無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ

文字の大きさ
22 / 38

第22話

 社長と部長の配信対談を終えて帰ると2人が声をかけてきた。

「カケル、お疲れ様」

 リコが俺の手を握った。

「お疲れさまでした」

 カノンが俺の背中をさすった。
 きゅうが俺の頭に乗る。
 スナイプが足にまとわりついた。
 みんながやさしい。

 みんな配信を見ていて、心配してくれたのか。

 体の奥から暖かくなっていくような、
 
 乾いた体が潤っていくような、

 自分でうまく言葉に出来ない感覚に戸惑った。

 2人と会った時、俺はパーティーを組みたくないと思っていた。
 きゅうさえいれば1人でいいと思っていた。
 パーティーを組めば人間関係でトラブルが起きる、少し前まではそう思っていた。

 俺の心が変わろうとしているのか?
 皆のやさしさを感じたからだろうか?

 ……今まで受け身だった。
 自分から動いてみよう。
 この2人を助けたいと思った。
 そう思えた。

「学校は連休なんだろ?」
「はい、一緒に色々出来そうですね」
「そう言えば、皆の目標はあるのか?」

「カケルはあるの?」
「俺は、出来る範囲でみんなを手伝いたいと、今思った」
「何でもいいですか?」
「出来る範囲でだ。きゅうを取るなよ」

「きゅう♪」
「きゅうの機嫌がいいね」
「構ってもらえるのが好きだからな」
 
 リコがきゅうを抱いてほおずりする。

「よしよし、きゅうは可愛いね」
「きゅう♪」

「話を戻そう、リコの目標はあるのかな?」
「チャンネル登録者数10万人がいいよ!」
「私はハンターから逃げられるくらい強くなりたいです」

「コラボをして大穴配信でもやるか?最初にきゅうチャンネルで配信して途中からリコに切り替えればきゅうチャンネルの登録者を取り込める。ついでに強くなれる」
「おおお!お願いするね!」
「私も登録者を増やしたいです」

「確認なんだけど、カノンのメイン目標が強くなるでサブ目標が登録者数を増やす、そういう考えでいいのかな?」
「合っています」

「あ!」
「どうした?」
「パーティー名を決めようよ!」

「パーティー名か。きゅうチャンネルでパーティー名を考える配信を始めて、途中でリコに配信をバトンタッチしていく感じでどうだろ?」
「良いと思います。でも家はあまり映さないようにしたいです」

 金持ちな事は隠した方が良いだろう。
 カノンだけで無く、家族が誘拐されたり、金を狙って悪い人間が集まってくる可能性もある。

「向こうの壁に寄りかかって撮影するか。タイトルは……パーティー名を考える、にしておこう」

「スマホスタンドを持ってきます」
「いや、魔法陣でやる」
「並んで並んで、OKだよ!」

 俺の隅に立って撮影魔法陣を展開する。

「きゅうチャンネルへようこそ、カケルです」
「ネコリコチャンネルのリコだよ!」
「ファイアカノンチャンネルのカノンです。よろしくお願いします」
「きゅう♪」

 きゅうがリコに抱かれながら背伸びした。

「にゃあああ」

 画面に見切れて下でスナイプが挨拶をする。

『また急に始まった!』
『ふ、全裸でパソコン前に待機している』
『おい!下にスナイプがおるで』
『なんかロックバンドのジャケット写真みたいだな』
『きゅうがリコちゃんにも懐いた』

「そうなんだ、きゅうが2人に懐いてしまった。カノン、きゅうを取るなよ。絶対にやらないからな」
「ふふふふ」

『カノンちゃんが答えないwwwwww』
『きゅうの事になると怒るカケル』
『3人でこういう風に話すのは初めてじゃないか?』

「さてっと、大穴に行く前にパーティー名を」
「その前にカケル、どうして端っこにいるの、きゅうチャンネルなのにおかしいよ」
「えええ、そこ!?きゅうチャンネルだからきゅうが真ん中にいて問題無い。カノンとリコが真ん中の方が皆が喜ぶかと思ったのに!」

 リコが無言で俺を真ん中に立たせる。
 俺の左右にリコとカノンが立つ。
 居心地が悪い。
 リコとカノンの肩が触れそうになるくらい近い。

『カケル君、見てるよ!』
『カケル君メインで見てます』
『リコがお母さんみたいだ』
『カケル、居心地が悪そうだな。よし、カケルは真ん中で決まりだ』
『ドSめ、だが俺もカケルが困っている所を見たい』
『分かる、カケルはバンドで言えばベースだな』

「あの、パーティー名を、考えて、よろしいで、しょうか?」
「何で片言なの?」
「いいですよ、カケル、ゆっくり自分のペースで話しましょうね」

『出鼻をくじかれたからだろ』
『カノンが保母さんプレーで地味にからかってるのも笑える』
『3人の掛け合いは面白い。もっとやろう』

「パーティー名なんだけど、何がいいか……」

 少なくとも、俺の名前を付けられるのだけは無しだ。


「う~ん……カケルとゆかいな仲間たち?」
「カケルとその眷属はどうでしょう?」
「カケルの鉄拳制裁は?」
「シンプルにカケルパーティーもいいですね」

 駄目に決まっている。
 絶対に阻止する。
 このままじゃ駄目だ。

「お、俺きゅうライダーが好きなんだけど。きゅうをメインに考えたい」
「きゅう♪」
「きゅうも喜んでいる。きゅうはパーティーのマスコットだ」
「それじゃあカノンとカケルのパーティーみたいになっちゃう」

