55 / 90
第2章 惑星カーニン編
12. 我家の夕食
しおりを挟む
エリスさんに再度謝ってから次は子供部屋に向かう。乳母のネスレさんにお礼を言ってタロウを抱き上げる。タロウは今日も元気な様だ。タロウと一緒にハルちゃんの書斎を訪ね、今日の出来事と来客がある旨を伝える。ハルちゃんは「相変わらずお節介を焼くのが好きだね。」と笑っている。自分だって人のこと言えないじゃないかと思うが口には出さない。
エリスさんが夕食の準備が出来たと言ってくれたので、ドリスさん達を呼びに客室へ向かった。最初にドリスさんの部屋に行くとカイちゃん、サラちゃんもこちらに居た。知らない場所で自分達だけで部屋にいるのは不安だったのかもしれない。3人を案内しながら食堂に向かう。
「なんて言うか普通のお家なんですね。いえっ、私ったらなんて失礼なことを! 十分に立派なお屋敷なんですけど、今日伺った神殿のお部屋と比べてしまって。」
「こっちの方が好きなんです。広すぎてもお掃除が大変なだけだしね。あ、そうそう、ここでは家族とメイド長のエリスさん以外の使用人には私は普通の人間ということになっているので注意してね。カイちゃん、サラちゃんもよろしくね。」
「....分かりました、それではなんと及びすれば?」
「タチハでお願い。偽名だけどね」
「タチハ様ですね。」
「様もいらないわよ。」
「そんなわけにはいきません!」
「しかたないわね。 それで良いわ。」
と話をしながら食堂に到着した。食堂にはすでに残りのメンバーが座っていた。ハルちゃんとタロウ、それにエリスさんである。エリスさんには一緒に食事をとってもらっているのだ。もう家族みたいなものだしね。最初は固辞されたのだが女神権限で押し通した。ちなみに住み込みで働いてもらっている使用人はエリスさんだけなので、夜には私達だけになる。正確にはエリスさん以外にも3交代で家の警備をしてくれている人達が居るのだが、彼らは呼ばれなければ屋内には入らない契約になっている(警備員の休憩や食事のための小さな建物が別にある)。実を言うと彼らは飾りだ、警備員がいると言うだけで犯罪の防止になるが、いざと言うときは家のあちこちに設置されているアレフさん特製の防犯魔道具が活躍することになるだろう。以前数人の男達が窓から忍びこもうとした時タロウが危ない目にあってネスレさんが助けてくれたのだが、その反省を踏まえさらに強固なものに改良されている。
とりあえず、ドリスさん達に家族とエリスさんを紹介し、こんどは反対に皆にドリスさん、カイちゃん、サラちゃんを紹介する。自己紹介してもらおうかとも思ったが、カイちゃん、サラちゃんには荷が重いかもと考えた。それに何よりお腹が空いた。美味しそうな料理が並んでいるのに待つのは辛い、早く食べたいのだ。歓談は食べながらでいいよね。
食事しながらの会話は皆の了承を得て念話で行う。私が仲介すれば念話が使えない人でも会話は可能だ。もっとも私は食べるのに夢中で会話には少ししか参加していない。隣のハルちゃんが呆れたように背中をつついてくる。仕方ないじゃない、今日の昼食は毒入りのスープしか食べていないんだ。 一方のハルちゃんはタロウの食事の面倒を見ながらも会話をリードしてくれている。頼りになる旦那様である。
人心地がついてから会話に耳を傾ける。ドリスさんが「この惑星には素敵な女神様がいていいですね。」と言ってくれている。まあ、褒めてくれるのは良いが恥ずかしい。それにしてもドリスさんは"この世界"ではなく"この惑星"と言ったよね。惑星とは何か知っている様だ、ロキさんに聞いたのだろうか。
話はそれから私とハルちゃんの馴れ初めの話になった。私が魔法が使われていない地球からやって来て、最初は魔法がまったく使えなかったと聞いてドリスさん達が驚いている。その後の経緯の話から話題が超越者のことになる。自分達の惑星から神が居なくなってしまった原因を初めて知ったドリスさん、カイちゃん、サラちゃんは驚いた様だ。
