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第15話 大河雄大の推理
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【Cランクファイター・大河雄大視点】
第三次モンスターパレードは多くの犠牲者を生みだした。
とはいっても、犠牲者の数は第二次モンスターパレードより格段に減少したと言われている。
人類はモンスターへの対抗策を整えつつある。
第三次モンスターパレードの始まりは異界探索で起こった。
高校生の引率をして奥に進んだ最悪のタイミングだった。
クラスメートを助けようとしてモンスターに飲み込まれた男子生徒。
仙道優也の名前は今でも覚えている。
仙道優也を置き去りにし、脱出させた後、異界を出るとモンスターが現れてその対応に追われた。
毎日毎日モンスターの目撃情報が寄せられた。
結局、いまだに様子を見に行く事さえ出来ていない。
「大河さん、ギルドから剣が返却されました」
女性自衛官の言葉で俺の心は暗くなった。
そうか、俺は自分の心を紛らわすために仙道に武器を投げた。
でも本当は分かっていた。
仙道優也は、助からないと。
俺は偽善者だ。
「死体を、いや、せめて遺品だけでも弔いたい」
「いえ、本人が返却しに来ました」
「……は?」
「すいません。正確に報告します!」
そう言って敬礼した。
「A市高校3年、仙道優也が異界から無事生還しました!同名はギルドに、大河雄大から借り受けた魔道剣を返却する為ギルドに現れました」
「生きているのか!あの状況で!」
「ふふ、見たいですか?優也君が書いた報告書データがありますよ!」
「見せてくれ!」
俺は仙道優也の報告書を読んだ。
「は、はははははは!そうか!生き延びたか!タワーのおかげで逃げ延びたか!そうかそうか!はははははははははは」
「う~ん、でも、おかしいんですよね」
「何がだ?」
「優也君は武器が壊れたと言って返却しました。でも、武器を見てください」
俺は返却された武器を確認した。
壊した?
いや、違うな。
使い過ぎで内部の紋章が焼ききれている。
壊れたんじゃない。
「紋章の寿命か」
だが、彼女が言いたいことはそういう事ではないのだろう。
「そうなんですよ。おかしくないですか?逃げ回っていただけの子が魔道剣の紋章が焼ききれるほど武器を使い込みます?」
「これは、最低でも10回以上は魔石を交換して使い倒している。グリップの削れ方を見てもかなり使い込んでいる」
「ですです」
「仙道優也はどれだけのモンスターを倒したんだ?1000は超えている」
「しかもですよ!剣術スキルも、剛力スキルも、疾風スキルも無しでです。ユウヤ君はファイターに有利なスキルを1つも持っていないんです」
「あるのはバリアスキルのみか……ある意味、化け物かもしれないな」
「この報告書は、手を抜いて書いてますね」
「面倒で、ざっくり書いてまとめた。そう見える。しかも、指摘されそうな部分は隠してある、か」
「私もそう思います」
「第三次モンスターパレードが起きた今なら隠蔽があっても甘いチェックで報告書を通過できる。頭の良い者なら力を隠す可能性はある」
高ランク冒険者は高ランクの武具を優先的に手に入れる事があるなどメリットもある。
だがその反面強制に近い形で招集が行われる事がある。
有名になってしまえば批判者に叩かれる。
頑張って人を助けれても叩かれ、報われる事はあまり無い。
「仙道優也か。会いたくなってきた」
「今日もモンスター討伐です。休みなんてありません」
「自衛官を辞めて冒険者になるか」
「今国は自衛官や消防士、警察や地方公務員を自己都合で退職させて冒険者に転職させてるよう勧めていますからね」
冒険者はすべて自己責任だ。
国としては自己責任で冒険者をやって貰った方が死者が出ても批判を回避できる。
更に、モンスターで人が死んでいるのに事務職を行う公務員が多い事に批判が出ている。
国が地方自治を強化し、地方同士で住民の奪い合いが起きている事も追い風となり、冒険者はどんどん増えているのだ。
「イエロースライムの出現地点は後何カ所だ?」
「3カ所です」
イエロースライムは第三次モンスターパレードの後に突如発生した。
それ以前はどんなにスライムが現れても合体などしなかった。
そして、イエロースライムはCランク冒険者の資格を持つパーティーでなければ討伐時に大きな被害が出る事も分かって来た。
その為俺達Cランク資格を保有した部隊はイエロースライムを優先的に倒している。
「今日の任務を終わらせる」
「行きましょう」
