんとにこの惑星は料理もお酒もおいしい。これ、私にとっては得点高いよ。
「ハルちゃん、なんとしてもこの星を救おうね。」
「うん。」
私とハルちゃんは改めて誓い合った。
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