9 / 23
9
しおりを挟む
大図書館の通路で、トルグはばったりとリイシャに出会った。
館の東棟と西棟を結ぶ長い通路だ。石壁の所々には小さな窓が穿たれていて、冬の澄んだ陽光が斜めに射し込んでいたが、光の届かない所はぼんやりと薄暗い。その薄暗さの中でも、リイシャだとすぐわかった。
二人は同時に笑みを浮かべた。男女の寮はそう離れていないものの、行動時間が互いにずれているらしく、本舎に来ても顔を合わせることはほとんどなかったのだ。
「本舎には慣れた? トルグ」
「うん。リイシャは図書館によく来るの?」
「時間の空いた時はね。古い本に囲まれるのは好きよ」
「ぼくは調べもの。鉱物薬のことをもっと知りたくて」
「医療魔法を勉強しているのね」
「そこまではいかないな。本草学、といったところ。〈力〉を使わなくても病気を治す方法を教えてもらっているんだ」
リイシャはあきれたように言った。
「予備舎と変わらないじゃない」
「予備舎よりも専門的だよ。知識が多ければ多いほど魔法を有効に使うことができるってランフェル先生は言ってる」
「ランフェル先生のところにいるのね」
リイシャはちょっと首をかしげた。
「気むずかしい先生だと聞いたわ」
「そんなことはないよ、ぼくは好きだ」
「ならいいけど」
リイシャは、気を取り直したように微笑んだ。
「わたしは今、デュレン先生の所にいるの」
「トーム先生の所じゃなかったの?」
「お天気の魔法はほとんど身につけた。もっと別のことも勉強したいのよ。デュレン先生の教室に入れるのは、先生が認めた〈力〉がある者だけと聞いてね。自分を試してみたかったの」
「リイシャは誰より〈力〉があるよ」
「ありがとう」
リイシャはちらと笑い、ちょっと間を置いてから付け足した。
「ラウド先生は、デュレン先生の教え子なんですって」
トルグは、はっとリイシャを見つめた。
「ラウド先生がどうなったか訊ねてみた」
リイシャもラウドのことは気になっていたのだ。アイン・オソにいるかどうかもわからないなんて、突きはなしたようなことを言っていても。
「それで?」
「〈塔〉に行ったきり、帰って来ないそうよ」
トルグは眉を寄せた。
あの〈穴〉は、生み出したラウドにしか消滅させることはできないものだった。教授たちはそれを待って罰を下したのだろう。
予備舎時代の、ほとんど無意識のうちに犯した罪なのに。
〈塔〉にあるという地下通路から、アイン・オソを追放されてしまったのか。
あるいは、もっと厳しい罰が?
「考えてもしかたがないわね」
リイシャはつぶやいた。
「自分の魔法を磨くことにしましょう」
「うん」
「そうだわ」
リイシャの笑顔がひらめいた。
「こんど、わたしたちの教室に来てみない?」
「デュレン先生のところ?」
「そう。指導教師以外の授業に出たってかまわないのよ。かえって違う視点から学べて勉強になるわ」
「でも、先生は〈力〉を認めた者しか……」
「あなたなら、大丈夫よ」
本舎に来がけのころ、トルグも一度だけデュレンの教室を覗いたことがある。銀色に近い白髪を肩の辺りまで垂らした精力的な老魔法使い。顔に刻まれた皺は深かったが昔の美貌を隠してはおらず、眼光も鋭い。背筋がぴんと伸び、言葉使いは歯切れが良かった。ランフェルと変わらぬ歳なのだろうが、どこもかしこも正反対だ。
