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津木に戻ったのは、五日目の夕刻だった。
薄闇につつまれかけた道ばたに立って、佐巣が待っていた。
五日前に大狼を見送ったのと同じ場所だ。あの時からずっとそこにいるような自然さで、佐巣は大狼に片手を振った。
「お待ちしていましたよ。きっかり約束を果たしましたね、大狼さま」
大狼は、にこりともせずに馬から降りた。
「ハイラにすぐ会うぞ。いるんだろうな」
松林の跡地に建つ帝国人の兵舎は、あいかわらず森閑としていた。砂浜によせる波の音だけが単調にどよめいている。
海の向こうに風嵐が見えた。
大狼は、じっと目をこらした。
厚い雲の中で没しかけた太陽が、西の雲と海とをわずかに明るませていた。細長い風嵐島が、暗い影となって浮かんでいる。
いつも、そこにあるのがあたりまえだと思っていた島なのに。
自分の故郷を、こんなにまで愛しいと感じたことはかつてなかった。失ってはじめてわかるのだから、人間なんて勝手なものだ。
だが、もうすぐだ。
大狼は自分に言い聞かせた。
もうすぐ必ず取り戻す。風嵐は、大那の〈狼〉のものなのだ。
ハイラの部屋の、赤々と燃えさかる焚火の前で大狼は彼と向き会った。
いるのはハイラばかりと思っていたのだが、部屋の中にはあと二人の帝国人がいた。
銀色に近い髪の毛をした中年の男と、ハイラよりいくらか若そうな金髪の青年だった。二人とも、緑色の袖無し外套をはおっている。帝国軍の中では、将軍級の者なのだろう。
武人らしい厳しい顔つきで、彼らはハイラと大狼を見つめていた。
ハイラは、大狼が差し出した大王の飾太刀を手にとって、まじまじと眺めているところだった。
「大王も和議を望んでいる」
大狼は、きっぱりと言ってやった。佐巣が、他の二人にも聞こえるような声で通訳する。
「これがその証だ。わかってくれただろう?」
ハイラは応えない。
いつもながら、怒ったような彼の顔だった。
「おれは、あんたとの約束を果たした」
大狼は、なおもたたみかけた。
「あとは、あんたが約束を守る番だ。大那から、一旦引き上げてもらいたい」
焚火の薪が、音をたてて火の粉をちらした。
ハイラは黙り込んだまま、それを払おうともしなかった。
「大王は、〈帝国〉の皇帝に親書を送るつもりだ。むろん、相応の贈り物を付けて」
大狼は言った。
「それでも皇帝が大那を攻めると言うなら、しかたがない、おれたちは戦う。大那の金は決してあんたがたの手には入らないだろう」
鎌が伝えろと言った通りの言葉だった。決して弱気を見せるなと彼は言った。常にこちらが優位に立っているように。
鎌の言うなりになるのは気乗りしなかったが、他に方法もない。せいぜい、芝居がからないように用心するだけだ。
沈痛な面持ちで焚火の炎を見つめていたハイラは、やがて顔を上げて他の二人に話しかけた。
佐巣がハイラの言葉を大狼に伝えようとしたが、彼は手でさえぎってやめさせた。
大狼の耳には、がなりたてているような〈帝国〉の言葉が飛び込んでくるばかり。
実際、喧嘩でもしているような声だった。主にハイラと青年が話していて、中年の男は中立を保つかのように時おり口をはさんでいる。
青年の目が濡れていた。彼は、涙をこらえるようにして必死でハイラに話しかけた。
ハイラは眉をひきしめたまま、最後にぴしゃりと一声言った。
青年はついに黙り込み、うつむいた。
「決まりだ」
ハイラは大狼に向き直った。今度は佐巣をさえぎらない。
「われわれは、最後の戦をする」
「戦?」
大狼は、どきりとした。
