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第24話
しおりを挟むここはウエス国の森の中。
「ふわぁー、よく寝た。」
フィーネは、穏やかな朝を迎えていた。
「もうちょっと布団の中にいよう。」
二度寝の時間はフィーネにとって至福の時だ。この幸せは何人にも邪魔はさせない。
「……….」
フィーネは何かに備えて待っている。が、何も起きない。
「おかしいわね。いつもなら起こしに来るのに」
いつまでまっても、リリィは起こしに来ない。
フィーネは、どうも様子がおかしいと思いながらも、ベッドから出てダイニングに向かった。
外では、土に両足を入れてモックとドンキーが寝ている。
フィーネは、モックを起こした。
「モック!起きて。」
「んー….何だキー….」
モックとドンキーもまだ寝ているなんておかしい。いつもならリリィがみんなを起こして回るのだ。
フィーネは、まさかと思いながら、リリィの部屋に向かった。
トントン
ドアをノックするが返事が無い。
「リリィ、開けるわよ。」
フィーネはそう言ってドアをゆっくりと開けた。
ベッドにリリィはいなかった。
いよいよおかしいと思ったフィーネはイブの部屋に行く。
イブは、凄い寝相で寝ていた。
「イブ!起きて!」
「うーん、ぼくはもうお腹いっぱいだぞ……」
「イブ!イブ!」
フィーネがイブの体を揺さぶる。
「ん-、なんだ、今日はリリィじゃなくてフィーネが起こしに来たのか?」
やっとイブが起きた。髪の毛が寝ぐせで凄いことになっている。
「イブ!リリィが居ないの!どうしよう。」
「スザクが知ってるんじゃないか?」
フィーネはイブに言われてハッとした。スザクは?
すぐにスザクの部屋に行く。
バタン!
スザクの部屋のドアを開けて中に入ると、ベッドにスザクの姿は無かった。
「まさか、スザクがリリィを!?」
フィーネは嫌な予感がして、家の中を隅々まで探した。が、リリィはいない。
公園にも、露天風呂にも、裏の薬草倉庫にも、リリィの姿は無かった。
「リリィが誘拐された!」
フィーネは混乱していた。まず何をどうしたら良いんだろう?
スザクと一緒だとしたら、人買いの連中と一緒かもしれない。
ああ、私がもっとしっかりしていれば。こんなことにはならなかったのに。
「フィーネ!しっかりしろ!」
イブがフィーネに怒鳴った。
フィーネはハッと我に返る。
「きみがそんなことでどうする?まずは落ち着こう。」
イブの言葉でフィーネは落ち着きを取り戻した。
フィーネ、イブ、モック、ドンキーがテーブルに座っている。
リリィを見つけるため、まずは何をするべきか。
まずフィーネが口火を切る。
「私の千里眼だと、見える範囲が限られる。もし、遠くまで行っていたら分からないわ。」
「人買いのアジトを探すしかないんじゃないか?」
イブが言う。
「何か手がかりがあれば良いんだけど、何もないわね。」
フィーネがつぶやく。
「リリィはエルドランド王の隠し子だと言っていたから、エルドランドに連れていかれたのかもしれないな。」
イブが言うと、フィーネもうなずく。
「よし、エルドランドに行きましょう。」
「ドリアードは森を離れられないキー。」
「離れられないキキー。」
モックが言う。
「モックとドンキーは、私たちが留守の間、この家を守ってくれる?」
フィーネが話すと、
「わかったキー!」
「守るキキー!」
モックとドンキーがこたえた。
「じゃあ、イブ、旅の支度をしましょう。」
「長い旅になりそうだな。」
こうして、フィーネはのんびり生活に別れを告げ、リリィ救出の旅に出る決意をしたのだった。
そのころ、エルドランド=サウザン同盟国内、某所。
「良くやった、ホウオウ、ゲンブ。」
ビャッコは満足げに言った。
「これで、あの方もお喜びになりますね。」
ゲンブが言う。
「スザクはどうしますか?」
ホウオウがビャッコに聞くと、ビャッコは少し考えて、
「もう、スザクには用は無い。殺せ。ホウオウ、出来るな?」
鋭く冷たい目でホウオウに向かって言った。
「……畏まりました。ビャッコ様。」
ホウオウは唇を噛みしめながらこたえた。
人買い組織の地下牢。
「リリィ、すまない。私がホウオウの口車に乗ったばっかりに。」
「もういいわ、スザク。私は怒ってない。それよりも、ここから出る方法を見つけましょう。」
スザクとリリィは、同じ牢に閉じ込められていた。
牢屋に窓はあるが、高い場所にある上に鉄格子がはめられている。
1時間に1回は見張りが巡回に来るので、怪しい動きがあればばれてしまう。
「スザク、あの窓、私がスザクに肩車してもらえば届きそう」
「届くと思うけど、あの鉄格子はどうするの?」
「見て、ボロボロに錆びついてる。もしかしたら足で蹴っ飛ばせばいけるかも。」
「やってみる価値はありそうね。」
「見張りの巡回が行ったすぐ後にやりましょう。」
「わかったわ。」
「ねえ、スザク。ここってどこなの?」
「エルドランド王国のガルムヘルムって町だよ。」
「私がエルドランド王の隠し子って話は本当なの?」
「本当だ。リリィの母親は、エルドランド王の愛人だったんだ。」
「お母さん……」
リリィが涙ぐむ。
「妃に子供が出来て、リリィたちが邪魔になったエルドランド王は、少しの金だけ持たせてエルドの街から追放した。
「ひどい……」
リリィは必至に涙をこらえている。
「その話を聞きつけたビャッコが、リリィたちの行方を追ったんだ。」
「それでお母さんは….殺された。」
リリィの目から一筋の涙があふれ出た。
「リリィを狙ったのはエルドランド王を脅すためと聞いてる。」
ここまでスザクが話すと、見張りの巡回が来た。
いよいよ脱獄作戦の決行の時が近づいていた。
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