無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ

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第3話

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 斥候スキルは直感を強化するカバー範囲が広いスキルだ。
 ゲームに出てくる盗賊キャラのイメージに近い。
 器用になったり敵を感知したり気配を消したりマップを把握したりする。
 その中で特に重宝されるのがスキルや状態異常を見抜く力だ。
 
 ハンターは自分でスキルを見る事が出来ない。
 自覚できるスキルと自覚出来ないスキルがある。
 金を払ってでもスキルを見て貰いたいスキルホルダーはいる。
 斥候スキルは他の戦闘スキルに比べ戦闘力は少し落ちる。
 でもパーティーに1人いれば重宝される。
 そして斥候持ちは少ない。

「斥候スキルでスキルを……それ、見て貰ったらお金を払う事になってしまうから、いいよ」
「お金はいいよ」
「衝突しそうになって、大きい声を出して、スキルまで見て貰ったら悪いから」

『遠慮し過ぎだ。早く見て貰え。そしてスキルを教えろ』
『男のスキルには興味がない』
『俺は気になるけどな』
『カケルが走る速度は狂っている。あいつ絶対普通のスキルホルダーじゃない』
『カケルは気を使いすぎだけどネコリコはネコリコで急に距離を詰めて色々と聞きすぎだ。結果どっちもどっち、黙って見て貰え。ネコリコがただで見たいって言ってるんだから』
『あいつのスキルは絶対に普通じゃない。スキルを教えて欲しい』


「ううん、私の方こそ急に話が飛んだり変なこと聞いちゃったから。それに、カケルさんは悪い人じゃないと思う。斥候の直感でそこは分かるから。それにきゅうを連れているのに悪い人なわけないよ」

『俺明日大穴できゅうを探してくるんだ』
『死亡フラグやめろって』
『きゅうさえいればリコと急接近出来るのか、俺もスキルホルダーだったらきゅうを探しに行くのに』
『億できゅうを買うわ』
『きゅうは意味不明生物だからどこにいるか分からない』



「分かった。頼むけど、後でお礼はするから」

「いいんだけどなあ。じゃ、行くよ!……え!?5つも!」
「ストップ!ストップ!す、スキル名は言わないでくれ!」
「ふぐ~~!」

 俺は思わず彼女の口を押えた。
 彼女はコクコクと頷く。

『リコちゃん、失言だったな』
『スキル5つ持ちって意味か?』
『リコちゃんの顔に触れるな!』
『セクハラですよ。こういうのは良くない』

『プルプル柔らかくちびるに俺も触れたい』
『リコちゃんの失言に草、いいぞ、もっとやれ』
『あんなに若いのにスキルを5つも持ってるのは凄くね!』
『スキルは多ければいいってもんじゃない。1つを深く磨くことも大事だ』

『少なくとも速度系のスキルはかなり磨いてるだろ』
『スキル無しであの速さだったら人間やめてるぜ』
『スキルを持っている時点でエリートで人間やめてるんんだよなー』
『スキルを持っていても1つだけの人が多数派だ。確かスキル保持数のギネスブックは7つだったはず』
『でも、その7つはただスキルを取る為に訓練しただけだ。スキルの練度は低いんだよなあ』
『あの若さで5つ持っていれば相当優秀だよ。てか逸材だな』

「あ、危なかった。言っちゃいそうになっちゃったから。スキルは隠したいんだね」
「そうだな。うん、言い忘れていた。スキルバレはしたくない」
「配信で聞こえないように言うね」

 彼女は空中にあるこぶし大の魔法陣を操作して5メートルほど離す。
 そして、俺の耳元に近づいた。
 きゅうが俺を軸にしてすっと隠れた。

「スキルはね、体術・疾風・硬化・アイテムボックス・気功の5つだよ」

 囁くような彼女の声に鳥肌が立った。
 いい匂いがふわっとただよい、彼女の手のぬくもりが俺に触れる。

『体術』拳や蹴りの戦闘能力が上がる。身体能力が上がる

『疾風』速度が上昇する

『硬化』体を硬くする事で防御力と体術の攻撃力を上げる

『アイテムボックス』異空間に物質を収納出来る

『気功』大気から魔力を取り込み、体に循環させることですべての状態を回復させる。自分以外の対象に使う場合多くの魔力を消費する。


 俺は気功を使えたのか。
 そう言えば魔力を取り込んで温かくなるような感覚はあった。
 能力値が上がって体が強くなったのかと思っていたが、気功のおかげで疲れにくかったのか。

