55 / 63
白き其の者
55
しおりを挟む
聞き込みをしてみてもいいかもしれない、ベストレルは各地から情報だけでなく商いも盛んだ。
商売人に尋ねれば案外思ってもみない、耳寄りな話も聞くことが出来るかもしれない
(……だけどなぁ…)
街中であるにも関わらず、何をするにも危険が伴う自分の身を守れない状況に度々嫌悪してしまう
「どうやって情報集めたらいいかな?」
レイル、そしてエースという流れで視線を移して窺った。
「集会所に行きます?ベストレルならそこまで悪い事態にはならないかと」
俺の心配事を察したのか、レイルはそう提案してくれた。それと同時に、彼は無意識で作っていたのであろう固い拳が見えた。
「そう、しようかな」
恐れていたって、いずれは立ち向かわなければならない。ゲームであっても今は現実で、待ってはくれない
それにリヒトの身が心配だ。俺は察する事は出来ないが、2人によれば生存はしているとのことだ
それを信じるしかないし、そうやってこの世界を生き抜くしかない
(…怖いモンは怖いけど)
はあ、と大きめに息を吐いた。大丈夫、エースもレイルも強い。俺がどのくらい時間をかけて育成して来たと思ってんだ
「俺は、絶対に…リヒトを助けたい。その為にも、まず集会所へ行くよ」
各闘技場からはいつもの歓声が響き渡っていた。べーライズに居た時は気付かなかったが、背景だった建物にも入る事が出来たりして驚いた。
集会所へ入り、すぐに確認出来たのは空中に浮いているベストレルの地図だった。そういえばここでも地図を買うべきだと思い至る。
「ごめん…レイル、お金出してもらってもいい……?」
「ベストレルの地図、更新しないとですね。また広がった気がします」
こことか、と指を差した先を見ると確かに拡大していた。街中だからこそ、もし行くとなったら気を付けた方がいいだろう
最新の地図を購入すると自動更新された。ゲームのランクやキャラクターのレベルで行ける場所などで探索範囲も決まる。
「よし、じゃあ2人は集会所周辺で聞き込みをお願い出来るか?俺はクエストを確認してみるよ」
集会所の中でならあのエルフ達から何か危害を加えられても誰かには気付いてもらえる。
2人が頷いたのを確認し、俺は壁にある色の付いた貼り紙を中心に見て回ることにした。
内容的にはやはり討伐や調査など、危険をともなうものが多い。詳細を見てみると失敗数なども表示された。
失敗数、依頼内容によってはその数が多くなると特別報酬が追加されたりする。
(……あれ…この依頼、やたら失敗数が多い…)
難易度はそれほど高くない設定がされているようだが、目立つように1回限りと記述がある。
(内容は…き、肝試し…!?ということは結構怖いとかそういう感じなのかな)
報酬は『ヒ・ミ・ツ』とのことだが、この依頼主自体の信頼ランクは異様に高い
「ヒミツ……」
少し気になる依頼だが他にも情報に繋がるものがあるかも、と貼り紙の依頼を一通り見て回ってから受付でも依頼を伺った。
しかしそこでも先程の依頼をおすすめされた。頻繁に依頼を出す方のようで、一部では有名どころから呆れられているとの噂らしい
(ちょっと気になってきた。目ぼしい依頼も無さそうだし、やってみてもいいかも)
2人が戻ってきたところでその依頼について話してみると、レイルは賛成してくれたがエースはやや渋い表情をした。
「正規の依頼とはいえ、なんだか怪しくありませんか?」
「そうだね、怪しい。でも俺は…早く情報があればそれを知りたい。2人には負担掛けるけど…いいかな?」
「いえ…否定したかった訳では」
分かってるよ、とエースの背中をポンと軽く叩いた。2人の方はこれといった情報はなかったようなので、この依頼を引き受けることにした。
その依頼主はベストレルの繁華街よりも少し離れた所にあるという
(肝試しって書いてあるもんな…あ、この辺りは地図が広がった部分か)
そのまま歩いて行くと、徐々に道路がゴミで散らかり始めだした。
「…本当にこっちで合ってるんだよね?」
「そう、ですねッ!……」
レイルがそう答えたところで風の切る音が聞こえて振り返ると、彼は見知らぬ男性を後ろから腕で首を絞めるような形を取っていた。
それからエースが剣を鞘から抜く音が聞こえ、俺はついて行けずに混乱した。
「オレも狙撃が得意なんだ、だからテメェを引きずり出せた。ダンナに攻撃しておいてタダで帰れると思うんじゃねえぞ」
「待ッ、待ぁッッ!!…違ッ!」
首をブンブンと振り、足をバタつかせて暴れ出す。エースは一歩前に出てからこの男性をどうするか、俺の指示を待っていた。
商売人に尋ねれば案外思ってもみない、耳寄りな話も聞くことが出来るかもしれない
(……だけどなぁ…)
街中であるにも関わらず、何をするにも危険が伴う自分の身を守れない状況に度々嫌悪してしまう
「どうやって情報集めたらいいかな?」
レイル、そしてエースという流れで視線を移して窺った。
「集会所に行きます?ベストレルならそこまで悪い事態にはならないかと」
俺の心配事を察したのか、レイルはそう提案してくれた。それと同時に、彼は無意識で作っていたのであろう固い拳が見えた。
「そう、しようかな」
恐れていたって、いずれは立ち向かわなければならない。ゲームであっても今は現実で、待ってはくれない
それにリヒトの身が心配だ。俺は察する事は出来ないが、2人によれば生存はしているとのことだ
それを信じるしかないし、そうやってこの世界を生き抜くしかない
(…怖いモンは怖いけど)
はあ、と大きめに息を吐いた。大丈夫、エースもレイルも強い。俺がどのくらい時間をかけて育成して来たと思ってんだ
「俺は、絶対に…リヒトを助けたい。その為にも、まず集会所へ行くよ」
各闘技場からはいつもの歓声が響き渡っていた。べーライズに居た時は気付かなかったが、背景だった建物にも入る事が出来たりして驚いた。
集会所へ入り、すぐに確認出来たのは空中に浮いているベストレルの地図だった。そういえばここでも地図を買うべきだと思い至る。
「ごめん…レイル、お金出してもらってもいい……?」
「ベストレルの地図、更新しないとですね。また広がった気がします」
こことか、と指を差した先を見ると確かに拡大していた。街中だからこそ、もし行くとなったら気を付けた方がいいだろう
最新の地図を購入すると自動更新された。ゲームのランクやキャラクターのレベルで行ける場所などで探索範囲も決まる。
「よし、じゃあ2人は集会所周辺で聞き込みをお願い出来るか?俺はクエストを確認してみるよ」
集会所の中でならあのエルフ達から何か危害を加えられても誰かには気付いてもらえる。
2人が頷いたのを確認し、俺は壁にある色の付いた貼り紙を中心に見て回ることにした。
内容的にはやはり討伐や調査など、危険をともなうものが多い。詳細を見てみると失敗数なども表示された。
失敗数、依頼内容によってはその数が多くなると特別報酬が追加されたりする。
(……あれ…この依頼、やたら失敗数が多い…)
難易度はそれほど高くない設定がされているようだが、目立つように1回限りと記述がある。
(内容は…き、肝試し…!?ということは結構怖いとかそういう感じなのかな)
報酬は『ヒ・ミ・ツ』とのことだが、この依頼主自体の信頼ランクは異様に高い
「ヒミツ……」
少し気になる依頼だが他にも情報に繋がるものがあるかも、と貼り紙の依頼を一通り見て回ってから受付でも依頼を伺った。
しかしそこでも先程の依頼をおすすめされた。頻繁に依頼を出す方のようで、一部では有名どころから呆れられているとの噂らしい
(ちょっと気になってきた。目ぼしい依頼も無さそうだし、やってみてもいいかも)
2人が戻ってきたところでその依頼について話してみると、レイルは賛成してくれたがエースはやや渋い表情をした。
「正規の依頼とはいえ、なんだか怪しくありませんか?」
「そうだね、怪しい。でも俺は…早く情報があればそれを知りたい。2人には負担掛けるけど…いいかな?」
「いえ…否定したかった訳では」
分かってるよ、とエースの背中をポンと軽く叩いた。2人の方はこれといった情報はなかったようなので、この依頼を引き受けることにした。
その依頼主はベストレルの繁華街よりも少し離れた所にあるという
(肝試しって書いてあるもんな…あ、この辺りは地図が広がった部分か)
そのまま歩いて行くと、徐々に道路がゴミで散らかり始めだした。
「…本当にこっちで合ってるんだよね?」
「そう、ですねッ!……」
レイルがそう答えたところで風の切る音が聞こえて振り返ると、彼は見知らぬ男性を後ろから腕で首を絞めるような形を取っていた。
それからエースが剣を鞘から抜く音が聞こえ、俺はついて行けずに混乱した。
「オレも狙撃が得意なんだ、だからテメェを引きずり出せた。ダンナに攻撃しておいてタダで帰れると思うんじゃねえぞ」
「待ッ、待ぁッッ!!…違ッ!」
首をブンブンと振り、足をバタつかせて暴れ出す。エースは一歩前に出てからこの男性をどうするか、俺の指示を待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる