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第9話 雪人のアトリエ
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雪人さんのアトリエ件NPOの施設は、外苑から地下鉄で三つ目の駅の近くだった。
一寸混み入った一区画の中にあり、施設とアトリエと住まいを兼ねた四階建てのビルであった。綾姉と美紀との三人で訪ねると、スタッフの人達や子供達が出迎えてくれた。特に、子供達は、綾姉を見つけると直ぐに寄ってきて、「お姉ちゃん」としがみつく様にまとわり付いて来た。スタッフの一人が
「綾佳さんにはお世話になっています。高校の先生だと聞いていたので、小さい子供は苦手かなと思ってましたけど、すっかり溶け込んで、今では子供達の憧れの的です。みんな綾佳さんに、だっこして欲しいらしくて。私たちでは手に負えない子も、彼女に抱擁されると、ころっと素直になっちゃんですよ。彼女の持つ癒し効果て凄いです。この間なんか
、ベテランのスタッフが一寸留守にした時、問題児が暴れたらしく一騒動あったんですが
、あっと言う間に静めちゃったらしく、その後、問題の子供をだっこして寝入ってしまわれた様なのです。そしたら、子供達全員が、綾佳さんの周りを取り囲む様に、お昼寝状態になっていて、最初にそれを見つけたスタッフが、ガス中毒か食あたりかと、何が起きたのかと慌てた位です。」スタッフ人達は、一様に綾姉の特種能力に驚き感謝していた。
「彼女の母性と親近感に、子供達は癒されるのでしょう。事実私も癒されますから。」雪人さんが総括する様にまとめた。
「子供の頃は、それで随分迷惑してましたけど。」僕は、雪人さんへの挨拶がてら、綾姉の昔話と、僕との経緯を説明した。雪人さんは想像していた以上に美形でダンディーだった。美紀やその頃の小屋の女性達が憧れたのは無理は無い事だなとも思った。しかし綾姉の何処が気にいったのか、僕があまりにも身近過ぎるので理解できないのか、一寸不思議ではあった。
「ポンちゃんもいい男捕まえた様だね。」雪人さんにからかわれて、美紀は少し赤くなっていた。その後、僕等はビルの三階にあるアトリエを見せてもらった。そこには、自身の作品の他子供達の作品もあり、それらは彼の人柄を思わせる素晴らしい作品で有った。
「この間、賞を貰った作品はまだ帰って来てないけど、綾佳さんをモデルに画いたのがこの辺の物だ。」そう言って、数点の作品を見せてくれた。その中で、僕も美紀も一際目を見張る作品があった。それは、ウエディングドレスの様な衣装を着て椅子に座る姿で、まるでフランス人形の様な絵だった。綾姉を知っている人なら直ぐに、それが綾姉である事が解るぐらい、写実的に描かれていて、美しかった。僕は美紀の耳元で
「馬子にも衣装かな、でも綺麗だ。」と囁くと、美紀が軽く僕に肘鉄をした。
「この絵は、私も気にいっている作品で、次の個展ではメインにしようと思っているんだ
。」雪人さんは、作品から少し距離を置いて、
「こんな絵を描かせてくれた、綾佳さんに感謝している次第だ。そんな訳で、私は彼女と一緒に成りたい。」いきなりの告白に、その場の人達は一寸戸惑ったが、僕は本心を聞けた様な気がして安心できた。雪人さん宅で夕食をご馳走になった後、帰り際に綾姉を探すと既に子供達と寝ていた。
「この姿には、全然違和感が無いね。」僕は、子供達に囲まれて寝ている綾姉に、彼女の安らぎの場所を見つけた様に思えた。綾姉が雪人さんの救済者なら、ここを与えてくれた雪人さんも、綾姉の救済者なのかもしれない。
一寸混み入った一区画の中にあり、施設とアトリエと住まいを兼ねた四階建てのビルであった。綾姉と美紀との三人で訪ねると、スタッフの人達や子供達が出迎えてくれた。特に、子供達は、綾姉を見つけると直ぐに寄ってきて、「お姉ちゃん」としがみつく様にまとわり付いて来た。スタッフの一人が
「綾佳さんにはお世話になっています。高校の先生だと聞いていたので、小さい子供は苦手かなと思ってましたけど、すっかり溶け込んで、今では子供達の憧れの的です。みんな綾佳さんに、だっこして欲しいらしくて。私たちでは手に負えない子も、彼女に抱擁されると、ころっと素直になっちゃんですよ。彼女の持つ癒し効果て凄いです。この間なんか
、ベテランのスタッフが一寸留守にした時、問題児が暴れたらしく一騒動あったんですが
、あっと言う間に静めちゃったらしく、その後、問題の子供をだっこして寝入ってしまわれた様なのです。そしたら、子供達全員が、綾佳さんの周りを取り囲む様に、お昼寝状態になっていて、最初にそれを見つけたスタッフが、ガス中毒か食あたりかと、何が起きたのかと慌てた位です。」スタッフ人達は、一様に綾姉の特種能力に驚き感謝していた。
「彼女の母性と親近感に、子供達は癒されるのでしょう。事実私も癒されますから。」雪人さんが総括する様にまとめた。
「子供の頃は、それで随分迷惑してましたけど。」僕は、雪人さんへの挨拶がてら、綾姉の昔話と、僕との経緯を説明した。雪人さんは想像していた以上に美形でダンディーだった。美紀やその頃の小屋の女性達が憧れたのは無理は無い事だなとも思った。しかし綾姉の何処が気にいったのか、僕があまりにも身近過ぎるので理解できないのか、一寸不思議ではあった。
「ポンちゃんもいい男捕まえた様だね。」雪人さんにからかわれて、美紀は少し赤くなっていた。その後、僕等はビルの三階にあるアトリエを見せてもらった。そこには、自身の作品の他子供達の作品もあり、それらは彼の人柄を思わせる素晴らしい作品で有った。
「この間、賞を貰った作品はまだ帰って来てないけど、綾佳さんをモデルに画いたのがこの辺の物だ。」そう言って、数点の作品を見せてくれた。その中で、僕も美紀も一際目を見張る作品があった。それは、ウエディングドレスの様な衣装を着て椅子に座る姿で、まるでフランス人形の様な絵だった。綾姉を知っている人なら直ぐに、それが綾姉である事が解るぐらい、写実的に描かれていて、美しかった。僕は美紀の耳元で
「馬子にも衣装かな、でも綺麗だ。」と囁くと、美紀が軽く僕に肘鉄をした。
「この絵は、私も気にいっている作品で、次の個展ではメインにしようと思っているんだ
。」雪人さんは、作品から少し距離を置いて、
「こんな絵を描かせてくれた、綾佳さんに感謝している次第だ。そんな訳で、私は彼女と一緒に成りたい。」いきなりの告白に、その場の人達は一寸戸惑ったが、僕は本心を聞けた様な気がして安心できた。雪人さん宅で夕食をご馳走になった後、帰り際に綾姉を探すと既に子供達と寝ていた。
「この姿には、全然違和感が無いね。」僕は、子供達に囲まれて寝ている綾姉に、彼女の安らぎの場所を見つけた様に思えた。綾姉が雪人さんの救済者なら、ここを与えてくれた雪人さんも、綾姉の救済者なのかもしれない。
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