「おまえたちが相手ではない」
ハイラは自嘲めいた笑みをうかべた。
「総督だ。あの男に金を諦めさせるには、一戦するしかあるまい」
「じゃあ」
ハイラは、和議を承知してくれたのだ。大狼は、胸をなでおろした。
「沼多に知らせれば、大那の軍も手助けするぜ」
「いや」
ハイラは顔をそむけた。
「〈帝国〉のことは〈帝国〉でかたずける。いらぬ世話はやめてもらおう」
なるほど、とうなずき、大狼はそれ以上の口出しをしないことにした。ハイラにも、帝国人なりの誇りがある。
大狼は、佐巣に連れられてその場を引き上げた。
もう自分の口出しすることはない。あとは、ハイラの首尾を祈るばかりだ。
佐巣は、兵舎の部屋のひとつに大狼を通した。
大那人の奇襲で兵舎の何棟かは焼け落ちているが、建て直す気配はまるでなかった。
それどころか、大狼ひとりに一部屋与える余裕まである。帝国人は、それだけ少なくなっているということだ。
「ハイラは、あの二人と何を話していたんだ?」
焚火を起こしながら、大狼は佐巣に尋ねた。火打ちが湿っているようで、なかなか種火がついてくれない。
「彼らは、ハイラの信厚い将軍です。ハイラは後事を託していたんですよ」
「後事?」
「ハイラは死ぬつもりです」
大狼は、火打ちをそのまま空で止めた。
佐巣が、脇から手を伸ばして火打ち石を取り返した。それを打ち付けながら、
「本当は、総督を津木に誘きだすのが一番いい。でも、じいさんは用心深いし、風嵐を離れようとはしませんよ。だから、ハイラが総督のところに行くしかないんです。じいさんの側に直接行けるのは彼しかいない」
大狼は、はっとした。
「ハイラは、総督と刺し違えるつもりなのか?」
「でしょうね」
佐巣は、顔をしかめてようやく火口に火を取った。
「彼は、もう覚悟を決めています。理由はどうあれ、今回の遠征は大失敗でした。〈帝国〉に無事に帰ったところで、あの人のことだ、責任をとる気でいたでしょうから」
大狼は、薪に火を移す佐巣の手つきを無言で眺めていた。
佐巣は淡々と言葉をつづける。
「説得力はあるでしょうしね。この遠征で百戦錬磨の総督と副総督が二人とも命を落としたとなれば。大那征服がどんなに無謀なことか、皇帝だって思い知るでしょうよ」
そんなことを聞いても嬉しいとは思わない。大狼は、つい佐巣に怒りをぶつけた。
「薄情なやつだな。よく平気な顔でいられるもんだ」
「平気のように見えますか」
佐巣は肩をすくめた。
「辛いですよ、わたしなりにね。でも、彼は彼らしい死に方を選ぼうとしている。止めるのは、かえって罪ですよ」
いつになくしんみりとした声は、本心からのものらしい。大狼も、それ以上責めることはできなかった。
やがて、大狼を残して佐巣は立ち上がった。
そのまま戸を閉めて行きかけた彼に、大狼は声をかけた。
「鍵はかけていかないのか?」
「お望みならば、そうしてもいいんですがね」
佐巣は振り向き、にっと笑った。
「一応の礼儀です。あなたはもう捕虜ではなくて使節ですから」
空には厚い雲がわだかまっていた。
海は鈍色だ。
暗い空と海とのあわいに、風嵐島が細長い影のように横たわっている。
風が強く、波しぶきを霧のように細かく散らしていた。磯の岩の上に立つ大狼の髪も、じっとりと濡れて額に張りつくようだ。
今朝早く、ハイラは風嵐に行った。
あれから四日待ったのだ。今日は、ガルガの誕生日だそうで、風嵐で祝いの会が行われる。ハイラは浮かれたガルガのすぐ近くに行けることだろう。総督の暗殺が首尾良くいけば、狼煙が上がる。津木に残って待ち構えていた船が、いっせいに風嵐を取り囲むはずだった。
