ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

文字の大きさ
8 / 79
第三章:『闇乃宮弐ノ闘戯場/水獣アオネコ』

【第8話】

しおりを挟む
「うおっ、寒っ!!」
 ヤミネコに先導されて第二闘戯場に入った闇乃宮討伐隊の15人。
「ここは……北極か? それとも南極か?」
 熱が充満した溶鉱炉だった第一闘戯場とは全く違う天丼や壁を氷柱で覆われた洞窟のような空間。
 そんな真逆の環境でありながらも代表者3人が戦うバトルステージとなる大小氷塊が浮かぶ池上に浮かぶ大きな板とそれを囲む観客席と言う配置はほぼ同じである。
「どっちでもええけど寒うてかなわんわ……ウチ薄着やから風邪ひいてまう」
「パパ、英里子さん程じゃないけどあたしたちも寒いわ……」
「うん、火紋もちの俺でも流石に……きつい」
 マヨイガエレメント技・ゴーレムライド使用の都合で上半身タンクトップに半ズボン姿のままシバリングする英里子はとにかく、息子と娘はなんとかしなくては。
 自らの戦闘用マヨイガエレメントで子供達や皆を温められないか探は模索する。
「チノモノ様に皆様、今温かいお茶を滝れますので…… しばらくお待ちください」
「気が利くねえ、ライちゃん!! あたし特大ドンブリなみなみでお願い」
 赤銅肌のマッスルボディで大きな白い袋を肩に乗せ、額に一本角なボサボサツンツン銀髪の姉式神・フウの言葉を無視した白ロングヘアのツインギービューティーな式神ライは虎毛皮チャイナドレスのスリット内に手を差し込み、携帯型コンロと鉄やかん、茶葉の缶を取り出す。
「では私は厚手の敷物と毛布を……」
「わあグラサン猫だ!! 可愛い」
 チノミヤノミコト様が四次元振袖から取り出した人気キャラクター・グラサン猫デザインのシートと毛布にエミは喜びの声を上げる。
『オマエらここでピクニックかにゃ!?』
「!!」
 氷池上のどこかから飛び降りてきて、浮かべられた足場板に飛び乗ったのは腹部が白でその他全身を薄青い毛で覆われた雌猫の二足歩行獣人魔物。
 ピューマやジャガーを想起させる野性味のある鍛えられた美しさと二足歩行でしか見せられない女性的なプロポーションに全員の注目が集まる。
『ああん、こんなにたくさんの人達に見てもらえるなんてたまんないわぁ……この注目感、もう最高!!』
 腰をくねくねさせながら顔を赤らめる新たな敵を前に寒さも忘れて身構える闇乃宮討伐隊。
『タメシヤノミコト御―行の皆様、改めまして!! 私はヤミノミヤノミコト様より第二闘戯場でのお相手を任されましたアオネコと申しますわ!!』
 快感と興奮のあまりきゃぴきゃぴなハイテンションで自己紹介するアオネコ。
『わたくし、女は好きじゃありませんの!! 戦うならイケメンに限りますわ』
(死ね!! カマトトぶりっこ女!!)
 露骨なまでに女に嫌われる女アピールをしてくる敵に中指を立てたくなる衝動をこらえる女性陣。
『と、言う訳でそこのボク君と、おっきい貴方と素敵な細目の貴方!! セクシービューティーな私と戦わせてあげるから降りていらっしゃい!!』
「素敵な細目のアナタとは……言ってくれるじゃないの、セクシービューテイーアニマルなお姉さん。敵ながら見る目があるね!!」
 雲隠武と須田丸と共に敵に対戦相手指名されたゴブガミは満足気にほくそ笑む。
「蓑田さん、タケルを頼みます」
「ああ、もちろんだぜ雲隠のアニキ!! 行こうぜ、タケル!!」
「はい、蓑田さん!!」
 敵に対戦相手指名された雲隠武と須田丸、そしてゴブガミは板橋上を滑らせないように降りて行く。
『うれしいにゃぁ…… こんなイケメンをワタシのペットに出来るなんて!! 主様、ありがとうだにゃ!!』
 腰をくねくねさせながら舌を出し、興奮のあまりはぁはぁと荒い息を吐くアオネコ。
「そいつはどういう意味だ?」
『うん、アタシの夢はアタシだけの専用イケメン天国ハーレムを持つ事!!
 主様はこの第二闘戯場で私が倒したイケメンは全てに私の所有物として自由にさせてくれるって約束してくれたの……だからキミ達をミナゴロシにする覚悟で頑張らないと!!』
 そう言いつつ闇渦を生成し、手を突っ込んだアオネコは三日月型の刃を持つナイフを二刀流逆手持ちする。

「そいつはうらやま……ではない!! 今のを聞いたか英里子!?」
 観客席で眼下の闘戯場を見つつ、会話内容に耳をすませていた茜は思わず出て来たよだれを拭きつつ隣の英里子に聞く。
「ああ、きっちり聞こえたでこのムッツリスケベボ院」
「……?」
 幼い頃からの家族ぐるみの付き合いで茜お姉さんと英里子お姉さんがギャグマンガみたいなお仕置きでヤンチャしあえる『喧嘩するほど仲がいい』関係である事を知っているエミ。
 そんな彼女でも初めて聞く英里子節の意味がわからず首をかしげる。
「おほん……つまりさっきのゴブガミの解説とあの女の言葉が事実だとすればこの闇乃宮で倒れた者は五武神の宮に 挑むもののふと同じく蘇生可能である、と言う事だろう」
 このままではエミに先刻の罵詈雑言に言及され、どうやっても情操教育によろしくない答えしか言えない。
 そう判断した茜は無理やり真面目な話に切り替える。
「あいつのボスがどんな奴かは知らんけど、おそらくウチらが負けた後の魂的なサムシングはそいつが確保しとるんやろね……つまリタメシヤちゃんと爺さん、ツミレちゃんは救出ワンチャンあるんやろね」
『おい、何盗み聞きしてんだよチビ!!』
 頭上の観客席で冷静に情報分析する英里子に中指を立てるアオネコ。
「ぶっ、ヘンタイの本性みたリヒス女……とはこの事やね。
 かつてクレイジー災厄女と呼ばれたウチが言うのもどの口やねんけどな……お前、男女問わず嫌われるタイプやろ?」
『あぁ!?』
「すぐにカッとなるのみならず『あぁ!?』とか言っちゃうそれや、それ。
 もしかしてワタシ専用ハーレムなんてイタい事言うとるのも……そのせいで男に逃げられまくったからどこかに閉じ込めんと思うたんちゃう? それ、男が悪いんとちゃう。お前の自業自得や」
 小柄なのは事実とは言えチビと罵倒された英里子は一切の反撃を許さない正論パンチ無駄無駄ラッシュで敵を徹底論破していく。

【第9話に続く】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...