目が覚めたら弟に縛られて監禁されていました。

アメショもどき

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番外編 お出かけ

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 久しぶりに納戸から出ると、なんか知らないところに来た気がする。

「なにキョロキョロしてんだよ、にーちゃん」

 あたりを見回していたら、直哉に笑われた。

「いや、なんか緊張して」

「なに言ってんだか」

 まだ笑ってる直哉に手を引かれてリビングに歩いていく。

 なんか知らないけど、納戸を出てから直哉はずっと楽しそうだ。

 とか言ってる僕自身、なんか新しい世界に来たような気分でワクワクしてきているのが隠せていない。

 まあ、考えてみれば納戸に監禁される前と違って、今は直哉と恋人同士なのだから世界が変わったって言ってもいいすぎじゃないか。

 そう思うとワクワクしてくるのも不思議じゃない。

 これからは僕の隣には恋人となった直哉が……大事な人がいるんだ。

 今まで直哉のために働いているときは幸せだとかは考えたことがなかった。

 ただ、それが僕の生きてる意味だとしか考えなかった。

 まだ好きとかそういうことは僕にはよく分からないけど、これからは直哉と2人で幸せになるために生きることが出来る。

 これほど嬉しいことがあるだろうか。

 そんな幸せな気分になりながら、僕と直哉2人で久しぶりのリビングに入っていった。



 ――――――



 久しぶりに見たリビングは、見慣れない部屋な気がした。

 というか、本当に見慣れない部屋になってた。

 目立ってたテレビが納戸に移動してあって無くなってるせいもあるんだけど……。

 僕の仕事が忙しくてもうだいぶ長いこと掃除していなかったせいで、汚いどころか荒れているとすら言えてたリビングがキレイになってた。

「……これも直哉が?」

「ああ、出てたもん仕舞って、ゴミ捨てただけだからたいしたことしてねーけどな」

 少し照れるように言ってるけど、『たいしたことしてない』なんてことは全然ない。

「見違えるようにキレイだよっ!
 直哉偉いなぁ」

「お、おおげさだなぁ」

 さらに照れてる直哉に、偉い偉いと何度も繰り返す。

 いや、どんだけ子供扱いしてるんだって自分でも少し思うけど、今まで直哉が掃除してくれるなんてことなかったから本当に嬉しかった。

「い、いや、俺は別に汚くても気にしねーけどさ。
 …………こ、ここで、にーちゃんと……その、イチャイチャするかもしれねーじゃん?」

 ……あ、うん、はい。

 と、突然恥ずかしいこといい出さないで欲しい。

 とりあえず、ご褒美と称して直哉にチューしようとしていたにーちゃんとしては先手を打たれて牽制された気分です。

 この、盛り上がってしまっている気持ちをどうしよう……。

 ちょっと迷ったあと……。

 考えていたとおり、ご褒美と称してチューした。



 ――――――



 直哉と軽くイチャイチャした後、リビングのソファに大の字で腰掛ける。

 今までこんな格好で座ったことないけど、なんとなくやりたくなった。

 手足を思う存分伸ばせるのはやっぱりいい……。

「にーちゃん、なにやってんの」

 2階から降りてきた直哉にその姿を見られて苦笑された。

 恥ずかしい……。

「ほれ、にーちゃん、スマホ」

 投げ渡されたスマホを慌てて受け取る。

 2階になにしに言ってたのかと思ったけど、僕のスマホを取りに行ってくれてたみたいだ。

「おおー、懐かしの我がスマホっ!」

 久しぶりの再会に思わず頬ずりする。

 やっぱり、現代人にはスマホがないとね。

「1回も鳴らなかったけどな」

 ……うるさい、泣くぞ。

 なにも届いてないって話は納戸の中でも聞いてたけど、念のため……と待ち受けを開いて目を疑った。

 デフォルトのままだった僕のスマホの待ち受け画面が、直哉の写真になってた。

 しかも、高そうなおしゃれな服を着てキメ顔で気取ったポーズを決めている。

 カッコいい。

 じゃなくって。

 間違いなく直哉がしたいたずらを『なにやってんだよー』と笑い飛ばそうと直哉の方を向いて……。

 照れて僕の方を見れないでいる直哉を見て絶句した。

 え?これマジなやつ?

