Δ 爪痕を残して

黒野すごろく

文字の大きさ
49 / 63
それぞれの想い

49

しおりを挟む
手伝ってほしい、そう言われて協力しようとした矢先だった。ベッドがぎしりと軋み、あの時を思い出させるかのように馬乗りされた。
上から啄むようなキスを繰り返される。時々舌を絡め取られる度に声が漏れてしまう
「んっ、む…… マス、タ…」
ぎゅ、と恋人繋ぎをされた。拒む事は出来る、違う。拒みたい訳ではないのだ
「手伝ってくれるんでしょ?」
「マッサージだと…」
そうだよ~と鼻先を、そして閉じた唇をぺろりと横に舐められる。その度に心臓が驚き、呼吸が早まる。
「それもあるんだけど、本当は契約してほしくてね」
「契約?リヒトと交わしたのでは…」
あれ、ダメなの?と首を傾げられた。そういう決まりはないものの、既にリヒトとしているのなら意味を成さないだろう
「え~ 団体戦出るのに契約してくれないの?」
「そういう訳では…それに、マスターはサポート参戦でも良か…んっ―――」
またキスをされると思いきや、がちりと軽く歯がぶつかった。マスターは不機嫌そうな表情をしていた。
「するの?してくれるんだろ?」
体温を確かめるかのように手を首へ添えられ、指に力を込められた。本気ではないのは伝わるし、ここからマスターを押し倒せる自信もある。
「…する。するから」
苦笑しながらマスターの両手首を掴み、上体を起こすと彼は満面の笑みを見せた。

初めに出会った印象とは随分違ったものの、これは多少なりとも親交を深められたといってよいのだろうか
はっきりとした確信は得られていないが、これで関係性が悪いとは考えにくい
(データで作り出されたトラインとは違って、マスターの世界は…ここよりも目まぐるしいのだろうな)
マスターの指示に従い、ある程度決まった動きに則って生きている我々とは違う。リヒトがあれだけ悩み、迷うのも無理はない
こればかりは各自の感じ方によるだろう。俺はきっと、マスターの想いを1番に受け取ったからこそ責任感を強く感じている。

「ほら、もたもたしてると帰ってきちゃうよ」
両手に指を絡められ、契約を促される。契約の手順を取り、マスターの衣服をめくって左胸舐めた。
舌で何度か繰り返した後に吸い上げると、マスターは息を漏らした。
「うん、いいね…… こっちは何かした?」
腰を軽めに叩かれ、伺うように彼を見ると視線が交じる。
「慣れてないんだっけ?というよりは、初めてかな?」
「…改めて、そう言われてしまうと……」
顔がカッと熱くなる。俺もリヒトのように、あのように乱れてしまうのだろうか
ぞくりと身体が反応してしまう。四つん這いになるように耳打ちされ、マスターに退いてもらってから指示された体勢を取る。
マスターの近付く音がしたかと思えば臀部を舐められた。心臓の音が俺の中で大きく広がる。
「っ…… ぅあっ!?」
陰嚢に軽く触れられたかと思いきや穴にうねるような感覚があり、思わず身体が跳ねた。
「動かない」
ペシッと軽めに尻を叩かれた。そんな事を言われても、俺からしたらあれもこれも初めてで
穴を何度も往復する舌に、陰嚢を揉み込まれている。緊張して身体はまだ強張っているが、妙な気持ち良さもある。
「っ、マスター…… この格好、は……ずか…し……」
「俺にしかしないんだから気にすることなんてないよ」
「そう言われても、恥ず…んんっ!あ、う……あっ」
先走りを使ってぐにぐにと広げられる。じわじわと押し寄せる快感に呼吸が早まる。
「待っ、あっ……ひっ、ううっ!」
マスターは瞬時に先端を覆うように手で包み、何度か擦られる。姿勢を崩しそうになるとまた叩かれた。
叩かれても痛むどころか、それがまた刺激的なもので。相手が特別な想いのあるマスターだからというのもあるからかもしれない
そう考えている矢先に息を呑んだ。ぐっと陰茎を捕まれているだけでなく、亀頭を責められて焦った。
「おっ、また出ちゃう?…いいね、もっと見せて」

パッと手を離されたかと思えば、達しそうになる寸前でせき止められる。それを繰り返され、俺は再び姿勢を崩しそうになる。
そうするとまた尻を叩かれて狂いそうになる。ああ、もう限界だ。こんなに辛くて気持ちのよい行為があるなんて
「はあっ…うあッ、…く、うッ、ぐっ!……ひあっ…」
両手が離れ、初めに解された穴に指を挿れられる。感じるのに正確な感覚では捉えられなくなっていた。
「まだ我慢出来るだろ?」
「っあ、う…… 無理…出ッ、あ…!」
そう小さく訴えても聞き入れてはくれなかった。身体はびくびくして、撫でられるだけでもおかしくなりそうだった。
「はぁ…ああ……マスタぁ…も、もうッ…… ふ、ううっ」
解されてもなお、イきそうになると動きを止められる。身体から噴き出るものは涙なのか鼻水なのか、汗も混じってびっしょりしている。
最早俺は正しい思考を保ててはいなかった。ゆっくりとマスターが姿勢を変えた事だけが気配で感じられた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...