雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ

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第87話 新しいゲート

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 俺は置いてけぼりのみんなに前世の記憶を語りそして帰還した。
 ゲートの入り口に新しいゲートが出現し賑わう。
 人だかりが出来ており、冒険者が多く入って賑わっていたが、俺は入る気になれず、そのまま帰還し寮のベッドで横になった。

 前世の俺は今より強かった。

 前世でも今でも光魔法を使えないのは変わらない。

 でも前世の俺はもっと闇魔法を使えた。

 剣技ももっと高かった。

 前世の俺、クラックの意識、今の俺、全部を混ぜ合わせるように意識しながら訓練を行えばもっと強くなれる気がする。
 光魔法以前に今できる事をやってみよう。

 異空間から一瞬でグレイブレイブを出現させた。
 兄さんとライカさんの武器もそうだが、異空間からの取り出しと自動修復機能が付いている。

 剣に埋め込まれた4つの宝石。
 その内の2つが輝く。
 グレイブレイブの半分しか力を引き出せていない。

「1つ1つ、一歩ずつ、か」

 俺はその日から剣と闇魔法の訓練を続けた。


 ◇


【7日後】

 剣の動きだけはしっくりくるようになってきた。

 闇魔法をまだ使えるようになっていないが、前世に使っていたあの魔法が使えるようになれば前より大分マシな戦いが出来るだろう。

 剣を振り休憩するとマナが歩いてきた。

「マナ、魔法弾作りは順調か?」
「その事なんだけど、本当はアキラにお礼の剣を作りたかったのよ、でも、必要無くなってしまったわね」
「欲しいぞ」

「……でも、グレイブレイブがあるでしょ? 異空間から一瞬で出し入れ出来て自動修復機能まで付いているわ。こんな剣を作れるのは、日本でも何人いるか、ううん、作れるかどうかすら分からないのよ」
「この剣はな、極端な性能の剣なんだ。触ってみるか?」

「見てみたいわ」

 グレイブレイブをマナの前にかざして魔力を込めている。
 マナが両手で剣を撫でて、吸い込まれるような目で剣を見る。
 マナの顔がとてもきれいに見えた。

「……分かったわ。これなら、違う剣が必要ね」
「だろ?」
「剣の形はどんなのが好み?」
「これと同じ感じで、宝石とかは無くていいわ」

 マナが剣の寸法を測り、写真を撮った。

「分かったわ。作るわね」
「でも、魔法弾を優先して欲しい」
「……ええ、そうするわ」

 マナが去っていった。
 魔法訓練はまだ甘いけど、剣の訓練はそこそこ終わった。
 後は実戦で剣を振りたい。
 そう言えば、リツカが訓練が終わったら連絡が欲しいと言っていたな。

 リツカに連絡するとすぐにメッセージが帰ってきた。

『パーティーでゲートに行こう』


 こうして4人が集まった。
 でも、隣にカドマツさんが立ってほほ笑んでいた。

「もう、忍ばない事にしたんですね」
「うん、忍ぶの辞めちゃいました」

 カドマツさんがほほ笑む。

「ヤナギさんは?」
「刀の修行中ですよ」
「ヤナギさんの護衛はもう無いんですね」
「色々体制が変わりましたから」

「顔出しは大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ~。体制が変わったので」

 何があったか分からないけど色々変わったのは分かった。

「新しく現れたゲートに行こう!」
「でも、犠牲者が多いので入ってすぐに出ましょう☆」
「そうなのか?」

 3人が俺を見た。

「配信を見てないの? 学校じゃ話題よ?」
「いや、1人で剣を振って闇魔法の練習だけしていた」
「キドウが大活躍だったのも知らないんですか?」

「知らない」
「よく分かりました。まずこれを見ましょう」

 メイが俺の隣に立って体を俺に寄せながらスマホ画面をかざした。

「くっつきすぎじゃない?」
「私達は前から仲良しです。アキラ、これは切り抜き動画です」

 配信が始まった。

 6人の冒険者が新しいゲートの前で叫ぶ。

『天下取ってやるぜええええええ!』
『『うええええええええいいいいいいいいいいいいいいいい!』』

「これって、西高校の?」
「はい、卒業生です」

 6人の男がゲートに入った。
 大きなトンネルのようなうねうねした道が奥まで続いている。

『ヒュー! いい眺めだ。一本道で分かりやすいぜ!』
『どんどん行こうぜ! うええええええい!』

 6人が奥に進んでいった。
 動画が高速再生で進んでいく。
 そしてモンスターが出た所で通常スピードに戻った。

『牛ちゃん登場おおおおおおお! うえええええい!』

 6人で牛の群れを倒していった。

「皆結構強いな」
「ソウルランクCとDのパーティーです。ここからですよ」

『余裕余裕、こんなの俺達にかかれば余裕っしょ!』
『帰ったら酒飲もうぜ!』
『いいねええ!』

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

 10メートル級のイノシシが走って来る。
 全員がそれを避けるとまた方向転換して走って来る。

「そういう事か、大きなトンネルのような場所で10メートル級のイノシシは脅威だ」
「これは倒します」
「そうか」
「この先までスキップしますね」

『はあ、はあ、くそが、まるで新幹線だぜ!』
『はあ、はあ、やりずれえ、ひき殺すように突撃して何度も何度も方向転換してきやがる、だが、俺達の敵じゃねえぜ!』

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

 地面が揺れて向こうが土煙で曇る。
 まるでヌーの大移動だ。

『足音が、多い』
『イノシシの大軍だ!』
『じょ、冗談じゃねえ! う、撃て撃て!』

 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!

『駄目だ! 数が多すぎるぜ!』
『ま、魔法で、範囲魔法で吹き飛ばせ!』
『ブリザード!』

 氷のつぶてを雨のように降らせてイノシシを倒していくが火力不足だ。
 
『逃げるぞ!』
『ま、待ってくれ! ギャアアアアアアアア!』

 逃げた冒険者が追い付かれて剣で戦う。
 何とかイノシシの突撃を凌いだ。

『はあ、はあ、くそ、やっと、通り過ぎたか、ああ、いてええ!』
『何人やられた? 何人残ってる!?』
『4人だ、4人しか残っていない!』

 イノシシが方向転換して襲い掛かってきた。

『やめろ、無理だ、来るなあああああああああああああああ!』
『うああああああああああああああああああ!』
『逃げろ逃げろ逃げろおおおおおおおおお!』
『やめ、く、くっそおおおおお ころす、げふ、ぐふぉ!』

 ここで動画の最後に、6人が死んだ事実が字幕で表示された。

「1つ目の動画はこんな感じです」

 これが、新しいゲートか。
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