ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第七章:『闇乃宮五ノ闘戯場/黒雷武神ナルカミノミヤ』

【第45話】

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 闇乃宮第五闘戯場、箱庭世界。
『グゥゥウゥ……ガァァァァ』
 宙に浮いたまま眼下の森に倒れる巨大石柱を見下ろす巨人化ナルカミノミヤ。
 数百年ぶりに封を解かれた瘴封刃サカサから一気に流入した死巫女の魔力に取り込まれ、雷の五武神から黒雷の破壊者へと堕ちたソレは次の破壊対象を探してうっそうと広がる森を見回す。
『ウゴォォォォオッォアアア!!』
 この憤怒と衝動をぶつけられる破壊物が無いのであれば、すべてを一瞬で消滅させるのみ。
 本能的にそう判断したナルカミノミヤは頭上に手をかかげ、小黒雷球を生成。
 巨大な手の間に浮くそれは強大な闇魔力を注入圧縮され始め、膨張と収縮を繰り返す。

『待ちなナルカミ!! 俺が相手だ!!』
『スッ……スダ、マル!?』
 ガサツだが温かみのある声に気が付き、その方をみやるナルカミノミヤ。
『ウガァァァァァア!!』
 背中から業火を吐き出しながらこちらに向かってくる金属の巨人。
 初めてみる上に戦闘力未知の存在ながらも狂戦士の闘争本雄を掻き立てる無機質で無骨なそれにナルカミノミヤは迷う事なく魔力注入中の小黒雷球を放棄して襲い掛かる。
『ラージドウエポン!!』
『ロケットパンチ!!』
 サポートスキル二重詠唱と共に巨大化し、内蔵鉄鋼線と共に射出される拳。
『ドロィ!!』
 先刻のセブンスソウル争奪戦で見せつけた雷の如き瞬足で鉄塊弾を難なくかわして瞬時に背後を取った魔力暴走ナルカミノミヤはそのまま黒雷拳を撃ち込もうとする。
『裏拳!!』
『ぐあっ!!』
 その動きを読んでいたかのように一瞬で繰り出される回転裏拳。
 巨大化しているとは言え顔面に鉄塊ハンマーを叩きこまれたナルカミノミヤは鈍い悲鳴と共に殴り飛ばされ、落下しつつも空中ブレーキで踏みとどまる。
『かかってこいや、ナルカミ。おめえの目を覚まさせるのはタメシヤノミコト様より『剛』を賜りしこの雷神紋の須田丸しかいねえ……そうだろ?』
 鉄腕で中指チョイチョイ挑発する謎の鉄人。
『オモシレェ……』
 鼻血と口内出血を拭ったナルカミノミヤはにやりと笑うとエアキックで突撃していく。

「まさかこのような事態を見越してあのような巨大兵器を用意し、ナルカミノモノに託していたとは……チノモノよ、見直したぞ!!」
 四大マヨイガエレメント使いのタケルが大地のマヨイガエレメントで地面をアースチェンジさせて生成した地下空洞に隠れていた五武神ミズノミヤ様。
 偵察監視を可能とする遠隔操作型マヨイガ神技・対水鏡(ついすいきょう)で舞空バトルを繰り広げる闇堕ちナルカミノミヤと須田丸が乗り込んだ雷マヨイガエレメント使い専用ライドアーマー兵器の激闘を皆と共に見守る彼女は思
 わず本音をもらす。
 (……ははっ、 ミズノミヤ様もまだまだだね。 あの英里子おばさんがそんな事考えるわけないだろ?)
 (あの時は巻き添えを食ったお兄ちゃんも大変だったからねぇ……)
 英里子謹製にして忘れ形見とでも言うべき新兵器の初陣に命運を託した皆が息をのんで見守る中、見合わせて乾いた笑いを浮かべる雲隠家の双子はあの時の事を回想する。

 日本の重機メーカーによる搭乗可能な二足歩行ロボットお披露目と受注販売開始と言う浪漫あふれる報道を見て『ウチもアーティストとしてアレを作らなアカン!!』と言い出した英里子はそれを実現する場所として制約の多い現実世界ではない何でもありなマヨイガ異世界を選択。

 動力源&パイロットとして雷マヨイガエレメント使いたる舎弟の須田丸と五武神ナルカミノミヤ、作業員として眷族魔物デストロイメン軍団を極秘裏に確保した英里子は未熟ながらも雷マヨイガエレメントを使えるツミレや雲隠家の双子にも紫色のチョメチョメで協力要請。

 魔物として無限リスポーンするデストロイメン素材の金属回収とジェットパックに組み込む火の魔石(特大)を生成するための素材確保しつつ順調にプロジェクトは進行していたものの……雲隠家共用パソコンの『マヨイガゲート』アプリの不自然な利用履歴からこの秘密プロジェクトが判明してしまったのだ。

 プロジェクト内容そのものはとにかく、子供達やツミレに紫色のチョメチョメを渡して協力させていた事実を聞いて激おこした美香ママは間答無用で英里子を身ぐるみ剥いで全裸のままくすぐり拷間スライムに拘束し、須田丸とナルカミノミヤが土下座して謝ろうと構うことなく親友が泣いて謝るまで『おしおき』に処したのである……。

 (あの時は酷かったけど……それでも僕達抜きで完成させちゃうのはなあ)
 (ある意味で流石は英里子おばさんだわ)
 須田丸おじさんが搭乗したマヨイガ兵器と巨大化ナルカミノミヤが舞空対等に殴り合う様を見守りつつ、一生モノのトラウマになりそうな『おしおき』を思い出していた双子はこの場で唯一の関係者として複雑な気持ちで見守る。

【第46話につづく】
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