新米女神トモミの奮闘記

広野香盃

文字の大きさ
43 / 90
第2章 惑星カーニン編

2. 惑星カーニン

しおりを挟む
 翌朝、朝食を食べた後、私はタロウをネスレさんに託し惑星ツエルクへ瞬間移動した。亜神仲間のパルさんから私にお願いがあると言うのだ。彼女の神殿に到着すると、巫女さん達に案内され女神の部屋へ通される。そこではパルさんがアバター姿で私の到着を待っていた。

 << おはようございます。>>

 と私が挨拶すると、

 << トモミさん! お待ちしておりました。よく来てくれましたね。>>

 と嬉しそうに返してくれる。パルさんのアバターは30歳くらいの上品そうなご婦人の姿だ。蛇足だが本来惑星を身体としているパルさんに性別は無い。だからアバターを作る時も男女どちらでも良いはずであるが、私以外の神は前世の記憶を持っているので前世と同じ性別を選択する神が多い。もちろんパルさんも前世は女性だった。
 ちなみに年齢は私の方が上なのだが、パルさんは前世での数百年分の記憶を持っており私は先輩として認識している。ちなみに神と神の会話は基本的に念話で行う。これは言語が異なっても念話なら意志疎通が可能だからだ。

 << それで、お願いというのは何でしょうか? >>

 という私の問いに対するパルさんの回答を要約すると、前世でパルさんがいた惑星カーニンでの知り合いをひとりこの惑星に連れて来て欲しいらしい。惑星カーニンは神のいない、いわゆる見捨てられた惑星であり、パルさんの庇護が無い今、向うでの生活は厳しいものになっている可能性が高いとのこと。個人的なお願いであり断っても良いのだが、数少ない亜神仲間の願いをすげなく断るのは気が引ける。結局その人がこちらの惑星に来ることを望むならば、という条件で引き受けることにした。
 ちなみに見捨てられた惑星と言うのは、まだ安定期に入っていない惑星でかつ神が不在のものである。安定期に入っていない惑星は火山活動や地震、異常気象が頻発する。そのため適切な神の管理が無ければせっかく文明を持つまで育てた人族も簡単に絶滅するのだ。もちろん神も好き好んで惑星を見捨てているのではない、先に述べたように超越者の所為で神の数が減り、派遣する神が居ないのである。
 パルさんは惑星カーニンで大魔導士と呼ばれていたらしい。その時、気まぐれでひとりの女の子を弟子として一緒に暮らしていたそうだ。もっともパルさんが惑星カーニンを去ってから10年以上経過しているから、女の子はもう大人になっているはずだ。それだけなら良いが、最悪の事態も想定しておいた方が良いかもしれない。

 そんなことを考え、少し嫌な予感を覚えながら惑星カーニンに瞬間移動した。到着したのは赤道付近の大陸の上空。自然災害や異常気象により荒れ果てた大地を予想していたが、眼下に見下ろす大地を見て拍子抜けした。豊かな緑の森が広がっているのだ。良い事なのだが不思議ではある。神に見捨てられた惑星、それも神が去ってから100年以上も経つ惑星とは思えない風景だ。まあ、たまたま自然災害の被害を免れている地域に降り立っただけかもしれないが。
 まあ、疑問ではあるがそのことは置いておく。まずはパルさんの依頼をこなすことにしよう。私はまず魔力遮断結界を解除する。これは私の多すぎる魔力量が人々に威圧感を与えるのを避けるために常時自分の周りに張っている結界だ。便利なのだが欠点として結界を張ったままでは魔法が使いにくいということがある。私が放出する魔力を結界が遮断してしまうからだ。対応としては、対象に直接触れることが出来るなら、接触部分から魔力を流し込むという方法がある。回復魔法ならこの方法が有効だ。もうひとつは魔法使いの杖を使う方法だ。魔力遮断結界は魔力は遮断するが物質は透過する。一方魔法使いの杖は魔力を流しやすい物質でできている。そのため私が杖を結界の外まで突出し、杖を通して魔力を放出することで魔法を使うことが出来る。
 私は通常この方法で魔法を行使しているが制約もある。余り強い魔力を流すと杖がもたないのだ。そのため強力な魔法を行使するときは結界を解除する必要がある。結界を解除すると周りの人に威圧感を与えるだけでなく、私の身体が光り輝いて見える様で非常に目立つのだが、このあたりに町や村はなさそうだから騒ぎにはならないだろう。パルさんに教えてもらった探査対象の女の子の魔力パターンを元に探査を行うがヒットしない。魔力が強くなった分探査範囲も広がっているので、この惑星なら瞬間移動しながら30回も探査魔法を使えば全域をカバーできるかな。
 そんなことを考えながら、次の探査場所に瞬間移動する。今度もヒットしない。それから場所変えながら探査魔法で探索を繰り返すがダメ。もうこの惑星の5分の1は捜索したと思う。次の場所は穀倉地帯の様だ、麦に似た植物が豊に実っている。もし惑星全体がこのくらい豊なら女の子をパルさんの惑星に連れて行く必要は無いのかもしれないと思う。この当たりには村や町もありそうなので、私は地上にある林の中に着陸した。ここなら木々の陰に隠れているから魔力遮断結界を解除しても目立たないだろう。再度探査魔法を使う。
 よし、次の場所と考えた瞬間、目の前に突然人が現れた。黒いローブを被り杖を持った高齢の女性だ。その女性は私を見るなり息を飲み固まった。心なしか全身が震えている様に見える。この様子には既視感がある。私はあわてて魔力遮断結界を張り直した。途端に相手の緊張が緩むのが分かった。 たぶんこの女性は私が探査魔法の為に大量の魔力を放出したのを感知して何事かと怪しんでやって来たのだろう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。 草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。 そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。 「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」 は? それ、なんでウチに言いに来る? 天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく ―異世界・草花ファンタジー

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...