「打倒してしまっても構わんのだろう?」と魔王城へと向かい、逃げ帰ってきた勇者に追放された俺、その後英雄となり、美女たちと幸せライフを送る

ぐうのすけ

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盗賊退治

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 ホープ大臣は泣きながら握手を求めてきた。
 近くにいるウォールも泣いている。
 訳が分からない。

 後何でホープ大臣達を護衛してきた兵士と騎士がボロボロなんだ?
「なあ、何で護衛がボロボロなんだ?」
 俺はウォールの方を向いて言った。

 ウォールは涙を腕で拭いながら言った。
「盗賊と遭遇したのだ。最近の盗賊は規模が大きくなっている」
「魔物を狩って安心かと思ったが今度は盗賊か」

「魔物が少なくなったからともいえるな。アジトに潜伏しても魔物に襲われにくい。盗賊行為を行いやすくなった。しかも盗賊討伐を行った結果、奴らは結束し始めた」

「アジトの場所は分かるか?」
「大まかには分かるが、100人以下の盗賊団はほぼ取り締まった。今残っている盗賊は300や500人規模のものになるだろう」

「殺していいのか?それとも、捕まえて強制労働をさせるのがいいか?」
「殺して構わん。だが出来れば捕まえて罪人として働かせたい」
「そうですな。この国は人手不足です。罪人なら強制労働をさせても問題ありません」

「盗賊のいる場所を教えて欲しい。それと罪人を運ぶ為の兵も欲しい」
「……分かった。明日出発でいいか?今兵は疲弊している」
「それはいいんだけど、奥の方で何か作るのか?」

「ホープ大臣と文官の為の拠点を作る」
「それなら、キャンプハウスのスキルで建てよう。すぐに出来るぞ。キャンプハウス!」
 大きめのログハウスを作った。
 ホープ大臣とウォールが驚く。
「でかいな。こんなに大きく作れたのか。これはキャンプハウスではなく屋敷だ!」
「3階建てで、小さめの部屋が50部屋だ。もう魔力が無い」
「少々お待ちを」
 ホープ大臣がログハウスの中に入っていく。


「ふむ、あと1つ作れますかな?」
「魔力が回復したら作ろう」
「それまでに場所の区画を決めておきます。後で報酬をお支払いします。ありがとうございます」

 そういってホープ大臣は指示の変更をする為文官を集めていた。
 
「更に2つ作ることは出来るか?」
「作れるけど、盗賊狩りは数日後に出発にしよう。キャンプハウスのスキルを使うと魔力を使う」

 騎士や兵士もキャンプ生活だった。
 兵を建物で休ませたいって思うのは当然か。

 それとここは海路の拠点になる。


 俺はキャンプハウスのスキルを使い、船の備品を作り、5日後にやっと盗賊のアジトの近くにたどり着いた。
 ベリー達は置いてきた。

 盗賊とはいえ魔族のエムルが人を殺すと両国間の問題になった際に面倒なのだ。
 ホープ大臣とウォールは問題無いと言っていたが念のため置いてきた。
 アーサー王国の国民は問題無くてもデイブックからの移民がこの地に住むと騒ぐ人間が出てくるかもしれない。

「ウイン王子!このアジトには推定で500名ほどの盗賊が潜んでいます!」
「ちょ、静かに話してくれ。奇襲をかけたい」
「し、失礼しました!」
 他の兵士が口を押える。
「黙れって」

「俺一人で行ってくる。全部倒したら運ぶのを頼む」
 俺は走って飛び出し、素早く目についた盗賊を殴って気絶させていく。



「351!363!」
 倒した敵を数える。
 だが、盗賊にばれて囲まれた。

「おいおいおいおい!何してくれてんだ!!てめー生きて帰れると思ってんのか!!」
「お前がボスか!?」
「質問に答えやがれ!言っておくがなあ!俺の固有スキルはアサシンだ!ジョブも当然アサシン。盗賊だからって舐めてんじゃねーぞ!」

「俺は生きて帰れる。質問には答えた!投降してくれ!黙って投降してくれ!」
「てめー!いい気になってんじゃねーぞ!お前は袋のネズミなんだよ!!」
「投降してくれないのか?」

「しねーよ!お前が死ぬんだよ!おっと、普通に死ねると思うなよ!捕まえて、少しずつ体を斬り刻んで、死んだ方がマシだと思うまで拷問してやるよ!」

「……そうか」
「ははははは!ビビったか!おい!こいつビビってるぜ!」
 周りの盗賊もゲラゲラと笑い出す。

 こいつらを殺さず気絶させられるだろうか?
 出来るかもしれないが、殺す可能性もある。

「この前も村を襲って女を犯してやった!父親を殺し!震えて小便を漏らす女を」
 俺は刀でアサシンの腕を切り落とした。

「動くな!!動かず武器を置け!」
「ひ、ひいいいいいい!」
 逃げたアサシンを斬り殺した!

 手加減する必要は無かった。
 こいつらは人殺しだ。
 魔物じゃなく、盗賊に村が焼かれた。
 
 前に村が焼かれる事件があった。
 村を焼いたのはこいつらだったか。
 生きる為に奪ったわけではないのか。
 楽しそうに人を殺すこいつらは、殺されても文句は言えない。

 見せしめに殺しても構わない。
 脅して言う事を聞かせる。


「動くなと言った!武器を捨てて腹ばいになれ!武器を捨てないやつは斬り殺す」
 武器を持った盗賊を斬り殺した。

「言う事を聞け!武器を持った者は殺す。腹ばいになって手を頭に乗せろ!」
「うああ、うあああああ!」
 逃げる盗賊を斬り殺す。

「武器を持った者は殺す!逃げたものも殺す!言う事を聞け!」
「し、死にたくない!助けてくれ!!!」
 パニックになって逃げる盗賊を斬り殺した。

「もう一度言う!武器を捨てろ!腹ばいになって手を頭に乗せろ!」
 全員が武器を捨てて地面に寝ころんだ。

 この日拠点の盗賊は壊滅した。

 その後残りの盗賊のアジトを壊滅させ、王都の窃盗団も捕らえ、2000名の労働力確保につながった。
 
 一通りの仕事を終えてアーサー王国の王城に入るとエムルが抱き着いてきた。
「さみしかったよ!クンクン!ウインの匂いがする」

 ルナも腕に絡みついてきた。
「お疲れ様ですわ」

 ベリーも近くに来るが、距離が遠い。
「ベリー、抱き着いて来てもいいんだぞ」
「もお、意地悪しないでよ」
 ベリーが真っ赤になる。

 アーサー王が近づいてきた。
「すまなかった。嫌な役目をさせた。犯罪者の取り締まりは気持ちのいいものではないだろう」
「そうですが、盗賊に殺される人が減りました」

「うむ、その通りだ。盗賊が居れば物資や人の移動に多くの護衛が必要となる。盗賊が直接人を殺めるだけでなく、盗賊を警戒した無駄な護衛任務のせいで魔物狩りが遅れ間接的に人が死んでいたのだ。盗賊を捕まえた恩恵は計り知れないだろう」

「その通りさ。過剰な護衛を全て魔物狩りに当てる事で国内の魔物は早いペースで減り始めるよ」
「それだけではありませんわ。目立つ盗賊や窃盗団を捕まえたおかげで、他の小さな規模の犯罪者に目を光らせる事にも繋がりますのよ。これで少ない予算で犯罪を抑止することが出来るでしょう」

「もうアーサー王国の問題は自然に解決するんじゃない?」
「次はディアブロ王国に行くか」
「まだだよ」

「何かあるのか?」
「海沿いの未開地を探索するよ」
「それはディアブロ王国も同じ問題を抱えているだろ?」

 大陸外周部には魔の森のような人の踏み入らない未開地が多く広がっている。
 バグズも未開地で力をつけて侵攻してきた。

「そうだね。でも、アーサー王国の海沿いの未開地を探索してからディアブロ王国に行くのがいいと思うアーサー王国の問題を全て終わらせてからディアブロ王国に行くんだ」

「エムル君、この国を優先してもらいすまない。今後今より多くの食料を運ぶ事を約束しよう」
「期待してるよ」
「分かった。次は未開地探索だな」
「もう物資の準備は出来ていますわ」
「すぐに出発しましょう」

「ベリーはウインと良いムードを作りたくて必死だね。良いよ!ベリーはもっとウインに対して攻めていくのいいんだ」
「ち、違うわよ」

 俺達は話をしながら王城を出た。
 振り返るとアーサー王は俺達に手を合わせ祈るように礼をしていた。

 

 
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