艀に乗り込む時、ハイラは見送る大狼に目をくれた。いつも怒鳴っているような彼の顔に、はじめてちらりと笑顔が浮かんだ。
諦めでも皮肉でもない、むしろ晴れやかともいえる笑みだった。
胸が痛くなった。残される者の、勝手な感傷にちがいなかったが。
ハイラは自分の選択に満足なのだ。
そして、実行しようとしている。大狼には、彼の成功を祈ることぐらいしかできなかった。
大那と〈帝国〉のこれからのために。そして何より、ハイラ自身のために。
大狼は、ぶるっと頭を振って濡れた髪の毛を払いのけた。
自分だって、やれるだけのことはしなければならないと思う。
大狼は、毎夜羽白や稀於に夢で会おうとしたが、うまくいかなかった。羽白はもとより、稀於ともあれ以来会っていない。自分の力に限界があるのだろう。稀於はもう、奈瀬に入っている頃だと思うが。
傍らに立っていた佐巣が、無言で風嵐を指さした。
島の中腹から、細く煙がたなびいていた。
大狼は息を呑んだ。
狼煙。
ハイラは成功したのだ。
間を置かず、津木の港から次々と漕ぎ出して行く船が見えた。おそらく、大混乱をきたしている風嵐に向かって。
大狼は、風嵐に近づく船を見守った。その時、いきなりの突風が吹いて、大狼の髪をひるがえした。
大狼は髪をおさえて空を仰いだ。
雲が流れ、わずかな隙間から陽の光がもれてきた。それは幾条もの光の帯となって海へと射し込み、まだらに鈍色の水面を輝かせた。
雲の裂け目は静かに広がっていく。空に光はあふれ、海が答えるかのように明るみを増した。
空の青、海の碧。そして大地は、色彩を取り戻そうと言わんばかりに陽の光をむさぼった。
佐巣が、感嘆の声をあげた。
大狼は、なにも言えず立ち尽くした。
そして、ひとつの名前を口にした。
「羽白」
薄闇につつまれかけた道ばたに立って、佐巣が待っていた。
五日前に大狼を見送ったのと同じ場所だ。あの時からずっとそこにいるような自然さで、佐巣は大狼に片手を振った。
「お待ちしていましたよ。きっかり約束を果たしましたね、大狼さま」
大狼は、にこりともせずに馬から降りた。
「ハイラにすぐ会うぞ。いるんだろうな」
松林の跡地に建つ帝国人の兵舎は、あいかわらず森閑としていた。砂浜によせる波の音だけが単調にどよめいている。
海の向こうに風嵐が見えた。
大狼は、じっと目をこらした。
厚い雲の中で没しかけた太陽が、西の雲と海とをわずかに明るませていた。細長い風嵐島が、暗い影となって浮かんでいる。
いつも、そこにあるのがあたりまえだと思っていた島なのに。
自分の故郷を、こんなにまで愛しいと感じたことはかつてなかった。失ってはじめてわかるのだから、人間なんて勝手なものだ。
だが、もうすぐだ。
大狼は自分に言い聞かせた。
もうすぐ必ず取り戻す。風嵐は、大那の〈狼〉のものなのだ。
ハイラの部屋の、赤々と燃えさかる焚火の前で大狼は彼と向き会った。
いるのはハイラばかりと思っていたのだが、部屋の中にはあと二人の帝国人がいた。
銀色に近い髪の毛をした中年の男と、ハイラよりいくらか若そうな金髪の青年だった。二人とも、緑色の袖無し外套をはおっている。帝国軍の中では、将軍級の者なのだろう。
武人らしい厳しい顔つきで、彼らはハイラと大狼を見つめていた。
ハイラは、大狼が差し出した大王の飾太刀を手にとって、まじまじと眺めているところだった。
「大王も和議を望んでいる」
大狼は、きっぱりと言ってやった。佐巣が、他の二人にも聞こえるような声で通訳する。
「これがその証だ。わかってくれただろう?」
ハイラは応えない。
いつもながら、怒ったような彼の顔だった。
