「打倒してしまっても構わんのだろう?」と魔王城へと向かい、逃げ帰ってきた勇者に追放された俺、その後英雄となり、美女たちと幸せライフを送る

ぐうのすけ

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オガの港

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「ウイン!ウイン!ううう、えぐ、うううええーーーーん!」
 ベリーが号泣した。

「大丈夫だ。もう大丈夫だ」
 少しずつ体が治っていく。
 徐々に呪いが消えていく感覚がある。
 時間の問題で完全に回復するだろう。

「本当に大丈夫かい?」
「大丈夫だけど、何か食べたい」
 体の肉が無くなっていた。
 早く回復したい。

「わたくしが食事を持ってきますわ!」
 ルナが走って行った。



 俺はスープやフルーツなどの軽い食事を摂った。
 その後すぐに肉やパンを食べる。
 レベルが高いからか重い食事を食べても問題無かった。
 しばらく食べ続けて次の日には痩せたからだが元に戻った。



 港にあるオガの墓参りに向かう。
 エムル・ベリー・ルナも一緒だ。

「1日で体の調子は大分戻った」
「凄い回復力ね」
「完全回復まではまだしばらくかかる」

「うん、ゆっくり休むんだ。僕が毎日添い寝しようか?」
 エムルの発言をスルーする。

「所でみんな、強くなったな」
「皆で魔物を狩りましたのよ」
「そうか、周りに魔物の気配が無い、港に人も増えてもう船が運航しているか」

「そうですわね。この港で採れた魚を運んで、交易も海路と陸路両方が稼働してより強固になりましたわ」
「あの丘か?」

「そうね。一番大きい石がオガのお墓よ」
 俺の足が早まる。
 大きな石碑にたくさんの花が供えられていた。

「オガ、皆に愛されているんだな」
「そうさ、オガは皆を何度も守ってきたんだよ。遠くからたくさんの兵士が花を供えに来たんだ」

「オガ、俺さ、本当は、メツを倒す時、怖かったんだ。状態異常を受けて死ぬかもしれないって思ってたんだ」
 
 名前持ちの二段階目は状態異常攻撃をしてくることがある。
 圧倒的レベル差を持った英雄が二段階目の名前持ちに殺されてきた。
 レベル差を覆して英雄を殺す二段階目が怖かった。

 特にメツはアンデットだ。
 アンデットは呪いや毒、精神攻撃を使ってくることが多い。
 俺は怖かった。

「でも、オガの反応が無くなっていくのを感じて、誰かが、誰かが倒さなければいけないって思ったんだ。俺が倒さなければ終わらないって思ったんだ」
 後ろに居た3人が涙を浮かべた。

「俺決めたよ。すべての名前持ちを倒すって。二段階目になっても関係なく倒す。まだ恐怖はあるけど、倒すよ」

 皆が名前持ちに止めを刺すのを恐れるだろう。
 だが、俺が倒す。
 倒せるだけ倒す。
 みんなが逃げても俺が前に出て倒す。

 オガは剣を持っていなかった。
 きっと限界だったんだろ?
 限界を超えても戦ったんだろ?

 オガは苦しくなると剣を投げてたもんな?
 苦しくても逃げずに戦ったんだろ?
 オガの意思は俺が継ぐ。

「エムル、この港の名前は決まっているのか?」
「まだ決まっていないよ」

「オガの港にしたい」
「うん、そうだね。そうしよう」

 オガ、お前は英雄だ。
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