新米女神トモミの奮闘記

広野香盃

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第1章 惑星ルーテシア編

28. お披露目

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 それからしばらくして、神殿でのお披露目(女神の降臨宣言)の日がやって来た。人間族の国、ドワーフ族の国、獣人族の国、鱗人族の国、エルフ族の国のそれぞれから神殿の代表及び国の使節が来訪している。各国からの使節はほとんどがそれぞれの国の王族である。
 謁見の間で、使節から挨拶を受ける。ハルちゃんの指示で魔力遮断結界は解除している。女神様の威光を各国に知らしめる必要があるからだそうだ。使節の皆さんは私の前に跪き震えていた。申し訳ない。
 私はその場で重要な発表をする。女神直属の役職として女神代行官を設けることを宣言したのだ。
 私は、ルーテシア様はあまりに頻繁に人の前に姿を現し、また人の世に関わり過ぎたと考えている。戦争の防止のため大森林やモンスターを作り、人々の活動範囲を国という大森林の中の小さな空き地に限定した。人々の生活や文化にもさまざまな指示や提案を行った結果、人々は女神様の指示待ち人間と化しているきらいがある。自然災害が発生した時、ハルちゃんが女神代行として忙しかったのはこのためである。この世界が地球ほど発展していないのも、人々の可能性を引き出せていないからではないかと思う。地球の神の様な放任主義も良くないが、ルーテシア様の様な過保護も問題である。神の関与はほどほどが良い気がするのだ。
 そうは思うのだが、どうすれば良いか分からなかった。悩んで出した結論が「どうして良いか分からないなら分かる人に任せよう」だ。性格上の向き不向きがあるかもしれないが、アレフさんが天才なのは間違いない、それなら活用しない手は無いだろうと考えたのが女神代行官だ。女神代行官は女神と人との仲介役だ。女神は今日を最後として人と会わない。女神から人へのメッセージは女神代行官を通じて伝えられ、また人から女神への進言は女神代行官を通して女神に伝えられる。建前上は仲介役であるが、実質的にはアレフさんのやりたい放題である。アレフさんが「これは女神様のご意向です」と言えば逆らえる者はいない。アレフさんには好きにやってくれれば良いと言ってある(丸投げとも言う)。というわけで、アレフさんは一日にしてこの世界で女神に次ぐナンバー2に成り上がったわけだ。女神は人間じゃないから、実質上人が成れる最高位である。
 各国の使節と神殿の代表者の皆は驚き、困惑した様であるが、そこは女神の威光で乗り切った。
 挨拶が終わると、私は神殿のバルコニーに移動する。相変わらず魔力遮断結界は解除したままだ。バルコニーの外には驚くほど多くの人々が詰めかけていた。この神殿と門前町を合わせた人口の10倍もの人々が女神をひと目見ようと押しかけているらしい。わざわざ他の国からやって来た人も多い。今、町の外の草原には、人々の臨時宿泊所となっているテントが所狭しと並んでいる。
 私が手を振ると人々の熱狂が神殿前の広場を満たした。多くの人が跪き、私に祈りをささげている。何せ、今の私は魔力遮断結界を解除して、さらに身体に魔力を充満させることにより、神の威光バリバリの状態なのだ。まあ、張子の虎みたいなものです、だましてゴメン。
 私は広場の人々に念話で、先ほど使節の人々に伝えた女神代行官設立の話をする。そして初代の女神代行官となるアレフさんを紹介した。バルコニーに立つ彼の足はガクガク震えていたが、そんなことは遠くにいる民衆には分からない。私が手を振る様にアレフさんに囁くと、ぎこちなく腕を動かした。とたんに割れんばかりの歓声が起きる。
 こうして、私とアレフさんのお披露目は無事終了した。
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