 え?若者の間では恋人の写真待ち受けにするとか流行ってんの?

 にーちゃん、まったく理解できない。

「直哉、これは……?」

 そう思いながらも、違う意図があるに違いないと信じて聞いてみる。

 動揺しているのに声が震えていない自分を褒めてあげたい。

「ま、前に仕事で撮ったやつ。
 い、一番マシに撮れてたから……」

 どうやら直哉の自慢の1枚らしい。

 確かに100人の女子がいれば99人キャーキャーいいそうなくらいカッコいい。

 あとひとり?

 声も忘れてうっとりしてると思う。

 でも、そうじゃない。

 にーちゃんとしてはこの写真を僕のスマホの待ち受けにした意図を聞きたかったんだけど……。

 まあ、うん、これは諦めるしか無いやつだな。

「えっと、すごくカッコよく撮れてると思うよ。
 これで直哉の顔が見たくなったらすぐに見れるね」

 前半は本心だけど、後半はヤケだ。

「バ、バカ言ってんなよっ!
 はっずかしいなーっ!なに言ってんだよ、にーちゃんはっ!!」

 口では恥ずかしいって言ってるけど、顔やら声やらはニヤニヤと嬉しそうだ。

 マジかー、マジなのかー。

 にーちゃん、若者文化についていけなくて軽く途方に暮れてます。



 ――――――



 スマホを返してもらった後、ファミレスにお昼を食べに行く準備をしてる。

 してるんだけど、僕は急に手足を動かせないことになったので、直哉が部屋着から外着に着替えさせてくれた。

 コーディネート……ってほど、ガチなものじゃないけど服選びも直哉任せで、僕はパーカーに細身のパンツ、ダウンのジャケットだ。

 直哉はパーカーに細身のパンツ、それに大人っぽいジャケットを着てる。

 普通の服装だとは思うけど……さり気なくお揃いかな?

 同じような服装なせいでスタイルの差が如実に現れて……にーちゃん、軽く悲しい感じです。

 まあ、直哉がなんとなく嬉しそうにしているからいいけどさ。

 髪も直哉がいじってくれて、生まれて初めてワックスとかつけた。

 出かける準備も終わって、玄関で姿見を見てみるけど……。

 自分で言うのもなんだけど、いい感じじゃない?

 僕そこそこイケてない?

「ねえ、直哉っ!」

 ちょっと浮かれた気分で後ろにいる直哉にも見てもらおうと振り返る。

「ん?どうした、にーちゃん?」

 モデルさんがいた。

 なんか、うちにイケメンモデルさんがいた。

 髪整えただけなのになんかキラキラ輝いてる気がする。

「お、おおう……」

「なに?なんかあったか、にーちゃん?」

 楽しそうに笑いかけてくる直哉が眩しい……。

「な、なんでもない」

「?変なにーちゃん」

 不思議そうな顔していてすら、直哉は輝いていた。



 ――――――



 家から出て、門の前で少し伸びをする。

 いやぁ、久しぶりの外の空気が美味しい。

「ほれ、いくぞ」
 
 清々しい気分で、背筋を伸ばしていたら直哉も門から出てきた。

「ちゃんと鍵閉めた?」

「ああ」

 なぜか鍵も財布も僕の荷物は直哉が全部持ってくれていて僕はスマホ以外手ぶらだ。

 流石に過保護すぎないかな?

 まあ、直哉がやりたいと言うなら別にいいけどさ。

「あらっ!久しぶりじゃないのーっ!」

 2人で家から出て、ファミレスに向かって歩き始めたところで、向かいから歩いてきた買い物袋を持ったおばさんに声をかけられた。

 えっと、確か……。

「ああ、田中さん、ご無沙汰しています」

「お仕事忙しそうですものねぇ、仕方ないわよ。
 でも、また暇な時にでも町内会に顔出してちょうだいな。
 やっぱり、若い子がいると花があるものねぇ」

「あ、あはは、今度行けそうな時に参加させてもらいますね」

 正直、町内会に出ても酔っ払ったおじさんおばさんお年寄りに絡まれるだけなので出来れば出たくない。

 とは言え、ここは近所付き合いなので愛想よくしておこう。

 妙に体を触ってくる田中さんに困惑しながら、なんとか愛想笑いを返す。

「そういえば、今日はお休みかなにかなのかしら?」

「ええ、ちょっと溜まっていた有給を消化しろって言われまして」

 大っぴらに言うようなことじゃないし、詳細は伏せとこう。

「あら、いいわねぇ。
 うちの旦那なんて今年は正月休みも返上らしいわよ」

「あ、あはは、それは大変ですねぇ」

「たまには休んで家族サービスでもしてくれてもバチは当たらないのにねぇ。
 ……あら、そういえば、ご挨拶が遅れたけど、そちらの方は?」

 僕の後ろに立ってる直哉をちらりと見て言う。

「ああ、ご無沙汰させてしまっていますが、弟の直哉ですよ」

「まあっ!?あなた直哉ちゃんっ!?
 小さい頃から可愛い子だったけど、ほんと男前になっちゃって」

「……どもっす……」

 おばさんパワーに圧倒されたか、珍しく直哉が人見知り気味になってる。

 直哉はちょっと気まずそうだし、なにより、僕の背中に隠れて服引っ張ってきてるし、ここは切り上げるとしよう。

「それじゃ、田中さん、また町内会があるときには声かけてください」

「あらっ、引き止めちゃってごめんなさいね。
 もしよければ新年会にでも顔だしてちょうだいね」

「あはは、誘ってくださってありがとうございます。
 それじゃまた」

 返事は濁して、会釈だけして逃げ出す。

「…………さっきのおばさん誰?」

「2軒隣の田中さん。
 覚えてない?僕が仕事忙しくなる前までは、良く差し入れとかしてくれてた人なんだけど」

 煮物とかカレーとか大量に作ってくれては差し入れてくれてた。

「……ああ、思い出した。
 来るたびににーちゃんと長話してた人だ」

 ……ああ、うん、良い人なんだけど話好きなのは難点な人だなぁ。

「…………」

「どしたの?」

 なんか直哉が難しい顔してる。

「……にーちゃん、熟女は好きか?」

 はあっ!?

 突然なに言い出した。

 いや、まあ、年上も年下も別に嫌いではないけど……。

「と、とりあえず、田中さんはいくらなんでも熟し過ぎかなぁ」

 さすがに、母さんと同年代はちょっと……。

「そっか。
 なら許す」

 なんか安心したように言って、そっと寄り添ってきた。

 直哉くん?

 流石にそれはいらぬ心配だと、にーちゃん思う。



 ――――――



 ファミレスについて、席に案内してもらったんだけど……。

「にーちゃん、なに食う?」

 隣りに座った直哉がテーブルに広げたメニューを一緒に覗き込んでくる。

 2人の真ん中ならまだしも、僕の前でメニュー開いているから肩が触れ合うレベルでくっついてる。

 ファミレスのボックス席で、2人なのに並んで座るとかカップル――それも『バ』の方――しか見たことなかったけど……。

 ま、まあ、直哉が楽しそうにしているからいいとしよう。

 案内してくれた店員さんが、ちょっと驚いた顔してたのが恥ずかしかったけど……。

「えっと、僕はこのドリアで」

 なんか通路を挟んで隣の席の高校生っぽい男女にもチラチラ見られている気がして落ち着かなくて、とにかく目についたものを頼むことにした。

「あとは、直哉が決めていいよ」

 そう言って、メニューを直哉の方に押しやる。

 これでとりあえずベッタリくっついてる状態からは逃れられた。

「えっと、どうすっかなぁ」

 戻ってきたっ!?

