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第一章 虜囚

31話 淫紋

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 みんなが僕の方を見て説明を待っているけど……。

 どうしたものかなぁ?

「どした?イロハ」

「いや、どう説明したものかなぁ……って」

 僕もいまいちこっち側の能力は使い方とかよく分かってないんだよなぁ。

「なんだそりゃ。
 とりあえずまとまりなくても良いから話してみろよ」

「それじゃ、お言葉に甘えて。
 一言でいうと、僕の設定したことをしたりされたりすると気持ちよくなる能力なんだけどね」

「ああ、所長の場合はお前に『褒められたら』気持ちよくなるんだっけか?」

 相変わらずトールくんを睨みつけているウルガにうなずき返す。

 その時にウルガを見て気づいたけど、これ、ウルガ所長が憎いとか警戒しているとかじゃないな。
 
 僕にさんざんイジメられたトールくんが羨ましいんだ。

 あとでウルガにも色々やってあげよう。

 まあ、それは後のこととして。

「そうそう、そんな感じで『僕がなにかしたら』あるいは『相手がなにかしたら』、相手が気持ちよくなるって感じ」

「えっと、それなら色々と使い勝手良さそうな気がするんですけど……」

 モルックくんがおずおずと言った感じで、そう言うけど……。

「いやぁ、気持ちよくなるって言っても、それは手で触れてマーク……まあ淫紋って呼んじゃおうか、淫紋を付けたところが感じる快感が僕の自由になるってだけでね。
 正直なところ、トールくんみたいに身体は堕ちちゃってる子へのご褒美かお仕置き用にしか使い道思いつかないです」

「お、堕ちてなんかないぞっ!
 ぼくはこんなものに屈しないっ!!」

 うーん、キリッとした顔で睨みつけてくるトールくんがカッコ可愛い。

「うんうん、トールくんは偉いねー」

「やめっ♡♡あっ♡ああっ♡♡あおうううぅぅぅっ♡♡♡♡」

 僕に褒められてまたトールくんがイッちゃうけど……今度はまだ精子出来てなかったみたいで、チンチンがブンブン頭を振ってるだけだ。

 でも、カライキしているトールくんもエロかわいいので、また褒めようと思う。

「ということで、ご褒美としては良いと思います。
 あとは逆に、決められたこと以外では絶対に気持ちよくなれないのでお仕置きとしてもありです」

「え?気持ちよくなれないって?」

「言葉通り、決められたこと以外じゃイケなくなるね。
 例えばトールくんは僕が褒めないともうイケないよ」

「そ、それはそれできついものがあるけどな」

 話を聞いていたみんなが苦笑を浮かべるけど……。

 ウルガだけは苦笑の中に羨ましそうな気配が混じってるし、後でやってあげよう。

 あとトールくんが青ざめてるけど、大丈夫、ちゃんといっぱいイカせてあげるから。

「えっと、でも、これで『息吸うごとにイク』とかにしたら相手の頭狂うんじゃないか?」

 ……クロウくんもなかなかえげつないこと考えるね。
 
「いや、まあ、それはそうなんだけどね。
 でも、ほら、まず最初に気持ちよくする場所に少しの間触れて淫紋付けないといけないから。
 チンチンとかお尻とかを数秒間触れていられる関係って言ったら、なんていうかもう淫紋つけなくてもいいんじゃない?って感じでしょ?」

 同意の上で触れる関係はもちろん、同意なく無理やり触れるような状況ならそれはもう勝負ついているだろう。

 その後の『誓約』を楽にすることは出来るとは思うけど、まあそれくらいだ。

 なるほどと言った感じの苦笑いを浮かべるクロウくんだけど……横のミツバくんとモルックくんのドS組がなにか考え込んでいる。

 ……すごい真剣に考えている。

 怖い。

「あの……」

 先に考えをまとめたらしいミツバくんが小さく手を上げて口を開いた。

「それって淫紋を付けたところが気持ちよくなるんだね?」

「うん、そうだね。
 えっと……だいたい指先大くらいかな?
 だから、手に触れて離れたチンチンを気持ちよくしようとかは無理だよ」

 チンチンを気持ちよくするならしっかりチンチンを触らないといけない。

 むしろ亀頭につけるか棒の方につけるかとか考える必要すらあるかもしれない。

「手は気持ちよくならないの?」

「へ?」

 間の抜けた声を出してしまった僕に、ミツバくんが手を向ける。

「手だよ、手。
 手に触れてつけた淫紋で、手は気持ち良くならないの?」

「え?いや、だって、手だよ?
 気持ちよくなんて……」

「え?手が性感帯の人もいるよ?」

 さも当然というように言うミツバくんのとなりでモルックくんもウンウン頷いている。

 た、たしかに手をいじると気持ちよさそうにする子もいたけど……。

 えぇ?

「…………とりあえず、ウルガ、手を出して」

「な、なんで俺なんだよっ!?」

 いや、だってトールくんのこと羨ましそうにしてたから。

 まあ、それは黙っておこう。

「ウルガ、手を出せ」

「……くっ」

 今度は命令風に言ったら、ウルガがイヤイヤと言ったふうに手を伸ばしてきた。

 ウルガの目にちょっと興奮の色が浮かんでる。

 伸ばされた手を取って、ちょっと考える。

 どんな条件にしようかなー?

 ちょっと恥ずかしいことを思いついたので、手を取ったままウルガの耳に口を寄せる。

「ウルガ、これからは僕とエッチしたいって思うたびにイッちゃうからね」

 これで、ウルガが僕とエッチしたいって思ったらすぐ分かるようになる。

 どっかで突然イッちゃってるのとか、僕とばったり会ってイッちゃうのとか見れたらすごい可愛いと思いますっ!

 ま、そもそも手でも効果があるかの実験だし、一度はわざと考えてもらわないとだけど。

 そんなことを考えながらウルガの手に淫紋を刻みつける。

「なっ!?そんなことっ!?うっ!?手が熱いっ!?」

 ウルガは慌てているけど、その熱さは僕が淫紋を刻んだ時のエネルギーによるもので……。

 あれぇ?淫紋描いたばかりだと言うのにもうピンクに光って発動してる。

「あぐっ♡♡なんだこれっ♡♡手が気持ちいいっ♡手が気持ちいいのにっ♡♡♡それだけなのにっ♡♡♡
 出るっ♡♡イクッ♡♡あ゛あ゛あ゛あああぁっ♡♡♡♡」

 突然喘ぎ声をあげだしたウルガの股間があっという間に膨らんで……ビクンビクンと大きく震えてる。

 そして、ズボンに濡れたシミが……。

「あ゛あ゛あ゛ぁっ♡♡♡止まんねええぇっ♡♡♡あぐう゛うぅっ♡♡♡♡あゔゔっっっ♡♡♡♡ゔお゛っ♡♡♡♡やめてっ♡♡♡気持ち良すぎてっ♡♡♡気が狂ううっ♡♡♡♡」

 ウルガのチンチンがズボンの中で暴れながら精液を吐き出し続けている。

 って、見てる場合じゃないっ!

「ストップっ!ウルガ、ストップっ!!ああ、いやっ!
 …………うん、今解除したっ!今解除したからっ!!」

 慌ててウルガに描いた淫紋を消した。

 絶頂に襲われ続けていたらしいウルガが、力が抜けたように崩れ落ちかけたので抱きしめて受け止めた。

 うん、こういう時にはしっかり大柄のウルガを受け止められる力を出してくれる僕の体、便利です。

「ごめんね、変なこと言ってごめんね」

 ぐったりしちゃってるウルガの背中を優しく撫でる。

 いや……まさか常にそんなこと考えているとか思わなかったからさ……ほんとごめん。

 そして、いつも僕としたがってるってことを知ったからには僕頑張るよっ!

「……イロハ、いくら実験だからってなにやったんだよ?
 まさか、本当に息を吸うたびにとかやっちまったんじゃないだろうな?」

 クロウくんが呆れたように僕たちを見ているけど、苦笑いを返すしか無い。

「えっと……そんな感じのこと……かな?
 ちょっと気軽に変なことを条件にしちゃったもんだから……」

「まあ、とにかく手に描いても効果は出るってことが分かったね。
 あとは他の性感帯にも効果あるか……というか、性感帯じゃなきゃダメとかって制限すら無い気がするんだよなぁ」

「むしろ触れたところを性感帯にする能力みたいな感じしますよね」

「そうっ!それっ!」

 ドS二人組が楽しそうにどう使うのが効果的が話してて……頼もしいけど怖いです……。

「とりあえず、所長さん使って色々実験してみようか」

「そうですね、お尻についているものとの感覚の差とかも分かるでしょうし」

 完全に実験動物を見る目になっているミツバくんとモルックくんに挟まれて、トールくんが青ざめていた。

 頑張れ、神人様。
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