Δ 爪痕を残して

黒野すごろく

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白き其の者

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レイルが捕らえた男性は誤解だと訴えるように暴れているが、動きを止めるようさらに絞められていた。
よく見れば足にも拘束する魔術を使っている。エースも剣を構えてない腕には武術、分かりやすくいえば闘気を纏わせていた。
「話を聞いてあげたほうが… あっ……」
その男は目をぐるぐるさせてしまい、気絶してしまった。レイルはそこまで強く絞めてないです、と慌てた。
「っていうか何ですか?コイツ…」
長めのパーマをかけた黒髪に黄色の丸いサングラス、そして何よりもジーパンを履いている様子がとても現代らしさを想起させる。
(しかも下駄…… 上着は夜露死苦ってプリントされてる。正直ダサいな…)
見た目だけでいえばそう判断出来るが、身に付けている物は正直当てにならない事もある。
「どうしますか?個人的にはマスターに攻撃を仕掛けてきた時点で始末したいのですが」
レイルも同意するように深く頷いているが、俺は首を横に振った。2人とも隠しているつもりなのだろうが、殺意が滲み出ている。
「…放っておくよ、それよりも先に進みたい」
2人は顔を見合わせて、特にレイルが不満そうではあるが彼をその辺に座らせて放置した。

道はあるものの、ゴミ…というかこれは必要なのだろうかという物が目立つ。看板は横倒しになってたり、家も倒壊寸前のものもあった。
(街として成り立ってるのがすごいな)
だがカラスによって残飯が散らかっていたり、ネズミが当たり前に共存しているという環境でもないようだ
しかし治安は決して良さそうとも思えないが、とても悪いともいえない変なバランスを保っている。
「ここか?」
到着したのはバカでかい屋敷、のようだった。周りの建物よりはやや小綺麗な気がしなくもない
「和を感じますね、ですが手入れはされていないようです」
エースはひび割れた壁を見て、所々散らかっている瓦を拾い上げた。ちゃんと管理されているならさぞ立派になるんだろうなという印象だ
「肝試しっていうくらいだから、わざとなのかな」
「何か貼ってあります。えーと……『かげろうさま!と叫べ』…?は……?」
それを読んだレイルは青筋を立てて拳銃を構えた。待て待て、と俺は焦って止めた。いきなり発砲しようとするやつがあるか!
「これは許せない。オレ達にとって“様”付けする対象は主人だけだ」
「お、俺が言えばいいから2人は言わなくていいよ」
それはそれで、とエースも不服そうに主張した。だからといってここで立ち止まるわけにはいかない
「落ち着けって、呼ぶだけだし大した意味はないよ… えっと…かげろうさま~!?」
書いてある通りに叫ぶと一瞬静まり返った。が、何も起きる様子はなかった。
「―――やはりこの屋敷を消すしか」
今度はエースが怒りをあらわにし、屋敷に向かって閃光をぶっ放そうとし始めた。止めようとしたところでパーンと軽めな破裂音が聞こえた。
「ヤッホー♪ようこそオレさまの屋敷へ!さっきぶりだな♪」
屋敷門の上には先程気絶した、変わった風体をした男性がパーティークラッカーを鳴らして立っていた。
我慢ならなかったのか、レイルは男のサングラスを拳銃で見事に弾き落とした。
「おぉあッ!?あっ…ぶねーな!!!何しやがる!?」
「それはオレらの台詞だ!殺すぞ!?」
うわ~ 怖いな~とわざとらしく自分を抱きしめるようにしてガタガタ震えている。わざとこちらを逆撫でするような振る舞いだ
「乱暴なオトコは嫌われちゃうよ?」
「そんなことより、マスターを狙った理由を聞かせてもらおうか」
え~ どうしよっかな~と今度はクネクネしている。2人は怒りと苦笑の表情を見せていた。
「……あの… この依頼でこちらに辿り着いたんだけど、詳しく聞いてもいいですか?」
依頼画面を表示すると、男性は覗き込むようながに股の姿勢になってからそれね!と指でバチコーン☆として見せた。
所作がなんだか古臭さを感じるのはなぜだろう。レイルはうわあ…とドン引きしているし、エースはため息をついていた。
「ま~ 詳しい説明も何もそこに書いてあることが全部だけど、いいよ。入りな~」
男性が指を鳴らしたかと思えば、屋敷門が片側だけ開いた。それからよっと!と言ってそこから降りて姿を消した。
「2人とも行こう、仮にも依頼主だろうし…大丈夫だよ」
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