「打倒してしまっても構わんのだろう?」と魔王城へと向かい、逃げ帰ってきた勇者に追放された俺、その後英雄となり、美女たちと幸せライフを送る

ぐうのすけ

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眠るベリー

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 ベリーが眠る瞬間、ベリーの意識が少しだけ流れ込んできた。
 オロチのテイム契約をベリーに移した瞬間、ベリーの意識にキュウビとオロチの記憶が共有された。
 キュウビが人を殺した記憶がベリーに流れ込む。
 オロチが人を殺した記憶がベリーに流れ込む。

 ベリーは元々キュウビやオロチと同じ存在だった。
 ベリーは罪の意識を感じていた。

 さらに追い打ちをかけるように民が扇動されていた。
 いや、その前からベリーの精神は負荷を受けていた。

 108年の眠り。
 ベリーが眠りから覚める前に俺は死んでしまうだろう。
 俺が死んだらベリーも死ぬ?

 分からない。
 だが、俺はベリーにまた会いたい。
 ベリーは眠ったままの方が幸せかもしれない。
 それでも俺はベリーに会いたい。

 俺は、ベリーが好きだ。

「ウイン、どうしたのじゃ!?」
「ああ、大丈夫だ」
「大丈夫な顔はしておらぬ」


「ベリーの眠りは108年続く」

「……そうか。すまぬことをしたのう」
「いや、それよりもフェイクニュースだ。俺はこのフェイクニュースのやり方に覚えがある。デイブックのマスコミギルドだ。俺は奴らを許せない」

「うむ、確かにやり方がヤマトの民の常識から外れすぎておる。候補が絞られてきたのう。南東島じゃ。デイブックの優秀な者を囲い込んでおるのは南東島の領主じゃ」

「俺は呪いを全力で解いてみようと思う」

 俺の中にある呪いは8割以上浄化した。
 もしかすれば呪いを浄化できればベリーが早く目覚めるかもしれない。

「そうじゃの。やれる事はやるのがいいじゃろう。ワシも古文書を調べさせる。それと、望み薄じゃがヨウザンにも連絡して協力を頼むでの」

「頼む」
 俺はディアブロ王国へ向かう船に乗らなかった。
 その日から俺は全力で呪いの浄化を行った。
 毎日瞑想して過ごす。
 内にある炎が強くなるのを感じる。


 だが、呪いを浄化してもベリーの休眠状態は解除されない。
 1つ1ついこう。
 出来る事は全部やる。
 やってみなければ分からない。


 次はベリーのスキルを使う。
 使い続ければ目覚めが早くなるかもしれない。

 俺はキュウビとオロチの力を使える。
 

 キュウビのスキルを使う。
「きゅう!」
 きゅうが現れる。
 俺はきゅうを抱きしめ撫で回す。
「少しだけ気持ちが楽になった」


 きゅうの能力は【狐火】だ。

 岩場に移動し、きゅうに狐火を使ってもらう。
 火の玉が現れる。
 俺の思ったように動かすことが出来、岩に当たると一気に岩全体が燃えた。
 ホーミングファイアか。

 次はオロチの力を使う。
「クサナギ!」
 オロチの能力はクサナギ。
 刀が現れる。
 更に炎を吸う事で一定時間切れ味が増す効果もある。
 更に吸った炎を斬撃に変えて飛ばすことも出来る。

 岩を切ると刃が簡単に岩を斬ることが出来た。
「強い。俺が使っていた武器より強い」

 俺はきゅうとクサナギを毎日使い続けた。
 スキルを使いこなせるようになるほど俺の両手の甲に紋章が浮かび、紋章が濃くなっていく。

 俺は一瞬できゅうとクサナギを出現させられるようになり、スキルを使いこなせるようになったが、ベリーの休眠時間は変わらなかった。

 タケルに調べてもらっている古文書もヨウザンの返答も良い結果は返ってこない。
 俺は毎日魔物を狩った。
 じっとしていると気分が落ち込む。



「ウイン様!城にお戻りください」
 ヤマトの兵士が走って来る。

「どうした?」
「南東島と南西島の軍が城に迫っています!」

 南東島と南西島は結託していたのか!
 同時に城を攻めて一気に落とす気か!

「すぐに戻る!」



 城下町にたどり着くと、暗くなっており家が燃えていた。
 軍がたどり着いたにしては早すぎる!
 俺は慌てふためく城下の町人に話を聞いた。
「何があった!」

「南東島の精鋭部隊だ!奴ら先行して背後から攻めてきたんだ!」

 精鋭部隊なら動きが早く奇襲も可能だ。
 俺は城に急いだ。



 城にたどり着くと、タケルが太刀を両手で持って敵を倒していく。

「無事なようだな」
「ぶじじゃが、策にはまったわ!奴らワザと騒ぎを起こし、陽動を使い注意を引き付けてからこの城に攻め込んできおった!混乱が目的かと思っておったが、今ワシの首を狙っておる」

 陽動で兵をおびき出してからタケルの首を精鋭で狙うか。
 思い切った事をする。
 
 俺はクサナギときゅうを出す。
 俺とタケル、周りの兵で精鋭を倒していく。

 南東島の精鋭を倒し終わると拍手が聞こえる。
 白いスーツを着た怪しげな男が拍手をしていた。

「君がタケルか?私の名前はヘイトだ。もっとも死にゆく君に言っても意味はないと思うがね」

 ヘイトの後ろには100の兵が控え、短剣を持っている。
 装備の見た目、動きを見て確信した。
 こいつらはデイブックの者だ。

「フェイクニュースを流したのはお前か?」
「私が命令したが今は君と話す気はない。私が欲しいのはタケルの首だけだ」

「舐められたものだのう。簡単にワシの首を取れると思うでないぞ」
「君がほどほどに強い事は分かっている。だが私ほどではない。ふむ、フェアでは無いので言っておこう。私は勇者で、この剣は聖剣エクスカリバーだ。そして私はマスコミギルドを陰で操る権力者でもある」

「権力者であることは関係無かろう。ここは戦場じゃ」
「関係ないと思うかね?」
 ヘイトは指をパチンとはじいた。
 その瞬間後ろに控えていた100の精鋭がタケルに迫る。

「はははははははは!権力も役に立つと思わないかね?」
 
 タケルは精鋭部隊に囲まれつつあった。
 味方の兵も倒されていく。
「ぐう!ちときついのう!」

 更にヘイトはゆっくりと剣を抜く。
 そして歩きながらタケルに近づいていく。

 俺は全力を出さず、ヘイトの近くに迫るがタケルに迫った精鋭の一部が俺の邪魔をする。

 俺はヘイトに出来るだけ近づいてから一気に全力で走る。
 ヘイトが身構えるが遅い!

「キャンプファイア!」
 俺は奥の手を使った。




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