無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ

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第8話

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 目が覚めると、いい匂いがした。
 食べ物の匂い?

 ここはどこだ?
 俺は、ベンチで気を失って、それから……

 きゅうが俺にすりすりする。
 きゅうの動きが良くなった、いや、元に戻ったか。

「元気になったか?」
「きゅう!」
「おお、良かった。でも、まだ痩せている」

 周りを見渡すと壁にJK服がかかっている。
 ハンター高校専用の防御効果を付与した制服か。

 女の子の部屋?
 ネコノが運んでくれたのか?

 俺はきゅうを乗せて部屋を出た。
 扉を開けるとネコノがいた。
 目が泣いた後のように赤い。
 ぱんにゃんの店主もいた、リコの母だろう。

 2人を見ると雰囲気が似ていた。

「あら、起きたのね」
「おはよう、ございます?」
「どうして片言なの?」
「どういえばいいか迷ってしまって」

「か、カケルさん!ごめんなさい!配信で迷惑かけてごめんなさい!」
「いや、いいんだ。おかげできゅうが元気になったから、な、きゅう」
「きゅう!きゅきゅきゅきゅう!」

 きゅうが左右にブンブンと体を振って元気アピールをする。
 ナデナデ効果と目の前に食事がある為かテンションが異様に高い。

「ほら、元気な証拠だ」
「可愛いわね」
「きゅう、元気になったの?」
「きゅう♪」

「それよりも座りましょう。ご飯が出来ているわ」
「色々迷惑をかけたのにご飯まで貰ってしまったら」
「いいから座りましょう。あまり遠慮するのも失礼よ」

「……はい、いただきます」
「カレーパンもあるよ!」

 ネコノがカレーパンを俺の前に置いた。
 きゅうをテーブルの上に置くがきゅうは口をつけない。

「あら?きゅうは食べないの?カレーパンが好きだと言っていたけど、やっぱり辛い物は駄目なのかしら」
「違うよ、きゅうは食べさせてあげないと食べないから」
「きゅううう」

 きゅうは斜め下を向いて止まったまま一向に口をつけない。

「きゅう、たくさん食べよう」

 俺はカレーパンをちぎってきゅうに差し出す。

「きゅう♪」

 もっもっも、と勢いよく口を動かしてカレーパンを頬に溜める。
 俺は何度もカレーパンを手渡しで食べさせる。

「ちっちゃいのに、こんなに口に入れて大丈夫なの?」
「大丈夫です、ええと、何と呼べば」
「リコママでいいわ」

 ネコノと雰囲気が似ている。

「そ、そうですか、リコママ、美味しいご飯をありがとうございます」
「どういたしまして、どんどん食べましょう。きゅうが待ってるわ」

 きゅうは俺を見て食べさせられるのを待っていた。

「たくさん食べて体重をもどそうな」

 俺は十分な量をきゅうに食べさせた。
 きゅうはテーブルに佇み、口を動かしながら頬に溜めたカレーパンをちょっとずつ飲み込んでいく。

「ふふふ、顔で食べてる」
「きゅう、終わったら口を拭こうな」
 
「カケル君も食べましょう」
「いただきます」

 カレーパンにご飯とみそ汁、そしてとんかつとサラダ、更にひじきの煮物。
 俺は黙々と食べる。

 ネコノとネコノママが俺を見つめた。

「どうしました?」
「いい食べっぷりで作りがいがあるわ」
「カケルさんって食べる時きゅうに似てるね」
「リコ、やめなさい」
「……ごめんなさい」

「いいですよ。お腹が空いていたからかな?朝軽く食べてから、何も食べてなくて」
「若いのに夜まで食べないなんて、良くないわ。もっと食べましょう」

 ネコノママがご飯を追加し、カレーパンを追加した。

「全部、食べられる気がします」
「ええ、遠慮せずに食べましょう」

 俺は黙々とすべてを平らげた。

「いい食べっぷりで作る方も気持ちがいいわ」
「美味しかったです」
「お茶入れるね」
「ありがとう」

 2人とも優しいな。
 俺の両親とは全然違う。
 2人はいい人だ。

「頬に溜めてて可愛い」

 リコがきゅうの頬に指を伸ばした。

「ぎゅう!」
「あ、それやると怒るから」
「ふふふ、可愛い」
「……きゅう、隠れないのか?」

「きゅう?」
「私ときゅうは仲良しだよね」

 そう言ってネコノがきゅうを撫でるが隠れずに撫でられている。
 でも頬をツンツンしようとすると素早く後ろを向きながら頬をガードして怒る。

「ぎゅう!」

 そして顔だけを前足でガードして撫でられ続けた。

「そ、そんな!俺以外には懐かないと思っていたのに!」
「お母さんからは逃げるのかな?触ってみて」
「どうかしらね?でも今はお食事中だからやめておきましょう」

「え~、やってよ」
「もう、きゅうはお食事中よ」
「やってみて欲しいです。今まで人に懐く事が無かったので」
「分かったわ」

 ネコノママがきゅうを撫でたが、きゅうは目を細めて撫でられ続ける。
 逃げない、だと!
 俺にだけ懐くと思っていたのに!

「可愛いわね。毛が柔らかくて気持ちいいわ」

 そ、そんな!
 きゅうには俺しかいないと思っていた。
 良い事だ。
 良い事だけど、でも、きゅうは、俺じゃなくてもいいのか!

 きゅうの頬に溜めた食べ物を胃に流し込んだ後はネコノに抱っこされてナデナデをされる。
 更に手で食べ物を与えられ食べ続けている。
 気持ちよさそうだ。
 心がもやもやする。

「カケルさん、その顔面白い」
「リコ、思ったことをすぐ口に出すのは良くないわ!迷惑をかけたばかりでしょ!」
「ごめんなさい」

「カケル君、この子は大丈夫だと思った子ならひたすら話を続けるわ。嫌なら嫌だとはっきり言っていいのよ」
「いえ、こちらこそ迷惑をかけました」

「リコはもう少し遠慮しなさい」
「はい」
「カケル君はもっと人に頼った方がいいと思うわ。そうね、リコとカケル君の中間位が丁度いいと思うわ……リコとカケル君はたまに会ってお互いに刺激を受けた方がいいわね」

 多分、そうなんだと思う。
 リコママの言う事は、正しいと思う。
 でも、実践できるかどうか分からない。

「今は、会社を辞めたばかりなので、身の回りを整理して落ち着いてからゆっくり考えてみますね。色々整理があるので」
「そうね、今は大変な時期よね」

 ネコノママは配信を見ていたのか、それともネコノに聞いたのか。
 俺の状況を分かっているようだ。

「なめらか~、あ、カケルさん、きゅうチャンネルにたくさんコメントが来てるよ」
「え?」

 俺はスマホを取り出して動画をチェックした。
 最新動画を見ると、今日のネコリコチャンネルから来たコメントが大量に書き込まれていた。

 な、なんじゃこりゃあああああああああああ!

 しかもネコリコチャンネルを見ると俺ときゅうが出た配信がバズり、動画の再生数が今も増え続けている。
 ネコリコチャンネルの登録者数も増え続けている。

 ネコリコチャンネルの登録者数は2万、人気配信者だったのか!

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