105 / 115
錬金部隊
しおりを挟む
俺は敵将を討ち取り、タケルの城に戻ると、大量の食事を摂って眠った。
回復力の高い固有スキルを持ってはいても、体は痩せていた。
3時間寝て、起きて食事を摂り、半日が過ぎる。
朝になっていた。
タケルに話しかける。
「南西島の敵が来ないな」
「あの島の領主は腹黒いからのう。ワシと南東島が争っておる隙をついて漁夫の利を狙うつもりだったのじゃろうが、ウインの活躍で計画の修正をしておるのだろう」
「南西島と南東島は結託していないのか?」
「協力はしておるだろうが、足並みは揃わんようじゃ。お互いの思惑で、お互いを踏み台にしようとしておるように見える」
「そろそろ体の調子が戻ってきた。戦えるぞ」
「う~む。港は占領されておる。戦ってもらえれば助かるは助かるが南西島の兵力は特殊じゃ」
「特殊?」
「南西島の主力はゴーレムで、全部が筒から弾を発射する」
「ゴーレムの遠距離攻撃部隊か」
「ゴーレムにも種類があっての。普通のゴーレムの他に、飛ぶ奴とでかいやつがおる」
兵が走って来る。
「タケル様!ゴーレムがこちらに向かってきます!」
「行って来る!」
俺は先行した。
ゴーレムでも倒せば経験値が入る。
1000体ほどの人型ゴーレムが横に並んで進軍していた。
ゴーレムの両肩と両脇と更に両腕も筒になっていた。
計6本の筒から鉄の球を吐き出すのだろう。
俺は気配を消して横端のゴーレムに近づいてゴーレムの間を縫うように走りつつ、ゴーレムを斬り倒す。
ゴーレムが味方に当たるのをお構いなしに鉄の筒から鉄の球を飛ばしてくる。
「鉄砲ってやつか」
俺を狙い鉄砲を撃っていたが、当たらないと分かると攻撃パターンを一斉に変えてきた。
俺を狙わず俺の居る付近の広範囲に球を撃ち出したのだ。
すべてを避けることが出来ず、球を食らいながらゴーレムを倒していく。
そこにタケルの軍が合流する。
「皆で突撃せよ!乱戦に持ち込むのだ!」
軍の参戦で一気に俺が動きやすくなった。
俺は勝ちを確信した。
だがそこに、飛ぶゴーレムが現れた。
100体ほどのゴーレムは両腕だけに鉄砲を装備していた。
見た目は歩くゴーレムより華奢に見えたが、動きが早い。
そしてその後ろから巨大な蜘蛛のゴーレムが現れた。
横の長さは100メートルほどあり、足が地面に着くたびに地震のような地鳴りが起こる。
クモのゴーレムは背中に3つの巨大な筒を背負い、体のいたるところから筒が生えていた。
更に巨大グモのゴーレムから大きい声が聞こえる。
「はっはっは!驚いたか?このオニグモの迫力に圧倒されただろう!!」
オニグモには男が乗っている。
「オニグモ!集中砲火開始!ゼロ!空から奴らを皆殺しにしろ!」
大きい蜘蛛がオニグモで、飛んでいるのがゼロか。
オニグモとゼロがタケルの軍を殲滅する勢いで鉄砲を放った。
俺は即座にオニグモを斬りつける。
その瞬間オニグモの体が爆発し、表面がはがれた。
俺は吹き飛ばされる。
「はっはっは!爆発反応装甲だ!攻撃の衝撃を受けた瞬間に外側に向かって爆発する!更に攻撃した者にダメージを与える!刀対策はしてある!」
俺は吹き飛ばされた瞬間に空と陸、更にオニグモの鉄砲で攻撃される。
「撤退じゃ!」
タケルが大声で叫ぶ。
「だが、このまま撤退すれば後ろから撃たれる!」
「構わん!策がある!!」
「く、撤退する!」
「はっはっは!後ろから撃て!!」
こうしてタケルの軍は大打撃を受けて撤退した。
◇
日が落ち、夜になると、進軍するゴーレム部隊とタケルの軍が対峙する。
「はっはっは!またやられに来たのか!?」
オニグモから余裕の声が発せられる。
「2度も負けはせん!かかれーい!」
「同じことの繰り返しじゃないか!猪と何も変わらない!タケルは無能だ!一気に押しつぶせ!!!」
またタケルの軍とゴーレム部隊が戦い劣勢に追い込まれる。
だが今回はタケルの後方の部隊が前とは違っていた。
「炎龍を放て!」
後ろにいる錬金術師が、1メートルほどの槍を構える。
だがその槍はよく見ると槍として扱えないほど太かった。
槍が炎をまとい、オニグモに飛んでいくが途中から明後日の方向に進路を変えた。
「どこを狙っている!錬金術の遅れた本土の魔道具はこんなものか!!」
空中に飛翔した槍は、途中からオニグモの真下に急降下するように落下した。
オニグモに直撃した瞬間に轟音を放って爆発する。
「は、はは、はっはっはっは!無駄だ!爆発反応装甲が攻撃を防いだ!!無駄なんだ!」
「やはり1本だけでは無理か。次の炎龍を放て!」
「う、撃て!あの槍を破壊しろ!!全ゴーレム一斉発射!!」
槍を持つ錬金術師にターゲットが移った瞬間、タケルの兵がゴーレムを斬り倒していく。
だが構わずオニグモに乗った男は叫ぶ。
「槍を破壊しろおおおおおおおお!!!」
残り3本の炎龍が発射されオニグモを上から狙う。
1本は破壊されたが、残り2本が爆発反応装甲の無いオニグモの体に突き刺さった。
「は、ははは、む、無駄だったな!まだオニグモは健在だ!」
「そうだのう!所で、その空いた大穴には人が入れるのう!!堅牢な装甲を持つオニグモも、中から攻められればどうかのう!!」
「ゼロおおおおおお!誰も入れるなあああ!!!」
飛ぶゴーレムがオニグモの穴を守るように布陣する。
これによりゴーレムの攻撃が更に弱まった。
その瞬間にタケルの兵がゴーレムを倒していく。
「これで侵入出来まい。はっはっは!……ひ、ひいいいいいいいいい!!!ぎゃああああああ!」
オニグモに乗っていると思われる大勢の人間の叫び声が聞こえた。
「あー、聞こえるか?ウインだ。指揮系統と思われる部屋は片付けた」
ウインがオニグモを占拠した事で、南西島のゴーレム部隊は全滅した。
南西島と南東島は攻めの軍事力を削られ、タケルとヨウザンの軍が優勢となった瞬間だった。
回復力の高い固有スキルを持ってはいても、体は痩せていた。
3時間寝て、起きて食事を摂り、半日が過ぎる。
朝になっていた。
タケルに話しかける。
「南西島の敵が来ないな」
「あの島の領主は腹黒いからのう。ワシと南東島が争っておる隙をついて漁夫の利を狙うつもりだったのじゃろうが、ウインの活躍で計画の修正をしておるのだろう」
「南西島と南東島は結託していないのか?」
「協力はしておるだろうが、足並みは揃わんようじゃ。お互いの思惑で、お互いを踏み台にしようとしておるように見える」
「そろそろ体の調子が戻ってきた。戦えるぞ」
「う~む。港は占領されておる。戦ってもらえれば助かるは助かるが南西島の兵力は特殊じゃ」
「特殊?」
「南西島の主力はゴーレムで、全部が筒から弾を発射する」
「ゴーレムの遠距離攻撃部隊か」
「ゴーレムにも種類があっての。普通のゴーレムの他に、飛ぶ奴とでかいやつがおる」
兵が走って来る。
「タケル様!ゴーレムがこちらに向かってきます!」
「行って来る!」
俺は先行した。
ゴーレムでも倒せば経験値が入る。
1000体ほどの人型ゴーレムが横に並んで進軍していた。
ゴーレムの両肩と両脇と更に両腕も筒になっていた。
計6本の筒から鉄の球を吐き出すのだろう。
俺は気配を消して横端のゴーレムに近づいてゴーレムの間を縫うように走りつつ、ゴーレムを斬り倒す。
ゴーレムが味方に当たるのをお構いなしに鉄の筒から鉄の球を飛ばしてくる。
「鉄砲ってやつか」
俺を狙い鉄砲を撃っていたが、当たらないと分かると攻撃パターンを一斉に変えてきた。
俺を狙わず俺の居る付近の広範囲に球を撃ち出したのだ。
すべてを避けることが出来ず、球を食らいながらゴーレムを倒していく。
そこにタケルの軍が合流する。
「皆で突撃せよ!乱戦に持ち込むのだ!」
軍の参戦で一気に俺が動きやすくなった。
俺は勝ちを確信した。
だがそこに、飛ぶゴーレムが現れた。
