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第一章
『悪友』#2
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「おい、いつまでそうしているつもりだ?」
ロイスは更に嫌悪感を露わにする。
「良いじゃん良いじゃん。で、これ、どこの柔軟剤?」
「…さあな、知らん。洗濯は家政婦の仕事だ」
蝶が止まっていたのか、と思いながら、美貌の少年は突き放すように答える。
ロイスの高圧的だが、透き通った声に気付いた者や、掲示板に向かう途中の在校生達が、次々と二人の方へ振り返る。
「キャー‼︎ ロイス様よ‼︎」
女生徒達の甲高い、いわゆる黄色い悲鳴に似た声が上がる。その声を発端に、掲示板に集中していた在校生達が、一斉に振り返り遠巻きに集まってくる。
金髪碧眼の美少年は、二年生の今年度から生徒会長を務めることが決まっているほどのカリスマ性を持ち、それを隠すことはなく、また利用する術も心得ている。
群衆に向けて軽く手を挙げて、その声に応える。本人は静止をかけたつもりだったが、浮き足だった生徒達の歓声は止まらない。
こうなった群衆は制御不能、と諦める。
「…お前」
と、ロイスが言いかけて、レイモンドは携帯電話をこちらに向けている野次馬を蹴散らし始める。
「はいはーいっ、坊ちゃんは見せ物じゃないぞ」
レイモンドはスラックスのポケットに手を突っ込んだまま、在校生達へ向かう。
「──自分のクラスを確認した奴から、さっさと教室へ行けよな~」
足先で「おらおら、どけよな」とでも言うように、人払いを始める。
彼の言葉と風貌に気押されて、生徒達は少しずつ減り、道を開けて行く。
ロイスはレイモンドが不躾に接してきても、彼を傍に置いておく。それは彼が見た目や口調に反して、意外と常識人であるからだ。
「──ほらほら! 行った行った~‼︎」
レイモンドの言葉に、生徒男女問わず不満の声が上がる。
「も~う! いっつもアイツ、なんなのよ‼︎」
「ロイス様が見えないじゃない!」
その様子を見ているロイスは、大きく溜め息を吐いた。
自分に群がって来る連中は、昔から打算的な奴らばかりだ、と思っていた。自分が権力者の御曹司であるが故に、お近付きになれば何かと利益がもたらされるのではないか、と思っているのが透けて見えていた。それは、生徒、教師も例外ではない。
その点、レイモンドとロドルフは単に「傍にいるだけで、背中がゾクゾクするようなスリルが味わえるから」との理由だけで、校内でのボディガードを引き受けてくれている。(レイモンドは勝手に友達だと思っているようだが)
レイモンドが在校生達を蹴散らした後に、教室への道が開ける。
「ほらほら~、道を開けましたよ~、お坊ちゃま。ねえ、ご褒美ちょーだい♡」
振り返ったレイモンドが、満面の笑みで振り返った。
「お前が勝手にやったんだ。そんなものあるか」
ロイスはレイモンドが開けた道を歩き出す。
「感謝のキスでも良いよ~。右? 左? どっち? 両方なら嬉しい」
構って欲しい子犬のように、レイモンドはロイスの周りをグルグル廻る。
「お前の、そのお気楽な脳みそに感謝してやりたいよ。どうやったら、そんな発想が出てくるんだ」
そんなレイモンドには構わず、ロイスは無表情で歩き続ける。
「それ、褒め言葉ってことで受け取っとく!」
レイモンドは悪ふざけをやめて、ロイスの前に軽やかに出る。
「勝手にしてろ」
「相変わらずのドSっぷりも嫌いじゃない。さてさて。坊ちゃん、教室へ行こうぜ~」
レイモンドはロイスに背を向けて先導して行く。
「お前、何故私のクラスを知っている?」
鼻歌混じりに先に行くレイモンドの後に着いて歩くロイスは、表情を変えずに彼に問いかけた。
「だって、レイモンド、ロドルフ、ロイス。並んでるじゃん」
「……なるほど」
簡単に見つかるわけだ。
教師の奴ら、もしかしてわざと同じクラスにしているんじゃないか?、とロイスは舌打ちした。
教室に着くと、窓際に他の生徒より頭一つ大きい少年が座っている。
ロイスに気付くと、立ち上がって最敬礼で頭を下げる。
「さっすがロドちゃん、来るの早いね~」
レイモンドがロドルフにスキップするように駆け寄る。肩を一つ叩くと、ロドルフの前の席に座る。
ロイスがロドルフの後ろの席に着く。
「ロドルフ、今年もよろしく頼む」
ロドルフが頭を上げた。
「お任せ下さい」
高校生とは思えない体躯の少年は、メガネの位置を直すと、椅子に座った。
結局、中等部から数えると五年間、三人とも同じクラスになった。
ロイスは更に嫌悪感を露わにする。
「良いじゃん良いじゃん。で、これ、どこの柔軟剤?」
「…さあな、知らん。洗濯は家政婦の仕事だ」
蝶が止まっていたのか、と思いながら、美貌の少年は突き放すように答える。
ロイスの高圧的だが、透き通った声に気付いた者や、掲示板に向かう途中の在校生達が、次々と二人の方へ振り返る。
「キャー‼︎ ロイス様よ‼︎」
女生徒達の甲高い、いわゆる黄色い悲鳴に似た声が上がる。その声を発端に、掲示板に集中していた在校生達が、一斉に振り返り遠巻きに集まってくる。
金髪碧眼の美少年は、二年生の今年度から生徒会長を務めることが決まっているほどのカリスマ性を持ち、それを隠すことはなく、また利用する術も心得ている。
群衆に向けて軽く手を挙げて、その声に応える。本人は静止をかけたつもりだったが、浮き足だった生徒達の歓声は止まらない。
こうなった群衆は制御不能、と諦める。
「…お前」
と、ロイスが言いかけて、レイモンドは携帯電話をこちらに向けている野次馬を蹴散らし始める。
「はいはーいっ、坊ちゃんは見せ物じゃないぞ」
レイモンドはスラックスのポケットに手を突っ込んだまま、在校生達へ向かう。
「──自分のクラスを確認した奴から、さっさと教室へ行けよな~」
足先で「おらおら、どけよな」とでも言うように、人払いを始める。
彼の言葉と風貌に気押されて、生徒達は少しずつ減り、道を開けて行く。
ロイスはレイモンドが不躾に接してきても、彼を傍に置いておく。それは彼が見た目や口調に反して、意外と常識人であるからだ。
「──ほらほら! 行った行った~‼︎」
レイモンドの言葉に、生徒男女問わず不満の声が上がる。
「も~う! いっつもアイツ、なんなのよ‼︎」
「ロイス様が見えないじゃない!」
その様子を見ているロイスは、大きく溜め息を吐いた。
自分に群がって来る連中は、昔から打算的な奴らばかりだ、と思っていた。自分が権力者の御曹司であるが故に、お近付きになれば何かと利益がもたらされるのではないか、と思っているのが透けて見えていた。それは、生徒、教師も例外ではない。
その点、レイモンドとロドルフは単に「傍にいるだけで、背中がゾクゾクするようなスリルが味わえるから」との理由だけで、校内でのボディガードを引き受けてくれている。(レイモンドは勝手に友達だと思っているようだが)
レイモンドが在校生達を蹴散らした後に、教室への道が開ける。
「ほらほら~、道を開けましたよ~、お坊ちゃま。ねえ、ご褒美ちょーだい♡」
振り返ったレイモンドが、満面の笑みで振り返った。
「お前が勝手にやったんだ。そんなものあるか」
ロイスはレイモンドが開けた道を歩き出す。
「感謝のキスでも良いよ~。右? 左? どっち? 両方なら嬉しい」
構って欲しい子犬のように、レイモンドはロイスの周りをグルグル廻る。
「お前の、そのお気楽な脳みそに感謝してやりたいよ。どうやったら、そんな発想が出てくるんだ」
そんなレイモンドには構わず、ロイスは無表情で歩き続ける。
「それ、褒め言葉ってことで受け取っとく!」
レイモンドは悪ふざけをやめて、ロイスの前に軽やかに出る。
「勝手にしてろ」
「相変わらずのドSっぷりも嫌いじゃない。さてさて。坊ちゃん、教室へ行こうぜ~」
レイモンドはロイスに背を向けて先導して行く。
「お前、何故私のクラスを知っている?」
鼻歌混じりに先に行くレイモンドの後に着いて歩くロイスは、表情を変えずに彼に問いかけた。
「だって、レイモンド、ロドルフ、ロイス。並んでるじゃん」
「……なるほど」
簡単に見つかるわけだ。
教師の奴ら、もしかしてわざと同じクラスにしているんじゃないか?、とロイスは舌打ちした。
教室に着くと、窓際に他の生徒より頭一つ大きい少年が座っている。
ロイスに気付くと、立ち上がって最敬礼で頭を下げる。
「さっすがロドちゃん、来るの早いね~」
レイモンドがロドルフにスキップするように駆け寄る。肩を一つ叩くと、ロドルフの前の席に座る。
ロイスがロドルフの後ろの席に着く。
「ロドルフ、今年もよろしく頼む」
ロドルフが頭を上げた。
「お任せ下さい」
高校生とは思えない体躯の少年は、メガネの位置を直すと、椅子に座った。
結局、中等部から数えると五年間、三人とも同じクラスになった。
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