補欠勇者のわくわくパーティー

D−con

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冒険者パーティーイレヴンズ

聖遺物で何か作ってくれませんか?

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「ゴブリンは何の素材がお金になるの?」

 ハンカチで口元を抑えてゴブリンの死体を見下ろしながらハルが言う。入れ替わりに俺は距離をとった。
 内臓がずり落ちたゴブリンもいるから絵面と匂いが地獄なんよ。
 ハルに貰った布で念入りに剣を拭いてから鞘に収める。この布が明らかに昨日の宿屋のシーツの一部だが今はありがとう。
 勇者武技で水を纏っていたから綺麗なままなんだけど、気分的にな。でも剣が汚れないというだけで選んでよかったかも(水)!

「ゴブリン独自の素材というのはありません。胸にある魔石は換金できますよ」

「そうなんだ。誰か取りだす?」

「・・・」

 ハルとナナのやりとりを聞きながら首を振る。俺はとてもじゃないが無理、というかこのまま放置して帰りたい。

「錬金の材料にするにしても・・・!このホルモン、爆弾の中身にすれば人間には凄く効きそうね」

 悪魔の発想!!
 ハルは手袋を取り出すとそれを装着して内臓に触れるとアイテムボックスにしまった。本当に悪臭内臓爆弾が作られてしまうのか?
 次に解体用ナイフを取り出したハルはザクザクとゴブリンの胸に突き刺す。うっ、度胸が凄い!
 ・・・うわー、この人さては料理とかしないな? 手を切りそうだ、手伝うべきか?手伝うべきなのか?いやー

「見てられませんね。こうするのです」

 俺が弱く迷っている間にささっと近づいたメイドのラズが、しゃがみ込んでナイフをスッと動かして左手で何かを取りだす。あっという間に3匹分のゴブリンで作業が終わった。

「どうぞ」

「これが魔石か」

 ハルが両手で受け取ったそれはビー玉サイズの歪なかたまり、正露丸みたいな色してるな。

 ハルの手の平に水が出てきてバシャバシャと魔石を洗うと布で拭いてしまった。
 そういえば水魔法も覚えてたか。便利だな水魔法。

「ところでユラ様のお産みになった聖遺物でも何か作る気はありません?キリッ」

「えっ?」

「いやだよ!僕の吐いたものなんて恥ずかしい!」

「そ、そうね。流石になにも思いつかないし本人も嫌がってるしね」

「そうですか、ラズは残念です」

 ・・・うん、コメントに困る。
 とりあえずはユラに羞恥心がある事が分かって少し安心した。

 そのユラは自分の聖遺物(カエル肉)を埋めたいのか剣で地面を掘り始めてる。

「待って待って、待ちなさい。そんなのじゃ効率悪いでしょ。今スコップ作ってあげるから」

 ユラを止めたハルはゴブリンの握っていたナイフを奪うと地面に置く。
 土魔法を使ったのか、地面の一部が盛り上がる。それを手で掬ってナイフにかけるとグネグネとナイフの形がなくなり土と混ざる、徐々に三角の形になった所で木の棒を持ち手として取り付ければ3分程で園芸用でよく見かけるスコップが完成した。

「わーい、ありがと。ハルちゃん」

「今のがハルさんのスキルですか」

「そう、魔法錬金で土属性を加えて硬さを強化しつつ細工と錬金スキルで形を整えてるの」

 ほー、なんか凄いな。改めて見ると便利なスキルなのかもしれない。

「そうなのですね。その魔法錬金というのは神様スキルなのかもしれないですね」

「神様スキル?」

「そうです。召喚者の皆さんが覚えられるスキルの中には私達ではどうやっても覚える事が出来ないスキルがあるのです。その中でも私達の常識から外れた効果を持つものを神様スキルと呼んでいます」

「なるほど、神様スキルね。私は当たりを引いたって事ね」

 少々ドヤるハルに対してナナはやんわりと首を傾げる。

「いえ、私達では理解不能な力というだけで、必ずしも当たりかというと。・・・そうですね、常識の外にあるという意味では先ほどお話したダンジョンと同じですね。恐らくはユラさんの持つ神の手のスキルなどもそうです」

 ああ、それは確かに必ずしも当たりとは言い切れないな。なんだよ、肉を美味しくする神の手って。
 常識の外にあるのは納得するけど。
 
 まあ、何が当たりで何がハズレかなんて人それぞれなんだろうから一概には言えないけどさ。

 改めて確認してみるとレベルアップでスキルポイントが5増えてるな、21ポイントになってる。
 ステータスも増えてはいるが具体的にどれくらい増えたのかは不明、数字を覚えるのがあんまり得意ではないのだ。

 勇者や他の勇者の予備と比べるとかなり低いステータスらしいけど、無事にゴブリンを倒す事は出来た。
 これならなんとかやっていけそうか・・・。

「ん」

 そんな事を考えていると目の前に突き出されたのはシャベル、武器としても使えそうなちゃんとしたのだ。

 これでゴブリンの死体を埋めろという事らしい。シャベルを渡してきたハル本人も同じシャベルを持って土を掘り始めたので、何も言わずに俺も掘る。

「スキルレベル上げたのね、いい感じじゃない。あれでレベルいくつなの?」

「・・・勇者武技がレベル3、剣術も3にした」

「へー、いいわね。充分戦えそうだったわ。かっこよかったわよ、私達の勇者様」

「・・・」

 深い意味は無いんだろうけど眩しい笑顔を向けられると反応に困ってしまうな。というか照れるし、口元がもにょもにょしてしまうな。
 ゴブリン埋めに集中しよう。

「そういえば、ラズ。なんであなたアキの事押したりしたのよ?」

「ん?ラズですか?ああいうのは迷っている時間が1番無駄だとラズは思うのです。勝てる相手だから向かわせた、ラズは先達として試練を与えたのです。きりっ」

 元々責めるつもりも無かったけど、そんなに堂々と言われるとラズが正しい様な気がしてしまうな。
 結果として無様に怯えたりする姿を晒さずに済んだ訳だし。
 邪魔者を始末しようとかいう意図が無くて良かったと思おう。

「うんうん」

 だが俺の後ろで隠れてた上に吐いたお前が訳知り顔で頷くのは違うと思う。

「それにどんな状態からでもラズがいればゴブリンなんて瞬殺ですしね。キリッ」

 おう、これがレベル40超え強者の余裕か。
 キメ顔をユラに向けてるけど多分効果はないぞ。

「ゴブリン程度の相手でしたらわたくしでもなんとでも出来ますからアキさん達は安心してレベルを上げてくださいね」

 そういえば王女ナナもレベル俺達よりも高いんだもんな。あの鞭捌きは凄かったし、そうなると今の状況は結構安全なのか。

「なんて言うんだっけ?こういう強い人に寄生してレベル上げるやつ」

「・・・」

 なんて言ったっけな、急に言われると出てこない。

「パワーレベリングかな?」

 ユラって意外となんでも知ってるんだな。

「そうそう、それ。私嫌いじゃないわ!」

 俺も嫌いじゃない、楽してレベルが上がるんだからな。



 その後ゴブリンを埋めてる間に更にゴブリンの襲撃にあって結局俺は計12匹のゴブリンを倒した。
 実際俺は自分で戦ってゴブリンの経験値を手に入れてる訳だからパワーレベリングでもなんでもないわ、これ!

 結局俺と、何かよく分からない物をゴブリンに投げていたハルとユラはその日同時にレベル3にまで上がった。
 いや、いいけどさ。
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