 せっかく押しやったメニューごと直哉が戻ってきた。

 ……うん、もう諦めよう。

「んじゃ、サラダとこのチキンのやつと、俺はボロネーゼにしよ。
 あとデザート……と」

 メニューを見ながら注文票に書き込んでいく。

 ああ、もう好きなだけ頼むがいい。

 だから、早くメニューしまおう。

 やっぱり、どう見ても隣の席の高校生カップルっぽい2人がこっちをチラチラ見てる。

 は、早く、せめて距離だけでも開けないと……。

 注文を書き終わってベルを鳴らすと大学生っぽい女性店員さんが来てくれた。

 そして、注文票を取って一品一品、間違いがないか読み上げて確認してくれる。

 ……さすがに肩が触れ合うほどではなくなったとはいえ、2人並んで座る僕たちをチラチラ見ながら。

「以上でよろしいでしょうか?」

「にーちゃん、いいか?」

「ああ、うん、大丈夫」

 ダメなのは僕の羞恥心かな。

 直哉が店員さんにうなずくと、店員さんはお辞儀をし、最後にチラリと一瞥して厨房の方に帰っていく。

「なぁ、にーちゃん、さっきの店員ちょっと見すぎじゃね?」

 直哉は不機嫌そうにしているけど、仕方ないと思うよ……。

「あれ、絶対にーちゃんに気あるって」

 そっちっ!?

 い、いや、あれは、なんていうかそういう視線じゃなかったと思うよ?

 というか、そういう意味ではやたらと直哉の顔見てたから。

 とりあえず、機嫌の悪そうな直哉の手をくすぐってご機嫌をとる。

「やめろよー、にーちゃん♡」

 ……隣の席のカップルがガン見してた。



 ――――――



 あの後、注文が届いて食べようとしたら、いつものクセで『あーん』をしてしまって、隣の席の視線に気づいたときにはかなり慌てた。

 それからは、カップルさんたち真っ赤になって俯いちゃってたし、本当に悪いことをしてしまったと思う。

 僕たちより先に帰ったけど、出ていくときはやけに粘度が高い感じで手を繋いで帰っていったし、気まずくなったりはしていないと思いたい。

 そして、今僕たちは帰り道にあるスーパーによって買い出し中だ。

 食材を選んでる直哉に一言断って、僕だけ別行動をしているんだけど……。

 うーん、どうしよう。

 とある棚の前で結構な時間悩んでしまっている。

 思ってた以上に種類があって、どれを買っていいのか分からない。

 薄さは薄い方がいいって聞いたことあるけど、サイズなんて測ったことないし……。

「にーちゃん、なにやってんだ?」

 やばい、もう直哉の買い物が終わってた。

 結構時間が経っているとは思ってたけど、自分で思っている以上に悩んじゃってたようだ。

「あ、いや、これは……」

 僕がアワアワと慌てていると、直哉は僕の見ていた棚を見て……ニヤッと笑った。

「にーちゃーん、そんなの買ってなにに使うつもりなんだー?」
 
 顔はニヤニヤ笑ってるし、コンドームを見ていた僕をからかう気満々だ。

 1人で買いに来る前にどんな物があるか見ておこうとか考えなければよかった……。

「にーちゃんもこう言うのに興味があるお年頃なのはわかるけどさぁ」

「興味があるというか……ほら、やっぱりつけないと……ね?」

「んー?別にいらねーんじゃね?
 妊娠するわけでもないし」

 直哉は軽くそんな事を言いながら、恥ずかしがる様子もなくコンドームの箱を取っては説明書きを読んでる。

 いや、まあ、妊娠はしないけどさ。

「ほ、ほら、病気とかもあるって言うし」

「別に他のやつとやるわけじゃねーんだから大丈夫だろ。
 それともにーちゃんは他のやつとやりたいの?」

 軽く睨まれたので、慌てて頭を振る。

「そ、そんなわけないってっ!
 ていうか、ここでそういう話するのはやめよ?」

 今のところ周りにだれもいないけど、さすがに人目が気になる。

「ま、そだな。
 この話は後でじっくりと聞かせてもらおうか」

 そう言って、ニヤリと笑うと、かすめるように僕のチンコを触ってくる。

 こ、公共の場でそういうのはいけないと思います。

「あと、ここににーちゃんのが入るの売ってないぞ。
 もし本気で買うならドラッグストアいけ」

 え?マジで?

「あっ、先輩じゃないですかっ!」

 衝撃の事実に絶句していたら、聞き覚えのある声に呼びかけられて心臓がビクっと跳ねた。

 明らかにこっちに向かってかけてきている声に、直哉も僕から少し距離を取る。

「さ、佐々木さん、奇遇ですね」

 声の方を振り返ると、声から想像したとおり、同じ会社に勤めてる佐々木さんがいた。

 佐々木さんは今年入ってきた女性社員で、僕のほうが年齢は下なのに僕のほうが長く勤めてるからって先輩として立ててくれている。

 僕に懐いてくれていて、今も買い物かごを持ったまま嬉しそうに近寄ってきてる。

 その様子を見る限り、なんか変なところを見られたり聞かれたりってことはなさそうだ。

 も、もうちょっと早いタイミングじゃなくって良かった……。

「もー、何度言ったら敬語やめてくれるんですかー」

 嬉しそうに笑ってる佐々木さんに軽く腕のあたりを叩かれた。

 叩くというより触るくらいの強さだから、全然痛かったりはしないんだけど……。

 どうにも、僕の周りにはボディタッチの多い女性が多くて困る。

「それにしても心配してたんですよ。
 でも、おもったより元気そうで良かったです」
 
「あ、あはは、お陰様ですっかり良くなりました。
 佐々木さんはこんな時間にどうして?」

 まだ会社の時間のはずだし、スーツ姿だから休みってわけじゃないと思うんだけど。

「ああ、あると思ってた文房具の在庫がなくなってて。
 慌てて買い出しです」

 そう言って『テヘッ』って感じで可愛く笑う佐々木さんの買い物かごを見ると、言葉通り輪ゴムとかの文房具と、それにお菓子が入ってた。

「あ、お菓子のことは課長には黙っててください。ねっ?」

 可愛らしく首を傾げて口止めをされて、思わず苦笑が浮かぶ。

 まあ言う気はないけどさ、どうも佐々木さん年上の割に仕草が色々可愛らしい感じなんだよなー。

 年下の先輩としてはどう扱っていいか、いつも少し困る。

「にーちゃん、この人?」

「あ、会社の……一応後輩の佐々木さん。
 佐々木さん、これうちの弟です」

 今まで黙って後ろで立ってた直哉が急に話しかけてきたので、佐々木さんの紹介をして、佐々木さんにも直哉を紹介する。

「お、弟さんですか?」

 佐々木さんは、ちょっと驚いた顔で直哉の顔を見つめてる。

「はい、弟の直哉って言います」

 ん?直哉、どうしたの?急に僕の前に出てきて。

「にーちゃんの後輩さんにこんな可愛い人がいるとは思いませんでした。
 これからもにーちゃんをよろしくお願いします」

 なんかやけにキメ顔でキラキライケメンオーラを出しながら言って、最後にニコッと僕も見たことのない爽やかな笑顔を佐々木さんに向ける。

 な、直哉?

 なんか、佐々木さんぽーっと直哉の顔見つめちゃってるけど……。

「それじゃ、今日のところは行きますね。
 また、見かけたら声かけてくれたら、俺、嬉しいです」

 最後にちょっと照れたように笑うと、頭を下げて僕の手を引っ張って歩きだす。

 ちらっと佐々木さんの方を振り返ると、まだぽーっと突っ立って直哉のことを見てた。

「ね、ねぇ、なに?佐々木さん直哉の好み?」

 やけにサービス満点だったけど。

 ちょっと……ほんのちょっと、嫉妬混じりに聞いた僕に直哉は。

「……はっ」

 バカにするように鼻で笑った。

 ……何事ですか?



 ――――――



「にーちゃんは、これから1人で出歩くの禁止な」

 家に帰った僕に、直哉から外出禁止令がだされた。

 なぜっ!?
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