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第75話
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防壁も家具も武具もポーションも全部作るとクラフトは涙を流して感謝した。
「アキ、助かったのだ」
後ろにいる錬金術師も涙を流した。
王とグラディウスも声をかけてくる。
「さすがだねえ!1人いるだけでこれほど違うとはね」
「予定が大幅に短縮された。礼を言おう」
「大変です!ライダーが歩いてきます!」
「ライダー?ああ、そんな奴もいたな」
全員で城の外を覗き込むと、服はボロボロになり、靴を失い、はだしで歩くみすぼらしいライダーの姿があった。
「アキ、今なら殺せるのではないか?」
「殺すなら、俺じゃない。ダッシュドラゴン部隊だろう」
ライダーから一番被害を受けてきたのはダッシュドラゴン部隊だ。
「うむ、今なら城にも余裕が出来た。ダッシュドラゴン部隊の隊長を呼べ!」
「ここにおります!」
「命令する!ダッシュドラゴン部隊総員で協力し、ライダーの首を持って来るのだ!」
「了解しました!すぐに部隊を招集します!」
隊長は3連続で花火を上げた。
ダッシュドラゴン部隊は領主であるライダーに絶対服従するよう厳しい訓練を受けていた。
それを王の命令で書き換えて自分達でライダーを殺す事で鎖から解き放つ狙いもある。
ダッシュドラゴン部隊が約800名総員で外に整列する。
そして王の命令を体長が皆に伝え、全員が復唱した。
「アキ殿!ぜひお言葉をお願いします!」
「今までライダーのせいで苦しい目に合って来たと思う。友も多く失っただろう。だがそれも今日で終わりだ!決着をつけて来てくれ!みんなで呪いの鎖を断ち切ってほしい!ライダーを殺せ!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
ライダーは自分が殺されようとしている事に気づいていない。
安心した顔をして兵に駆け寄る。
だが俺を見た瞬間に怒りだす。
「アキ!貴様!なぜダッシュドラゴン部隊に命令している!それは私の部隊だ!」
ライダーはボロボロで痩せていた。
恐らく、まともな精神状態ではない。
ここに来たら殺される事すら分からなくなっているようだ。
「お前ら!ゴミどもがあ!私がどれだけ苦労したか分かっているのかあ!」
ライダーが泣きながらダッシュドラゴン部隊に駆け寄る。
「総員構え!」
ダッシュドラゴン部隊が槍を構える。
「突撃!」
800のダッシュドラゴン部隊がライダーに突撃した。
「なん、なんだ!何をしている!私は領主だぞ!私はライダーだ!槍を向けるな!!」
「死ねえええ!ライダーあああああああああああああああ!」
「殺す!今までの恨みを晴らす!」
「くたばれ!ライダー!」
今までの恨みが伝わってくるような叫びだ。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
槍が届く瞬間にライダーは方向転換して逃げる。
生存本能が発動したか。
ライダーがダッシュドラゴン部隊を引き離して逃げていく。
「むう、あの状況であそこまで距離を取るか!やはり侮れんな!」
「う~ん。これは殺すまで何日もかかるかもねえ」
王とグラディウスは冷静に言った。
「しつこく追いかけて何日かけてでも殺すように言って来る!!!」
「うむ、頼んだ!!」
「頼むね~!!」
俺は走る。
みんな早くて距離が遠い。
ダッシュドラゴン部隊は槍を構えていた。
「投てき用意!」
「「投てき用意!」」
「投てき!」
ダッシュドラゴン部隊が投げた槍をライダーはすべて躱して逃げ切る。
あれを躱すのか!
まるでセバスだ!
俺でも躱しきれず爆炎ナイフか魔法を使わざるおえない状況を回避だけで乗り切ったのか!
速度から考えてレベル70を超える動きだろう。
俺は全力で走るがダッシュドラゴン部隊に中々追いつけない!
「縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!」
俺は何とかみんなに追いついた。
「おお!アキ殿!援軍ですか!」
「違う違う!皆!何日かかってもいい!じっくり追い詰めてライダーを殺してくれ!俺やグラディウスでも取り逃がすほどの相手だ!焦らずじっくり弱らせて確実に殺してくれ!!」
「「了解しました!!」」
「部隊を100人単位に分ける!その上で隊長の判断により臨機応変に追い詰めるのだ!ライダーを発見し次第花火を上げろ!我ら第一騎士団!そして第二騎士団で、ライダーを追いかける!」
「「了解しました!!」」
生存本能が発動している間は中々殺せない。
何度も何度も追撃してスタミナとMPを枯渇させ確実に殺す、それがベストだ。
ダッシュドラゴン部隊はそれを熟知している。
そして判断が的確で早い。
もう任せて大丈夫だろう。
「後は頼んだ」
「一緒に来られないのですか?」
「恨みのある者に討たせたい。俺じゃ駄目なんだ。プリンとチョコもそう言うだろう。今までの恨みを晴らしてくれ!!」
「そこまで、我々の事を、うううう、了解しました!存分に狩らせてもらいます!」
また隊長が泣きそうになっている。
ダッシュドラゴン部隊はライダーを追って走って行った。
【追撃5日後、ダッシュドラゴン隊長視点】
また花火が上がった。
「そろそろライダーが弱って来た!!止めを刺す!」
「「うおおおおおおお!!!」」
ライダーの生存本能は厄介だが、あのスキルはスタミナとMPを消費する。
狡猾なライダーは逃げるのがうまく、ゴブリンをぶつけその隙に逃げ、木の生い茂った森の中に逃げ隠れるなど、ダッシュドラゴン部隊が嫌がる行動を取り続けてきた。
しかし、ライダーは日が経つ事に弱って移動距離が短くなっている。
元々弱っていたはずだがライダーは異様にしぶとく逃げ回った。
だがそれも終わりだ。
今こそ全兵を一気に投入して包囲する。
ライダーの元に向かうと、すでに200の兵に包囲されていた。
「やめろ!私はライダー公爵だ!」
兵が無言で槍を突き立てる。
だが奴は腕で槍を受けながら飛び上がり、ダッシュドラゴン部隊の頭を蹴るようにして包囲を突破しようとする。
上に突き上げた槍も致命傷はすべて躱し、ジャンプして着地する瞬間に槍の投てきが無数にライダーに突き刺さるが槍が浅くしか食い込まない。
「取り囲んで突きまくれ!!」
ダッシュドラゴン部隊がライダーを取り囲み、何度も槍で突く。
「やめ!俺の生存本能は、防御さえも!」
地面に倒れても体をよじって必死で攻撃を避ける。
攻撃を受けても傷が浅い。
受けた傷も徐々に塞がっていく。
まるでゾンビだ。
「ひるむな!何度も突け!」
ライダーを何度も槍で突いた。
生存本能によって防御力さえも強化されているのか、中々死なない。
いくら攻撃しても中々当てられず、当てても傷が浅い。
避けられるはずの無い攻撃を避け、致命傷になるはずの攻撃は刃が途中で止まる。
兵士はライダーに対して恐怖を感じていた。
「うあああああ!悪魔め!死ね!死ね!」
「化け物がああ!くたばれええ!」
「死ね!早く死ねよ!」
何度もライダーを突く音が森に反響する。
そして音が止んだ。
ライダーの体は無数に突かれ、千以上の突き攻撃を食らわせた事が分かった。
「はあ、はあ、はあ、終わった」
「何度殺そうとしても逃げられた、でも、やっと、やっと終わった」
「途中からライダーが化け物のように見えました」
「そうだな、志さえ持っていれば、英雄クラスまで上り詰めていたかもしれん」
生存本能の固有スキルは自分の事しか考えないライダーを現していた。
もし、性格がもう少しだけでいい、まともならもっとみんなの役に立つような攻撃スキルを覚えていただろう。
「性根が腐っていなければ、我らダッシュドラゴン部隊も、ここまで減る事は無かったのでしょうね」
「そうだな、今は、ライダーの首を切り取って、帰還する。帰還するのだ!」
私は自らの恐怖を押さえつけるように、言い聞かせるように叫んだ。
「「了解しました!」」
ダッシュドラゴン部隊は7日目の朝に城に帰還した。
ライダーは自分の事しか考えなかった。
何かあれば人のせいにし、部下を殴り、殺して調教するように部下との上下関係を作っていた。
だがそれも終わりだ。
今は批判だけを垂れ流すライダーはいない。
アキ殿がいる。
ライダーの元部下はアキの事をありがたがった。
それだけライダーの指揮は悪かった。
ダッシュドラゴン部隊は自らライダーを殺す事でようやく呪いから解放された。
「アキ、助かったのだ」
後ろにいる錬金術師も涙を流した。
王とグラディウスも声をかけてくる。
「さすがだねえ!1人いるだけでこれほど違うとはね」
「予定が大幅に短縮された。礼を言おう」
「大変です!ライダーが歩いてきます!」
「ライダー?ああ、そんな奴もいたな」
全員で城の外を覗き込むと、服はボロボロになり、靴を失い、はだしで歩くみすぼらしいライダーの姿があった。
「アキ、今なら殺せるのではないか?」
「殺すなら、俺じゃない。ダッシュドラゴン部隊だろう」
ライダーから一番被害を受けてきたのはダッシュドラゴン部隊だ。
「うむ、今なら城にも余裕が出来た。ダッシュドラゴン部隊の隊長を呼べ!」
「ここにおります!」
「命令する!ダッシュドラゴン部隊総員で協力し、ライダーの首を持って来るのだ!」
「了解しました!すぐに部隊を招集します!」
隊長は3連続で花火を上げた。
ダッシュドラゴン部隊は領主であるライダーに絶対服従するよう厳しい訓練を受けていた。
それを王の命令で書き換えて自分達でライダーを殺す事で鎖から解き放つ狙いもある。
ダッシュドラゴン部隊が約800名総員で外に整列する。
そして王の命令を体長が皆に伝え、全員が復唱した。
「アキ殿!ぜひお言葉をお願いします!」
「今までライダーのせいで苦しい目に合って来たと思う。友も多く失っただろう。だがそれも今日で終わりだ!決着をつけて来てくれ!みんなで呪いの鎖を断ち切ってほしい!ライダーを殺せ!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
ライダーは自分が殺されようとしている事に気づいていない。
安心した顔をして兵に駆け寄る。
だが俺を見た瞬間に怒りだす。
「アキ!貴様!なぜダッシュドラゴン部隊に命令している!それは私の部隊だ!」
ライダーはボロボロで痩せていた。
恐らく、まともな精神状態ではない。
ここに来たら殺される事すら分からなくなっているようだ。
「お前ら!ゴミどもがあ!私がどれだけ苦労したか分かっているのかあ!」
ライダーが泣きながらダッシュドラゴン部隊に駆け寄る。
「総員構え!」
ダッシュドラゴン部隊が槍を構える。
「突撃!」
800のダッシュドラゴン部隊がライダーに突撃した。
「なん、なんだ!何をしている!私は領主だぞ!私はライダーだ!槍を向けるな!!」
「死ねえええ!ライダーあああああああああああああああ!」
「殺す!今までの恨みを晴らす!」
「くたばれ!ライダー!」
今までの恨みが伝わってくるような叫びだ。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
槍が届く瞬間にライダーは方向転換して逃げる。
生存本能が発動したか。
ライダーがダッシュドラゴン部隊を引き離して逃げていく。
「むう、あの状況であそこまで距離を取るか!やはり侮れんな!」
「う~ん。これは殺すまで何日もかかるかもねえ」
王とグラディウスは冷静に言った。
「しつこく追いかけて何日かけてでも殺すように言って来る!!!」
「うむ、頼んだ!!」
「頼むね~!!」
俺は走る。
みんな早くて距離が遠い。
ダッシュドラゴン部隊は槍を構えていた。
「投てき用意!」
「「投てき用意!」」
「投てき!」
ダッシュドラゴン部隊が投げた槍をライダーはすべて躱して逃げ切る。
あれを躱すのか!
まるでセバスだ!
俺でも躱しきれず爆炎ナイフか魔法を使わざるおえない状況を回避だけで乗り切ったのか!
速度から考えてレベル70を超える動きだろう。
俺は全力で走るがダッシュドラゴン部隊に中々追いつけない!
「縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!縮地!」
俺は何とかみんなに追いついた。
「おお!アキ殿!援軍ですか!」
「違う違う!皆!何日かかってもいい!じっくり追い詰めてライダーを殺してくれ!俺やグラディウスでも取り逃がすほどの相手だ!焦らずじっくり弱らせて確実に殺してくれ!!」
「「了解しました!!」」
「部隊を100人単位に分ける!その上で隊長の判断により臨機応変に追い詰めるのだ!ライダーを発見し次第花火を上げろ!我ら第一騎士団!そして第二騎士団で、ライダーを追いかける!」
「「了解しました!!」」
生存本能が発動している間は中々殺せない。
何度も何度も追撃してスタミナとMPを枯渇させ確実に殺す、それがベストだ。
ダッシュドラゴン部隊はそれを熟知している。
そして判断が的確で早い。
もう任せて大丈夫だろう。
「後は頼んだ」
「一緒に来られないのですか?」
「恨みのある者に討たせたい。俺じゃ駄目なんだ。プリンとチョコもそう言うだろう。今までの恨みを晴らしてくれ!!」
「そこまで、我々の事を、うううう、了解しました!存分に狩らせてもらいます!」
また隊長が泣きそうになっている。
ダッシュドラゴン部隊はライダーを追って走って行った。
【追撃5日後、ダッシュドラゴン隊長視点】
また花火が上がった。
「そろそろライダーが弱って来た!!止めを刺す!」
「「うおおおおおおお!!!」」
ライダーの生存本能は厄介だが、あのスキルはスタミナとMPを消費する。
狡猾なライダーは逃げるのがうまく、ゴブリンをぶつけその隙に逃げ、木の生い茂った森の中に逃げ隠れるなど、ダッシュドラゴン部隊が嫌がる行動を取り続けてきた。
しかし、ライダーは日が経つ事に弱って移動距離が短くなっている。
元々弱っていたはずだがライダーは異様にしぶとく逃げ回った。
だがそれも終わりだ。
今こそ全兵を一気に投入して包囲する。
ライダーの元に向かうと、すでに200の兵に包囲されていた。
「やめろ!私はライダー公爵だ!」
兵が無言で槍を突き立てる。
だが奴は腕で槍を受けながら飛び上がり、ダッシュドラゴン部隊の頭を蹴るようにして包囲を突破しようとする。
上に突き上げた槍も致命傷はすべて躱し、ジャンプして着地する瞬間に槍の投てきが無数にライダーに突き刺さるが槍が浅くしか食い込まない。
「取り囲んで突きまくれ!!」
ダッシュドラゴン部隊がライダーを取り囲み、何度も槍で突く。
「やめ!俺の生存本能は、防御さえも!」
地面に倒れても体をよじって必死で攻撃を避ける。
攻撃を受けても傷が浅い。
受けた傷も徐々に塞がっていく。
まるでゾンビだ。
「ひるむな!何度も突け!」
ライダーを何度も槍で突いた。
生存本能によって防御力さえも強化されているのか、中々死なない。
いくら攻撃しても中々当てられず、当てても傷が浅い。
避けられるはずの無い攻撃を避け、致命傷になるはずの攻撃は刃が途中で止まる。
兵士はライダーに対して恐怖を感じていた。
「うあああああ!悪魔め!死ね!死ね!」
「化け物がああ!くたばれええ!」
「死ね!早く死ねよ!」
何度もライダーを突く音が森に反響する。
そして音が止んだ。
ライダーの体は無数に突かれ、千以上の突き攻撃を食らわせた事が分かった。
「はあ、はあ、はあ、終わった」
「何度殺そうとしても逃げられた、でも、やっと、やっと終わった」
「途中からライダーが化け物のように見えました」
「そうだな、志さえ持っていれば、英雄クラスまで上り詰めていたかもしれん」
生存本能の固有スキルは自分の事しか考えないライダーを現していた。
もし、性格がもう少しだけでいい、まともならもっとみんなの役に立つような攻撃スキルを覚えていただろう。
「性根が腐っていなければ、我らダッシュドラゴン部隊も、ここまで減る事は無かったのでしょうね」
「そうだな、今は、ライダーの首を切り取って、帰還する。帰還するのだ!」
私は自らの恐怖を押さえつけるように、言い聞かせるように叫んだ。
「「了解しました!」」
ダッシュドラゴン部隊は7日目の朝に城に帰還した。
ライダーは自分の事しか考えなかった。
何かあれば人のせいにし、部下を殴り、殺して調教するように部下との上下関係を作っていた。
だがそれも終わりだ。
今は批判だけを垂れ流すライダーはいない。
アキ殿がいる。
ライダーの元部下はアキの事をありがたがった。
それだけライダーの指揮は悪かった。
ダッシュドラゴン部隊は自らライダーを殺す事でようやく呪いから解放された。
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