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第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』
【第60話】
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『ホワイトフレア・バインド!!』
『ダークフレア・バインド!!』
魔力防壁内の場で重なり合う詠唱と同時に2人が放つ鞭型の魔力塊。
探の白いソレとヤミネコの黒いそれは火花を飛ばしながら正面激突し、互いにしなり弾きあいながら各々の敵に向かって行く。
『火神紋強化!!』
一瞬で探の火神紋オーバードライブでその力を増した白鞭は黒鞭を力で押しのけてヤミネコの喉元に一直線。
『はあっ!!』
一度は弾き飛ばされたものの、すぐに態勢を取り戻したヤミネコの黒鞭もしなり動いて白鞭をすり抜け、探の喉元を狙う。
「きゃあああああ!!」
あの速度では2人共回避できず、鋭い鞭の先端で喉を貫かれて相打ち。
茜とミズノミヤ様は雲隠家の双子を抱きかかえるように回れ右させ、顔を胸に押し込む。
『みごとな寸止めですな、総大将殿』
喉元寸前で止められた白鞭を前に鎧の面奥を赤く光らせつつ声だけで笑うヤミネコ。
「……お前こそこれが狙いだったんだろ? ヤミネコ」
同じく喉元寸前で止められた黒鞭の先端と言う命の危機を前にもののふとして最上の悦びがわき出す探。
「茜さんや須田丸君も気づいているようだが……お前は何がしたいんだ?
時間稼ぎだと言うなら何のために?」
『……』
「答えろ、ヤミネコ」
(タケル、落ち着くがよい……何かあったらわらわが守ってやるからな)
普段の穏やかで優しい雲隠医院の先生とは思えぬ武士(もののふ)そのものな圧に怯える双子を抱きしめるミズノミヤ様。
『うむ、今の貴方様であればお話してもよろしいでしょう……ただ、場外でお待ちの皆様にもお聞きいただく必要がありますが故、少々お待ちください』
そのまま身じろぎもせず口をつぐんだヤミネコに探は警戒維持したまま対時する。
『ムムッ!! オレサマナンカヘンダゾ!?』
「どうしたの、シルバーデストロイメン?」
魔力不足故にボディを構成する液体金属を多量に生成できず、首から下げられるサイズのスピーカー、デストロイ・ミニスピーカーとして式神ライの首に下げられていた眷族魔物、シルバーデストロイメン。
『ナンカ……ナンカ……オレサ……マ、ヘンダ……ゾ、 ザッ……ザザーッ、ジジジジ、ザァーァァァァ』
「シルバーデストロイメン、どうしたんだ!?」
「シルバーどの!?」
自身の眷族魔物の異常に気付いた五武神ナルカミノミヤと式神ライを囲む闇乃宮討伐隊メンバー。
突如砂嵐しか流さなくなったシルバーデストロイメンをわけもわからぬまま見守る。
『サンの郎党様方、聞こえておりますか? 私はヤミネコでございます』
『なにっ!? お前私の配下に何をしたんだ!?』
場内で総大将と対時する黒甲胃のヤミネコとその声で喋り出したデストロイ・ミニスピーカーを交互に見つつ問い返すナルカミノミヤ。
『ドウシ様、この度は申し訳ございません。私は今この場で総大将殿のみならず皆様にお聞きいただきたい事がありましてこのような形で配下様の体をお借りしたのです』
『聞いてもらいたい事……でございますか?』
首をかしげる式神小鬼タタラ。
『はい、ヤミノミヤノミコト様の件は皆様ご存知のはずなのでこの場では割愛させていただきますが……ヤミノミヤノミコト様の御側でお守りする私、ヤミネコはかつてのクロでございます」
「クロだって!? お前、姉ちゃんが可愛がってたアイツだったのかよ!?」
ヤミネコの正体に驚きの声を上げるナルカミノミャ様。
『はい、これまで皆様が対時した遊戯場の主となっていた5体も言うまでも無くルイ様と最期を共にした私と同じ猫でございますが……覚えていらっしゃいますか?』
奇跡の墨女サンと死亜女ルイを知る当事者たる2人の武神は思わず顔を見合わせる。
『ほほほ、まさかそれで終わりとは言うまいな……水と地の神紋もののふよ』
時をほぼ同じくして死座女ルイと美香&英里子が手合わせ中の闇乃宮最深部。
闇与・焔で焼石となったヤミイワを受け止めるべく、ゴーレムに搭乗したもののそのまま身動きが取れなくなった英里子を挑発する死巫女ルイ。
『んなもん当然じゃ!! 誰に口を聞いとるんじやワレ!!』
親友美香を守るべくゴーレムに搭乗して頭上の大岩を支えたまま叫び返す英里子。
『ではそなたからじゃ 闇与・雷』
『アギャババババババ!! ギャァァァァァ!!』
熱ダメージを軽減するべく焼け石に水で美香のエレメントプラスアクア&アイスを多重詠唱上乗せされ続けていたゴーレムは回避不可能な大ダメージを食らってしまう。
『さて、水神紋のもののふ殿は……?』
そう言いつつ細目で笑いながら辺りを見回す死巫女ルイ。
『アイスミラージュ』
詠唱と共にルイの眼前、何もない空間に突如出現した氷鎧の騎士。
氷鎧の戦士は青白く輝く氷槍を構え、その穂先でルイの胸を刺し貫かんと回避不可能な距離で襲い掛かる。
『見事じゃ、もののふよ!!』
あっばれとばかりに悦びの声をあげるルイはその心臓を狙う穂先を払い落とすことなく腕を後ろで組む。
【第61話につづく】
『ダークフレア・バインド!!』
魔力防壁内の場で重なり合う詠唱と同時に2人が放つ鞭型の魔力塊。
探の白いソレとヤミネコの黒いそれは火花を飛ばしながら正面激突し、互いにしなり弾きあいながら各々の敵に向かって行く。
『火神紋強化!!』
一瞬で探の火神紋オーバードライブでその力を増した白鞭は黒鞭を力で押しのけてヤミネコの喉元に一直線。
『はあっ!!』
一度は弾き飛ばされたものの、すぐに態勢を取り戻したヤミネコの黒鞭もしなり動いて白鞭をすり抜け、探の喉元を狙う。
「きゃあああああ!!」
あの速度では2人共回避できず、鋭い鞭の先端で喉を貫かれて相打ち。
茜とミズノミヤ様は雲隠家の双子を抱きかかえるように回れ右させ、顔を胸に押し込む。
『みごとな寸止めですな、総大将殿』
喉元寸前で止められた白鞭を前に鎧の面奥を赤く光らせつつ声だけで笑うヤミネコ。
「……お前こそこれが狙いだったんだろ? ヤミネコ」
同じく喉元寸前で止められた黒鞭の先端と言う命の危機を前にもののふとして最上の悦びがわき出す探。
「茜さんや須田丸君も気づいているようだが……お前は何がしたいんだ?