『リコちゃんを仲間外れにするのは良くないで』
『リコはそういうのを嫌がりそうだ』
『ほぼ漫才な件』

「カノンは何かないか?」
「カノンがきゅうを貰うまで、はどうでしょう?」
「断る!」
「私がまたのけ者になっちゃう」
「それ俺ものけ者だからな」

『カケルの反応が早いwwwwww』
『カノンタン良いな』

 その後も色々案を出すが、なかなか決まらない。

「一旦配信を終わるか」

『えええええ!早すぎないか!?』
『会議ならもっと出来るだろ』
『あきらめ早すぎんか?』

 良い食いつきだ。

「ちょっと休憩だ。少し休んでネコリコチャンネルで続きをやる」

『コラボか、理解した』
『カップ麺を取って来るわ』

「配信を終わります。お疲れさまでした」

 魔法陣を消した。

「いつパーティー名が決まるか分からないから、カノンまでバトンタッチできないかもしれない」
「いいですよ。チャンスはまだありますから」

「休憩しよう」



【休憩後】

 ネコリコチャンネルで配信を再開する為次はリコを真ん中に立たせた。 
 俺は隅に移動した。
 ふ~、落ち着く。

「さっき話をして、皆のコメントを集めて参考にしたいなーって」
「皆が思うこのパーティーのイメージを出して欲しい。印象に残った動画でもいいし、何でもいいのでお願いします」

『カケルが隅に移動して息を吹き返したな』
『きゅうを癒す者』
『部長討伐者』
『巨乳のカノン』

「他にないか?ネタ発言はスルーするぞ」
「え?私の巨乳には触れないんですか?」
「話題には触れない」
「話題には触れずじかに触りたいですか、そうですか」
「おい!」

『カケルは責めているように見えてカノンに操作されている』
『カノンのキャラが良いな』
『俺がカケルの立場なら即触ってたぜ』
『俺なら後ろから抱き着いて、げふんげふん』
『ツッコミを強制的に引き出すカノンの技量が高すぎる』
『カケルは吸い寄せられるようにツッコミを引き出されている』

『カマキリキラー』
『鉄拳』
『疾風』
『リコのパンチラ』
『お前らセクハラは良くないぞ』

「カケルのが多いよね」
「パーティーの顔ですから、カケルメインで考えましょう。カケルのイメージをお願いします」
「いや、俺のイメージはやめておこうかそうだな……」

 俺の名前だけは絶対阻止する!
 だが案が浮かばないぞ。

『気遣い』
『優しそう』
『草食系小動物』
『ハーレムくそ野郎』

「誹謗中傷はブロックするよ」

『音速の壁』

「おお!いいよ!」
「いいですね」
「……音速の壁にぶつかってるんだけど、いいのか?壁にぶつかってそれ以上速く走れない」

『良いな!』
『音速の壁を作りだす、そういう意味だよ。カケルのイメージそのものだ』
『カケル、最初に覚えたスキルは何だ?』

「疾風」
「音速の壁に決定だね」
「決まりですね」
「明日は大穴配信をする予定だよ!」

「……でも、仮のパーティーだ。うまく行くかどうかやってみないと分からないから……」
「……うん、そっか」
「……分かりました」

『カケル、空気読め!』
『今言う必要あったか!?』
『まあ、カケルらしいとは思うわ』
『カケルめ、盛り上がりをぶった斬りにするのな』
『仮パーティーでとか今言わなくて良かったよな』

 俺は、すんなり決まりすぎて少し嫌な予感がした。
 うまく進みすぎている。
 両親の事を思い出した。

 人と接すると今まで悪い事が起きてきた。
 気を使って何かをやれば怒られたり、俺がやるのが当然のようになりやっていないと怒られる事が多かった。
 人は急に気分が変わる、両親からそれを嫌というほど学んできた。

 急に怒り出したり、人のせいにされたり急に言う事が変わったりと色々あった。
 2人は人のせいにはしないと思う。
 でも、反射的に嫌な予感がしたのだ。
 まともな人間が集まってパーティーが結成されて少し怖くなったのだ。

 自分で協力しようとして距離が近くなると危険を感じてしまう。

 ……そうか、俺の心が迷っているのか。

 みんなからブーイングを受けつつパーティー名は音速の壁に決まり、配信が終わった。

感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比の狂った世界で俺だけ美醜逆転してるんだが…。

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、青山春。 日本によく似たパラレルワールド(男女比1:9)で彼女を作るために色々する物語。 前世の記憶のせいで、俺だけ美醜が逆転してしまっているので、この世界で可愛いと言われている子達には興味がない…。 うん。ポジティブに考えれば、前世で女優やモデルを出来る容姿の子とお付き合いできるのでは!? と、幼少期に光〇氏計画を実行しようとするも断念。 その後は勉強出来るのおもしれぇ! 状態に陥り、時が流れ大学に入学。 そこで義務を思い出し二十歳までに彼女が欲しい!いなきゃしんどい!と配信を始めてみたり…。 大学の食堂で出会った美人とお近づきになろうとしたり…! 作者が暗い話が嫌いなので、基本的に明るめの話構成になってるはずです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」