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【第七章:最終任務・ミクラ・ブレイン破壊指令!!】
【MMS最終話/不東〜フトウ〜】
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人類の存亡のみならず生命の根幹も揺るがそうとした超人口知能ミクラブレイン、その消滅から10数年後……かつて人口研究施設島エデンと呼ばれた洋上建造物。
「こちらからは以上ですが……箸井首相、 何かご指摘はありますか?」
全人類を襲ったあの人工知能暴走の記憶を忘れないため、敢えてかつての人工研究施設島エデンに本部が設けられた国際機関 『科学技術倫理安全監督機関・Science Technology Ethics and Safety Supervisory authority』。
国家首脳とのオンライン会議に臨んでいたそのサン・フトウ総合長官は画面の向こうの男性に確認する。
『ああ、本件はフトウ長官殿に一任しているからな……ただ、今回の国際会合には先日就任なすったプラント大統領殿が参加する。長官殿もお分かりだとは思うが、彼が何かしないと言うのはありえないだろう』
「そうですね、私もその件は大きな懸念事項だとは思っていますが国際機関のトップと一国の大統領では力に雲泥の差があるのでいかんとしがたいのも事実です。
ひとまずは出方を見て、関連政府機関とお話したいと思っております」
「ああ、頼みます。フトウ長官殿。では私はこれにて……」
「はい、 箸井首相。 この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました」
会議の締めで橋井首相とサン長官は映像を挟んで頭を下げる。
「エージェント様、会議お疲れ様です!!」
サン長官が画面を消してオンライン会議システムを完全にOFFにしたのを確認して声掛けするのは秘書として後ろで控えていたタイトスカートスーツ姿の若い女性。
かつて16歳の少女兵士としてアンドロイド軍団との激戦を生き抜いたマツモト・ミズカワである。
「ありがとう、ソルジャー。 次の予定は?」
ミクラ・ブレインの破壊と言う大役を果たし、全ての処理を終えて数年前に完全解体完了したレジスタンス軍。
その後、 運命の悪戯と紆余曲折あってSTESSA長官とその秘書と言う関係になった2人だが、公務中でも第三者の居ない状況は特例……かつてのコードネームで呼び合う程度に信頼している部下にサン長官は尋ねる。
「はい、午後は欧州から来日中のケルメル首相様がSTESSA本部に島内研究施設の視察と長官対談でいらっしゃいます。
視察先はピッグマン様のエネルギー管理施設と技術開発状況の共有。
その後はカッパマン様の管理なさる旧迎賓館庭園にて会談後、簡単な会食予定です。
長官専用車両で私もお供いたしますので……よろしくお願いいたします」
「わかったわソルジャー、 着替えて正面正門へ向かいましょう」
普段のデスクワーク用タイトスカートスーツとYシャツを脱ぎ、その下の肌着として愛用している黒ボディースーツ姿になったサン長官は来客用正装をキャビネットから取り出して着替え始める。
『博士にマツモトちゃん、もう少しで着くぜ』
垂直離着陸機着陸場へSTESSA長官と秘書を乗せて高速道路を走る電気自動車。
そのハンドルを鋼鉄の上腕を持つ握る短い金髪の大男は後部座席の女性2人に報告する。
「ありがとうございます、モンキーマンさん」
「貴方が自ら運転してくれるのは本当に嬉しいわ」
かつて10数年にわたって戦場を共に駆け抜け、今はSTESSA公安アンドロイド管理統括長官として、職員や居住者の治安維持に日々務めている戦闘用人型アンドロイド、SYK―000・モンキーマン。
『ああ、あのミクラ野郎の片づけが終わったとは言え俺も博士も忙しい身だからな……俺は俺の使命をコマンダー殿と共にこなすだけよ』
レジスタンス軍退役軍人として日々モンキーマンと共に治安維持に貢献しているコマンダー・ジャンヌからの報告を島内ネットワーク経由で受信しつつモンキーマンは2人に答える
「……ねえ、マツモト。私が言うのもなんだけど」
眼下で飛び交う荷物運搬ドローンや人々や車が行きかう関係者居住エリア。
旧エデンの面影を残しつつもSTESSA本部として新たに生まれ変わった人工島の光景を見つつ呟くフトウ長官。
「はい、エージェント殿」
「多くの犠牲者を出したアンドロイド技術を放棄せず、世界と人類が再共存する私達が選んだ道は正解だったのかしら?」