時間稼ぎだと言うなら何のために?」
『……』
「答えろ、ヤミネコ」
(タケル、落ち着くがよい……何かあったらわらわが守ってやるからな)
普段の穏やかで優しい雲隠医院の先生とは思えぬ武士(もののふ)そのものな圧に怯える双子を抱きしめるミズノミヤ様。
『うむ、今の貴方様であればお話してもよろしいでしょう……ただ、場外でお待ちの皆様にもお聞きいただく必要がありますが故、少々お待ちください』
そのまま身じろぎもせず口をつぐんだヤミネコに探は警戒維持したまま対時する。
『ムムッ!! オレサマナンカヘンダゾ!?』
「どうしたの、シルバーデストロイメン?」
魔力不足故にボディを構成する液体金属を多量に生成できず、首から下げられるサイズのスピーカー、デストロイ・ミニスピーカーとして式神ライの首に下げられていた眷族魔物、シルバーデストロイメン。
『ナンカ……ナンカ……オレサ……マ、ヘンダ……ゾ、 ザッ……ザザーッ、ジジジジ、ザァーァァァァ』
「シルバーデストロイメン、どうしたんだ!?」
「シルバーどの!?」
自身の眷族魔物の異常に気付いた五武神ナルカミノミヤと式神ライを囲む闇乃宮討伐隊メンバー。
突如砂嵐しか流さなくなったシルバーデストロイメンをわけもわからぬまま見守る。
『サンの郎党様方、聞こえておりますか? 私はヤミネコでございます』
『なにっ!? お前私の配下に何をしたんだ!?』
場内で総大将と対時する黒甲胃のヤミネコとその声で喋り出したデストロイ・ミニスピーカーを交互に見つつ問い返すナルカミノミヤ。
『ドウシ様、この度は申し訳ございません。私は今この場で総大将殿のみならず皆様にお聞きいただきたい事がありましてこのような形で配下様の体をお借りしたのです』
『聞いてもらいたい事……でございますか?』
首をかしげる式神小鬼タタラ。
『はい、ヤミノミヤノミコト様の件は皆様ご存知のはずなのでこの場では割愛させていただきますが……ヤミノミヤノミコト様の御側でお守りする私、ヤミネコはかつてのクロでございます」
「クロだって!? お前、姉ちゃんが可愛がってたアイツだったのかよ!?」
ヤミネコの正体に驚きの声を上げるナルカミノミャ様。
『はい、これまで皆様が対時した遊戯場の主となっていた5体も言うまでも無くルイ様と最期を共にした私と同じ猫でございますが……覚えていらっしゃいますか?』
奇跡の墨女サンと死亜女ルイを知る当事者たる2人の武神は思わず顔を見合わせる。
『ほほほ、まさかそれで終わりとは言うまいな……水と地の神紋もののふよ』
時をほぼ同じくして死座女ルイと美香&英里子が手合わせ中の闇乃宮最深部。
闇与・焔で焼石となったヤミイワを受け止めるべく、ゴーレムに搭乗したもののそのまま身動きが取れなくなった英里子を挑発する死巫女ルイ。
『んなもん当然じゃ!! 誰に口を聞いとるんじやワレ!!』
親友美香を守るべくゴーレムに搭乗して頭上の大岩を支えたまま叫び返す英里子。
『ではそなたからじゃ 闇与・雷』
『アギャババババババ!! ギャァァァァァ!!』
熱ダメージを軽減するべく焼け石に水で美香のエレメントプラスアクア&アイスを多重詠唱上乗せされ続けていたゴーレムは回避不可能な大ダメージを食らってしまう。
『さて、水神紋のもののふ殿は……?』
そう言いつつ細目で笑いながら辺りを見回す死巫女ルイ。
『アイスミラージュ』
詠唱と共にルイの眼前、何もない空間に突如出現した氷鎧の騎士。
氷鎧の戦士は青白く輝く氷槍を構え、その穂先でルイの胸を刺し貫かんと回避不可能な距離で襲い掛かる。
『見事じゃ、もののふよ!!』
あっばれとばかりに悦びの声をあげるルイはその心臓を狙う穂先を払い落とすことなく腕を後ろで組む。
【第61話につづく】
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