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九話「失敗作」
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神秘によって、渚は傷を回復させた。わずか三十秒で。
「あー、死ぬかと思った」
と、呑気な渚に、苺は複雑な思いを馳せていた。
「私は、渚さんが死ななくて、本当に良かったと思っています」
「苺……」
苺の目には涙が。
「苺お前、感情が、宿ったのか」
驚愕する渚に、苺は首を振る。
「わかりません。わかりませんが、渚さんが死ぬと思ったら、涙が、止まらないのです」
苺は不完全な人造人間で、人を救うつもりが、人を殺す人造人間を作ってしまった。そして神秘にもそうだが、人を救う際に感情はいらない。そう考えて、苺にも感情を、せめて演技するように作ったが、それも失敗したようだ。
失敗して、演技ではない、本当の感情を宿した人造人間を作ってしまったらしい。
苺は泣きながら言う。
「生きてくれてありがとう、渚さん。愛しています。ずっとずっと。でも、それを表現する手段がなかった。だから今、言います。愛しています。本当に渚さんが死ななくて良かった」
渚はその様子の苺を見て、
「失敗作も、悪くないな……」
そう思うのだった。
「あー、死ぬかと思った」
と、呑気な渚に、苺は複雑な思いを馳せていた。
「私は、渚さんが死ななくて、本当に良かったと思っています」
「苺……」
苺の目には涙が。
「苺お前、感情が、宿ったのか」
驚愕する渚に、苺は首を振る。
「わかりません。わかりませんが、渚さんが死ぬと思ったら、涙が、止まらないのです」
苺は不完全な人造人間で、人を救うつもりが、人を殺す人造人間を作ってしまった。そして神秘にもそうだが、人を救う際に感情はいらない。そう考えて、苺にも感情を、せめて演技するように作ったが、それも失敗したようだ。
失敗して、演技ではない、本当の感情を宿した人造人間を作ってしまったらしい。
苺は泣きながら言う。
「生きてくれてありがとう、渚さん。愛しています。ずっとずっと。でも、それを表現する手段がなかった。だから今、言います。愛しています。本当に渚さんが死ななくて良かった」
渚はその様子の苺を見て、
「失敗作も、悪くないな……」
そう思うのだった。
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