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冒険者パーティーイレヴンズ
スキル選びは重要だって・・・
しおりを挟む「・・・」
異世界言語
アイテムボックス
魔法錬金3
魔法(火)1
魔法(癒)1
魔法(水)1
魔法(土)1
魔法(匂)1
錬金2
細工2
裁縫1
魔力増量2
魔力回復2
素材鑑定2
調合2
これが何かと言うとうちのパーティーの賢者枠であるハルさんが夜な夜な取得していたスキルの一覧である。
残りスキルポイントは0。
いや、アイテムを自作してお店をやる人のスキル!!
「こ、これは便利そうなスキルをいっぱい取りましたね」
一緒にハルのステータスカードを覗いていたナナ姫の本心がどこにあるのかは分からないが頬は引き攣っている。
時間は早朝、場所はホテル内のレストランである。
メイドのラズはナイフとフォークでフレンチトーストを食べている。
俺も後でそれ頼もう。
「お金を稼げそうなスキルでラズはいいと思います」
「・・・」
確かにパーティーに1人はこういうスキル構成の人間がいてもいいとは思うよ!
でもこのパーティにはすでに戦える召喚獣のいない召喚王女と聖騎士風のパーティーメンバーにハスハスするメイドがいるんだよ!
「反省も後悔もしているけど、自分を止められなかった!」
目の下に大きな隈を作ったうちの賢者様が嘆く、昨晩はどれだけ楽しんだんだよ。
「器用貧乏に、器用貧乏になり過ぎたの!全てのレベルが低過ぎてわたしの想い描くアイテムは作れなかった!」
そうか、反省と後悔の理由がそれなら俺からは何も言えないな。本当に悔しそうだし。
「はっ!これがパクチーか!初めて食べたよ、全然食べれる!」
そして、とある国の朝食の定番らしいフォーを食べてテンションを上げているのは、さっき土下座していた筈のうちの聖女である。
「なるほど、この麺は米粉で出来ている!このスープは牛骨スープ!!」
異世界言語
アイテムボックス
解体2
神の手(肉)4
食材鑑定1
農業2
神の手(農)2
種創造3
魔法菜園2
魔法(水)1
そしてこれがうちの聖女のスキルである。残りスキルポイントは0である。
反省も後悔もなく早速食材鑑定を駆使して朝食を食べる笑顔は輝くほどに清々しい。
あっ、見惚れたメイドのフォークからフレンチトーストが落ちた!
何故、俺がネタ枠だと思ったスキルばっかり取ってるんだよ!という気持ちもその笑顔を見ていると不思議と浄化されていく。
聖女ってこういう事か?・・・こういう事か?
しかし、改めて酷いスキルだな。
戦おうという気持ちが全くないし、聖女らしさもかけらもない。選べるスキルの中には聖女固有スキルもあった筈なのに・・・
つまり今このパーティーは解体が得意な農家と、器用貧乏錬金術師に綺麗な鳥を愛でる王女、そして謎のメイド。
「・・・」
「さぁ、私達の勇者君のスキルを選びましょうか!あなただけが頼りよ!」
こ、こんな形で頼られたくはなかった。
でも可愛い女の子に見つめられて頼られるって嬉しい・・・目の下にがっつり隈があっても嬉しい。
「俺としては勇者武技のどれか1つは取るべきだと思う」
「そうね、私で言う賢者魔導シリーズにあたるスキルね。間違いないわ」
「僕にも聖女の奇跡シリーズがあったね」
「・・・」
だから何故それを選ばなかった?
・・・なんで俺はこんな所で忍耐を試されてるんだろ、団体行動を避けて自由を求めた筈の俺はいったいどこに。
「うーん、僕としては水か風がいいと思うかな」
「私は闇が気になるけど、使い所が限られそうで不安ね。アキの好みとしては?」
「俺は水、風、土かなって思ってた」
好みというより他の勇者と被りたくないだけだけどそれは言わない。
「ふーん、悪くないというか、ユラと好みが似てるね」
ハルに言われてユラの方を見ると目が合った、悪い気はしない。
「水か風がモンスターの肉を傷つけなさそうだからね!気が合うね!」
この人は食欲に支配されてるのか!?
見た目は凛とした聖騎士なのに!
「勇者武技は武器にその属性を纏わせ時に放つ強力なスキルです、どれを選んでもハズレではないと思いますよ。過去には複数の属性を使いこなす勇者様もいらっしゃったと聞いています」
おー、ナナ姫!
こういう所で頼りになる、周りが下がっていく事で株が上がる悲しいシステム。
いや、この人は召喚獣が絡まなければまともなのか。
「そうなると、土はなしかな。重くなりそうだし、切れ味も悪くなりそうだ」
「水もなしかな、お肉が水っぽくなりそう」
よし、聞かなかった事にしよう。
「私は水もありだと思う。なんだか発展性がありそうだし、なによりも」
言葉を止めてハルがオレを見つめる、何かあるのか?
「アキの苗字、川鱗でしょ。よく考えれば一択じゃない」
「確かに!それなら水だね!!」
ポンと手を叩くな、聖女。
水に不満はないがそんな理由は嫌だぞ!
「なるほど、それは水しかないですね」
「水に決まりでしょう」
「ちなみにスキルはレベルを2に上げるのは2ポイント、3に上げるのは3と消費ポイントが増えていくの。実際に外で試してみて徐々にレベルを上げていくのがいいと思うわ」
気が付けば勇者武技(水)1を取得していた。
ハルよ、言っている事は間違っていないけど何故それを、自分で実践できなかったんだ?
その後は俺の希望の脚力強化と俺の案をハルが強く支持をして浮遊剣、後は無難な剣術をそれぞれレベル1で取った。
今の俺のスキルはこんな感じ、
異世界言語
アイテムボックス
勇者武技(水)1
剣術1
脚力強化1
浮遊剣1
スキルポイントは残り26、他の2人と比べると節約しすぎにも思えるが試しながら増やしていく予定だからこれでいいと思う。
ハルの話からするとスキルを0から3まで上げるのに6ポイント、レベル5にするにはおそらく10ポイントが必要だからな。
ご利用は計画的にだ。
さて、朝食を食べ終えたらいよいよ冒険者ギルドだ!
あーー、俺1人に対して可愛い女の子が4人、絡まれる未来が見える。
「ちょっと待って!」
席を立とうとした俺達をハルが止める、そして改めての土下座だ。
「・・・」
「ナナ、ごめんなさい。言うのが遅れたけど私昨日テンションが上がって部屋の備品をほとんどアイテム作りに使ってしまったの」
「僕達の部屋、僕のベッド以外ほとんど何もなくなっちゃったんだよね」
「・・・」
何それ、凄い。
「だ、大丈夫ですよ。請求書は城にお願いしますんで・・・大丈夫です」
震える王女様の背中が不憫で見てられない。
なんか早く城から離れなきゃいけない気がする。
「最初はカーテンとテーブルだけだったんだけど、どんどんクリエイターズハイになってしまって、へへへ」
はにかみながら目の下の隈を擦るうちの賢者怖い。
「へへへ、そうだ、これシャンプーから魔法錬金で作った特製ポーション、皆に渡すね。飲みやすいラムネ味だから」
オシャレな小瓶に入った液体を受け取る、シャンプーから作ったものを飲むのか?
じっと瓶を見つめる俺に何を勘違いしたのかハルが口元を緩める。
「へへへ、分かる?それ窓ガラスから作った瓶なんだ、いい感じでしょ」
「・・・」
・・・今、こいつらの部屋は窓ガラスまでないのかよ、怖すぎる!!
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