13 / 90
第1章 惑星ルーテシア編
12. 秘密の部屋
しおりを挟む
翌朝、目が覚めるとハルちゃんに抱きかかえられていた。嬉しくなって私もギュッと抱き返す。
「「おはよう。」」
挨拶が被った。
「そろそろ起きる?」
この惑星に来て不便なのは時計が無い事だ。腕時計やスマホは地球から持ってきたが、今手元にはないし、5年も経てば電池が切れているだろう。ここでは神殿の職員が1日に4回鐘で時刻を知らせているらしいが、次の鐘がなるまでは今が何時なのか判らない。ちなみにこれはルーテシア様が私の脳に書き込んでくれた情報だ。とりあえず目が覚めたときが起きる時と割り切りベッドから立ち上がり服を着る。今度は何とかひとりで着ることが出来た。
リビングに移動し、ハルちゃんがサイドテーブルの上にある魔道具のボタンを押すと、すぐにノックの音がしてエリスさんが入って来た。
速! 部屋の前で待機していたのかもしれない。 エリスさんはちゃんと休息を取っているのかな。まさか24時間勤務じゃないよね。ブラック反対!
「失礼いたします。」
「朝食をお願いできるかな。」
「畏まりました。」
エリスさんは出ていくとすぐに朝食が乗ったワゴンを押して戻ってきた。なんと有能なメイドさんなんだろう。
朝食はパンとベーコンエッグ、サラダ、スープと地球とよく似た献立だ。おいしくいただきました。
朝食が終わると、ハルちゃんは町の再建計画の打ち合わせに出かけて行った。ちなみに昨夜ハルちゃんは私の部屋に泊まったが、ハルちゃんの部屋は隣りにあり、寝室どうしが小さなドアでつながっていて、いつでも行き来できるらしい。嬉しい情報である。
私は、ハルちゃんを送り出すと瞬間移動で神殿の地下にある秘密の部屋に向かった。実はルーテシア様の魔法に関する情報の中にこの部屋についての記述があったんだ。なんと私の為に新に作った部屋らしい。
出入り口はなく瞬間移動でしか入室できない秘密の部屋だ。広さは10畳くらい、日本の基準だと十分大きいのだが、女神の部屋に比べるとこじんまりしている印象だ。照明は無いが壁全体が発光しており暗くはない。部屋には家具や装飾品はなく、壁際に透明なクリスタルで出来た作り付けの大きな椅子があるだけ。
この椅子は惑星の内部にある魔力ライン網(私の魂にある触手みたいなものだろうか)と繋がっており。座るだけで惑星の状態を知ることが出来る。惑星の神経網がこの椅子に繋がっていると考えれば良いだろうか。座ることで惑星全体を自分の身体として捉え、問題のある場所を痛みやだるさとして認識できる。
ちなみに、驚いたことにルーテシア様の身体は惑星そのものだった。だから魔力ライン網は元からルーテシア様の身体の一部として存在していたもので、私用に新に作られたのはこの部屋と椅子のみである。
私の会った人間バージョンのルーテシア様はアバターと呼ばれるものらしい。昔ルーテシア様は惑星の住民とのコミュニケーションに苦労された。何せ惑星と人ではサイズが違いすぎる。ルーテシア様からみれば人は小さ過ぎて個々を識別できない。人から見てもルーテシア様の念話を聞くことができても、神の声なのか、悪しき者の囁きなのか確信が持てない。
そこで人と等身大のアバターを作ることで、お互いのコミュニケーションの改善を図った。アバターの構造は基本的には人と同じであるが魂は入っておらず、ルーテシア様の遠隔操作で動く。人間族タイプのアバターだけでなく、ドワーフ族タイプ、獣人族タイプ、鱗人族タイプ、エルフ族タイプのアバターがあり、それぞれの国の神殿に保管されているらしい。
ただ、その中でも人間族のアバターはある意味特別な存在だ。ルーテシア様はこのアバターでハルちゃんを出産したんだ。ハルちゃんにとってのお母さんのイメージはきっとこのアバターの姿だろう。
私は部屋の椅子に深く腰を下ろした。クリスタル製なので、正直いって座り心地は良くない。次回はクッションを持って来ようと考えながら、惑星の魔力ライン網と接続する。途端に身体が一気に巨大化する感覚に襲われる。
今私は惑星そのものになっていた、もちろん感覚としてだ。すぐに身体のあちこちが痛くなって来る、熱を帯びているところもある。どうやら地震や火山のエネルギーが蓄積している箇所らしい。
そして、さらに重大な異常に気付いた。
「「おはよう。」」
挨拶が被った。
「そろそろ起きる?」
この惑星に来て不便なのは時計が無い事だ。腕時計やスマホは地球から持ってきたが、今手元にはないし、5年も経てば電池が切れているだろう。ここでは神殿の職員が1日に4回鐘で時刻を知らせているらしいが、次の鐘がなるまでは今が何時なのか判らない。ちなみにこれはルーテシア様が私の脳に書き込んでくれた情報だ。とりあえず目が覚めたときが起きる時と割り切りベッドから立ち上がり服を着る。今度は何とかひとりで着ることが出来た。
リビングに移動し、ハルちゃんがサイドテーブルの上にある魔道具のボタンを押すと、すぐにノックの音がしてエリスさんが入って来た。
速! 部屋の前で待機していたのかもしれない。 エリスさんはちゃんと休息を取っているのかな。まさか24時間勤務じゃないよね。ブラック反対!
「失礼いたします。」
「朝食をお願いできるかな。」
「畏まりました。」
エリスさんは出ていくとすぐに朝食が乗ったワゴンを押して戻ってきた。なんと有能なメイドさんなんだろう。
朝食はパンとベーコンエッグ、サラダ、スープと地球とよく似た献立だ。おいしくいただきました。
朝食が終わると、ハルちゃんは町の再建計画の打ち合わせに出かけて行った。ちなみに昨夜ハルちゃんは私の部屋に泊まったが、ハルちゃんの部屋は隣りにあり、寝室どうしが小さなドアでつながっていて、いつでも行き来できるらしい。嬉しい情報である。
私は、ハルちゃんを送り出すと瞬間移動で神殿の地下にある秘密の部屋に向かった。実はルーテシア様の魔法に関する情報の中にこの部屋についての記述があったんだ。なんと私の為に新に作った部屋らしい。
出入り口はなく瞬間移動でしか入室できない秘密の部屋だ。広さは10畳くらい、日本の基準だと十分大きいのだが、女神の部屋に比べるとこじんまりしている印象だ。照明は無いが壁全体が発光しており暗くはない。部屋には家具や装飾品はなく、壁際に透明なクリスタルで出来た作り付けの大きな椅子があるだけ。
この椅子は惑星の内部にある魔力ライン網(私の魂にある触手みたいなものだろうか)と繋がっており。座るだけで惑星の状態を知ることが出来る。惑星の神経網がこの椅子に繋がっていると考えれば良いだろうか。座ることで惑星全体を自分の身体として捉え、問題のある場所を痛みやだるさとして認識できる。
ちなみに、驚いたことにルーテシア様の身体は惑星そのものだった。だから魔力ライン網は元からルーテシア様の身体の一部として存在していたもので、私用に新に作られたのはこの部屋と椅子のみである。
私の会った人間バージョンのルーテシア様はアバターと呼ばれるものらしい。昔ルーテシア様は惑星の住民とのコミュニケーションに苦労された。何せ惑星と人ではサイズが違いすぎる。ルーテシア様からみれば人は小さ過ぎて個々を識別できない。人から見てもルーテシア様の念話を聞くことができても、神の声なのか、悪しき者の囁きなのか確信が持てない。
そこで人と等身大のアバターを作ることで、お互いのコミュニケーションの改善を図った。アバターの構造は基本的には人と同じであるが魂は入っておらず、ルーテシア様の遠隔操作で動く。人間族タイプのアバターだけでなく、ドワーフ族タイプ、獣人族タイプ、鱗人族タイプ、エルフ族タイプのアバターがあり、それぞれの国の神殿に保管されているらしい。
ただ、その中でも人間族のアバターはある意味特別な存在だ。ルーテシア様はこのアバターでハルちゃんを出産したんだ。ハルちゃんにとってのお母さんのイメージはきっとこのアバターの姿だろう。
私は部屋の椅子に深く腰を下ろした。クリスタル製なので、正直いって座り心地は良くない。次回はクッションを持って来ようと考えながら、惑星の魔力ライン網と接続する。途端に身体が一気に巨大化する感覚に襲われる。
今私は惑星そのものになっていた、もちろん感覚としてだ。すぐに身体のあちこちが痛くなって来る、熱を帯びているところもある。どうやら地震や火山のエネルギーが蓄積している箇所らしい。
そして、さらに重大な異常に気付いた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
安全第一異世界生活
朋
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる