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第16話 ユウタの武器
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「危険だ!」
「大丈夫、ユウタなら倒せるわ!」
「わかった。だが危ないと思ったらすぐに助けに入る」
俺は前に出た。
「ステッキ!」
ポン!
左手にステッキを出現させながらも右手でサーカス団のみんなに貰ったナイフを投げる。
ブラックウルフの眉間にヒットして1体が魔石に変わった。
良いナイフだ。
「ナイフ!」
9本の魔法ナイフがブラックウルフ1体に突き刺さり魔石に変わった。
囲まれないように走り、1番前に迫ったブラックウルフをステッキで3回殴ると魔石に変わった。
死角から飛び掛かって来るブラックウルフをサーカスの曲芸のように躱して後頭部を殴るとよろめいた。
ブラックウルフが何度も飛び掛かって来るが躱してステッキで殴った。
正面から飛び掛かって来たブラックウルフにカウンターの突きをお見舞いする。
3、2、1
「ナイフ!」
9本のナイフを9体にばら撒くように飛ばしてヒットさせるとブラックウルフがひるんだ。
ステッキで近くにいる敵から殴り1体ずつ丁寧に魔石に変えていく。
「凄い!もう、11体倒した!」
「ウオーン!」
残った7体のブラックウルフが俺の周りをくるくると回った。
「まずい!ブラックウルフがアーツを使うぞ!」
「大丈夫よ!ユウタなら大丈夫!」
ブラックウルフが黒いオーラをまとって速度を上げた。
「高速で一気に飛び込んでくるぞ!気を付けろ!」
都合がいい。
速ければ速いほどカウンターのダメージが増す。
俺はカウンターを合わせるようにステッキを振った。
7体すべてがカウンターを受けて4体が魔石に変わった。
追い打ちをかけるようにステッキで殴り、魔物を全滅させた。
「な!圧勝、だと!」
「アーツ無しで、アーツを使ったブラックウルフの群れを、あっさり仕留めた!」
「ねえ、無傷よね?パラソル無しで無傷よね?」
「そうですね。パラソルよりナイフの方が良いと思って」
「それは防御が必要ないと言っているのと同じことだ」
「避けられると思って」
「そ、そう言えばロックショットと戦った時も無傷だったのよね?」
「無傷、だったみたい」
「次も、1人で戦って貰っていいか?」
「分かりました」
俺はその後5連戦して魔物を全滅させ続けた。
イノシシとゴブリンが1回出てきたが残りは全部ブラックウルフだった。
◇
焚火を囲み、食事を取りながら俺の話が始まった。
「おかしい、絶対おかしい。何でノーダメージ?」
「え、避けたので」
「なんで疲れてないの?」
「魔物が殴られるために飛び掛かってきてくれるので、立って待ってました」
「決め手となるアーツが無いまま、打撃力に欠けたまま余裕で戦っているのを見るとそれが逆に恐ろしく感じる」
「そう、それ!」
「ユウタはよく分からないけど、攻撃が全く当たらないのよ。何度も打ち合って来たわ。でも一回も当てられなかったのよ」
「一回もか?アリーチェと打ち合ってか!?」
「そうよ?」
「本気でやってか?」
「そうよ」
「ユウタ殿、ステータスを見せて貰えないだろうか?強さの秘密を知りたい、いや、ぜひ見せて欲しい!」
アリーチェに話しかけようとするとアリーチェは先回りして答えた。
「私も見せるわ」
ユウタ・男・15才
ジョブ:遊び人
体力: 35→39
魔力: 31→34
速力: 39→42
器用: 50→63
幸運:100→232
スキル:ステッキレベル9、曲芸レベル7→8、おさわりレベル1
固有スキル:???
アリーチェ・女・15才
ジョブ:戦士
体力:31→34
魔力: 8→9
速力:26→30
器用:21→23
幸運:14→17
スキル:戦士の心レベル5、残像剣レベル1【NEW!】
固有スキル:乙女の接吻
「幸運値が232!?高すぎ!」
「転生してそこまで経って無いわよね?いくら何でも成長が早すぎるわ!」
「曲芸のレベルが8!このレベルは始めて見た。あのピエールに大きく差をつけて高い!」
強さの秘密?自分ではよく分からない。
一つ可能性があるとすれば、
「……幸運値が高いのがいいんですかね?」
「いや、幸運値は器用の値に比べて、命中、回避に大きな影響を与えない。体感的に強さの理由で感じる部分はあるが、それをうまく言葉に出来ない。少し時間が欲しい」
副兵士長が目を閉じた。
全員がそれを見守る。
10分ほどしてから副兵士長が目を開けてゆっくりと答える。
「ユウタ殿の強さの秘密は立ち回りの上手さだ。ステータスに現れない位置取りやその場その場での判断の良さ、どこでどう動きどうスキルを使っていくかの判断が突出していてしかもその判断が早い。この感覚をみんなにうまく伝えるのは難しいと思っていた。だが、能力値だけ見てもある程度は説明できる。ユウタ殿の体力・速力の数値に比べて器用の値が突出して伸びている点を考えて欲しい」
「あ!確かに!幸運値が目立っていたけど、よく見ると器用の値が大きく伸びているわ!」
「これは、無駄に動いたり走ったりしていない証拠だ。1つ1つの動作に無駄が無いため、余計な力やスタミナを使わずに動けているのだろう。無駄が無い為、能力の上昇バランスが崩れている」
「あ!だから打ち合いをしても私の攻撃が当たらなかったのね」
「そうだ、普通に考えて、武器の扱いと体力・速力が強化されるアリーチェの攻撃を1撃も食らわないのはおかしい、だが、ステータスに現れない強さがあると考えれば辻褄は合う」
アリーチェが持っている戦士の心は近接戦闘の技量を上げ、体力・速力を引き上げる効果がある為能力値以上の強さを持っている。
やる事が見えて来た気がする。
体力と魔力の低さは攻撃力の低さに繋がる。
無駄のない動きは体力と魔力の成長を遅らせる、俺のステータスはバランスが悪くなってきているようだ。
特に俺のスキルは、遊び人は能力値が強化されるスキルを持たない。
ステッキは自分で発生させる為、強い武器を装備して強くなれるわけでもない。
ステッキを使わない=スキルをあまり使わない=スキル成長を捨てる、となる為ステッキを使わない戦闘はそれはそれで良くない。
今は体力と魔力を意識して使っていこう。
スカウトが急に立ち上がって構えた。
「敵の反応!これは!狡猾なロックショットとゴブリンが走って来る!」
「襲撃か!」
「違う!ロックショットが追われている!」
遠くからロックショットとゴブリンが走って来る。
そして後ろからはそれを追う2人の人影があった。
「なん、だと!ロックショットが逃げ出す存在!あの2人は!」
副兵士長が笑った。
「魔物にもエースがいるように、アクア王国にも2人のエースがいる!挟み撃ちにするぞ!」
全員で構えた。
「大丈夫、ユウタなら倒せるわ!」
「わかった。だが危ないと思ったらすぐに助けに入る」
俺は前に出た。
「ステッキ!」
ポン!
左手にステッキを出現させながらも右手でサーカス団のみんなに貰ったナイフを投げる。
ブラックウルフの眉間にヒットして1体が魔石に変わった。
良いナイフだ。
「ナイフ!」
9本の魔法ナイフがブラックウルフ1体に突き刺さり魔石に変わった。
囲まれないように走り、1番前に迫ったブラックウルフをステッキで3回殴ると魔石に変わった。
死角から飛び掛かって来るブラックウルフをサーカスの曲芸のように躱して後頭部を殴るとよろめいた。
ブラックウルフが何度も飛び掛かって来るが躱してステッキで殴った。
正面から飛び掛かって来たブラックウルフにカウンターの突きをお見舞いする。
3、2、1
「ナイフ!」
9本のナイフを9体にばら撒くように飛ばしてヒットさせるとブラックウルフがひるんだ。
ステッキで近くにいる敵から殴り1体ずつ丁寧に魔石に変えていく。
「凄い!もう、11体倒した!」
「ウオーン!」
残った7体のブラックウルフが俺の周りをくるくると回った。
「まずい!ブラックウルフがアーツを使うぞ!」
「大丈夫よ!ユウタなら大丈夫!」
ブラックウルフが黒いオーラをまとって速度を上げた。
「高速で一気に飛び込んでくるぞ!気を付けろ!」
都合がいい。
速ければ速いほどカウンターのダメージが増す。
俺はカウンターを合わせるようにステッキを振った。
7体すべてがカウンターを受けて4体が魔石に変わった。
追い打ちをかけるようにステッキで殴り、魔物を全滅させた。
「な!圧勝、だと!」
「アーツ無しで、アーツを使ったブラックウルフの群れを、あっさり仕留めた!」
