底辺地下アイドルの僕がスパダリ様に推されてます!?

皇 いちこ

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#18 君のために死ねない

18-3 君のために死ねない

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一見するとラムレーズンバニラアイス。
だが、湯船に沈めた途端に泡の中からドライフラワーが浮かび上がり、バラの花弁が湯面に広がった。ブラックココナッツの濃密な香りが立ち込め、浴室は妖艶な雰囲気に包まれる。

「ニューヨークに一店舗だけなんて……すごく貴重ですね」
「あ、ああ……ホテルマンに勧められてね。100%オーガニックなんだよ」

紫音は感心しながら、湯をかき混ぜて温度を確かめている。湯けむりで上気した襟足、そしてなよやかな背中を後ろから眺めていると、直矢は口づけたい衝動に駆られた。

袋とじ特集までされた裸体と向き合うのは、数週間ぶりだろうか。
nannanナンナン当該号は即日完売し、撮り下ろしグラビアを拝むことができなかったが、魅惑の小悪魔ボディが眼前に晒されているのだ。ずぶ濡れのシアーシャツを纏い、あられもなく乳首が透けたお約束の構図だったらしいが、真の裸体に勝るものはないだろう。重版後の売上部数20万部をもってしても、腰に巻かれたタオルの下の聖域までを知る男が他にいようか。日本中探してもきっと自分だけだ。直矢はそう願いたかった。

「……あの」

穏やかな横顔がゆっくりと降り向き、瞬きを一つ落とす。赤く艶めかしい唇が、緩やかに動いた。

「お背中を流させてもらえますか?……一緒に頂いたモノで」

ひたむきな申し出の傍ら、紫音が手に持っていた容器に驚かされる
時間が迫る中、店員に勧められるがままに見繕った贈り物の一つこそ、究極のスケベアイテム。シャワージェルだ。

「……いや、先にやらせてくれ」
「え……」

変態じみた思考を読み取られないよう、直矢はすばやくボディタオルを奪った。

「撮影で疲れているのに、料理も掃除も任せてしまったからな。たまには労いたいんだ」

遠慮する紫音をバスチェアに座らせ、手のひらとタオルにジェルを垂らす。
甘く爽やかな睡蓮とジャスミンの香りが立ち、きめ細かで伸びやかな泡に変わる。浅く上下する肩口を眺めていると、密かな欲望が顔を出す。思い出されるのは、かつてバスルームで繰り広げられた密事だった。だが、混浴に誘ってくれた純粋な好意を、煩悩で台無しにすることはできない。

直矢は一呼吸置き、絹のような肌に泡を滑らせた。
久しぶりに触れた肌の、何と柔らかいことか。肌理とハリを指先に感じながら、直矢の胸を歪な感情が去来する。

(……俺が知らない間に、こんなにも……)

無尽蔵に手向けられる愛、カメラの鮮烈なフラッシュ、視線に応える喜び。
それらを知った肉体はみずみずしく輝き、芳醇な色香を萌芽させていた。手つかずだった蕾は満開の花を咲かせ、さらなる陽光を求めて背を伸ばしていた。

しかし、あの【奇跡の一枚】にも収められた蕾は、直矢自身の手で育んだものだった。
ある時は毎晩のように愛で、蜜を吸い上げ、この姿にまで成長させたのだ。ひと手間も二手間も手塩に掛けて育て上げた作品が、全世界にさらけ出されてしまった。

再び訪れる、虚無。
ようやく保った心の均衡が、またしても崩壊してしまいそうだった。直矢は俗念を払うべく、無心で手を動かした。

こんな時、人は般若心経を唱えるのだろうか?
その一節さえ知らない直矢の視界一面は、巨大な泡の塊に覆われていく。そこで、微かな悲鳴で直矢は我に返った。

「……あっ!な、直矢さん……ッ!」
「――……!?」

いつしか、浴室は甘い吐息で満たされていた。
直矢は無意識の行動に愕然とした。あろうことか、左手は不埒な胸元をまさぐり、右手は完熟した双丘を撫で回している。持っていたはずのボディタオルは、タイルの上に滑り落ちていた。

「だっ……ダ、メです……急にっ…強くしたら……!」

ツンと膨らんだ尖りを指の腹で捏ね、割れ目を通り過ぎて会陰まで侵している。
帰巣本能で自宅に帰り着く迷い犬のように、直矢の両手はごく自然に秘境へと導かれていた。

「っ……すまなかった、つい……!」

慌てて手を止めるが、何の弁明も思いつくことができない。直矢は盛大なため息を吐き、失態を詫びた。

「参ったな……疲れで判断力が鈍っているらしい」

だが、意外にも返ってきたのは非難でも、否定の言葉でもない。

「や……やめないでください……!」

退かそうとした手に、紫音のそれが重ねられる。
微かに緊張が走っていたが、期待で熱を帯びていた。

「久しぶりなので……ゆ、ゆっくりだったら……平気です」

紫音は腰を浮かし、自らの意志で足を開いた。
バスタオルがはだけ、豊かな尻が露わになる。そして、奥まった淫靡な果肉を見せつけたのだ。大胆不敵な行動に直矢は息を呑んだが、今宵は聖夜。あらゆる奇跡が起こりうる日だ。

「わかった……負担が無いようにしよう」

紳士なら、その期待に応えなければならない。
体が冷えないよう、直矢は紫音を湯船の中へ誘った。膝立ちの状態でバスタブの縁に手をつかせ、再び足を開かせた。たおやかな腰が揺れ、尻がふるりと弾む様子も、眼福の光景だ。
直矢は再びジェルを手に取り、まだ硬い突起を緩やかに愛撫した。

「ひゃ……っ!あ…ああ……!」

摘まんで引っ張ると、甲高い嬌声が漏れる。
そんな媚態が愛おしく、直矢は無防備な耳裏にキスを落とした。

「……一つ聞きたいが」
「え……!?」

直矢は自らの猛りを悟られないよう、差し出された極上の桃に触れた。むっちりとした、すべらかな素肌の質感に酔い痴れる。

「ン……!」

感度の素晴らしさは変わらず、鼻にかかる声で切なげに応える。直矢は真理を確かめるべく、奥ゆかしい窄まりに指先を滑らせた。

ここ・・は……まだ誰にも見せていないな?」

優しくもしたたかな主人の声色に、紫音は肩越しに頷いた。

「直矢さんの他には……誰も……」

迷いの無い返答に、直矢は満足げに微笑む。
熱を持った指先で、桜色に色づく縁をなぞった。

「そうか……ならいい」
「ふぁ…!あぅ……んんっ!」

頑なに貝殻を閉ざしたそこは、処女のように強張っている。直矢は再び耳朶に唇を近づけ、囁いた。

「力を抜きなさい」

密着するあまり、なだらかな腰のくびれへ剛直を押し付けてしまう。暴発寸前の熱源に、紫音の五感は敏感に反応した。

「あ……ッ!直矢さんが…すごい硬く……ふあっ♡♡」

つぷッと音を立て、人差し指の第一関節まで呑み込む。
肉体に刻み込まれた主人の熱を思い出したかのように、内部は歓喜に打ち震えた。

「あっ、あ……もっと、奥にッ……!」
「君は……ここが好きだったな」

指の腹を締め付ける狭い圧迫感、そして蕩けそうな体温に眩暈を覚える。
知らず知らずのうちに、焦がれていた感覚だった。どこに触れると悦ぶのか、直矢ははっきりと記憶していた。さらに深くまで指を侵入させ、小ぶりな膨らみに狙いを定める。

「んはっ!あ、あ……やあっ、らめれすっ♡♡」

崩れ落ちそうになった半身を支え、直矢は抽挿を速めた。
ジェルが内壁を擦る水音が反響するに合わせ、可憐なキャロットからは、すでに先走りが溢れ出ていた。変わらず快楽に敏感な体は、クリスマスディナーを締めくくるデザートにふさわしい。

「――っ……紫音……!」

朦朧とした熱に浮かされたまま、直矢は背後から唇を奪った。
わずかな隙間を抉じ開け、情熱的に舌を絡め取る。抑圧していた欲望が暴れ出したかのように、性急な口づけだった。

「んむっ…!はぁ……ふぅッ♡ぁあ……っ♡♡」

せめて、残された領域だけは明け渡したくない。
直矢の中で、そんな子供じみた独占欲に火が付いたようだった。自らが与えた快感に溺れる表情も、誰一人として知られたくない。この瞬間だけは、美しく鳴くカナリヤを籠の中に閉じ込めておきたかった。

「っむ……♡ぅん……んんっ……♡♡」

そこへ、紫音の片手がたどたどしく伸ばされ、充血した楔を握り込む。
腹に反り返るほど怒張したペニスは、奉仕を受けてさらに硬さと質量を増した。深く激しいキスの合間に、直矢は苦悶の吐息を漏らす。

「―――ッ……く……!」

ほんの二三回扱かれただけで、直矢はあっけなく絶頂を迎えた。
ドクドクと熱い迸りが、細い腰にぶちまけられる。抜く暇もなく溜め込んでいたせいか、濃厚で大量の白濁が双丘の谷間へ滑り落ち、太腿を伝っていった。

「んぁっ♡あ……ああ――っ……んん……♡♡」

口内、そして肉壁への愛撫も荒々しくなる。
肌を濡らす精液の熱さに昂ったのか、紫音もまた湯船の中にミルクを噴き出した。

「はあっ、はぁ……ふ……♡♡」

二人は一糸纏わぬ姿で抱き合い、接吻の余韻に浸った。
トクトクと脈打つ心音、乱れた息遣いに、しばらくの間耳を傾けながら。それらが落ち着いた頃はすっかりのぼせてしまい、早々に入浴を切り上げる羽目になった
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