未だに終わりが見えないアンドロイド戦争からの人類社会の復興、アンドロイドと人間の再共存で生じている新たな社会問題、経済低迷による極端すぎる貧富の格差に国際社会におけるリーダーシップの欠如……今日これからケルメル首相と共に話し合う答えのない議題の数々をタブレット端末で見返しつつため息をつくフトウ長官。
「長官殿……」
元レジスタンス軍関係者しかいない半プライベート空間でありながら、思わずコードネーム名呼びを忘れてしまう秘書マツモト。
『博士、あんたのオヤジに作られた身で言うのもなんだが……あんたの御父上はそれを解決するために自身を電子頭脳で複製し、ダブルエンジン態勢で確かに結果を出した』
「……」
『だが、それは人工知能暴走と10数年に及ぶアンドロイドVS人類の大戦争を引き起こしたから結果的に失敗だったのも事実だ』
「モンキーマンさん……これ以上エージェント様のトラウマをえぐるような言葉はやめてください!!」
マツモトはSTESSA長官秘書としてモンキーマンの無神経な発言を黙らせようとする。
『俺は旧型戦闘用人型アンドロイドだからかつての相方の選んだ道が正しいかなどわからん。
だが博士は御父上の失敗を繰り返さずその技術ベースを利用してより良い世界を創ろうと自分なりに努力なさっている……マツモトちゃんもそう思うだろ?』
「……はい、そう思います!! モンキーマンさん」
垂直離着陸機発着場の自動ゲートを通過し、要人専用発着場に到着したEVを停めるモンキーマンの言葉にスマイルで応じるマツモト。
『博士、あんたは一人じゃないんだ。
俺やピッグマンにマツモトやジャンヌ、あのエロガッパも含めりゃ味方はたくさんいる。
……自分が信じる道を命ある限り行け。不東(フトウ)っちゅうのはそういう事だろ?』
静かに言い終えたモンキーマンは長官専用EVのドアを開けるべく車内から出ていく。
「……そうね、私はサン・フトウ。
STESSA長官として為すべきことを成すだけだわ!! 行きましよう、マツモト!!」
「かしこまりました、フトウ長官殿!!」
世紀の大天才科学者ミクラ・フトウの意思を継ぐ者にして世界の再興と悲劇を繰り返さないためにアンドロイドと人類の架け橋を担う。
戦友の言葉で己の使命を再確認したサン・フトウはモンキーマンが恭しく開けた長官専用車両からマツモト秘書と共に降り、整列済みのアンドロイド&人間合同警備隊と共に垂直離着陸機から降りてくるケルメル首相を出迎えるのであった。
【MMS~メタルモンキーサーガ~ 完】
「こちらからは以上ですが……箸井首相、 何かご指摘はありますか?」
全人類を襲ったあの人工知能暴走の記憶を忘れないため、敢えてかつての人工研究施設島エデンに本部が設けられた国際機関 『科学技術倫理安全監督機関・Science Technology Ethics and Safety Supervisory authority』。
国家首脳とのオンライン会議に臨んでいたそのサン・フトウ総合長官は画面の向こうの男性に確認する。
『ああ、本件はフトウ長官殿に一任しているからな……ただ、今回の国際会合には先日就任なすったプラント大統領殿が参加する。長官殿もお分かりだとは思うが、彼が何かしないと言うのはありえないだろう』
「そうですね、私もその件は大きな懸念事項だとは思っていますが国際機関のトップと一国の大統領では力に雲泥の差があるのでいかんとしがたいのも事実です。
ひとまずは出方を見て、関連政府機関とお話したいと思っております」
「ああ、頼みます。フトウ長官殿。では私はこれにて……」
「はい、 箸井首相。 この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました」
会議の締めで橋井首相とサン長官は映像を挟んで頭を下げる。
「エージェント様、会議お疲れ様です!!」
サン長官が画面を消してオンライン会議システムを完全にOFFにしたのを確認して声掛けするのは秘書として後ろで控えていたタイトスカートスーツ姿の若い女性。
かつて16歳の少女兵士としてアンドロイド軍団との激戦を生き抜いたマツモト・ミズカワである。
「ありがとう、ソルジャー。 次の予定は?」
ミクラ・ブレインの破壊と言う大役を果たし、全ての処理を終えて数年前に完全解体完了したレジスタンス軍。
その後、 運命の悪戯と紆余曲折あってSTESSA長官とその秘書と言う関係になった2人だが、公務中でも第三者の居ない状況は特例……かつてのコードネームで呼び合う程度に信頼している部下にサン長官は尋ねる。
「はい、午後は欧州から来日中のケルメル首相様がSTESSA本部に島内研究施設の視察と長官対談でいらっしゃいます。
視察先はピッグマン様のエネルギー管理施設と技術開発状況の共有。
その後はカッパマン様の管理なさる旧迎賓館庭園にて会談後、簡単な会食予定です。
長官専用車両で私もお供いたしますので……よろしくお願いいたします」
「わかったわソルジャー、 着替えて正面正門へ向かいましょう」
普段のデスクワーク用タイトスカートスーツとYシャツを脱ぎ、その下の肌着として愛用している黒ボディースーツ姿になったサン長官は来客用正装をキャビネットから取り出して着替え始める。
『博士にマツモトちゃん、もう少しで着くぜ』
垂直離着陸機着陸場へSTESSA長官と秘書を乗せて高速道路を走る電気自動車。
そのハンドルを鋼鉄の上腕を持つ握る短い金髪の大男は後部座席の女性2人に報告する。
「ありがとうございます、モンキーマンさん」
「貴方が自ら運転してくれるのは本当に嬉しいわ」
かつて10数年にわたって戦場を共に駆け抜け、今はSTESSA公安アンドロイド管理統括長官として、職員や居住者の治安維持に日々務めている戦闘用人型アンドロイド、SYK―000・モンキーマン。
『ああ、あのミクラ野郎の片づけが終わったとは言え俺も博士も忙しい身だからな……俺は俺の使命をコマンダー殿と共にこなすだけよ』
レジスタンス軍退役軍人として日々モンキーマンと共に治安維持に貢献しているコマンダー・ジャンヌからの報告を島内ネットワーク経由で受信しつつモンキーマンは2人に答える
「……ねえ、マツモト。私が言うのもなんだけど」
眼下で飛び交う荷物運搬ドローンや人々や車が行きかう関係者居住エリア。
旧エデンの面影を残しつつもSTESSA本部として新たに生まれ変わった人工島の光景を見つつ呟くフトウ長官。
「はい、エージェント殿」
「多くの犠牲者を出したアンドロイド技術を放棄せず、世界と人類が再共存する私達が選んだ道は正解だったのかしら?」
未だに終わりが見えないアンドロイド戦争からの人類社会の復興、アンドロイドと人間の再共存で生じている新たな社会問題、経済低迷による極端すぎる貧富の格差に国際社会におけるリーダーシップの欠如……今日これからケルメル首相と共に話し合う答えのない議題の数々をタブレット端末で見返しつつため息をつくフトウ長官。
「長官殿……」
元レジスタンス軍関係者しかいない半プライベート空間でありながら、思わずコードネーム名呼びを忘れてしまう秘書マツモト。
『博士、あんたのオヤジに作られた身で言うのもなんだが……あんたの御父上はそれを解決するために自身を電子頭脳で複製し、ダブルエンジン態勢で確かに結果を出した』
「……」
『だが、それは人工知能暴走と10数年に及ぶアンドロイドVS人類の大戦争を引き起こしたから結果的に失敗だったのも事実だ』
「モンキーマンさん……これ以上エージェント様のトラウマをえぐるような言葉はやめてください!!」
マツモトはSTESSA長官秘書としてモンキーマンの無神経な発言を黙らせようとする。
『俺は旧型戦闘用人型アンドロイドだからかつての相方の選んだ道が正しいかなどわからん。
だが博士は御父上の失敗を繰り返さずその技術ベースを利用してより良い世界を創ろうと自分なりに努力なさっている……マツモトちゃんもそう思うだろ?』
「……はい、そう思います!! モンキーマンさん」
垂直離着陸機発着場の自動ゲートを通過し、要人専用発着場に到着したEVを停めるモンキーマンの言葉にスマイルで応じるマツモト。
『博士、あんたは一人じゃないんだ。
俺やピッグマンにマツモトやジャンヌ、あのエロガッパも含めりゃ味方はたくさんいる。
……自分が信じる道を命ある限り行け。不東(フトウ)っちゅうのはそういう事だろ?』
静かに言い終えたモンキーマンは長官専用EVのドアを開けるべく車内から出ていく。
「……そうね、私はサン・フトウ。
STESSA長官として為すべきことを成すだけだわ!! 行きましよう、マツモト!!」
「かしこまりました、フトウ長官殿!!」
世紀の大天才科学者ミクラ・フトウの意思を継ぐ者にして世界の再興と悲劇を繰り返さないためにアンドロイドと人類の架け橋を担う。
戦友の言葉で己の使命を再確認したサン・フトウはモンキーマンが恭しく開けた長官専用車両からマツモト秘書と共に降り、整列済みのアンドロイド&人間合同警備隊と共に垂直離着陸機から降りてくるケルメル首相を出迎えるのであった。
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