ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

文字の大きさ
42 / 79
第六章:『闇乃宮五ノ闘戯場/風獣カゼネコ』

【第42話】

しおりを挟む
「ちよっと、ライちゃん!! アレは何なの?」
 敵の攻撃から逃れて地表まで無事に到達した黒雲上に寝かされたまま式神ライの治療を受ける茜。
 その遥か頭上で荒々しい声を上げながら第五闘戯場の主たるカゼネコの頭を掴んだまま何発も力任せに石柱に叩きつけ、禍々しい黒雷を帯びた拳で滅茶苦茶に殴りまくるモノの正体がわからない茜はライに問う。
「あれはナルカミノミヤ様でございます」
「あれが!? どう見てもアレは人間じゃないじゃないのよ!!……まあそもそも武神なんだけど。あいつまさか『ば―さ―化』みたいな技を使えたの!?」
 北欧神話界隈で有名(?)だと言う理性を失い超パワーのままに敵味方関係なく大暴れする『狂戦士』なる存在について英里子から聞いていた茜はイメージそのままのそれと化したナルカミノミヤに驚きの声を上げる。
「私もわからないのですが、ナルカミノミヤ様は銅剣のような物をお持ちでして……その封をお解きになったのです。それであのような事におなりに……」
「銅剣?」
 震える声で解説するライと困惑するばかりの茜。
 そんな状況下で勝手に開く茜のマヨイガ探索ステータスモニター。
『新着通知あり:1件』
「新着通知だと!?」
 10数年ぶりだが、これはかつてオカルト研究会マヨイガ探索隊として五武神に挑んだ際に何度もお世話になったアレだと察した茜は新着メッセージを開く。

『ゴブガミ先生のマヨイガ探索tip vol.12

 かつて良い子だった諸君、10数年ぶりだね!!
 妖刀って知ってるかい? 瘴封刃・サカサはまさにそれであり、我らが宿敵・死巫女ルイの膨大な力を取り込んで宿した恐ろしい武器だ!!
 一度封を解かれれば、使い手の魂力を増幅させて『ば―さ―化あ』し、最終的には全ての魔力と生命力を吸い上げて消滅に至らせる……。
 だから道端で見つけても絶対に触っちゃだめだぞ、ゴブガミ先生とのお約束だ!!

 P.S 代筆ありがとう、 ミズノミヤ君』

「……ははっ」
 呉井が大好きなヒャッハーモヒカンだらけの劇画コミック世紀末世界じゃあるまいしそんなのが道端に落ちててたまるか。
 こんな状況下で見た久方ぶりのゴブガミ節に茜は思わず吹き出す。
「カゼノモノ様、私達はどうすれば……いいのでしょうか?」
 良くも悪くも空気を読まない主からのメッセージに眷族式神として戸惑うばかりのライ。
『ゴァァァァァ、ォァァァァ!!』
 ナルカミノミヤだったモノの咆嘩が第五闘戯場に響く。

 闇乃宮最深部・死巫女ルイの間。
「なんて酷い……」
 自身の水神紋を封じている帯と同じ力で暴走したナルカミノミヤが第五闘戯場を破壊していく様を銅鏡で見せられている美香。
『まさかあの子がまだアレを持っておったとは……どこを探しても見つからなかったわけだわねぇ』
「ねえ、ルイ……」
『しかし数百年に及ぶ封のせいでかなりの力を失っているようじや……あの状態でわらわの下に還って来たところで使い物にならぬ』
「ねぇ、ルイってば……」
 (美香ちゃん、ストップや!! もう話しかけちゃアカン!!)
 (華咲殿、おやめくだ……ぎゃあああああ!!)
 ヒトダマ英里子もろとも華咲式無手勝流ボックスシェイカーで処される神魂五武神長チノミヤノミコト様。
『さすれば……』
「こらぁ、いつまでも無視すんな!! 私の話を聞けえ!!」
 座敷牢の格子を掴んで大声で叫ぶ美香に思わず耳を抑える死巫女ルイ。
『わらわにこのような無礼をはたらくとは……ゆるふわたおやかな見た目に反してサンの試練を達成しただけはある『ばあばりあん』な女傑ぞよ』
「あら、最近のナウいヤングのお言葉をご存知なのねルイさん!!
 コレさえ封じられていなければ貴女にとっておきのあのお仕置きを味わわせてあげていたのに……ねえ、英里子ちゃん?」
 (うわぁ、あんた人でなしだわあ……神をも恐れぬとはよう言うたものやねぇ……。
 ウチ、今この瞬間よりも生身の人間じゃのうて良かったと思う事は一生起こらへんやろうな)
 自身を閉じ込めた虫かごを見下ろしつつにたぁとサディスティックに笑う美香が言わんとする事を察して背筋が寒くなる英里子。
『うむ、わらわも人の子じゃ。血を分けた弟たるドウシを見殺しにする気は無い……』
『七魂(セブンソウル):肆乃魂』
「それは!!」
 詠唱と共にヤミノミヤノミコトの右手内に出現し、ろうそくの炎のように揺らめく4個の小黒塊。
「ふむ、これだけあれば十分であろう……」
 そう言いつつ左手の指先で足下をそろりとなぞり、闇渦を作り出したヤミノミヤノミコトは小黒塊の1つをつまんでその中にぽとりと落とし入れた。

【第43話に続く】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...