うまの合う指導者、というリイシャの助言に従って、トルグはランフェルを選んだことになる。デュレンはどうも、近寄りがたかった。
「ありがとう、リイシャ。そのうち、機会があったら」
「待ってるわ」
リイシャはにっこりと笑い、行ってしまった。
トルグは彼女の後ろ姿が通路の陰に消えるまで見送った。
彼女が、そのまま遠くに行ってしまうような気がした。
リイシャは遠からず塔に上り、魔法使いとして巣立って行くのだろう。待ってるわ、と彼女は言ったが、自分に追いつくことはできるのだろうか。
トルグはちょっとため息をつき、踵をかえして歩き出した。
トルグがランフェルの部屋で中食の支度をしていると、鐘楼の鐘が鳴った。
いつもの鐘とは違う響きだ。深く、長く、一回。さらに間をおいて一回。
トルグは作りかけの詰め物パンを皿に置いて耳を澄ました。
のんびりと揺り椅子に座っていたランフェルも背筋を伸ばす。
トルグはそこにいた仲間たちと顔を見合わせた。
鐘の音は六度続いた。
ランフェルは音をたてて立ち上がった。
「先生?」
「訃報だ。教授の一人が死んだ……誰だ?」
ランフェルは顔をしかめ、髪の毛をかきむしった。
「ムルガイか。病とは聞いていたが」
ランフェルはせわしなく室内を行き来して身繕いをはじめた。室内履きを脱ぎ捨て、靴に履き替える。
「〈塔〉に行かねばならん」
片手をふりまわし、
「おまえたち、ここにあるものは、みんな食って行っていいぞ。喪が明けるまでは、ひもじいことになるからな」
ランフェルは、疾風のように部屋を出て行った。トルグは、あっけにとられて師を見送った。
「教授が亡くなったら、どうするの?」
トルグは、ハルトに訊ねた。リフがいなくなってからは、彼が一番長くランフェルのもとにいる。ランフェルの助手的存在だ。
「教授の死に出くわすのはおれも初めてだ。話に聞いているだけだよ」
ハルトは、神経質そうな長い指で茶色の前髪をかき上げた。
「合議は多数決だ。教授は奇数。欠けた教授の席は、おぎなわなければならない。新しい教授は喪が明けた後に上位教師の中から選ばれるようだ。彼らの投票で」
「もし、ランフェル先生が選ばれたら?」
「うーん」
ハルトは眉を上げた。
「確かに先生は力と歳に不足はない。この教室は解散だな」
「先生は教授職なんて嫌いだと思うわ」
イルーが頬を膨らませた。仲間内で唯一の女性だ。ふっくらとした頬に、ふっくらとした褐色の巻き毛がかかっている。
「断るわよ、きっと」
「それができればな。評決は絶対だ」
「とにかく、先生の言うとおりにしよう」
ひときわ背の高い銀髪のファロムが、ひょいと手を伸ばして作りかけのパンを取った。切った鶏肉を挟み、
「これでよし。持って行ってくれ、ウゲン」
と、ウゲンに大皿を渡す。
トルグ同様小柄なウゲンは、色黒で黒い髪。薄い唇が、いつも皮肉っぽく歪んでいる。ファロムは陽気で、ウゲンは無口。好対照をなす二人は、いつもいっしょで仲が良かった。
「先生のお達しだ。残りの肉も出してしまおうか、トルグ」
「そうだね。野菜も傷みそうだから、つけ合わせを作るよ」
「頼む」
菠薐草をちぎりながら、トルグは漠然とした不安を感じていた。
ランフェルが教授になり、教室が解散する。それだけでこんなに心が騒ぐのか?
もっと大きなことが起こりそうな気がした。
絵札の同じ絵をひっくり返す時のように、それは確実な予感だった。
館の東棟と西棟を結ぶ長い通路だ。石壁の所々には小さな窓が穿たれていて、冬の澄んだ陽光が斜めに射し込んでいたが、光の届かない所はぼんやりと薄暗い。その薄暗さの中でも、リイシャだとすぐわかった。
二人は同時に笑みを浮かべた。男女の寮はそう離れていないものの、行動時間が互いにずれているらしく、本舎に来ても顔を合わせることはほとんどなかったのだ。
「本舎には慣れた? トルグ」
「うん。リイシャは図書館によく来るの?」
「時間の空いた時はね。古い本に囲まれるのは好きよ」
「ぼくは調べもの。鉱物薬のことをもっと知りたくて」
「医療魔法を勉強しているのね」
「そこまではいかないな。本草学、といったところ。〈力〉を使わなくても病気を治す方法を教えてもらっているんだ」
リイシャはあきれたように言った。
「予備舎と変わらないじゃない」
「予備舎よりも専門的だよ。知識が多ければ多いほど魔法を有効に使うことができるってランフェル先生は言ってる」
「ランフェル先生のところにいるのね」
リイシャはちょっと首をかしげた。
「気むずかしい先生だと聞いたわ」
「そんなことはないよ、ぼくは好きだ」
「ならいいけど」
リイシャは、気を取り直したように微笑んだ。
「わたしは今、デュレン先生の所にいるの」
「トーム先生の所じゃなかったの?」
「お天気の魔法はほとんど身につけた。もっと別のことも勉強したいのよ。デュレン先生の教室に入れるのは、先生が認めた〈力〉がある者だけと聞いてね。自分を試してみたかったの」
「リイシャは誰より〈力〉があるよ」
「ありがとう」
リイシャはちらと笑い、ちょっと間を置いてから付け足した。
「ラウド先生は、デュレン先生の教え子なんですって」
トルグは、はっとリイシャを見つめた。
「ラウド先生がどうなったか訊ねてみた」
リイシャもラウドのことは気になっていたのだ。アイン・オソにいるかどうかもわからないなんて、突きはなしたようなことを言っていても。
「それで?」
「〈塔〉に行ったきり、帰って来ないそうよ」
トルグは眉を寄せた。
あの〈穴〉は、生み出したラウドにしか消滅させることはできないものだった。教授たちはそれを待って罰を下したのだろう。
予備舎時代の、ほとんど無意識のうちに犯した罪なのに。
〈塔〉にあるという地下通路から、アイン・オソを追放されてしまったのか。
あるいは、もっと厳しい罰が?
「考えてもしかたがないわね」
リイシャはつぶやいた。
「自分の魔法を磨くことにしましょう」
「うん」
「そうだわ」
リイシャの笑顔がひらめいた。
「こんど、わたしたちの教室に来てみない?」
「デュレン先生のところ?」
「そう。指導教師以外の授業に出たってかまわないのよ。かえって違う視点から学べて勉強になるわ」
「でも、先生は〈力〉を認めた者しか……」
「あなたなら、大丈夫よ」
本舎に来がけのころ、トルグも一度だけデュレンの教室を覗いたことがある。銀色に近い白髪を肩の辺りまで垂らした精力的な老魔法使い。顔に刻まれた皺は深かったが昔の美貌を隠してはおらず、眼光も鋭い。背筋がぴんと伸び、言葉使いは歯切れが良かった。ランフェルと変わらぬ歳なのだろうが、どこもかしこも正反対だ。
うまの合う指導者、というリイシャの助言に従って、トルグはランフェルを選んだことになる。デュレンはどうも、近寄りがたかった。
「ありがとう、リイシャ。そのうち、機会があったら」
「待ってるわ」
リイシャはにっこりと笑い、行ってしまった。
トルグは彼女の後ろ姿が通路の陰に消えるまで見送った。
彼女が、そのまま遠くに行ってしまうような気がした。
リイシャは遠からず塔に上り、魔法使いとして巣立って行くのだろう。待ってるわ、と彼女は言ったが、自分に追いつくことはできるのだろうか。
トルグはちょっとため息をつき、踵をかえして歩き出した。