<< それでね、神界は今も困っているわけよ。惑星カーニンの様に神が居ない惑星がまだ数千も残っていてね。だから精霊様が惑星カーニンを安定させてくれるととても助かるの。感謝してるのよ。>>
と私。いきなり会話に割り込んだら、ハルちゃんが「ようやく戻って来たか」という目で私を見ている。失礼な! さっきからちゃんと聞いてましたよ。さっきからだけど。
カイちゃん、サラちゃんからは、自分達が神殿で生活することになるまでの話を聞くことが出来た。彼女達が住んでいた村が戦争に巻き込まれたらしい、生き残ったのがカイちゃんとサラちゃんのふたりだけで、ふたりで彷徨っていた時に教団の人に保護されたそうだ。悲惨な話である。ロキさんのお蔭で食糧の生産が回復しつつあるのにもかかわらず、国々の戦いはなかなか終わらないらしい。戦争が起きるのは人々に愛があるからだという逆説的な文書をどこかで読んだことがある。愛する人を傷つけられたり殺された憎しみは時を隔てても消えてくれない。戦争が勃発した原因である食糧難が解消しても、残った憎しみが新たな戦いを生んでいるのだ。そういえばドリスさん達は戦争や奴隷などの人権侵害を止めさせるために布教活動をしているんだった。自然災害や異常気象なら布教なんてしなくてもロキさんが止めてくれるものね。
エリスさんが夕食の準備が出来たと言ってくれたので、ドリスさん達を呼びに客室へ向かった。最初にドリスさんの部屋に行くとカイちゃん、サラちゃんもこちらに居た。知らない場所で自分達だけで部屋にいるのは不安だったのかもしれない。3人を案内しながら食堂に向かう。
「なんて言うか普通のお家なんですね。いえっ、私ったらなんて失礼なことを! 十分に立派なお屋敷なんですけど、今日伺った神殿のお部屋と比べてしまって。」
「こっちの方が好きなんです。広すぎてもお掃除が大変なだけだしね。あ、そうそう、ここでは家族とメイド長のエリスさん以外の使用人には私は普通の人間ということになっているので注意してね。カイちゃん、サラちゃんもよろしくね。」
「....分かりました、それではなんと及びすれば?」
「タチハでお願い。偽名だけどね」
「タチハ様ですね。」
「様もいらないわよ。」
「そんなわけにはいきません!」
「しかたないわね。 それで良いわ。」
と話をしながら食堂に到着した。食堂にはすでに残りのメンバーが座っていた。ハルちゃんとタロウ、それにエリスさんである。エリスさんには一緒に食事をとってもらっているのだ。もう家族みたいなものだしね。最初は固辞されたのだが女神権限で押し通した。ちなみに住み込みで働いてもらっている使用人はエリスさんだけなので、夜には私達だけになる。正確にはエリスさん以外にも3交代で家の警備をしてくれている人達が居るのだが、彼らは呼ばれなければ屋内には入らない契約になっている(警備員の休憩や食事のための小さな建物が別にある)。実を言うと彼らは飾りだ、警備員がいると言うだけで犯罪の防止になるが、いざと言うときは家のあちこちに設置されているアレフさん特製の防犯魔道具が活躍することになるだろう。以前数人の男達が窓から忍びこもうとした時タロウが危ない目にあってネスレさんが助けてくれたのだが、その反省を踏まえさらに強固なものに改良されている。
とりあえず、ドリスさん達に家族とエリスさんを紹介し、こんどは反対に皆にドリスさん、カイちゃん、サラちゃんを紹介する。自己紹介してもらおうかとも思ったが、カイちゃん、サラちゃんには荷が重いかもと考えた。それに何よりお腹が空いた。美味しそうな料理が並んでいるのに待つのは辛い、早く食べたいのだ。歓談は食べながらでいいよね。
食事しながらの会話は皆の了承を得て念話で行う。私が仲介すれば念話が使えない人でも会話は可能だ。もっとも私は食べるのに夢中で会話には少ししか参加していない。隣のハルちゃんが呆れたように背中をつついてくる。仕方ないじゃない、今日の昼食は毒入りのスープしか食べていないんだ。 一方のハルちゃんはタロウの食事の面倒を見ながらも会話をリードしてくれている。頼りになる旦那様である。
