異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉

文字の大きさ
18 / 330
2巻

2-2


「すみません。木工部門の部門長さんにお会いしたいのですけど」
「面会のお約束はされていますか?」

 早速職人ギルドを訪れると、僕は受付カウンターに向かい、そこの女性に簡潔に用件を伝えた。
 しかし、女性はあからさまにげんそうな表情をしている。
 見覚えのない人物が突然アポなしで訪ねてきて、部門長に会わせろと言えば怪しいかもしれないが、受付をしているのなら表情くらい何とか取りつくろって欲しい……。

「いいえ。ですが、部門長さんから会いたいというお話をいただいていまして」
「お名前をうかがってもよろしいでしょうか」
「あ、すみません。タクミ・カヤノです」
「し、失礼致しました! ただ今、部門長を呼んで参りますので、少々お待ちいただけますでしょうか」
「はい、わかりました」

 僕が名前を告げると、受付の女性はがらりと雰囲気を変えて謝罪した。
 どうやら僕が訪ねてきたら呼ぶようにと、部門長からあらかじめ伝えられていたらしい。

「タ、タクミ・カヤノ殿ですか!」

 受付の女性が席を立ってから、さほど時間を置かずに大柄の男性が現れた。
 ここまで慌てて走ってきたようで、ぜぇぜぇと息を切らしている。

「ええ、そうです。えっ……と、木工部門の部門長さんですか?」
「ああ! 失礼しました。木工部門・部門長のガリオンです。さ、早速ですが!! ガヤの森の大木! ガヤの木をお持ちだと聞いたんですが、それは本当ですかっ!?」
「……ええ」

 部門長の用件はやはりガヤの森の木のことで、それを売って欲しいと言われた。
 それはそれは前のめりの体勢でね。僕が思わず背を反らすくらいの勢いだった。アレンとエレナも部門長の勢いに驚き、僕の後ろに避難していたよ。
 やはり、ガヤの森の木は素材としてとても良い品のようだ。
 太く大きい木なので、くり抜いたり削ったりして繋ぎ目のない家具を作ることができる。
 その上、魔素を含んでいるため、耐火などの付与魔法をほどこすことも可能なんだって。
 だから、ガヤの木から作られた品はどれも高値で取り引きされているらしい。
 しかし、ガヤの森は危険な場所だ。森の外周に生える木を切り倒すとしても、いつ魔物が現れるかわからない。常に警戒する必要がある。
 戦闘力がなければ当然、護衛を雇わなければならない。
 それにガヤの木はとにかくデカいので、一本の木を切り倒すだけでもひと苦労だし、その後に運ぶのにも相当な労力を要する。
 だから職人自ら危険をおかしてまでは木の確保に向かわないものの、素材があるとなれば、喉から手が出るほど欲しいというわけだ。
 部門長さんが、興奮しながら熱くそう語ってくれたよ。
 だけど、説明はそのくらいで構わない。これ以上、専門的な話をされても僕はわからないからな。

「売るのはもちろん構いません」
「ほ、本当ですかっ!?」
「え、ええ……」

 ガヤの木は、目的があって持っているわけではない。ルドルフさんが「もったいないから持って帰れ」と言ったので、回収したに過ぎないし。だから、売ることに問題はない。
 むしろ、買ってくれると言うのであれば、喜んで手放す。

「ここの裏手に倉庫がありますので、まずはそちらで現物を見せていただけますでしょうか!」
「あ、はい。わかりました」

 僕達は部門長さんの案内で、裏手にある倉庫へと移動する。
 そして倉庫に入ると、職人らしき人達が大勢いた。どうやら、ガヤの木をおがみたい人々が集まっているようだ。
 聞いたところによると、僕と部門長さんが受付で話している間に、倉庫に集まるようにと通達されていたらしい。
 そういえば部門長さんが現れた時、受付の女性は戻ってこなかった。彼女がこの職人達を集めたのだろう。
 だとしても、たった数分でこの人数は集まりすぎのような……いや、気にしないほうがいいか……。
 職人達の集合具合は無視し、僕はまず《無限収納インベントリ》から一本のガヤの木を取り出して、いているスペースに置いた。
 うん、何とか倉庫内に収まったって感じだ。

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉーーー!!』
「「「っ!!」」」

 僕が木を出した途端、複数の雄叫びみたいな野太い声が倉庫内に響いた。
 当然のごとくアレンとエレナが驚き、僕にしがみついてきた。というか、僕も驚いた。
 今日は人の叫び声だけで何度も驚かせてしまって、アレンとエレナにはわいそうなことをしている。
 とりあえず、撫でてなだめておこうか~。
 僕が子供達を落ち着かせている間、職人達から「すげぇー立派な木だ」「夢にまで見た素材がっ!」「さわっていいかな?」と様々な台詞せりふが聞こえてきた。
 ――歓喜。その言葉が一番しっくりくる様子だ。