雄大は今日もモンスターを倒す。
大河雄大とその部下は、仙道優也の力を知りつつあった。
第三次モンスターパレードは多くの犠牲者を生みだした。
とはいっても、犠牲者の数は第二次モンスターパレードより格段に減少したと言われている。
人類はモンスターへの対抗策を整えつつある。
第三次モンスターパレードの始まりは異界探索で起こった。
高校生の引率をして奥に進んだ最悪のタイミングだった。
クラスメートを助けようとしてモンスターに飲み込まれた男子生徒。
仙道優也の名前は今でも覚えている。
仙道優也を置き去りにし、脱出させた後、異界を出るとモンスターが現れてその対応に追われた。
毎日毎日モンスターの目撃情報が寄せられた。
結局、いまだに様子を見に行く事さえ出来ていない。
「大河さん、ギルドから剣が返却されました」
女性自衛官の言葉で俺の心は暗くなった。
そうか、俺は自分の心を紛らわすために仙道に武器を投げた。
でも本当は分かっていた。
仙道優也は、助からないと。
俺は偽善者だ。
「死体を、いや、せめて遺品だけでも弔いたい」
「いえ、本人が返却しに来ました」
「……は?」
「すいません。正確に報告します!」
そう言って敬礼した。
「A市高校3年、仙道優也が異界から無事生還しました!同名はギルドに、大河雄大から借り受けた魔道剣を返却する為ギルドに現れました」
「生きているのか!あの状況で!」
「ふふ、見たいですか?優也君が書いた報告書データがありますよ!」
「見せてくれ!」
俺は仙道優也の報告書を読んだ。
「は、はははははは!そうか!生き延びたか!タワーのおかげで逃げ延びたか!そうかそうか!はははははははははは」
「う~ん、でも、おかしいんですよね」
「何がだ?」
「優也君は武器が壊れたと言って返却しました。でも、武器を見てください」
俺は返却された武器を確認した。
壊した?
いや、違うな。
使い過ぎで内部の紋章が焼ききれている。
壊れたんじゃない。
「紋章の寿命か」
だが、彼女が言いたいことはそういう事ではないのだろう。
「そうなんですよ。おかしくないですか?逃げ回っていただけの子が魔道剣の紋章が焼ききれるほど武器を使い込みます?」
「これは、最低でも10回以上は魔石を交換して使い倒している。グリップの削れ方を見てもかなり使い込んでいる」
「ですです」
「仙道優也はどれだけのモンスターを倒したんだ?1000は超えている」
「しかもですよ!剣術スキルも、剛力スキルも、疾風スキルも無しでです。ユウヤ君はファイターに有利なスキルを1つも持っていないんです」
「あるのはバリアスキルのみか……ある意味、化け物かもしれないな」
「この報告書は、手を抜いて書いてますね」
「面倒で、ざっくり書いてまとめた。そう見える。しかも、指摘されそうな部分は隠してある、か」
「私もそう思います」
「第三次モンスターパレードが起きた今なら隠蔽があっても甘いチェックで報告書を通過できる。頭の良い者なら力を隠す可能性はある」
高ランク冒険者は高ランクの武具を優先的に手に入れる事があるなどメリットもある。
だがその反面強制に近い形で招集が行われる事がある。
有名になってしまえば批判者に叩かれる。
頑張って人を助けれても叩かれ、報われる事はあまり無い。
「仙道優也か。会いたくなってきた」
「今日もモンスター討伐です。休みなんてありません」
「自衛官を辞めて冒険者になるか」
「今国は自衛官や消防士、警察や地方公務員を自己都合で退職させて冒険者に転職させてるよう勧めていますからね」
冒険者はすべて自己責任だ。
国としては自己責任で冒険者をやって貰った方が死者が出ても批判を回避できる。
更に、モンスターで人が死んでいるのに事務職を行う公務員が多い事に批判が出ている。
国が地方自治を強化し、地方同士で住民の奪い合いが起きている事も追い風となり、冒険者はどんどん増えているのだ。
「イエロースライムの出現地点は後何カ所だ?」
「3カ所です」
イエロースライムは第三次モンスターパレードの後に突如発生した。
それ以前はどんなにスライムが現れても合体などしなかった。
そして、イエロースライムはCランク冒険者の資格を持つパーティーでなければ討伐時に大きな被害が出る事も分かって来た。
その為俺達Cランク資格を保有した部隊はイエロースライムを優先的に倒している。
「今日の任務を終わらせる」
「行きましょう」
雄大は今日もモンスターを倒す。
大河雄大とその部下は、仙道優也の力を知りつつあった。
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