人心地がついてから会話に耳を傾ける。ドリスさんが「この惑星には素敵な女神様がいていいですね。」と言ってくれている。まあ、褒めてくれるのは良いが恥ずかしい。それにしてもドリスさんは"この世界"ではなく"この惑星"と言ったよね。惑星とは何か知っている様だ、ロキさんに聞いたのだろうか。
話はそれから私とハルちゃんの馴れ初めの話になった。私が魔法が使われていない地球からやって来て、最初は魔法がまったく使えなかったと聞いてドリスさん達が驚いている。その後の経緯の話から話題が超越者のことになる。自分達の惑星から神が居なくなってしまった原因を初めて知ったドリスさん、カイちゃん、サラちゃんは驚いた様だ。
<< それでね、神界は今も困っているわけよ。惑星カーニンの様に神が居ない惑星がまだ数千も残っていてね。だから精霊様が惑星カーニンを安定させてくれるととても助かるの。感謝してるのよ。>>
と私。いきなり会話に割り込んだら、ハルちゃんが「ようやく戻って来たか」という目で私を見ている。失礼な! さっきからちゃんと聞いてましたよ。さっきからだけど。
カイちゃん、サラちゃんからは、自分達が神殿で生活することになるまでの話を聞くことが出来た。彼女達が住んでいた村が戦争に巻き込まれたらしい、生き残ったのがカイちゃんとサラちゃんのふたりだけで、ふたりで彷徨っていた時に教団の人に保護されたそうだ。悲惨な話である。ロキさんのお蔭で食糧の生産が回復しつつあるのにもかかわらず、国々の戦いはなかなか終わらないらしい。戦争が起きるのは人々に愛があるからだという逆説的な文書をどこかで読んだことがある。愛する人を傷つけられたり殺された憎しみは時を隔てても消えてくれない。戦争が勃発した原因である食糧難が解消しても、残った憎しみが新たな戦いを生んでいるのだ。そういえばドリスさん達は戦争や奴隷などの人権侵害を止めさせるために布教活動をしているんだった。自然災害や異常気象なら布教なんてしなくてもロキさんが止めてくれるものね。
0
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
婚約破棄を突き付けてきた貴方なんか助けたくないのですが
夢呼
恋愛
エリーゼ・ミレー侯爵令嬢はこの国の第三王子レオナルドと婚約関係にあったが、当の二人は犬猿の仲。
ある日、とうとうエリーゼはレオナルドから婚約破棄を突き付けられる。
「婚約破棄上等!」
エリーゼは喜んで受け入れるが、その翌日、レオナルドは行方をくらました!
殿下は一体どこに?!
・・・どういうわけか、レオナルドはエリーゼのもとにいた。なぜか二歳児の姿で。
王宮の権力争いに巻き込まれ、謎の薬を飲まされてしまい、幼児になってしまったレオナルドを、既に他人になったはずのエリーゼが保護する羽目になってしまった。
殿下、どうして私があなたなんか助けなきゃいけないんですか?
本当に迷惑なんですけど。
拗らせ王子と毒舌令嬢のお話です。
※世界観は非常×2にゆるいです。
文字数が多くなりましたので、短編から長編へ変更しました。申し訳ありません。
カクヨム様にも投稿しております。
レオナルド目線の回は*を付けました。
どんなあなたでも愛してる。
piyo
恋愛
遠征から戻った夫の姿が変わっていたーー
騎士である夫ディーノが、半年以上の遠征を終えて帰宅した。心躍らせて迎えたシエラだったが、そのあまりの外見の変わりように失神してしまう。
どうやら魔女の呪いでこうなったらしく、努力しなければ元には戻らないらしい。果たして、シエラはそんな夫を再び愛することができるのか?
※全四話+後日談一話。
※毎日夜9時頃更新(予約投稿済)&日曜日完結です。
※なろうにも投稿しています。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる