補欠勇者のわくわくパーティー

D−con

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冒険者パーティーイレヴンズ

異世界でも牛肉こそが最強ですか?

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「そういえば、少なくとも私は魔王を倒すつもりも倒せるとも思っていないけど、ナナはそれでもいいの?」

 いきなり爆弾発言をしたのは賢者予備のハルさんです。
 俺も全く同じ気持ちではあるので言葉にしてくれて感謝しかないのだが、果たしてナナ姫の反応は!?
 怒られたり、兵士を呼ばれて捕まったりしない?

「えっ、私も私達で魔王を倒そうとは思ってないですよ。むしろ安心しました、私は城を出て自由に旅をしてみたかったんです」

 あっけらかんとそう言うナナ姫、楽しそうに笑う。 
 なるほど、俺達は皆お城から逃げ出したい集まりだった訳か。

「・・・でも、伝承の通りなんですね」

 耳に届いたのはぼそっとナナが呟いた意味深な言葉、俺とハルはその言葉に反応したがそのタイミングでドタバタと足音。

「ラズただいま戻りました!ナナナ姫!」

 メイドスカートをなびかせて入ってくるメイドさん、優雅さがないな。
 ただ活発メイドも嫌いではない。

「ありがとう、ラズ。お金も武器も集まって?」

「完璧っす!武器は予備まで持ってきました!」

 メイドさんがグイッと突き出すオシャレバッグを両手で押し返すナナ姫、これがマジックバックか、良くある空間を捻じ曲げていっばい物が入るアイテムだよな?

「次は街に出て皆様の服などを購入しましょう! もうそのまま城には戻らずに冒険者開始です」

「・・・そうね、私はそれでいいわ」

「僕もワクワクする!」

「ラズ、あなたもついてきてくれるでしょ?」

 えっ、更にパーティーメンバー増えるのか!? 5人になるのか・・・俺は4人よりより多い人数で行動するのが嫌なんだよな、4人テーブルだと足りなくなってしまうし。

「えっ、いやですよ。ラズはここでナナ姫の帰りを待ちます、部屋の掃除をしながら、キリッ!」

 こんなに堂々と主人の誘いを断っていいのか、メイドさん。

「それはラズの好きにしていいけど、私の専属メイドからは外れる事になるから、お給金も減るし普通のメイドとして働く事になるわよ」

 ナナ姫の言葉に膝から崩れ落ちたメイドさん、両手で顔をおおう。

「そんな!!ロイヤルメイドから降格だなんて!お金が減るのも嫌だし、今更一般メイドと一緒の仕事もラズのプライドが許しませんし、何か意地悪されそうだし、広い城を舞台に働きたくもない!」

 なんて同情を誘わないセリフなんだ!
 指の隙間からチラチラとナナ姫を見上げてるし。

「私について来てくれるなら、今のお給金に危険手当もつけますよ」

「ラズはナナ姫についていきます!キリッ!」

 すっと立ち上がるメイドさん、なんか凄いな。

「ラズは本当に危なくなったら逃げますからね、あとで骨は拾いに行ってあげますから」

 うん、本当すごいな。この人。

「はいはい、皆様私のメイドのラズリー・ココットです。彼女も同行しますのでよろしくお願いします」

「ラズね、嫌いじゃないわ、その感じ。私の事はハルと呼んで」

「僕はユラ、よろしくラズちゃん!」

「・・・俺は川鱗秋」

 俺だけフルネームでの自己紹介、なんとなく名前だけを言うのってハードルが高かったんだよな。


 そして挨拶もそこそこに城を後にする。
姫様と一緒だと顔パスだから助かる。

 それから貴族街の高級服屋で服を買ってもらった訳だが。

「請求書は城にお願いします」

 おう、さすが王女様。それ、ありなんだ。
 お金を一切持ってない俺達は怖いからその話には全く関わりません。
 俺が買ってもらって着替えたのは貴族が戦闘の際にも着るという黒い服、高そうというか実際高いので防御力もそれなり、靴に手袋更には首元を隠すスカーフまで買ってもらったので全身真っ黒である。

 聖女予備11である筈のユラだが、もうその見た目は聖騎士様である。基本俺の格好を白に変えただけの筈だが着る人間が違うと全然違う。後光がさしてる気がするし、メイドのラズと店の女店主がうっとりしすぎて貢ぐ勢いだ。
 というか、白色のオシャレ長剣を実際に貢がれていた。めでたく大剣は予備に回る事が決定した。

 ちなみに俺の腰にはラズがお城で貰ってきてくれた、シンプル長剣がぶら下がっている。・・・俺も黒のオシャレ長剣が欲しかった・・・

 賢者予備のハルは軽装黒魔導師と言った姿、オシャレ黒シャツの上から袖の短いフード付きローブを来て下にはズボン、俺と同じ全身黒だが小柄な体格のせいか、フードを被っていても可愛いらしさを感じ取れる。