「ねえ、無傷よね?パラソル無しで無傷よね?」
「そうですね。パラソルよりナイフの方が良いと思って」
「それは防御が必要ないと言っているのと同じことだ」
「避けられると思って」
「そ、そう言えばロックショットと戦った時も無傷だったのよね?」
「無傷、だったみたい」
「次も、1人で戦って貰っていいか?」
「分かりました」
俺はその後5連戦して魔物を全滅させ続けた。
イノシシとゴブリンが1回出てきたが残りは全部ブラックウルフだった。
◇
焚火を囲み、食事を取りながら俺の話が始まった。
「おかしい、絶対おかしい。何でノーダメージ?」
「え、避けたので」
「なんで疲れてないの?」
「魔物が殴られるために飛び掛かってきてくれるので、立って待ってました」
「決め手となるアーツが無いまま、打撃力に欠けたまま余裕で戦っているのを見るとそれが逆に恐ろしく感じる」
「そう、それ!」
「ユウタはよく分からないけど、攻撃が全く当たらないのよ。何度も打ち合って来たわ。でも一回も当てられなかったのよ」
「一回もか?アリーチェと打ち合ってか!?」
「そうよ?」
「本気でやってか?」
「そうよ」
「ユウタ殿、ステータスを見せて貰えないだろうか?強さの秘密を知りたい、いや、ぜひ見せて欲しい!」
アリーチェに話しかけようとするとアリーチェは先回りして答えた。
「私も見せるわ」
ユウタ・男・15才
ジョブ:遊び人
体力: 35→39
魔力: 31→34
速力: 39→42
器用: 50→63
幸運:100→232
スキル:ステッキレベル9、曲芸レベル7→8、おさわりレベル1
固有スキル:???
アリーチェ・女・15才
ジョブ:戦士
体力:31→34
魔力: 8→9
速力:26→30
器用:21→23
幸運:14→17
スキル:戦士の心レベル5、残像剣レベル1【NEW!】
固有スキル:乙女の接吻
「幸運値が232!?高すぎ!」
「転生してそこまで経って無いわよね?いくら何でも成長が早すぎるわ!」
「曲芸のレベルが8!このレベルは始めて見た。あのピエールに大きく差をつけて高い!」
強さの秘密?自分ではよく分からない。
一つ可能性があるとすれば、
「……幸運値が高いのがいいんですかね?」
「いや、幸運値は器用の値に比べて、命中、回避に大きな影響を与えない。体感的に強さの理由で感じる部分はあるが、それをうまく言葉に出来ない。少し時間が欲しい」
副兵士長が目を閉じた。
全員がそれを見守る。
10分ほどしてから副兵士長が目を開けてゆっくりと答える。
「ユウタ殿の強さの秘密は立ち回りの上手さだ。ステータスに現れない位置取りやその場その場での判断の良さ、どこでどう動きどうスキルを使っていくかの判断が突出していてしかもその判断が早い。この感覚をみんなにうまく伝えるのは難しいと思っていた。だが、能力値だけ見てもある程度は説明できる。ユウタ殿の体力・速力の数値に比べて器用の値が突出して伸びている点を考えて欲しい」
「あ!確かに!幸運値が目立っていたけど、よく見ると器用の値が大きく伸びているわ!」
「これは、無駄に動いたり走ったりしていない証拠だ。1つ1つの動作に無駄が無いため、余計な力やスタミナを使わずに動けているのだろう。無駄が無い為、能力の上昇バランスが崩れている」
「あ!だから打ち合いをしても私の攻撃が当たらなかったのね」
「そうだ、普通に考えて、武器の扱いと体力・速力が強化されるアリーチェの攻撃を1撃も食らわないのはおかしい、だが、ステータスに現れない強さがあると考えれば辻褄は合う」
アリーチェが持っている戦士の心は近接戦闘の技量を上げ、体力・速力を引き上げる効果がある為能力値以上の強さを持っている。
やる事が見えて来た気がする。
体力と魔力の低さは攻撃力の低さに繋がる。
無駄のない動きは体力と魔力の成長を遅らせる、俺のステータスはバランスが悪くなってきているようだ。
特に俺のスキルは、遊び人は能力値が強化されるスキルを持たない。
ステッキは自分で発生させる為、強い武器を装備して強くなれるわけでもない。
ステッキを使わない=スキルをあまり使わない=スキル成長を捨てる、となる為ステッキを使わない戦闘はそれはそれで良くない。
今は体力と魔力を意識して使っていこう。
スカウトが急に立ち上がって構えた。
「敵の反応!これは!狡猾なロックショットとゴブリンが走って来る!」
「襲撃か!」
「違う!ロックショットが追われている!」
遠くからロックショットとゴブリンが走って来る。
そして後ろからはそれを追う2人の人影があった。
「なん、だと!ロックショットが逃げ出す存在!あの2人は!」
副兵士長が笑った。
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全員で構えた。
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