100体ほどのゴーレムは両腕だけに鉄砲を装備していた。
見た目は歩くゴーレムより華奢に見えたが、動きが早い。
そしてその後ろから巨大な蜘蛛のゴーレムが現れた。
横の長さは100メートルほどあり、足が地面に着くたびに地震のような地鳴りが起こる。
クモのゴーレムは背中に3つの巨大な筒を背負い、体のいたるところから筒が生えていた。
更に巨大グモのゴーレムから大きい声が聞こえる。
「はっはっは!驚いたか?このオニグモの迫力に圧倒されただろう!!」
オニグモには男が乗っている。
「オニグモ!集中砲火開始!ゼロ!空から奴らを皆殺しにしろ!」
大きい蜘蛛がオニグモで、飛んでいるのがゼロか。
オニグモとゼロがタケルの軍を殲滅する勢いで鉄砲を放った。
俺は即座にオニグモを斬りつける。
その瞬間オニグモの体が爆発し、表面がはがれた。
俺は吹き飛ばされる。
「はっはっは!爆発反応装甲だ!攻撃の衝撃を受けた瞬間に外側に向かって爆発する!更に攻撃した者にダメージを与える!刀対策はしてある!」
俺は吹き飛ばされた瞬間に空と陸、更にオニグモの鉄砲で攻撃される。
「撤退じゃ!」
タケルが大声で叫ぶ。
「だが、このまま撤退すれば後ろから撃たれる!」
「構わん!策がある!!」
「く、撤退する!」
「はっはっは!後ろから撃て!!」
こうしてタケルの軍は大打撃を受けて撤退した。
◇
日が落ち、夜になると、進軍するゴーレム部隊とタケルの軍が対峙する。
「はっはっは!またやられに来たのか!?」
オニグモから余裕の声が発せられる。
「2度も負けはせん!かかれーい!」
「同じことの繰り返しじゃないか!猪と何も変わらない!タケルは無能だ!一気に押しつぶせ!!!」
またタケルの軍とゴーレム部隊が戦い劣勢に追い込まれる。
だが今回はタケルの後方の部隊が前とは違っていた。
「炎龍を放て!」
後ろにいる錬金術師が、1メートルほどの槍を構える。
だがその槍はよく見ると槍として扱えないほど太かった。
槍が炎をまとい、オニグモに飛んでいくが途中から明後日の方向に進路を変えた。
「どこを狙っている!錬金術の遅れた本土の魔道具はこんなものか!!」
空中に飛翔した槍は、途中からオニグモの真下に急降下するように落下した。
オニグモに直撃した瞬間に轟音を放って爆発する。
「は、はは、はっはっはっは!無駄だ!爆発反応装甲が攻撃を防いだ!!無駄なんだ!」
「やはり1本だけでは無理か。次の炎龍を放て!」
「う、撃て!あの槍を破壊しろ!!全ゴーレム一斉発射!!」
槍を持つ錬金術師にターゲットが移った瞬間、タケルの兵がゴーレムを斬り倒していく。
だが構わずオニグモに乗った男は叫ぶ。
「槍を破壊しろおおおおおおおお!!!」
残り3本の炎龍が発射されオニグモを上から狙う。
1本は破壊されたが、残り2本が爆発反応装甲の無いオニグモの体に突き刺さった。
「は、ははは、む、無駄だったな!まだオニグモは健在だ!」
「そうだのう!所で、その空いた大穴には人が入れるのう!!堅牢な装甲を持つオニグモも、中から攻められればどうかのう!!」
「ゼロおおおおおお!誰も入れるなあああ!!!」
飛ぶゴーレムがオニグモの穴を守るように布陣する。
これによりゴーレムの攻撃が更に弱まった。
その瞬間にタケルの兵がゴーレムを倒していく。
「これで侵入出来まい。はっはっは!……ひ、ひいいいいいいいいい!!!ぎゃああああああ!」
オニグモに乗っていると思われる大勢の人間の叫び声が聞こえた。
「あー、聞こえるか?ウインだ。指揮系統と思われる部屋は片付けた」
ウインがオニグモを占拠した事で、南西島のゴーレム部隊は全滅した。
南西島と南東島は攻めの軍事力を削られ、タケルとヨウザンの軍が優勢となった瞬間だった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる