転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!

DAI

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第80話

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ここは、ウエス国の森の中。

「やっと帰って来たー!」
リリィが嬉しそうに言う。
馬車が森を抜け、苔むした丸太小屋の前で止まった。
「愛しの我が家ね。」
フィーネが少し疲れた顔で言う。

「ここがフィーネさんとリリィさんの家なのですね。」
新しく家族になったエリーゼが、周りを見回して言う。

すると、

「おかえりキー!」
「おかえりキキー!」
モックとドンキーが馬車に向かって駆け寄ってきた。

「なんですの?!」
ボンッ!
その勢いに驚いたエリーゼの身体が白い煙に包まれた。
にゃあ
エリーゼは猫に変身してしまった。

「さあ、皆んな。疲れたでしょう?紅茶を淹れるわ。」
フィーネはキッチンに行くと、魔法で紅茶を淹れ始める。

にゃあ
「可愛い猫だキー」
「猫キキー」
エリーゼ(猫)とモック、ドンキーは追いかけっこを始めた。

「あぁ、疲れた。風呂に入るか!」
ゴブローの言葉にオルガ、スザク、ホウオウ、ハクが続いて行く。

「ぼくは一眠りするかな?」
イブとアイリスはロッキングチェアに座ってくつろぐ。

丸太小屋にいつもの日常が帰って来た。


リリィは、いつもの風景が戻った丸太小屋を見回して、改めて、ここを失いたくないと思った。


「紅茶が入ったわよ!」
フィーネが手をひらひらさせると
キッチンから外のテーブルにティーカップが飛んでくる。あっという間に全てセットされた。

フィーネの声にみんなが集まってくる。

束の間かも知れない平穏。

フィーネは、そののんびりを噛み締めていた。

「紅茶の良い香りがしますわ。」
エリーゼが敏感に察知する。
「猫が喋ったキー!」
「喋ったキキー!」

ボンッ

白い煙と共にエリーゼが人間の姿に戻った。

「人間だキー!」
「人間キキー!」
「モック、ドンキー。初めまして、私はエリーゼ。人間と猫族のハーフですわ。」
「エリーゼ、よろしくキー!」
「家族キキー!」
エリーゼはすっかりモックとドンキーと仲良くなったようだ。

皆がテーブルに集まり、久しぶりのティータイムが始まった。

テーブルにはお茶菓子も並んでいる。

「はぁ...この香り、温もり。旅の疲れも吹き飛ぶわね。」
フィーネがロッキングチェアに揺られながら言う。

「最高だな。まさに至福の時だ。」
イブもロッキングチェアに座ってくつろいでいる。

「ねぇねぇ、エリーゼ。夜は私の部屋で一緒に寝ましょう!」
リリィがエリーゼと話している。
「良いですわね。誰かと一緒に寝るなんて初めてですわ。」

「姉さん、私たちで三大司祭のこと、調べない?」
スザクがホウオウに言う。
「そうね。イブやアイリスにも聞いてみましょう。」
ホウオウも真剣な眼差しだ。

「オルガ、俺はしばらく丸太小屋で生活しようと思うんだ。」
「ゴブロー、そうして貰えると助かるよ。僕には母さんがいるから。」
「エリーゼの護衛もあるし、魔神教の奴らがいつ襲ってくるか分からない。」
「頼んだよ、ゴブロー。」
「任せておけ。」

「エリーゼはどんな時に変身するんだ?」
ハクが興味津々だ。
「そうですわね...驚いた時とか、怖い時。緊張した時...最近は自分の意思でコントロール出来るようになって来ましたわ。まだまだ練習が必要ですが。」
エリーゼがハクに言う。
「おいらは水竜だ。竜の姿になれる。」
「水竜!まさかウエス湖の竜神様ですの?」
エリーゼが驚いて聞く。
「そうだよ。おいら、竜神だ。」
「凄いですわ!色々、話を聞きたいですわ!」
エリーゼがハクに近づく。
それを見たリリィが、すかさず二人の間に割って入る。
「私はハクの背中に乗って空を飛んだことがあるのよ。」
リリィは自慢げだ。
「私も乗せて欲しいですわ!」
「おいらは別に良い......」
ハクが言い出した言葉にリリィが被せ気味にいう。
「ハクと飛べるのは私とモックとドンキーだけよ。」
「そうなんですの?残念ですわ。」
エリーゼは残念そうだ。
「おいらは別に良い......」
また、リリィが被せ気味に言う。
「ハク!また星空を一緒に見に行こうね!」
「そうだな。リリィ。」
ハクは敏感にリリィの嫉妬の匂いを感じていた。


「三大司祭がついに動き出したか...」
イブがつぶやく。
「厄介ですわね。特にメルティナ。あれは面倒ですわ。」
アイリスが言う。
「これからは、のんびりもしていられないな。」
イブが言う。
「わたくしが、リリィさんとフィーネさんを全力でサポートしますわ。」
「敵も動き出した。うかうかしてられない。ぼくも急がなくては......」

何か大きな渦が世界と丸太小屋を巻き込んで、動き出そうとしていた。



その頃。深淵の国。

「あーあ、あたしのおもちゃが二つもいっぺんに壊されちゃった。悲しい。あははは!」
メルティナが屈託の無い笑顔で話す。

「メルティナ。遊びはほどほどにしろ。」
巨大な黒い影、その姿はゲンブにそっくりだ。その低い響くような声には、何処か悔しさが滲んでいる。バロール。軍事を司る司祭である。

「勝手な行動は慎め。メルティナ。」
白い能面のようなマスクを付けた男。その片目には血の涙のような模様がある。男性とも女性ともつかない不気味な声だ。そのマスクの端には尖った耳が覗いている。


三大司祭がついに、その姿を現した。

フィーネたちの「のんびり」は、彼らの登場により、終わりを告げるのであった。




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