ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』

【第57話】

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『あれっ? タメシヤの奴らは……?』
『ヤミネコ殿もおらぬようであるが……?』
 薄暗い部屋に反響するシネコとカゼネコの声。
『シネコにカゼネコよ、よく戻ったな。この度の健闘、見事であったぞ』
 黒い和ろうそくに黒火が一気に灯り、明るくなった部屋。
 板張りの間である闇神乃間の上座に設けられた畳上に座る黒着物に赤袴の少女……闇乃宮の主たるヤミノミヤノミコト、死巫女ルイ。
『主様!!』
 突如現れた主を前に闇乃宮闘戯場の主たる2人は慌てて平身低頭の姿勢を取る。
『さて……改めて申すがそなたら、実に見事であった』
(そっ、そんなわけがねえ……主様のお創りになった世界を滅茶苦茶にしておいて)
(ヤミネコ、ワシらを処分しやすくするために逃げおったな!!)
 ヤミノミヤノミコト様の猫撫で声の裏を察してただ震える2人。
『ほほほ、ぶっ壊すだの処分だのとは物騒な……そなたらはわらわの言葉を疑うと申すか?』
(やべえ!! 主様は俺ら眷族の心を読み取れたんだ!!)
(ワシらは終わりじゃ、もう助からん!!)
 もう心の声を聞かれる云々関係なく、2人は最期となるヤケバチな悲鳴を上げながら痛くない死に方を選ばせてもらえるように必死で祈る。

「あれっ? パパはどこ?」
「ヤミネコもいないぞ?」
 最深部にして美香ママが囚われの身となっているヤミノミヤノミコトの居場所だと言う空間に到着したタケルとエミ。
「いや、この場所からルイの力は感じない……ヤミネコ!! どういうつもりだ!?」
「総員、防衛体制だ!!」
 最後の最後で敵の罵にかけられた。
 その事実に気が付いた御織院茜は闇乃宮討伐隊副大将として仲間に指揮しつつすぐに自身の神紋弓に風魔力矢を生成。副大将の即断にその場の全員がそれに続く。
『皆さま、申し訳ございません……どうかその武器をお納め願えますでしょうか?』
「ヤミネコ、どこだ!!」
 薄暗い板張りの間のどこかから響いてくるヤミネコの声に警戒する茜。
『ただいま光を灯しますので少々お待ちください』
 それと同時に室内に出現した燭台上の黒い和ろうそくに黒火が灯り始める。
「……あそこだ!!」
 正面に現れた10メートル四方の場内畳上に立ち、探と1対1で対時する黒武者ヤミネコ。
「パパ!!」
「エミ、止まれ!!」
 いつも優しい茜おばさんの鋭い言葉で駆け寄ろうとしたエミは動きを止める。
『ありがとう、茜さん。こっちは大丈夫だ……そしてここはヤミネコが個人的に作り出した裏闇乃宮とでも言うべき空間らしい』
「やはりな……ヤミネコ。お前、我らが雲隠総大将殿をそこに閉じ込めて我々と隔離してどうするつもりなんだ?」
 場内を囲うように張られたガラス壁のような魔力で5方を覆って近づけないようにした意図を間いただすナルカミノミヤ。
『……仔細は話せませぬが、私もヤミノミヤノミコト様にお仕えする眷族としてあなた方の『迷処七天武』様方の事は一通り以上の知識を得ております。
 そしてかの竜成(たつなり)様がその聖炎を用いる様もこの目で拝見いたしました』
「なにっ!?」
 疑惑の領域でしか無かった事を壁の向こうで自白するヤミネコ。
『だからこそ、私は……総大将様のソレが不完全である事がわかるのです。
 総大将殿、どうか私と手合わせ願えますでしょうか?』
 案内役として不必要であるが故に闇渦に収納していた太刀を取り出して腰に差すヤミネコ。
 逃げ場も遮蔽物もない抜き打ちの構えを取る敵。
『火神紋エレメントプラス、ホワイトフレア』
 総大将として覚悟を決めた探は腰の麟麟と神紋刀を抜き、白炎二刀の構えを取る。

「探さん!!」
『ふむ、サンの配下最強のもののふ殿と我が眷属最強の剣士の一騎打ちとは……これは面白きことになったのう』
 平身低頭のまま震える2人の眷族と大型銅鏡が映し出すヤミネコの造り出した空間内の様子を見つつほくそ笑む死巫女ルイ。
(よっしゃあ、死亡フラグ回避だぜ!!)
(ヤミネコ殿、詔ガン無視っぷり感謝いたしますぞ!!)
 予期せぬ展開で死亡フラグ消滅がほぼ確定した眷族魔獣2人は安堵の息を心の中で吐く。
『だが、これは少々時間がかかりそうであるな。
 黒猫よ、そこで小うるさい我が眷属共はケツバット100万回に処しておけ』
「にゃおん!!」
 女王様ムチ、布団たたき、おもちゃのプラバット、丸太を削り出したトゲトゲ梶棒、30センチ定規と言ったお仕置きアイテム片手にノリノリで舌なめずりする小間使い黒猫軍団。
「100万回は多すぎでは!?」
「どうか100回に!!」
『者共、やれ』
「にゃあああん!!」
 ルイの命でどこからともなく取り出した麻縄を手に2人に飛び掛かった小間使い黒猫軍団は数の暴力で一瞬でスマキに縛り上げ、そのまま持ち上げて暗闇の奥のどこかに運んでいく。
『さて、あやつらはこれでよい。
 水神紋のもののふ殿……そなたには再度わらわと、手合わせをしてもらおう。ものども、例の物を持ってまいれ!!』
「にゃあん!!」
「それは!?」
 黒猫軍団がにゃんにゃん言いながら持ってきた見覚えのある物に美香は驚きの声を上げる。

【第58話につづく】
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