 金髪のナナ姫はもうなん言ったらいいのか、乗馬するお姫様って感じの格好としか俺の言葉では言い表せない。ただスタイルの良さが強調される服でなんか凄い。
 ちなみにメイン武器は鞭らしい、腰の横でくるくる巻かれてる。

 そしてラズはロングスカートメイドのままだ。メイドとして給料をもらっている以上この格好を貫くと言う、決してプライドとかではなく面倒くさいだけのようだった。

「さて、もう日が暮れてきますし。今日はこのまま宿を取って夕食にしようと思います。明日は冒険者ギルドで登録をして実際に街の外に出てみましょう」

「いいわね、早くボーガン使ってみたいわ!」

「僕は夕ご飯が楽しみだよ。どんなお肉があるのかな!?」

 冒険者ギルドがある世界で良かった、やっぱり異世界はそうじゃないとな!

 しかし、異世界の楽しみも三者三様なんだな。いや、肉も戦闘も俺も楽しみではあるんだけどさ。

 そして、やってきたのは貴族街の高級宿屋。

「これ、宿というかホテルね」

 3階建ての綺麗な建物は確かにそんな感じだ、貴族街だし綺麗で立派な建物しかないんだが。

「これはご飯にも期待できますねー!」

 顔からワクワクが溢れるユラは握った両手にナイフとフォークを幻視しそうなくらいに食欲に支配されてる。
 凛々しい見た目が勿体無いと思うがラズばこういうギャップも嫌いではないらしくハスハスしてる。
 いや、なんだこの人。

 

 今日の夕食は異世界高級牛肉を食べた!
 見た目聖騎士なあの子は大きなステーキを部位を変えながら5枚食べてた!

「うーー、謎肉でない事にがっかりした僕を恥ずかしく思うよ! 異世界でも牛肉は最強だったね! しかも日本じゃ食べれない超高級肉! 異世界に来てよかったー!!」

 口元を油でテカテカさせた聖女の予備の方のセリフである。
 いや、確かに美味かったけどさ。確かに凄い美味かったんだけどさ。

 ちなみに俺はサーロインとロースで2枚食べた、俺はロースの方が好みな気がすると生きてきて初めて知った。 
 ヒレも食べてみたかったが限界だった、ユラの胃袋が素直に凄い。
 あの人、デザートに異世界果物シャーベットを3個も食べてるんだぜ。

「あっ、今日走るの忘れてた! 僕ちょっと外走ってきてもいいかな?」

 聖女予備の謎の発言に唖然としたのは俺だけではない、走るも何も俺なんて腹一杯で動けないぞ。

「えっ? 走るんですか、ユラさん、もう外暗いですよ?」

「大丈夫大丈夫」

 動揺する王女と余裕の聖女予備。

「た、食べてすぐ運動するとお腹痛くなると聞くわよ?」

「大丈夫大丈夫」

 動揺する賢者予備と余裕の聖女予備。

「騎士様、メイドのラズリー・ココットお供させていただきます」

「ラズちゃん! よし行こう!」

 忠誠を違う騎士の様に跪くメイドと拳を掲げる聖女予備。

「・・・」

 沈黙を守り続けた俺と既に飛び出して行った聖女予備。なんだこれ。

「いってしまいましたね」

「あの2人迷子になったりしない? 凄く不安なんだけど」

「そ、そうですね。少し心配ですね、私に任せてください」

 姫様から見てもあのメイドはそこまで信頼できる相手ではないのか、分かるけどさ。
 立ち上がったナナは右手を胸の前に出して目を閉じる。

 なんだ?

「来てください、エメリア!」

 眩し!? 
 光ったと思ったらナナの手に留まる綺麗な緑色の鳥!?

「この子は私の召喚獣、エメラルドカーバンクルバードのエメリアです」

 エメラルドカーバンクルバード?
 ああ、なるほど、額に赤い宝石みたいなのがついてるな。

「召喚獣?ナナは召喚士だったの?」
 
「ええ、私の一族は召喚士のスキルに目覚める者が多いんですよ。エメリアは凄く珍しい種族なんですよ!」

 召喚士のスキルか、この世界ってスキル制度なのか。そうなると俺達にもスキルがあるのか?

「うー、久しぶりですね!エメリアたん、寂しかったですか?ななたんも寂しかったんですよ、お城じゃあんまり会えなかったですからね、これからはいっぱい会えますよ!うー、きゃわいい、きゃわいい、きゃわいすぎるーーー!」

 ・・・何か質問したかったんだけど、とろけた表情で自分の召喚獣に頬擦りしまくる姫様の姿に全てが吹っ飛んだ。

「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、エメリアたーん、ちゅっ!」

 もう駄目だ、全てが吹っ飛んだ。
 なんだ、このお姫様は・・・
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