女騎士ラーニャ

第２話「トレーニングのラーニャ」

　朝、ラーニャは目覚めた。
　ベッドの上で目覚めたラーニャは、今日から私は生まれ変わったのだと、そう意識する。実際に生まれ変わったのではない。生まれ変わったと自分に言い聞かせるのだ。
　そうすることで、新しいことを始めやすい。例えば、騎士になりたくて始めようと思った筋肉トレーニングとか。
「まずは美しくあるために清潔さを保たないとね」
　なんて言いながら顔を洗い、歯を磨く。
「なんかいつも通りね……。シャワーでも浴びるか」
　言いつつ服を脱ぎ、シャワーを浴びるラーニャ。自分の肉体は痩せすぎだと思うが、唯一肉が付いていると思うのは胸だ。胸だけ、余計な肉が付いている。これは邪魔だな。と、思った。屈強な騎士を想像した時、たわわに実った胸がそこにぶら下がっていたら、幻滅する。ラーニャは勝手に幻滅しつつ、シャワーを終わらせ、体を拭く。次に着替えながら、朝食をとる。
「朝ごはんもいつもと同じ卵料理とサラダ……」
　こればかりは、朝食のバリエーションがない。これからはウインナーや魚などを足そう。そうすることでバランスよく栄養を取れるはずである。多分。
　そう考えながら食事を終えたラーニャは、時間を見た。学校の時間まで一時間はある。通学には三十分かかる。
「よし、余った時間はランニングだ！」
　ラーニャはラフな服に着替え、家を出た。
　そして。
　走ること五分。
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……うぇっ」
　何故だ。
　何故、家を出て五分程度で私は息絶えようとしている？
　もう朝食べたものを吐きそうだ。
「順序を間違えたわね……。早朝に起きてからランニングして、シャワー浴びてご飯食べないと……死ぬ……」
　ラーニャは家を出て十分後、帰宅して、体を休ませながら読書をして過ごしたのだった。