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第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』

【第27話】

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『ふっふっふ…… ドクロヘッドな黄金バットならぬ白銀バットにドレッドヘアーでハーフネイキッドな細マッチョガイ……我ながらこの俺様と戦うに相応しいロックな対戦相手DAZE!!』
 全身銀色で背丈2メートル以上ある髑髏の頭部を持つ人型半機械魔物シルバーデストロイメンはと槍を構えたゼド村長を前にご機嫌でほくそ笑むシネコ。
「オメエバカダロ……『オウゴンバット』ナンテモンオレラハトニカクエミチャンガワカルワケネェダロウガ!! チシキノアップデートシテコイヤ!!」
「あの、シルバーさん……黄金バットって昔の紙芝居のヒーローでシルバーさんの色違いみたいな人ですよね? 以前浅草に行ったとき昭和レトロな紙芝居で見ました、かっこよかったです!!」
「ピエン……」
 エミの言葉に驚くと共に嫉妬のような嬉しいような複雑な感情を知識のアップデート済みな電子頭脳で処理し、一言で表現するシルバーデストロイメン。
『流石は我がライバルにしてロックンロールガール!! プリティーなキミに個人的な恨みは無いが……最初はキミだ!!』
 そう言いつつギターヘッドを掲げ上げるシネコ。

『バーニングハート!!』
 そしてそのまま3人に向けられたギターヘッドの先端に出現した法陣から噴き出す業火。
『シルバーシールド!!』
『エレメントプラス・アクア!!』
 すぐさま腕を液体金属化させ、大盾型に固めて生身の2人を守るシルバーデストロイメン。
 ゼドのエレメントプラスで炎軽減効果を与えられたカーブのある半円柱型のそれは火炎放射を左右に受け流す。
「シルバー殿、かたじけない!!」
「オウヨ!! ゼドモアリガトナ」
『眷属魔物の分際でなかなかヤルじゃないか!! だが……この俺様の燃え上るビートには耐えられまい!!』
 弾きづらそうなポーズのまま文字通り燃え上るような速弾きをさらにアゲて行くシネコ。
 ブォンと数周り大きくなった法陣からさらに太く高熱を帯びた火柱が噴出される。

「デストロイメン!! 早く本体を叩くんだ!!」
 ギターヘッドからの火柱を正面で受け止め続ける自らの半機械眷属魔物に叫ぶナルカミノミヤノミコト。
「あの魔物、かなり強いな……!!」
「うん、あんなごんぶと火炎放射を長時間キープ出来るなんて見たことない!!」
 同じ『火』のマヨイガ紋を持つ者として敵の力量を推し量った雲隠父子。
 魔力防壁が張られて介入どころか不可能なステージ上で戦う3人を見守る。
「雲隠……今さらのように気づいたんだが、あいつアイテムスキャナーで情報確認できるぞ? それであの武器のギターも情報確認出来るみたいね」
「そうなのか!?」
 すぐに自前のアイテムスキャナーを起動させ、火炎放射中で動けない敵の情報をスキャンし始める2人。
『雷獣・紫猫 雷エレメント使い
 体力B 魔力SSS 物理攻撃力B エレメント攻撃力SS 物理防御力C エレメント防御力 A』
「ここまで極端だとわかりやすいな」
 同じスキャン結果を共有する須田丸の言葉に黙ってうなずくもののふ3人
『シネコ専用音響兵器、ミュージック・オブ・ダークネス。
 搭載機構(1)バーニングハート
(閲覧不能)
 搭載機構(3)タイフーン
(閲覧不能)
 搭載機構(2)スパーキングソウル
 搭載機構(6)ダークネスパラダイス』

「やっぱりあのギター……ただのエレキギターじゃなかったのか!!」
「あいつ確かバーニング何とかって言ってたよな? あの火炎放射がこの1番のコレだとしたら……まだほかにも武器がある?」
 こいつはただうるさいだけではない、かなりの強敵だ。
 そう認識した全員はステージ上で火炎放射を続けるシネコを見る。

【第28話につづく】
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