補欠勇者のわくわくパーティー

D−con

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冒険者パーティーイレヴンズ

スキル選びは重要ですね!

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「そうです、エメリア。ラズを追いかけて、ラズ達を私の元まで連れてきてください」

 飛んでいくエメラルドカーバンクルバードのエメリアたんを凛々しい表情で見送るナナ姫。
 いや今更そんな顔しても騙されないぞ。
 俺が胸焼けをしてるのはステーキの食べ過ぎだけが原因ではないんだぞ。

「・・・エメリアは夜でも飛べるのね? 鳥は暗いのに弱いって聞くけど」

「はすっ! エメリアは夜目が効くんですよ、特別な鳥ですからね、そしてとっても頭がいいんです。見た目が美しすぎるだけではないんですよ!」

 ・・・自分のペット自慢に鼻息を荒くするお姫様、はすっ!って・・・

 クールな賢者予備様も困ってるぞ。

「そ、そうなのね、他にも能力があるんでしょ?」

「えっ?ないですよ。エメリアは見た目に一目惚れして契約したので」

「うっ!」

 おうっ、王女様の攻撃が賢者予備様にクリティカルヒット! 
 思わず笑いそうになってしまったが、気持ちは分かるぞ、あの意味ありげな額の宝石とか絶対に特別な力があると思うもんな。 
 うんうん、俺は今となっては唯一の常識枠に感じるハルを応援します。

「ほ、他にも召喚獣はいるんでしょ? 早く見てみたいわ」

 さすがハル! 見事な立て直し、そしていつも俺の知りたい事を質問してくれます。

「いえ、今はまだエメリアだけなんですよ。新しい召喚獣と契約するのも私が旅に出たかった理由なんですよね。珍しい美しいモンスターに出会いたいんです!」

「ううっ!」

 ああっ、会心の一撃だーっ!
 がんばれハル!がんばれハル!
 ううっ、しかしナナ姫想像だけでまたとろけた表情しはじめてるぞ、やばいな。
 話を聞いた感じだと本当にゲームの初期に仲間になるキャラって感じだな。
 がんばれハル!

 ああ、駄目だ。黄昏れた様に冷めたコーヒーを口に運んでる!
 ああ、シャーベットの上に乗ってた謎の葉っぱを手で摘んで食べた!

「はっ!」

 おおっ!目覚めた!
 謎の葉っぱには気付作用があったのか!?

「スキルって話だったけど、私達にもスキルってあるの?」

 さすが賢者ハル様、俺達の知りたい事を聞いてくれるぜ。

「そうでした、説明がまだでしたね。」

 まともな顔に戻ったナナ姫が何かを取り出す。
 これはステータスカードだったか、俺達も最初に貰ったし、今もポッケに入ってる。
 勇者の予備11って書かれてるやつだな。

「ステータスカードの下の方に行くと、スキルの欄があります。ここで自分のスキルが見られますよ」

 まじか、気付かなかった。
 自分のステータスが他より低いと聞いて早々に見るのをやめたからな・・・
 どれどれ・・・本当だ。スキルがある。
 そして、タッチパネル式だったんだ、ステータスカード。

「異世界言語にアイテムボックス、なるほどね、このスキルがあるから言葉が通じてるんだ」

 俺とハルのスキルは今のところ同じみたいだな、俺のスキルもその2つだ。
 アイテムボックスってよく聞くし、よく見るあれだよな。 異世界物のお約束の無限に物を収納できる便利な能力。

「そうです。その2つが異世界から召喚された皆様が絶対に持っているスキルです。そして皆様には私達にはない特権として自分自身でスキルを選んで取る事が出来るんです!」

「!」

 うわ、本当だ!
 スキルポイントが30あって、色んなスキルが選べる!
 勇者武技(光)(闇)(火)(水)(風)(土)(雷)に始まって、魔法でも属性がいっぱい選べるし、武器毎のスキルもあるし、お約束の鑑定に、料理や解体、錬金などの戦闘とは関係ないスキル、ステータスアップ系まであるし選ぶの大変そうだな、楽しそうだけど。
 どのスキルもレベル1を取得するのに1ポイント固定か、レベルが上がる毎に消費ポイントが増えるんだろうな。

 俺だとやっぱり勇者武技をどれか1つは取りたい、いわゆる必殺技になる気配がビンビンだしな。
 他の勇者と出来るだけ被りたくはないから、人気のありそうなのは避けて(水)(風)(土)のどれかかな。
 ホンモノ勇者には無難に(光)を選んでほしい所だな、(光)属性は長身イケメンの君のものだ。

「このスキルポイントって言うのは増やせるの? やっぱりレベルアップでもらえるのかしら?」

「そう聞いていますよ。あとは神様から与えていただける場合もあるらしいです」

 なるほど、流石賢者ハル様、安定の質問役。
 あっ、召喚スキルも選べるな。パーティー内で被っても仕方ないから取る気はないけど。

「どのスキルを取るかは話し合った方が良さそようだな」

 特に意識せずに気が付けば呟いていた。
 ・・・何故かハルとナナが俺を見ていた。

「久しぶりに喋ったわね」

「アキさんの声を聞くのは、ロースの方が好きかな、以来ですね」

 ・・・俺そんな事も言ってたのか、悪かったな、全然喋らなくて。

「確かにアキの言う通りね。私達はバランスを考えてスキルを選ぶべきだわ。今日は疲れたし明日ユラを交えて話し合いましょう」

「そうですね、それがいいと思います。それぞれの部屋に入って今日は休みましょうか。部屋割りは先程決めた私とラズ、ハルさんとユラさん、アキさんが1人ででいいですよね」

「ええ、それでいいわ。ユラが帰ってきたら私がスキルの事は伝えておくわ」

 
 そして解散。
 俺は決められた部屋に入った訳だがいい感じの部屋だな、ベッドはふかふかゴージャスだし、風呂もトイレもある、水洗だしお尻を洗う機能までついてる。
 貴族街の高級ホテルだけあるな、さすがにテレビはないけど、なんの不満もない。
 むしろ一泊の料金が怖いくらいだ。

「さて、どんなスキルを選ぶべきか」

 普通に考えれば、聖女のユラは回復、賢者のハルは魔法、ナナは召喚士だし、メイドのラズはよく分からないけど、俺の役割は前衛になる訳だ。

 そうなると、勇者武技1種類に剣術は必須かな。
 他は脚力強化とか面白そうかも、一気に距離を詰めて攻撃したり、逆に離れたり出来れば便利そう。
 あとは身を守るなにかもいるな、盾術とかオーラガード、自分の周りを自由に飛ばせる浮遊剣とか浮遊盾もいい!
 一時的に能力を高める闘気や鬼化も浪漫だな!!
 索敵にマップ作成、トラップを仕掛ける罠師、逆に回避する罠解除。調合や細工で金を稼ぐのもありだし、錬金に魔力錬金なんてのもある。
 魔力錬金は魔力を込める事で性質を自在に変化させるのか、面白そうだけど、これは属性魔法スキルが必要なのか。

「うわー、考えてるだけで楽しいぞ!」

 解体も必要かな、女子だけのパーティーだしそういうのは俺がやるべきなのかも、食材の味をアップする神の手(肉)って、さすがにこれはいらないか。
 農業スキルなんてものまで、更に食材の味をアップする神の手(農)・・・



 いつのまにか寝てたみたいだ。
 窓の外はもう明るいな、まだ寝ていたい気もするがスキルのことを思えば寝てる場合じゃないな。
 他のみんなはもう起きているだろうか?

 早く話をしてスキルが欲しい。
 俺は身支度を整えてから部屋を出る。

「・・・」

「おはようございます」

「おはよう、アキ君」

 何故か俺の部屋の前で賢者予備と聖女予備が土下座をしてるんだが!?

 何が起きているんだ!?
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