「おれは、あんたとの約束を果たした」
大狼は、なおもたたみかけた。
「あとは、あんたが約束を守る番だ。大那から、一旦引き上げてもらいたい」
焚火の薪が、音をたてて火の粉をちらした。
ハイラは黙り込んだまま、それを払おうともしなかった。
「大王は、〈帝国〉の皇帝に親書を送るつもりだ。むろん、相応の贈り物を付けて」
大狼は言った。
「それでも皇帝が大那を攻めると言うなら、しかたがない、おれたちは戦う。大那の金は決してあんたがたの手には入らないだろう」
鎌が伝えろと言った通りの言葉だった。決して弱気を見せるなと彼は言った。常にこちらが優位に立っているように。
鎌の言うなりになるのは気乗りしなかったが、他に方法もない。せいぜい、芝居がからないように用心するだけだ。
沈痛な面持ちで焚火の炎を見つめていたハイラは、やがて顔を上げて他の二人に話しかけた。
佐巣がハイラの言葉を大狼に伝えようとしたが、彼は手でさえぎってやめさせた。
大狼の耳には、がなりたてているような〈帝国〉の言葉が飛び込んでくるばかり。
実際、喧嘩でもしているような声だった。主にハイラと青年が話していて、中年の男は中立を保つかのように時おり口をはさんでいる。
青年の目が濡れていた。彼は、涙をこらえるようにして必死でハイラに話しかけた。
ハイラは眉をひきしめたまま、最後にぴしゃりと一声言った。
青年はついに黙り込み、うつむいた。
「決まりだ」
ハイラは大狼に向き直った。今度は佐巣をさえぎらない。
「われわれは、最後の戦をする」
「戦?」
大狼は、どきりとした。
「おまえたちが相手ではない」
ハイラは自嘲めいた笑みをうかべた。
「総督だ。あの男に金を諦めさせるには、一戦するしかあるまい」
「じゃあ」
ハイラは、和議を承知してくれたのだ。大狼は、胸をなでおろした。
「沼多に知らせれば、大那の軍も手助けするぜ」
「いや」
ハイラは顔をそむけた。
「〈帝国〉のことは〈帝国〉でかたずける。いらぬ世話はやめてもらおう」
なるほど、とうなずき、大狼はそれ以上の口出しをしないことにした。ハイラにも、帝国人なりの誇りがある。
大狼は、佐巣に連れられてその場を引き上げた。
もう自分の口出しすることはない。あとは、ハイラの首尾を祈るばかりだ。
佐巣は、兵舎の部屋のひとつに大狼を通した。
大那人の奇襲で兵舎の何棟かは焼け落ちているが、建て直す気配はまるでなかった。
それどころか、大狼ひとりに一部屋与える余裕まである。帝国人は、それだけ少なくなっているということだ。
「ハイラは、あの二人と何を話していたんだ?」
焚火を起こしながら、大狼は佐巣に尋ねた。火打ちが湿っているようで、なかなか種火がついてくれない。
「彼らは、ハイラの信厚い将軍です。ハイラは後事を託していたんですよ」
「後事?」
「ハイラは死ぬつもりです」
大狼は、火打ちをそのまま空で止めた。
佐巣が、脇から手を伸ばして火打ち石を取り返した。それを打ち付けながら、
「本当は、総督を津木に誘きだすのが一番いい。でも、じいさんは用心深いし、風嵐を離れようとはしませんよ。だから、ハイラが総督のところに行くしかないんです。じいさんの側に直接行けるのは彼しかいない」
大狼は、はっとした。
「ハイラは、総督と刺し違えるつもりなのか?」
「でしょうね」
佐巣は、顔をしかめてようやく火口に火を取った。
「彼は、もう覚悟を決めています。理由はどうあれ、今回の遠征は大失敗でした。〈帝国〉に無事に帰ったところで、あの人のことだ、責任をとる気でいたでしょうから」
大狼は、薪に火を移す佐巣の手つきを無言で眺めていた。
佐巣は淡々と言葉をつづける。
「説得力はあるでしょうしね。この遠征で百戦錬磨の総督と副総督が二人とも命を落としたとなれば。大那征服がどんなに無謀なことか、皇帝だって思い知るでしょうよ」
そんなことを聞いても嬉しいとは思わない。大狼は、つい佐巣に怒りをぶつけた。
「薄情なやつだな。よく平気な顔でいられるもんだ」
「平気のように見えますか」
佐巣は肩をすくめた。
「辛いですよ、わたしなりにね。でも、彼は彼らしい死に方を選ぼうとしている。止めるのは、かえって罪ですよ」
いつになくしんみりとした声は、本心からのものらしい。大狼も、それ以上責めることはできなかった。
やがて、大狼を残して佐巣は立ち上がった。
そのまま戸を閉めて行きかけた彼に、大狼は声をかけた。
「鍵はかけていかないのか?」
「お望みならば、そうしてもいいんですがね」
佐巣は振り向き、にっと笑った。
「一応の礼儀です。あなたはもう捕虜ではなくて使節ですから」
空には厚い雲がわだかまっていた。
海は鈍色だ。
暗い空と海とのあわいに、風嵐島が細長い影のように横たわっている。
風が強く、波しぶきを霧のように細かく散らしていた。磯の岩の上に立つ大狼の髪も、じっとりと濡れて額に張りつくようだ。
今朝早く、ハイラは風嵐に行った。
あれから四日待ったのだ。今日は、ガルガの誕生日だそうで、風嵐で祝いの会が行われる。ハイラは浮かれたガルガのすぐ近くに行けることだろう。総督の暗殺が首尾良くいけば、狼煙が上がる。津木に残って待ち構えていた船が、いっせいに風嵐を取り囲むはずだった。
艀に乗り込む時、ハイラは見送る大狼に目をくれた。いつも怒鳴っているような彼の顔に、はじめてちらりと笑顔が浮かんだ。
諦めでも皮肉でもない、むしろ晴れやかともいえる笑みだった。
胸が痛くなった。残される者の、勝手な感傷にちがいなかったが。
ハイラは自分の選択に満足なのだ。
そして、実行しようとしている。大狼には、彼の成功を祈ることぐらいしかできなかった。
大那と〈帝国〉のこれからのために。そして何より、ハイラ自身のために。
大狼は、ぶるっと頭を振って濡れた髪の毛を払いのけた。
自分だって、やれるだけのことはしなければならないと思う。
大狼は、毎夜羽白や稀於に夢で会おうとしたが、うまくいかなかった。羽白はもとより、稀於ともあれ以来会っていない。自分の力に限界があるのだろう。稀於はもう、奈瀬に入っている頃だと思うが。
傍らに立っていた佐巣が、無言で風嵐を指さした。
島の中腹から、細く煙がたなびいていた。
大狼は息を呑んだ。
狼煙。
ハイラは成功したのだ。
間を置かず、津木の港から次々と漕ぎ出して行く船が見えた。おそらく、大混乱をきたしている風嵐に向かって。
大狼は、風嵐に近づく船を見守った。その時、いきなりの突風が吹いて、大狼の髪をひるがえした。
大狼は髪をおさえて空を仰いだ。
雲が流れ、わずかな隙間から陽の光がもれてきた。それは幾条もの光の帯となって海へと射し込み、まだらに鈍色の水面を輝かせた。
雲の裂け目は静かに広がっていく。空に光はあふれ、海が答えるかのように明るみを増した。
空の青、海の碧。そして大地は、色彩を取り戻そうと言わんばかりに陽の光をむさぼった。
佐巣が、感嘆の声をあげた。
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そして、ひとつの名前を口にした。
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