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1日目
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自分が死んだという記憶は確かにある。
あれは交通事故だった。青い信号の横断歩道を渡っていると、横から大型トラックが直進してくるのが見えた。そして、膨大なエネルギーの塊がすぐ目の前に迫る。
そこで映像は途切れる。多分即死だっただろう。
次に目が覚めたのは、神社の境内だった。
俺が1年半程通う高校の近くの山中にある、古い神社。昔から何とかって神様を奉っているらしい。名前は忘れた。
最初は、ただただ驚いた。さっきまで夕焼けの横断歩道にいたのに、いつの間にか昼間の森に囲まれた場所にいるのだから。
だが何があったのか整理してみると、脳内にそれまでなかったはずの情報が存在することに気付いた。
自分は死者である。
他人に死者であると知られてはいけない。
現世での猶予は7日後。
最後日の夜、日付が変わるまでにこの境内に戻ってくること。
自分が死者であると周囲から指摘される、あるいは期限内に境内にたどり着かなかった場合、魂は怪異に堕ち輪廻転生から外れる。
それらが、小学生の頃何度も復唱させられた九九のように脳内に焼き付いていた。わざわざ注意事項を頭に直接添付してくれるとは、親切な神様もいるものだ。
勝手に神様の仕業と決めつけているが、死人を生き返らせるような所業が人間にできるとは思えない。リスポーン地点が神社ということからしても間違いないだろう。
けど、なぜこんなことになったんだろう。
俺はそんなに生への執着が強かったのか。それともたまたま抽選に当たっただけみたいな感じなのか。
よく分からないが、せっかく1週間生き返ることができるのだから、やり残したことをやろう。
悔いのない死に様にするために。
公園から歩いて10分程。
着いたのはとある民家だった。
どうやらこれから全員で収穫など畑仕事の手伝いらしい。
そんな約束、いつしたんだ。
神社のある山を下りて遼達に会った時、もしかして時間が巻き戻っているのかと思ったが、そうではなかった。
俺が事故に遭った日は、まだ前期の登校日だった。だが今は既に夏休みに入っているようだ。俺が死んでから数週間は経過しているのか。
だがみんな、事故なんてなかったかのように接してくる。この4人も、民家のおばさんも。事故から今日までの空白の間俺はしばらく風邪で寝込んでいたということにされているし、俺がこの世に存在するための壮大な“辻褄合わせ”がされている。これも神様の仕業か。
「はぁー……疲れたー。なんで休みなのにこんな重労働してんだ俺達」
「せめて早朝にしてほしいわ。多分起きれんけど」
「同感―」
トマトやきゅうりの収穫を終え、縁側で大の字に寝転がる智士達3人。
その横に座り、風に揺れる葉や茎の大群をぼんやり眺めていると、頭にタオルが被さってきた。
「ちゃんと汗拭けよ、敦輝。体冷やしたらまた風邪引くぞ」
そう言って、遼が左側に腰を下ろした。
「何なら俺が拭いてやろっか。昔からお前が熱出して寝込む度に看病しとったからな。お手のもんで」
「きも。つかその世話焼きキャラやめろ。いい加減鬱陶しい」
「なら世話焼かれんようにしろや。体調管理くらい自分でせんと」
俺と遼は小学生からの馴染みで、もう10年の付き合いになる。
しょっちゅう家に遊びに来て、どこへ行くにも大抵ついてくる。俺がトラックに撥ねられた時たまたまそばにいなかったのは幸いだった。でなければ共に巻き込まれていたか、衝突でぐちゃぐちゃに潰れた無残な有り様を見せる羽目になっていただろうから。
ほんとによかった。少なくともお前が無事で。
「みんなお疲れさーん。暑かったじゃろ。これ畑でようけ採れたけぇ食べんさい」
おばさんがお盆に切り分けたスイカを乗せて持ってきた。
「よっしゃ。ありがとおばちゃん。おい敦輝、早食い勝負すんで」
「やらん。お前1人でやっとけ」
「んだよ。いつもは仕方なさそうに乗ってくんのに」
「ならうちが相手してやるわ。負けても文句言いんさんなよ智士」
「上等だ。いくぜ!」
がつがつとかぶりつく智士と祈李を余所に、のんびりとスイカをかじる。
冷たい。
みずみずしくて甘い。
そういえば、味覚もちゃんとあるんだな。暑いって感覚もあるし、さっき戸に頭をぶつけた時痛かった。
これだと、本当に生きていた頃と変わらない。
でも俺は、本来ここにはいないはずなんだよな。
なのに、素知らぬ顔で生きた人間の中に混じってる。とんでもない詐欺師やな。
「どした敦輝。半分しか減ってないで。腹壊したんか」
皮だけになったスイカを手に遼が尋ねる。
「……別に。種があるから食べ辛いだけ」
「あー確かにな。種がチョコチップだったら食べやすいしうまいのにな。あれ、なんかそんな商品なかった?」
「知らん」
「ていうかお前、頬に種ついてるで。ようそんな器用な真似できるな」
と、遼がこちらへ手を伸ばしてきた。
指先がするっと口元をなでる。そして、
「はい、チョコチップ」
「……暑さで脳みそ溶けたんか」
「やっぱ無理あるか。どっちかっつーとめっちゃでかい黒ごまみたいだもんな。まぁええわ。ほい、記念にとっとき」
「いらんわ。自分の頭ん中に埋めとけ」
……はっ。くだらな。
小学生の時から変わらない、まるで意味のないやりとり。
ほんとに、くだらなさ過ぎて笑えてくる。
こんなことで、日常に戻れたって思えるなんて。
チリン チリン
風が吹き抜け、縁側の上に吊るされた風鈴が軽やかな音を立てる。
隣ではガッツポーズを決める祈李と悔しげな顔の智士が言い合い、脇で仁奈が傍観している。
一時的に生き返って、みんなにとっては俺が死ななかったことにされて、ここにいる。
もし、そうなってなかったら。
こいつらはこうして、笑っていただろうか。
俺のいない、夏休みの中で。
カナカナカナカナカナカナ…………
傾いた陽を背中に浴びながら歩く。影が身長の2倍くらい伸びている。
「みんな今日はありがと。うちのばあちゃんの手伝い来てくれて。それと超暑い中労働させてごめん。いつもは親戚が集まってやるのに、なんか今年はみんな忙しいらしくてさ。サボりたくて嘘言っとんじゃないんかって思うけど」
と、祈李が申し訳なさそうな顔で言う。
「俺はスイカ食えたから別にええよ。陸上やってるから体力には自信あるし」
「わたしは死ぬかと思ったー。でもおばさんの野菜いつも八百屋で買ってるから恩返し」
「あんたらどこまで単純で純粋なん。助かるけど。でも熱中症とかほんと気を付けてよ。毎年大勢が亡くなっとるんやけぇ。誰かぶっ倒れた人おらんよね?ちゃんと主張してよ」
「あ、なんかあれみたいやな。幼稚園の先生が言うさ、いない人手挙げてーってやつ」
「いないのにどうやって挙げるんだかねー」
目の前にある3人の後ろ姿。
智士と祈李、仁奈とは高校で初めて出会った。3人は同じ中学出身で、特にきっかけらしいきっかけもなく気付けば5人でつるむようになっていた。
一緒に遊んで勉強した友達。数日後にはもう会えなくなると思うと、やっぱり寂しい。とりあえず、いつか大都会にあるめっちゃ背の高い電波塔見に行こうっていう計画には参加できんな。
「なぁ、祭りって今週だったよな。もう準備とかしてんのかな」
「土日でしょ。今日まだ月曜だから早いって」
「今年も屋台の出し物で勝負するで。俺射的はもう極めたけぇ。お前らもちゃんと来いよ。特に敦輝」
智士が歩きながら振り返る。
「なんで俺」
「お前こないだ映画見に行こうやって約束したのに来んかったじゃん。RINEも返信なかったし」
あぁ、昼過ぎまで寝てたやつか。
「あれは悪かった。今度はちゃんと行くけ」
「そうや。俺が朝起こしに行ってやるから大丈夫」
「来んでええわ」
俺と遼の家は2軒分しか離れてない。だからいつも大した用もないのに押しかけてくる。親よりもこいつに朝起こされた回数の方が多いかもしれない。
「でも今年は色んなことやりたいよね。うちらもう高2だし、来年は遊ぶ暇ないだろうしさ」
「受験モード突入やなー」
「うわ嫌や。考えたくねぇ」
「ま、とりあえず週末の祭りは決定だな。あと他にもやりたいことあったらどんどん言ってこうや。みんなの予定合わせたいし」
「さんせーい」
祭りか。
現世での期限は7日後。今週の日曜日。2日間ある祭りの最終日。
最期の締め括りにはちょうどいいな。
カナカナカナカナカナカナ…………
蜩が鳴いている。
どこまで歩いても、いつまで経っても聞こえてくる。
あぁ…………うるさい。
あれは交通事故だった。青い信号の横断歩道を渡っていると、横から大型トラックが直進してくるのが見えた。そして、膨大なエネルギーの塊がすぐ目の前に迫る。
そこで映像は途切れる。多分即死だっただろう。
次に目が覚めたのは、神社の境内だった。
俺が1年半程通う高校の近くの山中にある、古い神社。昔から何とかって神様を奉っているらしい。名前は忘れた。
最初は、ただただ驚いた。さっきまで夕焼けの横断歩道にいたのに、いつの間にか昼間の森に囲まれた場所にいるのだから。
だが何があったのか整理してみると、脳内にそれまでなかったはずの情報が存在することに気付いた。
自分は死者である。
他人に死者であると知られてはいけない。
現世での猶予は7日後。
最後日の夜、日付が変わるまでにこの境内に戻ってくること。
自分が死者であると周囲から指摘される、あるいは期限内に境内にたどり着かなかった場合、魂は怪異に堕ち輪廻転生から外れる。
それらが、小学生の頃何度も復唱させられた九九のように脳内に焼き付いていた。わざわざ注意事項を頭に直接添付してくれるとは、親切な神様もいるものだ。
勝手に神様の仕業と決めつけているが、死人を生き返らせるような所業が人間にできるとは思えない。リスポーン地点が神社ということからしても間違いないだろう。
けど、なぜこんなことになったんだろう。
俺はそんなに生への執着が強かったのか。それともたまたま抽選に当たっただけみたいな感じなのか。
よく分からないが、せっかく1週間生き返ることができるのだから、やり残したことをやろう。
悔いのない死に様にするために。
公園から歩いて10分程。
着いたのはとある民家だった。
どうやらこれから全員で収穫など畑仕事の手伝いらしい。
そんな約束、いつしたんだ。
神社のある山を下りて遼達に会った時、もしかして時間が巻き戻っているのかと思ったが、そうではなかった。
俺が事故に遭った日は、まだ前期の登校日だった。だが今は既に夏休みに入っているようだ。俺が死んでから数週間は経過しているのか。
だがみんな、事故なんてなかったかのように接してくる。この4人も、民家のおばさんも。事故から今日までの空白の間俺はしばらく風邪で寝込んでいたということにされているし、俺がこの世に存在するための壮大な“辻褄合わせ”がされている。これも神様の仕業か。
「はぁー……疲れたー。なんで休みなのにこんな重労働してんだ俺達」
「せめて早朝にしてほしいわ。多分起きれんけど」
「同感―」
トマトやきゅうりの収穫を終え、縁側で大の字に寝転がる智士達3人。
その横に座り、風に揺れる葉や茎の大群をぼんやり眺めていると、頭にタオルが被さってきた。
「ちゃんと汗拭けよ、敦輝。体冷やしたらまた風邪引くぞ」
そう言って、遼が左側に腰を下ろした。
「何なら俺が拭いてやろっか。昔からお前が熱出して寝込む度に看病しとったからな。お手のもんで」
「きも。つかその世話焼きキャラやめろ。いい加減鬱陶しい」
「なら世話焼かれんようにしろや。体調管理くらい自分でせんと」
俺と遼は小学生からの馴染みで、もう10年の付き合いになる。
しょっちゅう家に遊びに来て、どこへ行くにも大抵ついてくる。俺がトラックに撥ねられた時たまたまそばにいなかったのは幸いだった。でなければ共に巻き込まれていたか、衝突でぐちゃぐちゃに潰れた無残な有り様を見せる羽目になっていただろうから。
ほんとによかった。少なくともお前が無事で。
「みんなお疲れさーん。暑かったじゃろ。これ畑でようけ採れたけぇ食べんさい」
おばさんがお盆に切り分けたスイカを乗せて持ってきた。
「よっしゃ。ありがとおばちゃん。おい敦輝、早食い勝負すんで」
「やらん。お前1人でやっとけ」
「んだよ。いつもは仕方なさそうに乗ってくんのに」
「ならうちが相手してやるわ。負けても文句言いんさんなよ智士」
「上等だ。いくぜ!」
がつがつとかぶりつく智士と祈李を余所に、のんびりとスイカをかじる。
冷たい。
みずみずしくて甘い。
そういえば、味覚もちゃんとあるんだな。暑いって感覚もあるし、さっき戸に頭をぶつけた時痛かった。
これだと、本当に生きていた頃と変わらない。
でも俺は、本来ここにはいないはずなんだよな。
なのに、素知らぬ顔で生きた人間の中に混じってる。とんでもない詐欺師やな。
「どした敦輝。半分しか減ってないで。腹壊したんか」
皮だけになったスイカを手に遼が尋ねる。
「……別に。種があるから食べ辛いだけ」
「あー確かにな。種がチョコチップだったら食べやすいしうまいのにな。あれ、なんかそんな商品なかった?」
「知らん」
「ていうかお前、頬に種ついてるで。ようそんな器用な真似できるな」
と、遼がこちらへ手を伸ばしてきた。
指先がするっと口元をなでる。そして、
「はい、チョコチップ」
「……暑さで脳みそ溶けたんか」
「やっぱ無理あるか。どっちかっつーとめっちゃでかい黒ごまみたいだもんな。まぁええわ。ほい、記念にとっとき」
「いらんわ。自分の頭ん中に埋めとけ」
……はっ。くだらな。
小学生の時から変わらない、まるで意味のないやりとり。
ほんとに、くだらなさ過ぎて笑えてくる。
こんなことで、日常に戻れたって思えるなんて。
チリン チリン
風が吹き抜け、縁側の上に吊るされた風鈴が軽やかな音を立てる。
隣ではガッツポーズを決める祈李と悔しげな顔の智士が言い合い、脇で仁奈が傍観している。
一時的に生き返って、みんなにとっては俺が死ななかったことにされて、ここにいる。
もし、そうなってなかったら。
こいつらはこうして、笑っていただろうか。
俺のいない、夏休みの中で。
カナカナカナカナカナカナ…………
傾いた陽を背中に浴びながら歩く。影が身長の2倍くらい伸びている。
「みんな今日はありがと。うちのばあちゃんの手伝い来てくれて。それと超暑い中労働させてごめん。いつもは親戚が集まってやるのに、なんか今年はみんな忙しいらしくてさ。サボりたくて嘘言っとんじゃないんかって思うけど」
と、祈李が申し訳なさそうな顔で言う。
「俺はスイカ食えたから別にええよ。陸上やってるから体力には自信あるし」
「わたしは死ぬかと思ったー。でもおばさんの野菜いつも八百屋で買ってるから恩返し」
「あんたらどこまで単純で純粋なん。助かるけど。でも熱中症とかほんと気を付けてよ。毎年大勢が亡くなっとるんやけぇ。誰かぶっ倒れた人おらんよね?ちゃんと主張してよ」
「あ、なんかあれみたいやな。幼稚園の先生が言うさ、いない人手挙げてーってやつ」
「いないのにどうやって挙げるんだかねー」
目の前にある3人の後ろ姿。
智士と祈李、仁奈とは高校で初めて出会った。3人は同じ中学出身で、特にきっかけらしいきっかけもなく気付けば5人でつるむようになっていた。
一緒に遊んで勉強した友達。数日後にはもう会えなくなると思うと、やっぱり寂しい。とりあえず、いつか大都会にあるめっちゃ背の高い電波塔見に行こうっていう計画には参加できんな。
「なぁ、祭りって今週だったよな。もう準備とかしてんのかな」
「土日でしょ。今日まだ月曜だから早いって」
「今年も屋台の出し物で勝負するで。俺射的はもう極めたけぇ。お前らもちゃんと来いよ。特に敦輝」
智士が歩きながら振り返る。
「なんで俺」
「お前こないだ映画見に行こうやって約束したのに来んかったじゃん。RINEも返信なかったし」
あぁ、昼過ぎまで寝てたやつか。
「あれは悪かった。今度はちゃんと行くけ」
「そうや。俺が朝起こしに行ってやるから大丈夫」
「来んでええわ」
俺と遼の家は2軒分しか離れてない。だからいつも大した用もないのに押しかけてくる。親よりもこいつに朝起こされた回数の方が多いかもしれない。
「でも今年は色んなことやりたいよね。うちらもう高2だし、来年は遊ぶ暇ないだろうしさ」
「受験モード突入やなー」
「うわ嫌や。考えたくねぇ」
「ま、とりあえず週末の祭りは決定だな。あと他にもやりたいことあったらどんどん言ってこうや。みんなの予定合わせたいし」
「さんせーい」
祭りか。
現世での期限は7日後。今週の日曜日。2日間ある祭りの最終日。
最期の締め括りにはちょうどいいな。
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どこまで歩いても、いつまで経っても聞こえてくる。
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