「ありがとう、助かった。自分で分かっていなかったスキルがあった。意識してスキルを使ってみる」
「凄いね、高校ではスキルを隠してたりしたの?」
 
 彼女は俺の耳で囁き続ける。

「そうだな」
「やっと喜んでくれたね」
「もう、ひそひそ話さなくて大丈夫だぞ?」
「言っちゃ悪い事、言っちゃいそうで」

 彼女が俺から離れない。

「ああ、そういう事か」
「元気になった?」
「え?」
「元気無さそうだったから」

 彼女の顔を見ると体が熱くなってしまう。

「もうスキルの話は終わり。耳打ちは終わりにしよう」

 恥ずかしくなって心臓がバクバクと鳴ってしまう。

『なんか今、エロくなかった?』
『何言ったのか気になる。教えてほしい』
『ご褒美いいなあ』
『囁きプレイで1万は余裕で払える』
『俺10万』
『50まんまでいけるで』

「元気出た?」
「自分の、暗い表情に気づかなかった。不快な思いをさせてごめん。実は今日会社を辞めるように言われて辞めて、その後家に帰ってきゅうの元気が無い事に気づいたんだ」

「そうだったんだね」
「だからきゅうの元気を出したくて大穴に行って散歩したいと思った。きゅうは大穴散歩が好きだから」

「そっか……きゅうのスキルも見たいな」
「多分、見る事は出来ないと思う。前見て貰って出来なかったから」
「見れないの?それってきゅうも斥候のスキルを持ってるのかな?」
「そうかもしれない」

『斥候は持ってそうwwwww』
『隠れるのがうまいよなwwwwww』
『斥候はスキルを見られそうになっても隠す事も出来るからな』
『きゅうは今も斥候をしている件』
『あのモフモフは何なんだ?』
『だから意味不明生物なんだよ。大穴ではたまに新種が発見されるだろ?それの内の1匹だ』
『きゅうが隠れてこっちを見ている』
『可愛いな』

 斥候のスキルは自分の能力を隠す事が出来る。
 俺もきゅうの能力を完全には分かっていない。
 でも、きゅうは大穴で道案内をしてくれる。
 斥候のスキルは持っているだろう。

「でも、見てもいいかな?」
「うん、お願いしてみようかな」

 俺は彼女から1歩離れてきゅうを頭に乗せた。
 彼女はきゅうをじっと見る。

「……スキルが、見えない」
「やっぱりか。ありがとう」

「で、でも、魔力をもっと目に込めれば行けるかも」
「いや、いいんだ。十分助かった。ありがとう。きゅうと散歩に行って来る。きゅうを大事にしたいんだ」
「次合う時はもっと出来るようにしておくね。またねー」
「また」

 俺は手を振って大穴の前まで走った。
 彼女と話をしていて恥ずかしくなってしまったのだ。

『アレ散歩じゃなくてダッシュじゃん』
『あの風圧を受けてきゅうは大丈夫なのか?』
『あいつ何できゅうチャンネルをやってるんだ?自分が出て大穴で配信すればすぐバズるだろ?』
『身バレしたくないんだろ』
『副業禁止なんじゃね?』

『あの速度が出せるなら大虫を簡単に倒せるだろ?すぐ金を稼げるのになんで会社にいる必要ある?』
『さあ、給料がいいんじゃね?』
『カケルが色々おかしい、捜査を開始する!』
『うむ、捜査班、頼むのだよ』

 大穴の前で呼吸を整える。

「ふう、緊張した。彼女は美人だし、距離が近いし、あー、ドキドキした。きゅう、俺やっぱり、人が苦手みたいだ」
「きゅう」

「きゅう、疲れてないか?走っても大丈夫か?」
「きゅ?」
「……分からないな……今日は気分を変えて歩くか」

 俺は歩いて大穴の中に入った。
 いつも走っていた大穴の景色が何故か少し違って見えた。
 




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