トルグがランフェルの部屋で中食の支度をしていると、鐘楼の鐘が鳴った。
いつもの鐘とは違う響きだ。深く、長く、一回。さらに間をおいて一回。
トルグは作りかけの詰め物パンを皿に置いて耳を澄ました。
のんびりと揺り椅子に座っていたランフェルも背筋を伸ばす。
トルグはそこにいた仲間たちと顔を見合わせた。
鐘の音は六度続いた。
ランフェルは音をたてて立ち上がった。
「先生?」
「訃報だ。教授の一人が死んだ……誰だ?」
ランフェルは顔をしかめ、髪の毛をかきむしった。
「ムルガイか。病とは聞いていたが」
ランフェルはせわしなく室内を行き来して身繕いをはじめた。室内履きを脱ぎ捨て、靴に履き替える。
「〈塔〉に行かねばならん」
片手をふりまわし、
「おまえたち、ここにあるものは、みんな食って行っていいぞ。喪が明けるまでは、ひもじいことになるからな」
ランフェルは、疾風のように部屋を出て行った。トルグは、あっけにとられて師を見送った。
「教授が亡くなったら、どうするの?」
トルグは、ハルトに訊ねた。リフがいなくなってからは、彼が一番長くランフェルのもとにいる。ランフェルの助手的存在だ。
「教授の死に出くわすのはおれも初めてだ。話に聞いているだけだよ」
ハルトは、神経質そうな長い指で茶色の前髪をかき上げた。
「合議は多数決だ。教授は奇数。欠けた教授の席は、おぎなわなければならない。新しい教授は喪が明けた後に上位教師の中から選ばれるようだ。彼らの投票で」
「もし、ランフェル先生が選ばれたら?」
「うーん」
ハルトは眉を上げた。
「確かに先生は力と歳に不足はない。この教室は解散だな」
「先生は教授職なんて嫌いだと思うわ」
イルーが頬を膨らませた。仲間内で唯一の女性だ。ふっくらとした頬に、ふっくらとした褐色の巻き毛がかかっている。
「断るわよ、きっと」
「それができればな。評決は絶対だ」
「とにかく、先生の言うとおりにしよう」
ひときわ背の高い銀髪のファロムが、ひょいと手を伸ばして作りかけのパンを取った。切った鶏肉を挟み、
「これでよし。持って行ってくれ、ウゲン」
と、ウゲンに大皿を渡す。
トルグ同様小柄なウゲンは、色黒で黒い髪。薄い唇が、いつも皮肉っぽく歪んでいる。ファロムは陽気で、ウゲンは無口。好対照をなす二人は、いつもいっしょで仲が良かった。
「先生のお達しだ。残りの肉も出してしまおうか、トルグ」
「そうだね。野菜も傷みそうだから、つけ合わせを作るよ」
「頼む」
菠薐草をちぎりながら、トルグは漠然とした不安を感じていた。
ランフェルが教授になり、教室が解散する。それだけでこんなに心が騒ぐのか?
もっと大きなことが起こりそうな気がした。
絵札の同じ絵をひっくり返す時のように、それは確実な予感だった。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
『皇族を名乗った伯爵家は、帝国に処理されました』 ―天然メイドは、今日も失敗する―
ふわふわ
恋愛
婚約破棄を経て、静かに屋敷を去った令嬢。
その後に残された伯爵家は、焦燥と虚勢を抱えたまま立て直しを図ろうとする。
だが、思惑はことごとく空回りする。
社交界での小さな失態。
資金繰りの綻び。
信用の揺らぎ。
そして、屋敷の中で起こる“ちょっとした”騒動の数々。
決して大事件ではない。
けれど積み重なれば、笑えない。
一方、帝国では新たな時代が静かに始まろうとしている。
血筋とは何か。
名乗るとは何か。
国家が守るものとは何か。
これは、派手な復讐劇ではない。
怒号も陰謀もない。
ただ――
立場を取り違えた家が、ゆっくりと現実に追いつかれていく物語。
そして今日も、屋敷では誰かが小さな失敗をする。
世界は静かに、しかし確実に動いている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる