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第七章:『闇乃宮五ノ闘戯場/黒雷武神ナルカミノミヤ』
【第51話】
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闇乃宮最深部、ヤミノミヤノミコトこと死巫女ルイが座する闇神乃間。
『……』
「タメシヤノミコト様、お気持ちは分かりますがそれは私や皆の青春と人生の全否定であり、受け入れるわけにはいきません……まあこの場で人質になっていたのが私以外の誰かだったとしても同じ事を言うでしょうけどね」
へし折った格子棒を芯にしてエレメントプラス・アイス強化延伸し、頑強な氷槍を生成強化した美香。
「ルイ、私は刺し違えてでも私はタメシヤノミコト様や皆を守るから……あんたも武神らしく正面からかかって来なさいよ」
相手がタメシヤノミコト様と同等の力を持つ存在であると言う事を知りつつも、槍を突きつけて挑発する水神紋のもののふ・雲隠美香と眉一つ動かさずその切っ先を無表情で見つめる闇乃宮の主。
『黙れ、小娘』
何をどうすれば自身の施した魔力封を無視してサンの加護を使えるようになるのかは不明だが、このような狼藉に及ぶのであれば女子とて人質として生かしておく必要無し。
そう判断した死巫女ルイロを見開いて真っ赤な瞳孔を剥き出しにし、その無防備な目から直接闇の魔力を叩きこんで精神崩壊発狂させようとする。
「ぐっ……」
『ミズノモノ様!!』
闇魔力を脳に直接流し込まれたショックで顔を歪める美香。
「大丈夫よ、ツミレちゃん……私がこの程度じゃ倒れるわけないでしょ?」
本来ならば膝から崩れ落ちて泡を吹いて失神、もしくは自目を剥いて全身を痙攣させだすはずのソレを食らった美香は氷槍を上段に構えたまま死巫女ルイを呪む。
『黒針(こくしん)』
自身にとっても予測不能ではあったが、この展開にルイは眉根も動かさず右手で上を指し闇の魔力を巨大な針型に詠唱生成。
『堕ちよ』
詠唱命令と共に美香の全身に突き刺さって無惨な針山にすべく襲い来る黒針。
『水神紋発動!! ウォーターオーバードライブ!!』
逃げ場のないそれを前に腕にまとわりつく魔力封帯を引き裂いて右手の水神紋を完全開放した美香は両手をエレメントプラス・アイス強化。
『テンフィンガー・アイスガトリング!!』
飛来する針に十指の先端を向けて大量の氷柱で弾幕乱射迎撃&足に水塊を生成して纏わせ、ハイドロフォイルでバックダッシュして距離を取る。
『うまいぞミズノモノよ!!』
『お前もう死んどるで!! ざまあ見やがれ!!』
『……』
砕けた氷柱と闇魔力塊で発生した魔力霧幕に身を隠した美香。
チノミヤノミコトの歓声と英里子の挑発に動じることなく死巫女ルイは座したまま動かず笑みを浮かべる。
『ソニックウォータースナイプ!!』
続く詠唱と共に魔力霧幕を真円形に貫く衝撃。
膝立ちになってピストル構えにした右手を左手で保定する狙撃構えの美香が高速射出した水神紋強化版ウォータースナイプはルイの脳天目掛けて一直線に向かって行く。
『……発動じゃ』
『!?』
ソニックウォータースナイプがルイの脳天を貫こうとした瞬間、水の中にいた美香。
(なっ、何!? どうしたの!?)
嫌な粘度で全身にまとわりつき、鼻につきささるような臭気を放つ青い液体の中で頭を下にしていると言う状況にパニックに陥った美香は息を止めたまま必死でもがこうとするものの弛緩した手足はまともに動かず、水神紋も無反応。
(これは……まさか!!)
壇上学院イングリッシュ・クラブ部員に教えてもらったWEB小説に出てきた美女をホルマリン漬けにするのが趣味な悪の組織総統を思い出してしまった美香は恐怖とパニックのあまり必死にもがくがゼリー固めにされた状況からは逃れられず、それどころか鼻に突き刺さるような甘い臭気で思考は消え始め、視界も徐々にかすみ始めていく……
『ふむ、これがこやつの恐怖か……実に興味深く、水使いのもののふにふさわしきものであるな』
死と破壊を司る奇跡の力を持つ巫女として、神となった際に『自身が命の危機に瀕した際、敵にとって最大の恐怖と死を与える』と言う自動攻撃能力『命ノ宿命(サダメラレシサイゴ)』に覚醒していた死巫女は青い液体で満たされた謎の機械台座付き大型ガラス管に一糸まとわぬ姿で逆さまに固め囚われ、喉を押さえて苦悶の表情を浮かべる美香をニヤニヤしながら眺めている。
『美香!! 美香!!』
『ああ……美香ちゃん、なんて事や!!』
『華咲君!!』
『くそぉ……何も出来ねぇよ、アタシは何も出来ねぇんだよ!!』
非力な魂として囚われたままの闇乃宮討伐隊メンバーは涙すら流せず、悲痛な叫びを上げるばかりだ。
【第52話につづく】
『……』
「タメシヤノミコト様、お気持ちは分かりますがそれは私や皆の青春と人生の全否定であり、受け入れるわけにはいきません……まあこの場で人質になっていたのが私以外の誰かだったとしても同じ事を言うでしょうけどね」
へし折った格子棒を芯にしてエレメントプラス・アイス強化延伸し、頑強な氷槍を生成強化した美香。
「ルイ、私は刺し違えてでも私はタメシヤノミコト様や皆を守るから……あんたも武神らしく正面からかかって来なさいよ」
相手がタメシヤノミコト様と同等の力を持つ存在であると言う事を知りつつも、槍を突きつけて挑発する水神紋のもののふ・雲隠美香と眉一つ動かさずその切っ先を無表情で見つめる闇乃宮の主。
『黙れ、小娘』
何をどうすれば自身の施した魔力封を無視してサンの加護を使えるようになるのかは不明だが、このような狼藉に及ぶのであれば女子とて人質として生かしておく必要無し。
そう判断した死巫女ルイロを見開いて真っ赤な瞳孔を剥き出しにし、その無防備な目から直接闇の魔力を叩きこんで精神崩壊発狂させようとする。
「ぐっ……」
『ミズノモノ様!!』
闇魔力を脳に直接流し込まれたショックで顔を歪める美香。
「大丈夫よ、ツミレちゃん……私がこの程度じゃ倒れるわけないでしょ?」
本来ならば膝から崩れ落ちて泡を吹いて失神、もしくは自目を剥いて全身を痙攣させだすはずのソレを食らった美香は氷槍を上段に構えたまま死巫女ルイを呪む。
『黒針(こくしん)』
自身にとっても予測不能ではあったが、この展開にルイは眉根も動かさず右手で上を指し闇の魔力を巨大な針型に詠唱生成。
『堕ちよ』
詠唱命令と共に美香の全身に突き刺さって無惨な針山にすべく襲い来る黒針。
『水神紋発動!! ウォーターオーバードライブ!!』
逃げ場のないそれを前に腕にまとわりつく魔力封帯を引き裂いて右手の水神紋を完全開放した美香は両手をエレメントプラス・アイス強化。
『テンフィンガー・アイスガトリング!!』
飛来する針に十指の先端を向けて大量の氷柱で弾幕乱射迎撃&足に水塊を生成して纏わせ、ハイドロフォイルでバックダッシュして距離を取る。
『うまいぞミズノモノよ!!』
『お前もう死んどるで!! ざまあ見やがれ!!』
『……』
砕けた氷柱と闇魔力塊で発生した魔力霧幕に身を隠した美香。
チノミヤノミコトの歓声と英里子の挑発に動じることなく死巫女ルイは座したまま動かず笑みを浮かべる。
『ソニックウォータースナイプ!!』
続く詠唱と共に魔力霧幕を真円形に貫く衝撃。
膝立ちになってピストル構えにした右手を左手で保定する狙撃構えの美香が高速射出した水神紋強化版ウォータースナイプはルイの脳天目掛けて一直線に向かって行く。
『……発動じゃ』
『!?』
ソニックウォータースナイプがルイの脳天を貫こうとした瞬間、水の中にいた美香。
(なっ、何!? どうしたの!?)
嫌な粘度で全身にまとわりつき、鼻につきささるような臭気を放つ青い液体の中で頭を下にしていると言う状況にパニックに陥った美香は息を止めたまま必死でもがこうとするものの弛緩した手足はまともに動かず、水神紋も無反応。
(これは……まさか!!)
壇上学院イングリッシュ・クラブ部員に教えてもらったWEB小説に出てきた美女をホルマリン漬けにするのが趣味な悪の組織総統を思い出してしまった美香は恐怖とパニックのあまり必死にもがくがゼリー固めにされた状況からは逃れられず、それどころか鼻に突き刺さるような甘い臭気で思考は消え始め、視界も徐々にかすみ始めていく……
『ふむ、これがこやつの恐怖か……実に興味深く、水使いのもののふにふさわしきものであるな』
死と破壊を司る奇跡の力を持つ巫女として、神となった際に『自身が命の危機に瀕した際、敵にとって最大の恐怖と死を与える』と言う自動攻撃能力『命ノ宿命(サダメラレシサイゴ)』に覚醒していた死巫女は青い液体で満たされた謎の機械台座付き大型ガラス管に一糸まとわぬ姿で逆さまに固め囚われ、喉を押さえて苦悶の表情を浮かべる美香をニヤニヤしながら眺めている。
『美香!! 美香!!』
『ああ……美香ちゃん、なんて事や!!』
『華咲君!!』
『くそぉ……何も出来ねぇよ、アタシは何も出来ねぇんだよ!!』
非力な魂として囚われたままの闇乃宮討伐隊メンバーは涙すら流せず、悲痛な叫びを上げるばかりだ。
【第52話につづく】
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