「これほど立派な木は、今までに見たことがありません。やはりガヤの木は最高ですね!」

 部門長さんも感動していた。しかも、体をふるふると震わせて。
 職人達のざわめきは一向に収まりそうにないが、僕はさっさと値段の交渉をして帰りたい。
 部門長さんに買い取り価格のことを尋ねると、予想外の答えが返ってきた。
 ルーナさんにあらかじめガヤの木の相場を聞いておいたのだが、部門長が提示したのはそれを大幅に上回る値段。
 どうやら、ルーナさんが教えてくれた値段は、ガヤの木でも外周に生えている木の最安値だったらしい。
 ガヤの木は森の中心部へ行けば行くほど太く大きくなり、さらに魔素を多く含む良質なものになるんだってさ。
 僕が倒した木は二日ほど森の中を進んだ場所にあったので、かろうじて伐採できる外周の木よりも数段、質の良い木材になるそうだ。
 言わなければもっと安い値段で手に入っただろうに、職人達は馬鹿正直に、木の査定を行っていた。少しでも安値で仕入れようとする商人とは違い、根っからの職人ということかもしれない。

「くっ……。残っているうちの予算では、三本買うのがやっとです」

 三本か……。数十本あるうちの三本。全然、数が減った感じがしないけれど、仕方がないか。
 僕にとっては不要な木だが、無償で全ての木を譲るわけにはいかない。値崩れを起こして市場が混乱するだけだからな。
 僕は追加で三本の木を《無限収納インベントリ》から取り出した。

「タ、タクミ殿、一本多いです」

 最初に出した一本があるから、今、倉庫内には全部で四本の木が置かれている。

「まあ、おまけってことで」
「そ、それは申し訳ないです」

 全部は無理だけど、一本くらいならタダであげても問題にならないだろう。そう思っての行動だ。
 部門長さんは僕の言葉に驚き、恐縮はしつつも表情はとても嬉しそうだった。
 喜んでいるのは間違いないと思ったので、僕はそのまま押し切るかたちで三本分だけの料金を受け取り、足早に職人ギルドを後にした。
 職人達に活気があるのはいいことだと思うんだが……なんだか疲れてしまった。
 今日はもう宿に戻り、アレンとエレナを構っていやされよ~。


 ◇ ◇ ◇


「「ぎるどー、ぎるどー」」

 翌日、僕達は早い時間から冒険者ギルドに向かった。
 アレンとエレナは朝からご機嫌で、スキップしながら道を歩いている。

「「おにーちゃん。きょう、おそといくー?」」

 二人が言う〝おそと〟とは建物の外ではなく、街の外のことだ。

「あ~、今日は素材の売却金を受け取るだけで、依頼を受けるつもりはないんだよな~」

 どうやら、アレンとエレナは遊びに行きたいらしい。
 昨日と同じく、今日これからするのは事務的なことだ。昨日は大人しく待っていてくれたけれど、やはり子供には退屈な時間になってしまう。

「そうだなー。今日の用事が全部終わったら、ちょっとだけ街の外に連れて行ってあげる。だから、それまでいい子で待っていられる?」
「「うん!」」

 二人は笑顔で力強く頷く。

「アレン、まつー」
「エレナもまつー」
「うん、いい子~」

 頭を撫でてあげると、アレンとエレナはさらに笑みを深めてはにかむ。

「「えへへ~」」

 二人が喜んでいることだし、さっさと用事を済ませよう。

「「ぎるどー、ぎるどー」」

 さらにご機嫌になったアレンとエレナとともに冒険者ギルドに入ると――

「待っていたわー」
「え!?」

 ギルドの扉を開けた途端、待ち構えていたルーナさんに捕まった。
 入り口で仁王立ちって……。僕達はギルドに来る時間なんて告げていなかったのに、ルーナさんはいつからここに立っていたのだろうか……。

「さあ、さあ! 行きましょう!」
「はぁ!? ちょ、ちょっと……ルーナさん!?」

 昨日に引き続き、僕はルーナさんに引っ張られて強制的に歩かされた。

「ほらほら、アレンくんもエレナちゃんも早くいらっしゃ~い」
「「まって~」」

 ルーナさんの力は地味に強く、しかも、逆らってはいけない雰囲気をかもし出していた。
 アレンとエレナもきちんとついてきているので、これは大人しく連行されたほうが良さそうかな?


 僕達が連れて行かれたのは、会議室のような個室だ。
 席につくと、ルーナさんから数枚の書類が手渡された。
 それには僕が昨日渡した素材の名前がずらりと並んでいて、それぞれの買い取り金額が記載されている。

「これが昨日、タクミさんから預かった素材の買い取り金額の内訳ね」

 確かに、さらっと見る限り、昨日渡したものの内容に間違いないようだが……。

「どう? 素材は渡したのに、一覧に載っていないなんてことはないと思うんだけど?」
「はい、問題ないと思います。でも、ルーナさん。これって解体費用が引かれていないんじゃないですか?」

 確か、解体しないで売りに出した魔物は、解体費として料金が引かれるはずだ。
 なのに、この書類には解体費分の料金が書かれていない。

「無料よ、無料! タクミさんは貴重なガヤの森の素材をあんなに持って来てくれたのよ。解体費用なんてちまちましたものは取れないわ」

 解体費用はサービスしてくれるってことか。
 売却用に多くの素材を置いて帰ったのは確かだけど……でも、イビルバイパーの解体には、かなりの労力がかかったはずだ。

「本当にいいんですか?」
「いいのいいの! それで、タクミさん。本題に入るんだけど、イビルバイパーの素材はどのぐらい売ってくれるかしら?」

 ルーナさんはうずうずした様子で話を切り出してきた。
 僕は、イビルバイパーから確保できた部位と、それぞれの量が書かれている別紙に目を移す。

「そうですね~……」

 まず、僕が材料として使いたいのは皮だ。
 僕と子供達の装備の他にも、あとで使いたい場面が出てくるかもしれないしなぁ~。

「逆に、ギルドではどのくらい欲しいですか?」
「そうね~。半分……できれば三分の二は欲しいわ」

 僕が三分の一ってことか。イビルバイパーはとにかくデカいから、それでも充分な量だよな? だったら、それで問題なさそう。
 ん~、血や内臓はいらないし、骨も必要ないよな……。
 あ、肉だけは皮と同じ分だけ手元に残しておこうか。高級食材であるイビルバイパーの肉は美味しいらしいし。《無限収納インベントリ》に入れた素材は時間が止まって腐ることがないから、多めに持っておこう。

「じゃあ、僕の分は皮と肉を三分の一ずつで。残りをギルドに売却ってことでどうですか?」
「本当!? それで問題ないわ! ありがとう~」

 ルーナさんが満面の笑みで感謝を告げ、すんなりとそれぞれの取り分が決定した。

「すぐにお金は用意させるわ。今のうちに、タクミさんの分の素材を倉庫へ取りにいきましょうか」
「はい、お願いします」

 結局、ブラッディウルフや薬草などの売却分も合わせると、買い取り金額は驚くほどになった。
 白金貨が数枚混ざっていたしな。これは数年、豪遊しても生活できる金額だ。
 日本で生活していた時とは比べものにならないくらいの裕福さで、少しビビる……。
 とりあえず、半分のお金は受け取って《無限収納インベントリ》にしまい、残り半分は僕と子供達で三等分にし、ギルドに預金しておくことにした。


 ◇ ◇ ◇


 冒険者ギルドを出た僕達は、西門にある騎士団支部に向かった。
 昨日の夕方、宿に騎士の使いが来て「明日、騎士団支部へ来ていただけませんか」と言われ、了承したからだ。

「お待たせしました」

 通された応接室でしばらく待っていると、ガディア国騎士団シーリン支部の第二隊副隊長のアイザック・リスナー様と、同じく第三隊副隊長のブラウド・ガンフォルグ様が部屋にやって来た。

「ご足労をかけてしまい、申し訳ありません」

 リスナー様は、僕達の向かい側の席につくと、そう口にした。

「いいえ、気にしないでください」
「本当は隊長がお会いする予定だったのですが、あいにく時間が取れなくなってしまい……」

 聞けば、隊長――リスナー様の上官であるヴァルト様達は、ガヤの森の遠征の調査報告や事後処理といった雑務に追われているそうだ。
 そんな忙しい時にわざわざ僕を呼び出したってことは、きっとサジェスの件についての話だろう。
 ガヤの森の遠征で一緒だった騎士のサジェスは、ヴァルト様に気に入られた僕達をやっかみ、何度か不快な視線を送ってきた。
 その中でも一番許せなかったのが、イビルバイパーとの戦闘中に僕達に殺気を向けたこと。
 アレンとエレナは人の悪意に敏感だ。
 二人は突然の殺気に思わず反応して振り返ってしまい、その隙をイビルバイパーに狙われて攻撃を受けた。
 幸い二人の怪我は大したことがなかったけれど、下手をすれば命を落としていたかもしれない。
 直接手を出したわけではないものの、サジェスの行為はあきらかに問題だ。
 事態を把握したヴァルト様やリスナー様は、上官として僕達に謝罪してくれた。
 そしてリスナー様にサジェスの処分は騎士団に任せて欲しいと頼まれ、僕は承諾したのだ。
 だから、今の状況で騎士団から用件があると言われれば、サジェスのことしか思いつかない。
 もしその件で呼ばれたのだとすれば、周囲の目がない個室に通されたことにも納得がいく。

「本日、タクミさんにお越しいただいたのは、サジェスの処分が決まりましたので、そのご報告をしたいと思いまして」

 あ、やっぱり。予想通りだった。

「早かったですね」
「ええ、あまり長く保留にするわけにはいきませんから」
「では、報告は私から……」

 今まで話していたリスナー様に代わって、ガンフォルグ様が後を継いだ。
 そういえば、サジェスは第三隊の所属だったもんな。直属の上司であるガンフォルグ様が報告するのは妥当か~。

「サジェス・クランツは騎士としてあるまじき行為をしたことにより、二週間の謹慎に加えて、三ヶ月間の見習い降格処分に決まりました」

 ……僕が思っていた以上に重い処分になったな。
 あの遠征に参加していたってことは、サジェスには相応の実力があるはずだ。
 それに、あの見た目からして僕と同じくらいの年齢――二十代前半だろうから、騎士なって数年経った程度だよな? ってことは、エリートに近い存在に違いない。
 それが三ヶ月とはいえ、見習いに戻るのは精神的にかなりキツイと思う。サジェスにとっては、厳しい処分といえそうだ。

「タクミさん、この処分でご了承いただけないでしょうか」
「問題ありません。というより、思っていた以上に厳しくてビックリしました。サジェスは直接手を出したわけじゃありませんから」

 サジェスはただ、敵対心をあらわにしたり、殺気を放ったりしただけだ。それも、対象である僕や子供達以外はほとんど気づかなかった程度の。
 だから僕は、こんな風に経歴に傷がつく処分が下されるとは思ってもみなかった。

「確かにあれが日常の中で起こった出来事でしたら、指導で終わったかもしれません。しかし、あの時の状況――Aランクの魔物相手に、我々、騎士以上の働きをしてくださっていたタクミさん達に対する行動として、不適切でしたからね」

 ああ、なるほど。その時の状況も考慮されたってわけか。

「サジェスはもう謹慎に入っているのですか?」
「ええ。謹慎が明け次第、王都へ戻ることになります」
「……王都に、ですか?」

 見習い期間は、王都での勤務? 
 せんされてへきにって話はよくあるけれど、王都行きはそれ以上に大変そうだ。
 だって、王都に在籍する騎士の人数は多いだろうから、降格されたことが大勢の人に知られてしまう。
 それも罰のうちに入っているのかもしれないが……ちょっとわいそうになってくるなぁ~。

「サジェスにはタクミさん達への接触を禁止しましたので、今後は近づくことなどないと思います。ですが、万が一何かありましたら、すぐに騎士団へ連絡をください。即座に対処いたしますので」
「……」

 接触禁止は、降格処分の逆恨み対策か?
 まあ、確かにその可能性が全くないとは言い切れないよな。まだ予定が決まっているわけではないが、僕達が王都に行く可能性はあるし。
 結局は、サジェスと鉢合わせしないように気をつければいいってことだ。それに、何かあれば騎士団で対処するって言ってくれているのだから、素直に頼るとしよう。

「わかりました。サジェスのことで何かあれば、すぐに騎士団に連絡します」
「ええ、お願いします」

 サジェスの件は、これで終わりかな?
 僕とガンフォルグ様の話が途切れたところで、〝待っていた〟とばかりに、僕の両サイドに座っているアレンとエレナが抱きついてきた。

「「おわりー?」」
「……えっと?」

 用件はこれで終わりだと思うが……他に何かあるかな?
 僕が様子をうかがうと、リスナー様が深く頷く。

「はい、報告は以上です」
「「? おわりー?」」

 しかし、アレンとエレナには『以上』の意味がよくわからなかったようだ。二人はもう一度リスナー様を見て尋ねた。

「はい、終わりですよ」

 リスナー様は、アレンとエレナにもわかるように言い直してくれた。

「「いいこー、まってたー」」

 二人は話が終わったことを認識すると、大人しく待っていたことをアピールしてきた。
 遊びに行く約束をした時に「いい子で待っていられる?」と僕が言ったのを、しっかりと覚えていたらしい。

「そうだね。二人ともいい子で待っていたね」
「「おそとー?」」
「うん、連れて行ってあげるよ」
「「やったー!」」

 アレンとエレナは跳び上がり、全身で喜びを表す。

「おや? 出かける予定がおありでしたか?」
「ええ。昨日、今日とギルドで手続きやら素材の売却やらで二人が暇していたので、今日は用事が終わり次第、外で遊ぶと約束していたんです」
「ああ、確かに子供達には退屈な時間ですからね。では、西門までお送りしますね」

 リスナー様はそう言ってにっこり笑うと、僕達を西門まで見送りにきてくれた。


 早速、アレンとエレナを連れて街の外に遊びに行った。
 最初こそ、二人は追いかけっこをしたり花を見たりして遊んでいたのだが、最終的には薬草採取になってしまった。遊びに行ったはずなのに……何でだ?
 うーん、二人は満足そうだったから、まあいっか。


 ◇ ◇ ◇


感想 10,856

あなたにおすすめの小説

試験でカンニング犯にされた平民ですが、帝国文官試験で首席合格しました

あきくん☆ひろくん
恋愛
魔法学園の卒業試験で、私はカンニング犯に仕立て上げられた。 断罪してきたのは、かつて好意を寄せてくれていた高位貴族の子息。そしてその隣には、私を嫌う貴族令嬢が立っていた。 平民の私には弁明の余地もない。私は試験の順位を辞退し、その場を去ることになった。 ――だが。 私にはもう一つの試験がある。 それは、帝国でも屈指の難関といわれる帝国文官試験。 そして数日後。 その結果は――首席合格だった。 冤罪で断罪された平民が、帝国の文官として身を立てる物語。

「家政など侍女の真似事」と笑った義姉が、十二年分の裏帳簿にすべて署名していた件

歩人
ファンタジー
公爵令嬢エルザは、十六歳から家政の一切を任されてきた。領地経営、使用人管理、収支帳簿——表向きは「下女と同じ仕事」と義姉に蔑まれながら、十二年。「家政など侍女の真似事。本当の貴族のすることではないわ」婚約破棄の宴で義姉が放った一言に、エルザは静かに微笑む。翌朝、公爵家の朝食の席。エルザは父の前に十二冊の帳簿を積み上げた。「表帳簿はわたくしが付けてまいりました。裏帳簿は——お姉様が」十二年分。義姉が捏造した脱税の裏帳簿、すべての頁に義姉自身の署名がある。エルザは毎晩、義姉が部屋を出た後、その署名を筆跡鑑定用に複写していた。義姉が悲鳴をあげる前に、王家監察官が屋敷の扉を叩いた。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました

歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。

あなたがワインを浴びせた相手は、"子爵令嬢"じゃありませんわ

ばぅ
恋愛
公爵令息の恋人と噂されている「ルリア・ラズベルン子爵令嬢」と勘違いされ、夜会でワインを浴びせられた私。でも残念、完全な人違いです。

神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない・完結

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

「三番目の王女は、最初から全部知っていた」 ~空気と呼ばれた王女の、静かな逆襲~

まさき
恋愛
「三番目など、いなくても同じだ」 父王がそう言ったのを、アリエスは廊下の陰で聞いていた。 十二歳の夜のことだ。 彼女はその言葉を、静かに飲み込んだ。 ——そして四年後。 王国アルディアには、三人の王女がいる。 第一王女エレナ。美貌と政治手腕を兼ね備えた、次期女王の最有力候補。 第二王女リーリア。百年に一人と謳われる魔法の天才。 そして第三王女、アリエス。 晩餐会でも名前を忘れられる、影の薄い末の王女。 誰も気にしない。 誰も見ていない。 ——だから、全部見えている。 王宮の腐敗も。貴族たちの本音も。姉たちの足元で蠢く謀略も。 十六歳になったアリエスは、王立学園へ入学する。 学園はただの通過点。本当の戦場は、貴族社交と王宮の権力図だ。 そんな彼女に、一人だけ気づいた者がいた。 大勢の中で空気のように扱われるアリエスを、 ただ一人、静かに見ていた男が。 やがて軽んじていた者たちは気づく。 「空気のような王女」が、 ずっと前から——盤面を作っていたことに。 これは、誰にも見えていなかった王女が、 静かに王宮を動かしていく物語。

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。