ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第七章:『闇乃宮五ノ闘戯場/黒雷武神ナルカミノミヤ』

【第54話】

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(よしっ、この削りペースなら……貫通させられる!!)
自身のマントにホワイトフレアをエレメントプラスさせて身を守りつつ、敵に突撃していくホワイトフレアスラッシュを見守る探。
なぜか攻撃を止めていた黒雷球は無抵抗で斬られるかと思われたもののピシピシベリベリと奇妙な音が響きだす。
『グヮァァァァァァ!!』
「なにっ!?」
黒雷球表面に現れた裂け目に現れた幾重もの巨大な尖った乱杭歯。
グロテスクな口裂けパック○ンとなった黒雷球は息を吸うように口をすぼめたまま内部魔力の圧凝縮を始める。
『スラ……』
『バオォォォォォン!!』
神紋刀が自炎を再度纏う間もなく打ち出された魔カビーム砲。
どす黒く野太いそれはミズノミヤ様の巨像頭上に立つ探を一瞬で蒸発させるのみならず、巨像の頭から腰まで貫通して内部瓦解させてしまう。

「うっ……ううん」
「ナルカミノミヤ、無事であったか!!」
危険を察知して『清水ノ淑女(しみずのしゅくじょ)』から緊急脱出した少年五武神に駆け寄るミズノミヤ様。
「ああ、何とかな。くそっ、あの野郎……無茶苦茶しやがって」
黒万雷と魔カビーム砲で滅茶苦茶に壊された地面に泥まみれで倒れつつ苦笑いするナルカミノミヤ。
「ナルカミさん、それどころじゃないですよ!? 父さんはどうなっちゃったんですか!?」
「パパ……パパ……」
「……」
いくら探が迷処七武天奥義を会得したとは言え、あの状況で助かったとは思えない。
兄の肩にすがってすすり泣くエミ。

「おいっ、何だありゃあ?」
そんな中で空の一画を指さす須田丸。
そこに漂うのはシャボン玉のようで風船のようでもある白い球体だ。
「あの魔力反応は……」
「パパ!!」
タケルお兄ちゃんを振り払って上空を漂う白球に駆けだすエミ。
それに気が付いたのか謎の白球も地面にゆっくりと降りて来る。
「なるほど、この特殊エレメントプラスはこのような使い方も出来るのか……」
探アレンジ版として数百年ぶりに蘇った迷処七天賦奥義、ェレメントプラス・ホワイトフレア。
その特殊魔力で成人男性サィズの球形大型魔力防壁を生成し、その中に入る事でエレメント攻撃を完全無効化する技テストを終えて地上に軟着陸帰還した父にエミは抱き着く。
「エミ、ごめんな心配かけて……お父さんは無事だよ」
「うん、うん……」
「リーダー!! あんたどんだけチート不死身なんだよ!?」
「なんでいつも心配ばっかりかけるのよ、この!!」
タケルや五武神様、その他大勢の眷族魔物達と共に驚きと半泣きでこちらに向かってくる2人の戦友。
「須田丸君、茜さん……済まない。だが事は一刻を争う。落ち着いて聞いてくれ」
これは言われずとも闇乃宮討伐隊総大将命令だ。
そう察したその場の全員は黙って傾聴態勢に入る。
「あの攻撃で確信したが、僕が作り出すホワイトフレアであの口裂け黒雷球は破壊可能だ。
だが残念な事に 僕1人ではパワーもスピードも全く足りないと言う事が今の反撃を受けてよくわかった」
「……」
「だからこそ茜さん、須田丸くん。マョイガ神紋持ちとして共に戦ってくれないか?」
そう言いつつエミを下がらせ、仲間に頭を下げる探。
「漢・須田丸、二言はねえ!! まかせなリーダー!!」
奥歯キラーンスマイルを見せてサムズアップしつつ力強く須田丸。
「私は御織院茜!! 雲隠と共に戦う宿命なり!!」
腕を組み、胸を張って堂々とした大音声を張り、自身を鼓舞する茜。
「よしっ、行くぞ!! 『ホワイトフレア・ジェット!!』」
『空(くう)!!』
『マョイガアーマー・ライドオン!! ロケットエンジン点火』
地上に残した仲間を守るべくホワイトフレアでセーフフィールドを生成してから天球に向かって行く探。
それに続く茜とその後をジェットエンジン噴射で追う自己修復完全完了な須田丸搭乗マョイガアーマー。
「わらわが言うのも妙であるが……人のもののふらに武神の加護があらんことを」
「それだったら僕もそうさ、ミズノミヤ様……人のもののふらに武神の加護があらんことを」
タケルとエミの双子を抱き寄せるように守りつつそれを不安げに見守るミズノミヤ様は五武神と言う存在でありながら何も出来ず、ただ3人の無事を祈るばかりだ。

『水の武神殿に雷の武神殿、それは我ら闇乃宮様の眷族、同じである。
カゼネコにシネコよ、我らも勇猛なる者らの武運長久を主様に願うぞ』
『ああ、そうだな。ヤミネコ兄ちゃんの言う通りだぜ。』
『ワシも同感ですな……ナムナム』
そう言いつつ天球を見上げて祈りだす三人。
(あれが試練を乗り越えた神紋もののふと言うものか)
(いつかあたしもお兄ちゃんやこんな激熱な仲間と共に試練に挑むわ!!)
そんなミズノミヤ様の親心と闇の者達の心情とは裏腹に敬愛する大先輩もののふ達による激熱友情展開に焚きつけられた雲隠の双子達はこれから繰り広げられるであろう全力空中バトル展開に大期待で目を輝かせながら見守る。

【第55話につづく】
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